労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

仕事中のマスク着用は会社がルールを決めるもの。

 

マスク禁止

 

マスク着用に対するルールが無かった。

小売大手、イオンにて、接客時のマスク着用を原則として禁止するとのルールを設けたとの報道がありました。

2008年だったか2009年か記憶は定かではありませんが、インフルエンザが流行して、テレビでも盛んに報道されたため、街中や職場で、ノーマスクの人よりもマスクを着用している人の方が多いんじゃないか、と思えるような時期がありました。

電車でも、職場でも、お店でも、マスク人間が溢れかえりましたから。

右を見ても、左を見ても、マスクをつけている人ばかりで、なんだか病人がすごく増えたような印象を抱きました。

マスクで、インフルエンザウィルスを遮断することはできないのですが、それを付けていると、さも予防できるかのような気分になるので、着用する人が多かったのでしょう。

その時期からなのか、マスクをつける人が増えてきたのも、その頃からだったんじゃないかと。

就業規則には、労働時間や休日、有給休暇などのルールが書かれています。さらに、身だしなみに関するルールも、就業規則の中に含まれているものです。その中には、髪の色とか爪とか、マニキュアや香水、それらの取り扱いについて職場ではどうするかが書かれています。

身だしなみについては、就業規則に書かず、服装規定や身だしなみ規定という形で分離させている職場もあります。

そういう以前からあった身だしなみに関しては、ルールがあるんでしょうけど、マスクについては、何の決まりもない。そういう職場も多いのではないかと。

食品を加工する仕事など、会社から着用を指示されている人は、マスクを着用しているでしょうが、問題は、それ以外の人はどうなっているのかという点。

人は、何のルールも無いと、自分の好きなようにしても構わないのだろう、と解釈する傾向があります。

マスクでも、付けてもいい、付けちゃダメ、という決まりがないんだったら、自分が付けたいときに付けてももいいんだ、と解釈されてしまいます。

それで構わない職場ならば、そのまま個人の判断に任せてしまっていいのですが、人と接することで価値を生み出している職業の場合は、話が変わってきます。


提供する価値の一部を構成しているのが接客。

人と接するのが仕事で、その接客サービスそのものに付加価値がある職業は、サービス業に多いです。

例えば、飛行機のキャビンアテンダント、ホテルで働くスタッフ、これらは接客業の中でも代表的なものです。

では、そういうホテルや飛行機の中で働く人たちが、マスクを着用してお客さんと接しているような場面を見たことがあるかどうかというと、私は一度も無いです。

ホテルや航空会社では、マスクを着用して勤務するのは、おそらく禁止されているのではないかと思います。

接客サービスそのものにお金を払っているところがあって、そういう商売で、マスクを付けて話をされてしまうと、「何だか、これは、、、」と感じてしまいます。

マスクの着用を禁止することに反対する人もいるようですが、確かに風邪などを予防する効果はあるのでしょうが、接客サービスの価値を下げてまで付けるものなのかどうか。

こまめにうがいをするなり、手を洗うなり、他の代替的な手段で対応すれば、必ずしもマスクは要らないでしょう。

他人との接触を遮断したいのか、年中、マスクをつけている人もいます。冬季に限って付けているだけでなく、桜が咲く時期にマスク、真夏でもマスク、もはやマスクなしでは落ち着かない状態になっているのではないかと。

予防を言い訳にされると、いつでもマスクを付けられます。季節に関係なく、本人の自由に任せて、マスクを付けて良いと解釈できます。

マスクがあると、相手との間に壁を作っている感覚になり、精神的な安心感(?)のようなものを着用者に与えるのではないでしょうか。

接客を必要とする仕事では、接客も付加価値の一部を構成しているため、マスクを着用してその価値を下げるのはダメなのでしょう。


マスク依存症に会社が対応する必要はない。

風邪やインフルエンザを防ぐという名目でマスクをつける人もいますが、確かにそういう機能も少しはあるのでしょう。

ですが、人を観察していると、「この人、いつもマスクを付けているよな」という人がいます。

他人との接触を遮断するというか、マスクを付けると周りの人との間に壁みたいなものができて、自分の殻に閉じこもる手段として利用されているのではないでしょうか。

マスクを実際に付けると、確かに安心感というか他人の視線を遮断しているような感覚を覚えます。さらに、口周りの防寒具としても使えるため、都合が良いアイテムなのは理解できます。

しかし、私生活で利用するのは自由ですが、仕事中にマスクとなると、それは職場のルールがどうなっているかで決まります。

「マスク依存症」で検索すると、色々と情報が出てくるぐらいで、世の中の関心の高さが分かります。

食べ物を加工したり、スーパーマーケットだったら、お惣菜コーナーで働いてる人、そういう人たちならば、マスクを着用するのも分かりますし、反対する人もそういないでしょう。

しかし、人と接触するような仕事をしている人が、マスクを付けるのは、やはり変です。例えば、板前の人がマスクを付けて、お寿司を握っていたらどう思うか。あのお寿司を食べたら、何かの病気がうつるんじゃないか、と思ってしまいます。

人前に出ないでお寿司を作る仕事、チェーンの回転寿司店だと、お客さんに見えないところでお寿司を作っていますから、そういう方はマスクを付けています。

ですが、テーブルを挟んで、お客さんが目の前にいるのに、マスクを付けて寿司を握るのは、お客さんとしては不快でしょう。

マスク依存症と表現すると、さも病気のように思えて、それに対し、職場は何らかの配慮をすべき、みたいな理屈が展開されそうです。

しかし、マスク依存症は病気ではなく、本人が自分の殻に閉じこもり、他人との接触を断つための方便として言われているものだと思います。つまり、引きこもりの手段というわけです。

 

マスクを付けるなら休む。出勤するならばマスクを付けない。選択肢は、この2通り。

どうしても作業上の理由でマスクが必要な人は除きますが、それ以外の人がマスクを着用するのはダメ、というルールでも差し支えないでしょう。

マスクを付けないといけないほど体調が悪いならば、仕事を休ませないといけませんし、顔を怪我しているという場合でも、マスクを付けてまで出勤せず、休んで治療すればいいでしょう。

職場には、服装規定や身だしなみ規定があり、好き勝手な格好で仕事ができるわけではありません。

ユニフォームがあれば、それを着て仕事をする必要があり、着たくないと言えば、会社は出勤させないよう対応します。

爪や髪、ひげ、マニキュアなども、職場ごとにルールがあるものです。

ただ、そういうルールをきちんと整備してない、そもそも就業規則がない職場だと、何をどこまでやっていいのか、何が許されるのか、何がダメなのか、という基準が曖昧になっていて、マスクを付けていいのかどうかも不明瞭になっているのではないでしょうか。

食べ物を扱う部門だけマスクを付ける、という前提だったので、服装規定や就業規則で、マスクについての取り扱いを決めていなかった。イオンでも、ここが問題の発端になったのではないかと思います。

10年前、20年前だったら、マスクなど病人が付けるものという感覚だったのでしょうが、健康な人でも、もはや日常的にマスクを利用するようになったため、職場でもルールが必要になるわけです。

「そんなマスクなんて細かいことを決めなくてもいいだろう」という考え方もあるでしょうが、何のルールも決まっていなければ、本人の気分や好き好みで、マスクをつけて仕事をしても構わない、という状態になってしまいます。

ルールがなければ、人は自分にとって都合が良い方に解釈します。これは、先程、書いたとおりです。

だから、身だしなみや服装というのは、きっちりとルールを決めておかないと、後から、これぐらいじゃないか、マスクぐらい付けてもいいんじゃないか、とズルズルと言い出す人も出てきてしまいます。

職場でリンボーダンスをしてもいいじゃないか。
ブレイクダンスを踊ってもいいじゃないか。
愛犬を職場に連れてきてもいいじゃないか。

書き出すとキリがありませんが、他人同士が同じ場所で働くのですから、細かいと感じるルールでも必要なのです。「そんなもの、常識で分かるだろう」と思っても、他人の常識とあなたの常識が同じとは限りません。

病気を予防したいならば、そもそも仕事を休んで、家にこもっていればいいのであって、わざわざマスクをつけて仕事をしなくてもいいのです。

マスクをつけなければいけないほど体調が悪いならば、そもそも出勤せずに休んでおくべきでしょう。出勤できているならば、体調には問題ないのでしょうからマスクは不要です。

小売業に限らずですが、サービス業では、接客が商品であり付加価値でもあるのですから、それを毀損するような服装なり身だしなみではダメなのでしょうね。

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com
業務のご依頼に関するお問い合わせ

© 社会保険労務士 山口正博事務所