あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます

夫の会社から住宅手当。妻の会社からも住宅手当。アリかナシか

二重取り

 

両方の職場から住宅手当を受給してもOKか。それとも片方だけか

ご存知のように、給与は基本給だけでなく、各種の手当が付きます。最もよく知られているのは、時間外の割増賃金(残業代)と深夜割増賃金ではないかと思います。他にも、休日手当や通勤手当、住宅手当や各種のナントカ手当など、手当の種類は色々あります。

手当の中でも、今回は、住宅手当の扱いについて考えてみたいと思います。

会社に務めていると、住宅手当が支給されるところがありますが、結婚している男女がどちらも会社員であって、それぞれ別々の会社に所属しているとします。

夫は、自分が在籍する会社から住宅手当を支給される条件に合致しており、さらに、妻も、自分が在籍する会社から住宅手当を支給される条件に合致している。

この場合、夫婦は双方の会社からそれぞれ住宅手当の支給を受けるでしょうか。それとも、どちらか片方の住宅手当だけを受け取るでしょうか。


この夫婦は、共働きで、どちらも会社員という身分を有しており、さらに、住宅手当が支給される条件に合致しているということは、おそらく二人共フルタイムで勤務していると考えられます。

この状況で、住宅手当の二重支給を受けられるかどうか。これが今回の話の焦点です。


「別々の会社で働いていて、住宅手当の支給を受けられるのだから、夫も妻も別々に住宅手当を受け取れるんじゃないか?」こう考える人も多いでしょうね。確かに、これは自然な考えです。

一方で、「いや、夫婦がお互いに住宅手当を受け取ると、住宅手当の二重受け取りになるので、過剰だ。だから、夫が住宅手当を受け取るときは妻の住宅手当は無しにすべきだし、妻が住宅手当を受け取るときは夫の住宅手当を無しにするのが妥当だ」このように考える人もいるかもしれません。これもそれなりに納得できる考えではあります。


お互いに異なる事業所で勤める夫婦に住宅手当の二重受け取りが生じても、それは結果として生じたものであって、住宅手当の支給を制限するものではないと考えるのか。

それとも、違う会社で働いていても、住宅手当を夫婦どちらもが受け取るのは妥当ではないので、住宅手当の支給を制限するべきと考えるのか。

どちらの考えが妥当でしょうか。

どちらも納得できる考えであって、簡単には決めにくいところですよね。


分かりやすさで判断すれば、分かりやすいのは後者よりも前者の立場です。

夫と妻が所属している会社が同一の会社、もしくはグループ企業であるならば、住宅手当の支給調整はあり得ることだと思います。夫婦の社員データを名寄せすることができますし、雇用契約の状況も分かります。そのため、夫と妻の住宅手当は片方だけにすることも可能なのかもしれません。


しかし、夫と妻がお互いに全く関係の無い会社で働いている場合(夫が銀行、妻が自動車メーカー。夫が食品メーカー、妻がIT企業など)は、住宅手当の支給を調整する理由が乏しいのではないかと思います。

夫の会社で住宅手当が支給されて、さらに妻の会社でも住宅手当が支給されたとしても、それぞれ別の会社なのですから、会社に損が発生するわけではない。

それぞれの会社で、住宅手当の支給条件に合致し、手当が支給されている。不正な点はありませんし、会社が損をしているわけでもない。


ただ、「夫婦が二人揃って住宅手当を受け取っていると、いくらなんでも受け取りすぎなんじゃないか」という感情的な反発は起こりうるのかもしれない。

そのため、他社の事情まで考慮して住宅手当の内容を決めているところもあるようです。例えば、妻が住宅手当を受け取るときは、夫の会社で住宅手当を受け取っていないという証明書を出させるとか、この逆もあるでしょうね。


もちろん、住宅手当の制度を設けるかどうかは会社が決めるものですから、法律に違反しない範囲で、どういう条件を設定しても構わないところです。

そのため、夫の会社から住宅手当を支給されているならば、妻の方の会社では住宅手当を支給しない。そんな扱いもあるのでしょうね。

「本人所有の住宅、もしくは本人名義で契約した賃貸住宅に限る」という条件が設定されていれば、二重に住宅手当を受け取る可能性はなくなりますので、手当を申請する際に名義を要求する可能性もある。登記事項証明書や賃貸借契約書を確認して、本人を対象に住宅手当を支給していきます。

所有者や賃借人は変更しようと思えばできるものですから、年に1回のチェックだと不正受給する人も出てこないとも限りませんので、どういう形でチェックするかは考えておく必要がありそうです。

ただ、賃貸だと、単独名義だけでなく共同名義での契約も可能なようですので、共同名義の場合に住宅手当をどうするかが問題となりますね。共同名義の場合だと、先ほどのように、夫婦が揃って住宅手当を受け取る可能性がありますから、共同名義の場合は「単独名義で住宅手当を受け取る場合の50%」というように支給額を調整する方法もあるでしょうね。


 

 

住宅手当のルールは会社で決める

住宅の名義を問わずに手当を支給するか。単独名義だけにするか。共同名義もOKにするか。支給条件をどうするか。支給額はいくらか。

名義を問わずに支給してしまうと、社員以外の第三者の住居費用を補助してしまう可能性があるので、おそらく名義を問わず支給するところはあまり無いのではないかと思います。


単独名義と共同名義、どちらも住宅手当の対象にするとしたら、支給額に差をつけるのか、それとも同じにするのか。

配偶者が住宅手当を受け取っているかどうかを考慮するのか。それとも考慮しないのか。

手当の支給条件も、賃貸住宅だけに限定するのか、それとも一軒家も対象にするのか。その他にも条件を設定するのか。

結構色々と考える点があるのですね。


一軒家を購入した人の家賃は、返済期間や利息、支払いパターン(元利均等、元金均等、賞与時の支払いを少なくして毎月の支払いを多くするなど)によって意図的に変化させることができるので、住宅手当の対象にしないところが多いのではないかと想像します。


「賃貸住宅に住む人に限定」、「会社から半径3km以内」というように、職場と自宅を接近させて、住宅ローンの負債を発生させないように手当の条件を設定するのが良心的なように思います。


 

もう給与計算は自動で済ませる時代なんですね。手計算では間違いのもとですし、手間もかかります。
給与の計算は、基本給だけじゃなくて、割増賃金や手当も計算していかなければいけないですし、雇用保険料や社会保険料も控除しなければいけません。複雑な計算を電卓だけで済ませるのは面倒ですし、計算ミスも起こりやすくなります。ですから、しかるべき給与計算ソフトを使うのが賢い判断でしょう。

 

住宅手当の支給条件を設定するポイント

割増賃金の計算を考慮して実費に連動した形で住宅手当を出すにはどうするか。

会社から自宅までの距離に応じて変わるのも良いですし、賃貸住宅なら賃貸借契約書を確認して、例えば、家賃の半分を補助して、上限額を5万円にする。

戸建ての場合は、家賃を支払いませんが、毎月返している住宅ローンの返済額に一定率をかけて支給するのも実費に連動した住宅手当になります。毎月の返済額の50%を住宅手当として支給して、賃貸住宅と同じように上限は5万円にする。こういうやり方で戸建に住む人にも住宅手当を出すことができます。

ローンの返済年数で条件を付けることもできます。返済期間が10年以上の住宅ローンを組んだ場合は住宅手当の対象にするとか。住宅借入金等特別控除の期間が13年ならば、13年以上の借入期間で住宅ローンを組んだ人を住宅手当の対象にするという条件もできますね。他には、住宅ローンを返済する残期間が3年以上と条件を設定すれば、残り3年になったら住宅手当はなくなりますが、残期間が5年や7年でも対象になりますよね。10年や13年だとハードルが高いならば、住宅ローンの残期間を基準にするのも工夫の1つです。

住宅ローンの残高がなければ住宅手当を計算する数字での根拠がありませんから、支給対象にするのは難しいです。

戸建てでも職場から自宅までの距離を考慮して、その距離に応じて住宅手当の支給割合を変えることもできますね。

職場から自宅まで1 km以内ならば住宅手当の支給率は50%。職場から自宅まで2 km以内だと30%。職場から自宅まで3 km以内の場合は支給率10%にする。3kmを超えた場合は住宅手当は出ない。住宅手当は、職場の近くに住んでもらって通勤時間を短くするのが目的ですから、職場に近いところに住んでいる人の住宅手当を多くすると、目的に合った手当になりますね。 

さらに、自転車で通勤している人に通勤手当を出して、住宅手当とコラボさせて職住接近を促すのも良いです。

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職場から自宅までの距離、毎月の家賃や返済している住宅ローンの金額、これらに連動して住宅手当を払っていくと良いでしょうね。

 

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