休業したら通勤手当や皆勤手当は支給されるのかどうか
2020年も5月の後半になって、3月から始まった自粛生活も徐々に緩和される傾向にありますが、長い間 Stay Homeで休業している方もいるのでは。
新型コロナウイルス感染症への対策として、会社なり事業所を休業して、従業員の方に休業手当を支払って休んでもらう。そういう職場もあるかと思います。
では、休業手当は払うとして、皆勤手当、通勤手当はどうするか。
普段通りに仕事をしている場合は、皆勤手当や通勤手当も通常通りに支給されるのでしょうけれども、休業手当という形で給料を支払っている場合、皆勤手当と通勤手当はどうなるのか。
休業中で出勤していないわけだから、皆勤手当は出さない。
休業中だけれども、本人に責任がないことなので、皆勤手当を出す。
どちらでしょうか。
所定の労働日に全て出勤すれば皆勤になるとすれば、休業で休んでいれば皆勤ではなくなるため、皆勤手当は出ないと考えるのが自然です。
しかし、従業員に責任がある休業ではないのだから、それを理由に支給されなくなるのはスッキリしない。
皆勤手当をどのように支給するかどうかの条件は、就業規則や賃金規定で決めるものです。
どのような条件で支給するのか、対象者は誰なのか、金額はいくらなのか、事業所が任意でこれらを決めないといけないものです。
休まずに出勤するのが当たり前のような雰囲気になっている職場も多いですから、皆勤手当そのものがもう無いという職場もあるのでは。そう頻繁に休まないですからね。
例えば、毎月、手当を支給するのではなく、6ヶ月に1回、1年に1回のように、判定期間を長くして、支給額を多くするのも一案です。
毎月だと、ほぼ全員が支給対象になってしまい、容易に達成が可能です。
しかし、半年なり年間だと、対象者が絞れるし、金額を多くしても予算内に収まるのでは。
仮に、毎月支給するものだと月額2,000円。これを1年間皆勤だと30,000円にする。
1年間に1度も病気や怪我などで休んでいない人が対象になるため、対象者が絞られ、その分、手当の額を増やせます。
従業員本人の都合による休業ではないならば支給するのか。それとも、感染症や自然災害で事業所が休業となった場合は支給しないのか。
どちらかの形で就業規則や賃金規定に決めておく必要があります。何も決めていないと、休業する際に判断できませんから。
リモートワークで通勤しないなら通勤手当や通勤定期券はどうなる?
電車やバスに乗って職場に行かないのだから、通勤手当は出ない。
休業すれば通勤する必要がなく、自宅からリモートで仕事ができる。そういう環境がある方もいらっしゃるでしょう。
満員電車で消耗することなく、人が密集することもなく、新型コロナウィルスに感染する可能性も下げられる。
このように、通勤しない利点がありますが、休業中の通勤手当をどうするか、労務管理では悩むときがあります。
通勤するたびに、切符を購入する、もしくは IC カードで支払う職場もあるでしょうし、通勤定期券を買ってもらって、その購入費用を通勤手当として支払う職場もあるでしょう。
では、休業が始まって、休業後も有効な通勤定期券を持っていたらどうするのか。
仮に、3月から休業したとして、6月まで有効な通勤定期券を持っているとすると、4ヶ月間は使えるわけですから、これを払い戻してもらうか、そのまま本人に使ってもらうか。
残り期間は使わないのだから、払い戻してもらって、そのお金を会社に戻してもらう。
払い戻しはせずに、そのまま持っておいてもらう、もしくは使っても構わないとするのか。
どちらでしょうか。
どちらの対応も正解であり、どちらが間違いというものではありません。どのように対応するかは事業所ごとに違います。
定期券を払い戻すと、想像してるよりも金額は少ないもの。払い戻すぐらいだったら、もう残り期間まで使ってもらった方が良いのではと判断するのもありです。
個人的に使ってもらってもいいし、中には払い戻して、払戻金を自分の財布に入れちゃうような人もいるでしょうけれども。
きっちりしている職場だったら、払い戻してもらって、そのお金を会社の方に戻してもらうという対応するのでしょう。
さらには、休業が始まった後の通勤定期券は、もうそのまま知らんぷりするような職場もあるのでは。
僅かな金額をわざわざ回収する手間がかかりますし、感染症が流行している状況で、小銭を返すために、わざわざ人がいる職場まで行かなきゃいけない、電車にも乗らなきゃいけないとなれば、もうそのまま有効期限まで通勤定期券を放置しておくというのも一つの手です。
その都度、通勤手当を支払う職場だったら、休業を開始した後は、通勤しないわけですから、交通費を出す必要はありません。
問題となるのは、通勤定期券を購入していて、休業開始後も、ある一定の期間まで有効な定期券となっている場合、その処理をどうするかという点。
一人一人、通勤経路が違い、定期券の購入金額も違うでしょうし、購入期間も3ヶ月分を買う人もいれば、6ヶ月分を買う人もいるのでしょう。
一人一人対応が異なり、そういう面倒なことをするぐらいだったら、休業期間中の通勤定期についてはもう本人に任せるのが良いのでは。
中には、遠隔地から通勤していて、1ヶ月10万円ぐらいの通勤手当が出る方もいるかもしれません。新幹線で通勤するなんていう狂気の沙汰のような提案を政府がするぐらいですから。職場の近くに住居を構える方がよほど良いと思うのですが。
感染症の流行や自然災害で休業した場合、通勤定期券を払い戻してもらうなら、そのように就業規則もしくは通勤交通費規定のようなものに決めておくといいでしょう。
一方、従業員本人に処分を任せるならば、特にルールを決める必要はありません。
やるべき仕事と関係ない仕事は、なるべく省力化して、少ない時間で済ませたいものです。給与計算はバックオフィス業務ですから、本来やるべき仕事とは違い、なるべく簡単に、楽に、早く終わらせるのが賢明でしょう。
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