あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。

選ばれる会社

 

職場では学生はいい加減に扱われる。私が学生の頃に感じたことですが、これは2019年現在でもそう変わっていないようです。

ワンオペだの、ブラックバイトだの、契約していない時間まで働かされただの、休憩が取れないだのと情報が時折流れて、「あぁ、まだこういう状況なのか」と。

90年代や2000年代の初め頃に比べると、若干は変わりつつあるのかもしれませんが、まだスッキリしない感じ。

 

学生のアルバイトも他の社員と労務管理は同じ

法律では学生も他の社員も同じように扱われており、職場での扱いも同じです。

しかし、「学生は他の人とは違う」というイメージがあるのか、不遇な扱いを受けやすいようです。他の人よりも劣っているわけではないのですが、「学生」という身分がそういう扱いを招くのでしょうか。

短時間労働者でも、学生だとアルバイトで他の方だとパートタイマーと分けて呼ばれたりしますけれども、どちらも同じパートタイマーです。

1日8時間働く方とは違い、4時間なり6時間という比較的短い時間の勤務で働かれている方は全てパートタイマーと扱われます。

学生でも、職場のオネーサマ方も、法的な扱いは同じなのです。18歳未満の方には若干の例外がありますが、それはごく一部分です。

 

労務管理を知らないのか。それとも知っていて無視しているのか

就労環境が悪いと、ブラックバイト、ブラック企業と言われ、さも酷い職場であるかのように言われてしまいますが、会社側もわざとそのような環境を作り出しているところばかりでは無いのではないかと思います(やや性善説的な立場)。

学生だから休みが少なくてもいいだろう、契約で決めていない時間や曜日に働いてもらってもいいだろう、有給休暇を与えなくてもいいだろう、最低賃金を下回ってもいいだろうと考えてしまい、間違った労務管理になってしまう。

故意に悪い就業環境を作り出すのは論外ですが、知らずに間違ってしまうのは起こり得ることです。本当に知らなかったのかどうかという謎は残りますけれども。

就労環境を整備するのは使用者の責任ですから、それが良くないものになったとすれば使用者の責任です(たとえ知らなかったとしても)。とはいえ、労務管理のルールを知らなければ、間違ってしまっても仕方ないもの。

 

労務管理に不備がない事業所の方が少ない

厚生労働省では過重労働解消キャンペーンという施策を毎年実施していて、法令に違反していないかどうかを知るため、事業所に対する調査を行っています。

その調査では、指導の対象になる事業数は、毎年約7割程度あります。つまり、調査対象となった事業所の7割では何らかの不備があったというわけです。

法令違反が7割といっても、その程度はそれぞれ違いがあります。これはさすがにダメだ、と考えられるものがある一方で、軽微な違反もあります。

重箱の隅をつつくように調査すれば、労務管理での不備はどこの事業所でも出てきそうですけれども、「ここは違反するわけにはいかない」というラインのようなものがあります。

例えば、時間外労働に対する割増賃金を支払っていないとか、タイムカードの記録に残らない形で残業をさせているとか、休憩や休日を与えずに働かせているとなると、さすがに知らないでは済まされないところです。

使用者の立場であれ、部下を持つ立場の人であれ、学生が同じ職場で働いているならば、知っておかないといけないルールがあります。

何の法令違反もないホワイト企業になるのはなかなか難しいものですが、働く人にとって就業環境は高い関心を集めるところですから、改善していきたいところです。

 

要求をゴリ押しすると周りの人は寄ってこない。人を動かすには「ニンジン」が必要

職場にいる学生というと、高校生、大学生が大半ですが、雇うとき、退職するとき、テスト休み、体育大会、文化祭、帰省、部活、サークル、ゼミなど、他の社員には無いイベントが多々あります。

自分自身が学生だとさほど自覚しないところですが、他の人が学生だと「学生は何かとよく休むな」と感じるもの。自分も過去に同じような立場だったはずですが、、、。

そのようなイベントに合わせて会社は勤務シフトを組まないといけないわけです。

学生の都合よりも職場の都合だ、という考えもありますけれども、辞められてしまうと次の人がなかなか入ってこないもの。「辞めてもまた雇えばいい」などと強気に言っても、簡単には新しい人は入ってこない。運良く入ってきたとしても、職場の都合を優先するところだと、せっかく入社しても早々と辞めてしまう。

こちらの都合よりも自分の都合をゴリゴリと押し付けてくる相手との関係は長続きしませんからね。会社側の方が立場が強いんだとの理屈で押していくと、働く側としては「こりゃあ、ダメだ」と離れてしまう。

 

人の感情を取り扱うのが労務管理。

ここから先は、キチンと労務管理する気がある方だけ読んで下さい。

学生だから適当に扱ってもいいだろう。
研修中は給与を払わなくてもいいだろう。
遅刻したら時給を減らしてやろう。
テスト休みなんて認めないぞ。
学生に有給休暇なんて使わせるもんか。

このような考えを持っている方には得るものがありませんから、『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』はおすすめできません。

ですが、「今は色々とダメなところがあるんだが、少しずつ就業環境を良くしていかないとな」と思っておられるとすれば話は変わります。

学生と職場の都合をどのように調整していくか。ここが考えどころです。どちらか片方を優先しても、もう片方から反発を受けて上手くいかないもの。

職場は人と人の感情が接触する場ですから、労務管理でも、それぞれの感情をいかに調整していくかがポイントになります。

学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』

 

学生のアルバイトがアホだと思うなかれ。

相手が学生だからといって、法律なんて知らないだろうと思い、無茶な扱いをする。最も良くないのがこの対応です。

確かに細かい法律について学生は知らないかもしれませんが、「何となくヘンだよね」ぐらいは感じ取れます。ポケットにはスマホがありますから、分からないことがあればすぐに検索して調べる習慣が身についています。さらには、SNSで「これっておかしくないか」と疑問を投げかけるような投稿をして、他の人がそれに賛同するかのように反応していく。

それゆえ、相手が学生だからといっていい加減な対応はできないのです。使用者と労働者の間にある情報の非対称性は以前に比べて小さくなっており、相手は知らないだろう、という前提で接するのはもう無理ではないかと。

学生の立場からも知っておきたい点も『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』では説明しています。会社の中の人だけでなく、学生の方が読んでも得られるものがあるように書いています。

 

調べる手段が乏しいと情弱に。スマホは遊び道具じゃない

筆者が高校生の頃は1990年代で、労務管理も大雑把な時代でした。

インターネットはまだ黎明期でしたし、PCが個人向けのものでも1台100万円ほどの価格で、気軽に購入できるものではありませんでした。個人が購入できるPCがお店に出回り始めたのは確か1994年ぐらいだった記憶があります。とてもお小遣いやお年玉で買えるような代物ではなく、コンピューターを持っている人はごく少数でした。

仮に高価なコンピューターを持っていたとしても、その用途は限られていて、定額で高速なネット接続など無い時代でしたから、ダイヤルアップ接続で遅い通信速度でネットを利用するか、文書作成で使うか、まぁ宝の持ち腐れに近いような状態だったんです。

ネットに接続しなければ、コンピューターなんてその価値の半分どころかそれ以下の価値しか生み出せません。

もちろんスマートフォンなんてありません。ネット回線も、ワイヤレス接続が当たり前の生活とは違い、LANケーブルをPCに差し込んでネットに繋げる方法しかありません。無線接続しか知らない方だと、LANケーブルすら扱ったことがない方もいるのでは。

PC本体の処理速度は遅く、通信速度も遅いものでした。しかも、遅いくせにネット接続は高価で、使えば使うほど料金が上がっていくようなプランもありました。月額2,000円程度で使い放題など、夢のまた夢。

何かを調べたいと思えば、本屋か図書館にいかなければならず、思えば実に不便な時代でした。労働法がどんなものか。どういうルールで職場が回っていないといけないのか。それすら知るのが困難でしたからね。

じゃあ図書館に行ってまで調べるのかというと、そういうことをする気にもなれない。労働関連の法規などというお硬い内容を図書館に行ってまで調べるなんて、もはや学生ではなく学者の所業ですよ。

そんな時代に比べて、本当に便利です、スマホは。小さくて持ち歩けるし、通信速度も十分に早い。知りたいことをすぐに調べられる。調べる道具としては申し分ないものです。

スマホでゲームやSNSをやって命を無駄遣いしている暇はないんですよ。学生には。

 

高校生が深夜労働。契約は口約束。ブラックな環境で働く学生

18歳未満の高校生は22時までしか働けないのですが、居酒屋で0時30分まで働かせるところもありました。当時はそんな決まりがあることなど知らず、「給与が出るならば何時までも働けるのかな」ぐらいにしか思っていませんでしたが、それはダメだったんですね。

とはいえ、日付が変わる時間まで高校生が働いているなんて、若干の違和感のようなものはありました。しかし、当時は高校生でしたし、法律だの労働法規だの、全くと言っていいほど知らないものですから、どうしようもなかったんですね。

お店の店主も、給与はちゃんと払っているから問題ないだろうと考えていたのかもしれません。ちなみに、深夜割増賃金も出ていませんでしたからね、そのお店では。

採用時も、契約書を作らない会社ばかりでした。学生の頃は、何十もの職場を経験しましたが、契約書らしきものを作っていたところは無かったと記憶しています。

どこの会社でも、履歴書を持っていって、面接して、それで終わり。契約書の「け」の字も無いと言っていいぐらいです。ほぼ口約束で働いていたようなもの。

こんな職場もありました。私が大学生だった頃、一度辞めた職場だったのですが、戻ってきたら時間給は1,250円出す、と電話で伝えられたので、じゃあ行くかと。

ところが、働き始めると、1,250円なのは最初の1ヶ月間だけで、翌月からは1,000円に変えられていました。以前働いていたときは1,000円でしたから、その水準にしれっと戻したのでしょう。

給与明細を見て気づいたのですけれども、確かに時間給は1,250円でしたし、それがいつまでという条件は不明のままでしたから、会社としては何か不備があるわけでもない。

その会社も契約書を作らないところでしたし、その時の条件も電話で話して合意しただけです。ずっと1,250円とは言っていなかったですから、私としては「やられた」という気分でした。もはや羊頭狗肉と言ってもいいんじゃないかと。

時給1,250円で働くのだと思っていたのですが、まさか最初の1ヶ月間だけだとは。こういうとき、何か文句を言っても契約書が無ければ話になりません。書面で賃金と契約期間を確定させておけば、状況は変わっていたのかもしれません。

とはいえ、「契約書を、、」などと言っても作ってくれそうな会社ではなかったですが。

 

働く条件を契約書に残さないと相手の好き放題に。

契約は約束を文書にしたもの。例えば、リンゴを1箱5,000円で仕入れると約束したのに、後日、実際に仕入れる段階になると、1箱3,000円に条件が変えられていた。

リンゴを仕入れる側からすると値段が安くなって嬉しいのですが、売る側からすれば困りもの。

「1箱5,000円という約束だったのに、3,000円で売るとは決めていなかったはずだ」と売り手は買い手に言うでしょうが、「そんな約束はしていない」と買い手がふんぞり返ったら厄介です。

時給1,250円だと勝手に思い込んでいても、契約書が無ければ、相手の都合が良いように解釈されてしまう。契約書を作らない会社側が良くないですが、それを許した私にも落ち度があります。

 

学生が好む職場はどんな職場?

雑に扱われるものです、学生は。法律では他の社員と同じように扱われるのですが、世間ではなぜか学生は特別扱い(良くない意味で)されているようで、彼らに無茶振りしてもいいだろうと思っている人がいます。

会社側、学生側、お互いに労務管理のルールを理解していないのが原因ではないかと思いますが、知らないと言っても許してくれないのが法律です。

働く人が好む職場はどういう職場かというと、変なことをしない職場です。何か理由を付けて罰金を取るとか、商品を買い取るノルマを課すとか、出勤日や休みの日を一方的に変えてくる。こういうおかしなことをする職場に人は寄ってきません。

給与に対する不満はさほど大きいものではなく、給与以外の人間関係や職場のルールに不満を感じやすいもの。給与が良くても、変な上司や同僚がいたら働きたくないでしょうし、訳のわからないルールがあっても働く気が失せます。労働力と賃金を単純に交換するだけが仕事ではないのです。

自分が中心になって働く自営業。家族だけで営業しているお店や会社。そういう環境ならば、好きなようにしてもヤンヤヤンヤと言われません。休憩無しで働いてもいいですし、長時間労働しても誰も止めません。残業代なしで働くのもありです。自ら責任を取れる範囲内ですから、そういう働き方も可能です。

しかし、他人と一緒に働くとなったら話は別です。使用者の都合だけで労務管理できるものではなくなりますし、働く人の感情を考えて対応していく必要があります。

学生を採用してもどんどん辞めて、穴の空いたバケツで水をすくうような職場ではなく、当たり前の労務管理が当たり前になる職場に変わるよう願って書いたのが本書です。

 

【目次】

1. 大学生でも年金に入るの?
2. まだ20歳になっていないけれども年金に入るの?
3. 1日に2回出勤したら残業代はどうなる?
4. 履歴書と面接だけで採用していいの?
5. 退職届を会社で用意して、退職する手順をわかりやすくする。
6. 辞めたいなら代わりの人を連れてきて?
7. 早く出勤して準備しても給与は出ない?
8. テスト休みに有給休暇を取れる職場は学生にとって魅力的。
9. 学生に労災は無い? 仕事中に怪我をしたら健康保険を使って病院に行くの?
10. 学生に有給休暇は無い?
11. 有給休暇の予定を変えられた。
12. 学生も残業していいの?
13. 学生でも残業代は出る?
14. 休みの日に働いたけど休日手当が出ない?
15. 学生が働ける時間に上限はある?
16. 高校生が夜遅くまで働いてもいい?
17. 学生が朝早くから働いてもいいの?
18. 夏休みにガッツリと働いてもいい?
19. 研修中には給与が出ない?
20. 1日でバイトを辞めたけど、給与は出るの?
21. 売れなかった商品を買い取らないといけない?
22. 交通費を受け取りながら自転車で通勤するズルい人。
23. 出勤していきなり休憩、仕事が終わってから休憩。
24. 欠勤したら罰金を取られた。
25. テスト休みを取ったら時給を減らされた。
26. 仕事中に物を壊して弁償させられた。
27. 「もう来なくていい」と一言だけで解雇された。
28. 休憩なしで働いて給与を増やしたい。
29. 休憩時間中なのに仕事をしていいの?
30. タイムカードを使わなくてもいいの?
31. 暇だからといって、早退させられた。
32. 始業前、終業後に仕事。タイムカードに記録されない時間。
33. 勤務シフトを会社が一方的に変更してきた。
34. 着替える時間に給与は出る?
35. 学生の特権? 通学定期で職場まで行く。

学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』

 

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