労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

「今日は仕事がないから、休みにして」と言われたら。

今日休み

 

 

 

 

当日になって、急に仕事が休みになる。

そんな経験をした方もいらっしゃるのでは?


例えば、

木曜日に、

10:00から15:00まで、
5時間の勤務シフトだったとしましょう。


そして、

当日の木曜日、

10時少し前、9:41に職場に着いた。

そこで、
「今日は仕事がないから、休みにして」
と言われる。


もし、自分自身がそう言われたら、どう思うか。


「いやいや、もっと早く伝えてよ」

「当日、しかも出勤してから休みにするなんて、困る」


仕事をするつもりで準備してきているのでしょうし、
当日、出勤してから休みと言われても、
そりゃあ納得できないもの。


こういう場合、どのような対応をするか。

 

 


出勤する日を一方的に休みにしたら、「休業」になる。


木曜日の当日になって、

「今日は休みにして」と伝えると、

これは「使用者の責任による休業」として扱われます。


使用者の責任で休業させると、

給与の6割以上を支払わないといけなくなります


10時から15時まで、5時間働いて10,000円だとすると、
その6割以上、つまり6,000円以上を会社は本人に払わないといけません。

 

「休みになって、仕事をしてもらっていないのに、給与を払うの?」
と思う方もいらっしゃるでしょうが、

会社の都合で一方的に従業員を休ませると、

休みであっても、給与を払わないといけないんです。

 

 

休業手当は「雇用契約の違約金」のようなもの。


労働基準法の26条(以下、26条)には、
先ほどの休業手当に関する決まりが書かれています。

26条
 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。


一方的に、「今日は休みにして」と伝えると、
給与の60%以上を払わないといけないんですね。


なぜこのような条文があるのかというと、

「買うと約束したものをドタキャンさせないため」

です。


「木曜日の10時から15時まで、
この5時間の労働力を使用者は購入します」
と雇用契約で決めているのですから、

 

当日になって、
「やっぱ要らないわ」
と言われたら、

契約の相手方は困ります。


木曜日に働けると期待しているわけですから、
この期待を保護しないといけない。

そこで、

使用者側から一方的に仕事を休みにされた場合に
対処するため、

26条が用意されているんです。


会社も従業員も、
雇用契約で決めた内容を履行します。

週4日勤務で契約したならば、
1週間に4日は働けるようにしないといけない。

1日5時間勤務と契約で決めているならば、
1日に5時間は働けるようにしないといけない。

それが雇用契約なのです。


この点は、雇用契約に限ったことではなく、
他の契約でも同じです。

 


例えば、

ホテルの宿泊をインターネットで予約し、

宿泊日当日になってキャンセルすると、
キャンセル料が発生しますよね。

当日キャンセルだと、キャンセル料は100%。
3日前だと50%。
7日前までにキャンセルすれば、0%。

というように、

宿泊施設の予約にはキャンセル料が設定されています。


雇用契約における休業手当もこれと同じ、
キャンセル料のようなものと考えていただければ良いでしょう。


買うと約束したものを、
後から「やっぱり要らない」とは言えない。

商売ですからね。


余裕を持ってキャンセルすれば話は別ですが、
ドタキャンのようなことをすれば、
相手から違約金(キャンセル料、休業手当など)を請求されるのが当然です。

 

 


どうしても休みにしたいときは、どうするの?


例えば、

大雨が降ってお客さんが少ない、

台風がやってきて、お店がガラガラ、

こういう状況だと、

お店を閉めたいと思うのが人の気持ちです。


そういう場合はどうすればいいのか。


「お客さんがいなくてガラガラでも、
強引に営業しなさい」

と言ってしまっては、
何の解決策にもなりません。

 

もし、休みにしたいときは、
他の日と振り替えるのが現実的な解決方法です。


先ほどの例だと、

木曜日の10時から15時までの勤務シフトを
休みにしたわけですから、

それを休みの予定だった土曜日に振り替えて、
土曜日の10時から15時に出勤する。

こうすれば、

木曜日は休みになりますが、
その代わりに土曜日に出勤できます。


出勤日を休みに変えても、
他の日に振り替えるならば、

雇用契約の内容を履行できますし、
休業手当も必要ありませんから、
セーフです。


木曜日を休みにして、
何の補填策も講じずに、
そのままにするのはダメです。

週4日出勤のはずなのに、
木曜日が休みになって、
出勤日が週3日になった。

これだと、休業手当が必要になります。

 

 


早退のときも振り替えで補填。


丸1日、出勤日を休みに変えた場合だけでなく、

例えば、

2時間早く早退させた場合も、

他の日に、勤務時間を2時間延長して振り替える
方法があります。


勤務シフトが木曜日の10時から15時までのところ、
当日は13時に終わってもらい、

翌日の金曜日に2時間延長して、
10時から17時まで働いてもらう。

このような振り替えもあります。


ただ、
このような振り替えは
あまりやらないようにしたいところ。

契約違反とまでは言えないですし、
違法でもないですが、

コロコロと勤務シフトが変えられてしまうと、
スケジュール調整がシンドイですからね。


あまり頻繁に勤務シフトを振り替えていると、

「こんなに勤務シフトがコロコロ変わるならば、
もう辞めます」

と言う人が出てきてもおかしくない。


便利な道具も、
その使い方次第で、

良い効果をもたらすか、

それとも、

良くない効果をもたらすか

が変わります。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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