年次有給休暇を取得した場合、それは「法定休日を取った」とはみなされません。仕事が休みになるという点では同じですが、有給休暇と法定休日は扱いが異なります。
法定休日とは?
法定休日は、労働基準法35条に基づき、従業員に与えられる最低限の休日日数を指します。少なくとも1週間に1回の休日を与える必要があります。これが「法定休日」とされるものです。
年次有給休暇とは?
年次有給休暇は、労働者が勤務を休んでも賃金が支払われる休暇で、勤続年数や勤務日数に応じて与えられます。これは、労働者の権利として取得できるものであり、労働基準法第39条で定められています。
両者の違いは?
法定休日は労働基準法により必ず与えられるべき休みであり、これとは別に年次有給休暇が存在します。年次有給休暇を取得した日が法定休日に重なることもありますが、年次有給休暇の取得自体が法定休日の取得とみなされることはありません。そのため、有給休暇と法定休日は別々にして取れるようにする必要があるんですね。
休日も年次有給休暇も同じ休みだがお互いに役割が違う
労働基準法35条(以下、35条)には、『使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない』と書かれており、毎週1日は休日が必要とルールが決められています。
この毎週1日の休日というのが、法定休日と言われるもの。
一方で、法律には年次有給休暇というものもあって、こちらも休日のように仕事が休みになる点では同じです。
では、仮に、水曜日に年次有給休暇を取得して休んだとすると、その週は法定休日は必要なくなるのかどうか。
毎週少なくとも1回の休日が必要なわけだから、年次有給休暇を取ったということは、その1回の休日に相当するものを取ったのだと解釈できるのか。
それとも、35条の法定休日は、年次有給休暇と違って、別枠で取らなければいけないものなのか。
この点が問題となります。
年次有給休暇は法定休日の代わりにならない
法定休日であれ、年次有給休暇であれ、休みという点では同じですが、その点が同じであっても、法定休日の位置付けと年次有給休暇の位置付けは違うのです。
法定休日は、法律で定めて、強制的に取らなければいけない休みの日で、毎週1回の休日が必要だということ。
一方で、年次有給休暇は、それをいつ取得するかは、労働者なり従業員が決めることで、今週、年次有給休暇を取ったから、もう法定休日はいらないだろう、というものではないのです。
年次有給休暇を法定休日の代わりにしてしまうと、35条の休日が与えられていないということになり、法律に違反します。
例えると、ナスとダイコンはどちらも野菜ですけれども、ぶり大根を作るのにダイコンの代わりにナスを使うわけにはいきませんから。
ゆえに、今週の水曜日に年次有給休暇を取ったとしても、別の日に少なくとも1日の休日を勤務スケジュールの中に入れなければいけないのです。
仮に、水曜日が年次有給休暇ならば、金曜日を法定休日にするというように、年次有給休暇を取ったかどうかに関わらず、法定休日は必要なのです。
同じ休みだからといって、年次有給休暇は法定休日の代わりにはなりませんので間違いなきよう。
付け加えると、労働基準法では、休日は35条に根拠があり、年次有給休暇は39条に根拠があります。お互いに代替できるならば、あえて条文を分けることもありませんから、休日と年次有給休暇はお互いに代替できないと考えるのが正しいのですね。