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■■┃ 本では読めない労務管理の「ミソ」
□□┃ 山口社会保険労務士事務所
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2008/09/14号)━
- 電車が運休したら、通勤する交通費はどうするのか
- 会社、社員、どちらにも電車が運休した責任はない
- 公共交通機関が運休した場合の対応について会社の就業規則や規定で取り決めがあるか
- 会社と従業員で負担のなすり合いに
- 電車が運休している時に交通費を負担する策
- 計画運休の時間帯を避けて通勤するのが現実的な対応
電車が運休したら、通勤する交通費はどうするのか
人身事故などで電車が止まる。また、台風がやってきた時も、電車は止まりますね。
電車が止まると振替で他の路線の電車に乗れますが、JR、私鉄、地下鉄で相互に振り替えるもので、タクシーには乗れません。
また、新幹線が運休してしまって、やむを得ずタクシーで目的地に行ったら交通費は誰が負担するのかということも疑問ですね。
会社、社員、どちらにも電車が運休した責任はない
うまく振替輸送をしてもらえればそれで良いのですが、必ずしもうまくはいかないときもあります。
代替となる電車が無いところだと、電車以外の交通手段を使うしかないでしょう。妙に辺鄙な所で電車が止まった時とか。
その場合に、やむを得ずタクシーに乗って会社に行った時にはどうするのか。「今日は遅れちゃダメなんだぁ~」という思いでタクシーに乗ることもあるでしょう。
大切なミーティングがあったりする時に限って、何かトラブルがあるものです。
電車が止まるというのは、ほとんどの場合、不可抗力ですから、会社にも社員にも責任はありません。
公共交通機関が運休した場合の対応について会社の就業規則や規定で取り決めがあるか
多くの企業では、通勤時の交通費に関する取り決めが就業規則や通勤費規定に明記されています。
「公共交通機関の運休などやむを得ない事情でタクシーを利用した場合は、会社が費用を負担する」といった規定があれば、会社に請求することができます。
しかし、就業規則や社内規定にそのような事態に関する取り決めがない場合、原則として自己負担になる可能性があります。また、タクシーを利用する根拠がないなら、公共交通機関が運休したら不可抗力で通勤できないので、タクシーであえて出勤せずに、当日は休みにするのも良いでしょうね。
会社と従業員で負担のなすり合いに
社員としては、「何であれ、交通費なのだから払って!」、「会社に来るため(仕事のため)に使った費用なのだから、どんな移動方法でも交通費でしょ!」と言いたいところ。
一方、会社としては、「電車事故は、会社の責任ではありません」、「決まった交通費を毎月払っているのだから、追加分は自己負担してください」と考えるのでは。
確かに、どちらにも十分な理由があります。会社にも社員にも電車が運休した原因はありませんからね。
電車が運休している時に交通費を負担する策
他の手段を使ったとしても、仕事のためですし、滅多に起こることではないので、会社が全額負担してしまうか。もしくは、領収書を準備してもらって、折半で負担するのか。それとも、社員の側で全額負担なのか。
今回のような場面というのは少ないでしょうが、決してあり得ないことでもありません。
何らかの理由で交通機関が利用できない時に、他の交通手段を使った費用をどのように負担するのか。
・会社で全額負担するのか(この選択肢が現実的ではあります)。
・会社と社員で半分ずつ負担するのか。
・社員の自己負担か(たぶん無いとは思いますが)。
・就業規則などの規定に根拠が無くても、タクシー利用がやむを得ない事情であると認められた場合、会社が交通費を負担するのか。
とはいえ、公共交通機関が止まっているときは、あえて出勤せずに休みにしてしまう方が対応は簡単です。
他には、時短出勤に切り替えて、電車が動き出してから出勤してもらうのも選択肢としてあります。
計画運休の時間帯を避けて通勤するのが現実的な対応
公共交通機関が運休すると事前に分かっているならば、運休している時間帯に電車やバスに乗らないで済むような勤務シフトに変更するのが現実的な対応です。
交通機関はいきなり止まるというものではなく、例えば台風が来ると分かっているならば、その2日前ぐらいには交通機関から計画運休を実施するとメディアを通して発表があります。その計画運休の内容に応じて通勤対応を変えていけばいいでしょう。
電車が動かなくなってからだと仕事を終えて自宅に帰るのは難しくなりますし、交通手段がないとなると、じゃあタクシーで帰るのかと。
台風で電車が止まっているならば、他の交通手段を探す人は大抵タクシーを選びますから、タクシー乗り場には行列ができていて、なかなか乗れません。
仮にタクシーに乗れたとしても、電車よりも運賃が高くなって、その運賃は会社が負担してくれるのか、それとも本人負担になってしまうのかが問題になります。費用負担のなすり合いも起こるでしょうね。
運休するかどうかは数日前には分かることですし、台風が来るのも事前に分かります。であるならば、電車が止まるかなと予想される時間帯に通勤しなくてもいいような勤務シフトに変更して対応すれば、臨時の通勤手当を会社が負担するのか、誰がそれを負担するのかという問題を避けられます。
どうしても外せない仕事があるならば、会社が臨時の交通費を負担してでもやってもらうのもいいのでしょうけれども、そこまでしてやらないといけない仕事かどうかは個別に判断が必要ですね。
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【仕事のQ and A】
決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。
- Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
- Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
- Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
- Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
- Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
- Q:残業しないほど、残業代が増える?
- Q:喫煙時間は休憩なの?
- Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。
【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】
毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。
【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】
私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。
【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】
高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。
中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。
若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。
それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。
もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。
週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。
休憩時間無しで働いている。
採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。
「学生には有給休暇が無い」と言われた。
テスト休みを取って時給を減らされた。
など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。
何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
(知らないからといって許されるものではありませんけれども)
このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。
一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。
学生から好まれる職場と嫌われる職場。
その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。
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