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自転車通勤でも通勤手当が支給される? 自転車にも非課税枠はある。

 

 

自転車通勤は通勤じゃない?

通勤する手段というと、電車、バスを利用する人が多いでしょうか。中には徒歩で通勤する人や自転車で移動する人もいるでしょうね。

仕事で交通機関を利用すると通勤手当が支給されるところが多いのですが、通勤手当の支給対象が電車、バス、自家用車に限定されていて、燃料が要らない自転車は対象外になっている。これが一般的なのではないかと思います。

しかし、会社によっては、自転車での通勤であっても交通費が支給されるところがあります。「運賃が要らないし、燃料も使わないのに、なぜ交通費が出るんだ?」と思うところですが、自転車通勤に対して通勤手当を支給する会社は現実にあります。

私も学生の頃、自転車で通勤する職場があれば、電車で通勤する職場もありましたが、自転車通勤で交通費が支給された経験はありません。やはり、「自転車は燃料を使わないし、運賃もかからない。だから交通費を支給する必要はない」という考えが一般的なのでしょう。

では、なぜ、燃料を要しない自転車を使って通勤する人に交通費を支給するのでしょうか。




自転車通勤に交通費を支給する目的。

目的は3つあります。1つは、通勤手当に関する不正を減らす目的。2つ目は、自転車のメンテナンス費を補填する目的。3つ目は、自転車を買い換える費用を補助する目的です。

他にも考えられる目的はあるでしょうが、私が考える目的は上記の3つです。

1つ目の不正を防ぐ目的という点について。電車通勤だと交通費が支給されるが、自転車だと支給されないとなると、自転車で通勤しているにもかかわらず電車を使っていると申告し、通勤手当を詐取する人が出てきます。

電車に乗って来ていると申告して交通費を受け取っているのに、実際は自転車で会社まで来ている。こういう人、意外といます。学生の頃、バイト先に、自転車で来ているのに交通費が支給されている人がいて、「電車で来ていることにしているけれども、自転車の方が早いのでそのままにしている」とのことでした。

不正に通勤手当を受け取ると、不正利得で返還請求される場合がありますし、就業規則に基いて懲戒処分されることもあります。

自転車での通勤にも手当が支給されるとなると、上記のようにセコいことをしなくても、他の通勤者と同様に手当が支給されるので、悪いことをする人が減ります。


2つ目、自転車のメンテナンス費を補填するという点について。自転車も長い間乗っていると、色々と消耗します。タイヤの溝がなくなってくれば交換しますし、ブレーキパッドも擦り減ってきたら交換しないといけない。また、パンクした時はその修理費用もかかります。

もちろん、自転車を通勤だけで使っているわけではないのでしょうが、通勤で消耗させている部分もありますから、それを補填する目的で自転車通勤に通勤手当を支給するわけです。


3つ目、転車を買い換える費用を補助する目的について。この目的で交通費を支給するのがもっとも良いですね。不正を防ぐためというと、性悪説な考え方ですし、あまり気分が良いとも思えません。しかし、毎月の交通費は、将来時点で新しい自転車を購入するための費用を一部負担していると考えれば、なかなか嬉しい感じがします。このような前向きな動機を与えて労務管理を行うと好感を抱きます。

月額500円だったら、年間で6,000円。2年だと12,000円、3年だと18,000円です。質が良い自転車だと3年は十分に乗れます。中には10年ぐらい同じ自転車に乗っている人もいます。

私も、もう廃棄しましたが、約20年ほど乗っていた自転車があったが、随分と長持ちしましたね。パンクを修理し、タイヤを交換し、さらには後輪タイヤのリムまで交換して長々と乗っていましたが、ある日、ペダルのクランクが折れてしまい、古い自転車だったため、交換用の部品がなく、新しい自転車に乗り換えました。部品があったら、まだその自転車に乗っていたかもしれません。

3年で18,000円ですから、今ならば2万円程度で上等な自転車を購入できるので、自転車の購入費を補助していると考えれば、月額500円の通勤手当でも悪くないでしょう。


自転車通勤にも非課税枠が用意されている。

通勤手当には、税制度で一定額まで非課税になるルールがあります。電車やバス通勤をする人に対して、交通費を全額補助している会社もありますよね。

なぜ全額補助するかというと、交通費として出した通勤手当には一定額まで課税されないからです。

一方、自転車で通勤している人には交通費が出ないところが多いのではないでしょうか。人力で動く乗り物ですし、運賃もかかりませんから、交通費は要らないだろうと思いがちです。

しかし、取得時に車両費がかかりますし、タイヤやブレーキの交換、パンク修理、さらに新しい自転車に買い換える費用も必要です。タダで自転車通勤ができているわけではないのですね。

ならば、自転車で職場に来ている人にも通勤手当が出てもいいはずです。

マイカー・自転車で通勤する人に対しても公共交通機関を利用する人と同様に非課税枠があります。限度額は少なくなりますが、距離に応じた非課税枠があり、例えば、2km以上10km未満の通勤距離ならば月4,200円まで限度額が設定されています。

1回の出勤で200円を支給すれば、月21日の出勤で4,200円。それが1年間続くと、50,400円。この計算では限度額いっぱいで想定していますが、年間で50,000円あれば、自転車のメンテナンス費用はカバーできますし、新しい自転車を購入する費用の一部にも充当できるでしょう。

混み合った電車やバスに乗るのを避けられますから、感染症対策にも有効ではないでしょうか。さらに、軽い運動にもなるでしょうし、利点は多そうです。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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