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雇用調整助成金と休業者給付金の仕組みと利点

雇用調整助成金と休業支援金

 

 

※休業者給付金という名称は仮のもので、以下では休業者支援金という名称を用いて記述している箇所もあります。「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の名称が正式なものです。略称は「休業支援金」となります。

 

雇用調整助成金を利用するには、先に休業手当を立て替える必要がある

新型コロナを理由に、従業員を休業させて休業手当を支払うと、その費用の一部が助成金として補助されるのが雇用調整助成金。

何度となく制度が変更され、対象者は雇用保険の被保険者に限定されなくなりましたし、特例で支給率も引き上げられました。

ただ、休業1日あたりの上限額が8,330円(2020年6月に15,000円に引き上げ)で、1日あたりの給与額が多い人、例えば15,000円や20,000円といった給与が支給される人だと、休業手当を支払って、助成金を受け取っても、助成金でカバーできない金額が発生します。

助成金の金額を超過した部分は、使用者が負担しなければいけないので、ならば雇用調整助成金は使わないでおこうか、という判断をする人も出てきます。その結果、無給で自宅待機させられる。

2020年5月には、雇用調整助成金の制度がまた変更され、今までだと上限額が1日あたり8,330円だったところが1日15,000円に引き上げられました。

1日15,000円まで引き上げられる時期は、6月12日に第二次補正予算が成立したあとになりますから、6月中旬以降に実施される休業は、上限額が8,330円から15,000円に切り替わるのではないかと思います。

その後、第二次補正予算は成立し、2020年6月12日から、その予算に基づいて、雇用調整助成金の上限額が1日あたり1人15,000円に引き上げられました。

さらに、従業員の雇用契約を解除せずに雇用を維持している中小企業に対する助成率が一律に10/10、つまり100%に引き上げられました。ちなみに。雇用契約を解除(従業員を解雇)している場合は、中小企業に対する助成率80%になります。

小規模事業所だと、平均賃金ではなく実際に支払った休業手当を基にして助成額を計算しますから、小規模事業所かつ解雇等をしていないならば、15,000円までの休業手当ならば全額が助成金で補填できることに。

仮に、休業手当の額が15,000円だとすれば、その9割が助成金として支給されるとすると、13,500円が助成金として支給されます。

以前のように、8,330円が上限額だと、15,000円の休業手当を支払って、雇用調整助成金を利用した場合、支給率を9割だとして、13,500円ではなく8,330円が上限になり、休業手当の半分近くを会社が負担することになっていました。

ただし、雇用調整助成金を利用するには、先に休業手当を立て替える必要があります。

先に手元資金で休業手当を払っておいて、助成金の申請をして、後からそのお金が銀行に入金されます。

一時的に手元の資金が減りますから、それに耐えられる事業所ならば雇用調整助成金を利用できます。

先に立て替え払いをして、支給されるのは2ヶ月ぐらいかかるとすると、それまで手元の現金が減っても耐えられるかどうか。申請から支給までの時間は短くなっているのでしょうが、休業手当を支払ったあと、助成金が支給されるまでの現金は依然として必要です。

実際にかかった費用を補助するのが助成金ですから、助成金を前払いせよと要求されても難しいところ。仮払いで助成金を支給し、後から確定した助成金額で精算するという仕組みも考えられますが、手間がかかってしまいます。

しかし、手元に現金がなければ、休業手当を支払うことができず、助成金も利用できません。

賃金締切日になれば、すぐに助成金の手続きに着手できるものの、そこから手続きしても、休業手当の支払いよりも助成金の方が先に入金される可能性は低いでしょう。

例えば、20日に締め切り、月末に給与を支払うとすると、現金が出ていくまで10日ほどしか時間的猶予はないですし、申請から10日で助成金が支給されるとは考えにくい。

どれだけ急いで助成金の申請手続きをしたとしても、助成金が銀行の口座に入金されるよりも先に休業手当の支払い時期が到来しますから、手元に現金が必要です。

すでに手元の現金がなくなっている会社やお店だと、助成金を利用したくても、休業手当を支払えないわけですから、どうしようもなくなります。

赤字でも会社は倒産しませんが、現金がなくなれば倒産します。身動きできなくなりますので。

その事態に対応するために、休業者給付金が設けられたというわけです。

2020年5月15日時点ではまだ休業者給付金の申請は受け付けられておらず、6月12日に成立する予定の第二次補正予算に基づいて制度が実施されます。

休業者給付金という名称ですが、予算案の中では「新型コロナウィルス感染症対応休業支援金」と書かれており、休業中に賃金の支払いを受けられなかった労働者を対象にしたものです。

手元に現金がなければ、休業手当を払いたくても払えず、休業手当を払っていないと助成金も申請できません。また、前月や前々月に遡って休業手当を支払い、助成金を申請しようとすれば、労働基準法24条2項に反しますから、そういったこともできません。

過去にさかのぼって休業手当を払えない。休業中に無給で自宅待機させられた。そういう方に直接、現金を給付するのが新型コロナウィルス感染症対応休業支援金。

制度が実施される段階になれば、シンプルに「休業支援金」という名称になるのではないかと予想します。

7月7日に休業支援金の詳細が公開されています。

休業支援金の対象になる期間は、4月から9月までで、4月の初めから休業していて、無給で休みになっていた方は、ぜひとも申請するべきです。遡っている期間も含みますから、まとめて入金されるはずです。

4月から6月の3ヶ月分は一括で申請しますから、4月から休業手当無しで休業していた方だと、それなりの給付額になるのではないかと。

対象は、中小企業で働く従業員で、休業中に休業手当を受けられなかった方。さらに、雇用保険に加入している人だけでなく、雇用保険に加入していない人も給付対象になります。

「解雇されちゃったら休業支援金を受給できないの?」と疑問に思うところですが、解雇されるまでの期間は休業になりますから、雇用契約が続いていた期間は休業支援金の対象になります。この点は雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金と同様。

例えば、5月末で解雇されたが、4月1日から5月末までは雇用契約が継続していたとすると、2ヶ月間が休業となり、休業支援金の対象になるわけです。事業所に休業証明書を作ってもらう必要がありますが(申請の際に休業証明書の添付は必要なくなりました)、休業支援金の申請書が公開された段階で、休業証明書の書面もダウンロードできるようになるかと思います。

パートタイムで働く方(学生も含む)は、休業手当なしで休まされる方も少なからずいらっしゃるようですから、この休業支援金の申請受付が開始されたら、忘れずに申請したいところ。

他にも、4月1日から新規採用された人(新卒採用された人のこと)で、1日も出勤せずに休業していた方も休業者支援金の対象になります。この場合、支給が予定されていた給与額で給付額を算定します。

「休業手当が出るのは正社員だけ」というものではないのですが、そういう独自の理屈で休業手当を支払わない事業所もあるのではないかと思いますので、そういう所に勤めている方には休業支援金をぜひとも申請して欲しいです。

自分で動かず、手続きをしなければ給付金の類は受け取れませんので、ボーッとしていても勝手にお金が振り込まれてくるなんてことはありません。不満を口にするぐらいならば、サッサと動いた方が得られるものが多いです。

 


会社に給付される雇用調整助成金。従業員に給付される休業者給付金

雇用調整助成金と休業者給付金(「休業者支援金」と表記する場合もあります)の違いは、雇用調整助成金は会社経由で申請するもので、会社が助成金を申請しないと、支給されません。まれに、従業員本人が雇用調整助成金を申請できるんじゃないか、と誤解される方がいますが、違います。

他方、休業者給付金は、本人から申請で支給される制度になります。イメージとしては、失業手当に近いものと考えていいのではないかと思います。

会社経由で手続きをして、支給されるのが雇用調整助成金。従業員本人が申請して、支給されるのが休業者給付金。

ちなみに、雇用保険の被保険者には休業者支援金が支給され、雇用保険に加入していない方だと休業者給付金という名称になります。

雇用調整助成金と休業者給付金は、どちらか片方を使うことになり、休業手当が支給されて自宅待機している人は休業者給付金の対象にはなりません。この場合は雇用調整助成金を利用します。

一方、休業手当が支給されずに無給で自宅待機させられている人は、休業者給付金の対象になります。

事業所が雇用調整助成金を利用する意思がないと、休業手当も支払われず、従業員側としてはどうにもできない状況になります。

そこで、直接に雇用調整助成金を利用できるような仕組みが必要ではないか、と言われてきて、それが休業者給付金という形になったわけです。

そうなると、「休業者給付金があるんだから、休業手当は払わなくてもいいだろう」と考える使用者も出てくる可能性があります。

つまり、休業手当を回避する手段に利用されるということ。

手元の現金を使って、休業手当を支払わなければいけないわけですから、雇用調整助成金は事業主には負担があります。一時的ではあれ、休業手当を支払うと、会社の現金が減りますので、それを避けるために休業者給付金を利用するように案内するわけです。

休業者給付金には休業手当を立て替える負担がありませんので、雇用調整助成金を使わず、休業者給付金を使うよう誘導していくような案内も起こり得ます。

では、そういう対応が問題なのかというと、判断が難しいのです。休業の原因は新型コロナウィルスなのだから、使用者の都合で休業させているわけじゃない、と言われてしまうと、「まぁ確かにそうだな」と納得せざるを得ない。

雇用調整助成金は事業所を経由して間接的に労働者へお金が回るもので、一方、休業者給付金は労働者へ直接にお金が回ります。つまり、間接的にお金を流すか、直接的に流すかの違いであって、どちらを使っても構わないのではとも思えます。支給される率や額は両者で異なりますけれども。

雇用調整助成金を利用すれば、休業者給付金は不要になり、休業者給付金を利用すれば、雇用調整助成金からはお金が出ないのですから、お互いにトレードオフの関係です。細かな違いはあれども、大きくは助成金か給付金かどうかの違いでしか無く、結局は労働者にお金が流れます。

主にお金が流れる経路が違うのであって、「雇用調整助成金を使わずに休業者給付金を利用させるのはダメだろう」と言う必要は無いのではと思います。どちらからお金を出しても、最終的にはそれは労働者に向かうのですから。会社経由で間接的に給付していくか、労働者本人へ直接に給付するかの違いです。

 

雇用保険の特例措置である「みなし失業」の仕組みを利用して、休業者給付金を支給する予定とのことです。

この「みなし失業」とは、激甚災害時における求職者給付の支給の特例が根拠になっており、自然災害を想定した仕組みで、感染症への適用を想定しておらず、地震や津波、大雨による影響を受けた場合は適用できるのですが、これを新型コロナにも適用できるよう制度を変えていくのでしょう。

政府にとってみれば、雇用調整助成金であろうと、休業者給付金であろうと、現金を給付する点は同じですから、どちらかでお金が流れれば良いと考えることも可能です。

後者を利用すると、事業所が休業手当を一時的に立て替える必要がなくなり、この点でも利点があります。休業手当の支払いを回避できてしまうという短所はありますが。

 

 

新型コロナウィルス感染症が休業の原因なのだから、休業手当は払わない?

新型コロナで休業したら、それは使用者の責任なのかどうか。ここは判断が分かれるところです。

政府による緊急事態宣言、都道府県知事による自粛要請によって休業しているわけですが、「強制ではないから営業できる」と解釈すれば、その休業は使用者の責任になります。

しかし、事実上、強制されていると解釈すれば、休業は使用者の責任ではないと言えます。

商売では、契約で買うと約束したものを一方的に要らないとは言いにくい。

「やっぱり買いません」とこちらの都合で売手に伝えれば、買手は責任を負わされます。

物を買う時、売る側は買主のために準備をして、品物を調達します。一方で、買主は売主が用意してくれた品物を条件通りに購入します。

買主が一方的に「やっぱり買わない」と言えば、売主は困りますし、約束を破ったことになる。

商取引では、一旦契約が成立した後は、当事者の一方が自己の都合で契約を破棄してしまうと、事前に決めた違約条項に基づいて、違約金を支払うことがあります。

身近な例だと、宿泊施設の予約です。

例えば、旅館を予約して、宿泊日の2週間前までにキャンセルしてもらえればキャンセル料はかからない。

けれども、宿泊日の2週間前を経過した後、1週間前までに予約をキャンセルすると、宿泊料の30%がキャンセル料になる。

1週間を経過した後、3日前までに予約をキャンセルすると、宿泊料の50%がキャンセル料に。

3日前を経過した後、宿泊日の前日までに予約をキャンセルすると、70%をキャンセル料として旅館に払う。

宿泊日当日にキャンセルした場合は、宿泊料の100%がキャンセル料としてかかる。

これは一例ですが、買主と売主には約束があって、その約束を一方的に破ると、ペナルティが課せられるのが商取引です。
旅館は、部屋を確保するために、他のお客さんを断ったかもしれませんし、料理の材料を調達しているかもしれませんから、準備のための費用はかかっています。

そのため、一方的にキャンセルされたときは、キャンセル料を払ってもらって補填するわけです。

雇用契約でも、使用者が一方的に勤務日数や勤務時間を減らした場合は、契約違反になり、休業手当という形で、違約金を払う必要があります。

従業員側が一方的に休んだ場合は、違約金のようなものはないのですけれども、使用者側が契約よりも少ない勤務日数や勤務時間を設定するとペナルティがあるのです。

労働者よりも使用者の方が責任が重くなっているというのが雇用関係なのです。こういう状況を知ってしまうと、「もう人を雇うのはやめよう」と思う経営者も出てくるでしょうね。

新型コロナによる休業は、使用者の責任なのかどうか。判断しにくいのが悩みどころ。

感染症なのだから、使用者がウイルスをばら撒いてるわけではなく、感染させてるわけでもないので、休業はウィルスによるものだから、使用者の責任ではない、という理屈もあります。

ただ、無休で自宅待機させてしまったら、もはや雇用契約を維持する理由はなくなりますから、会社から何か指示をしても従ってもらえません。

新型コロナの騒ぎが落ち着いてきて、営業を再開しようとしても、従業員が戻ってこない。

無休で休ませるような職場に戻ろうと人は思いにくいものです。

 

1分単位の労働時間でも給与を正確かつラクに計算してくれる給与計算ソフトは?
労働時間は5分や10分単位で切り捨てていいものではなくて、1分でも労働時間であり、給与計算に含めなければいけないものですから、手作業で給与を計算するよりも、自動で計算してくれる給与計算ソフトの方がいいですよね。

 

休業者給付金の中身は? 申請するには何が必要なのか

 休業者給付金という名称が使われていたものの、支援金という名称を使うところもあって、休業者給付金になるのか、休業者支援金になるのか、2020年6月の段階ではまだ定まりません。その後、7月に『新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金』という名称に決まりました。

 

休業支援金の詳細が明らかに

7月7日に専用のページが設けられ、休業支援金の手続きについて案内されています。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

給付対象となる休業の期間は、2020年の4月1日から9月30日まで。その期間内に、事業主の指示で休業したものの、休業手当が支払われなかった方は、休業支援金の受給対象になります。

支給額が1日あたり平均賃金の80%で、上限額は11,000円。

手続きは、労働者本人からの申請だけでなく、事業主でまとめての申請も可能になっています。学生のアルバイトの方は、無給で休みにされた方もいらっしゃるでしょうから、忘れずに休業支援金の手続きをしたいところ。

学生向けに文部科学省から『学生支援緊急給付金』が用意されていますが、休業者支援金と学生支援緊急給付金は支給目的が異なるため、両方を受け取ることも可能ですので、条件に当てはまれば2つとも申請すると良いのではないかと。

 

間接的にお金が流れるか、直接的に流れるかの違い

雇用調整助成金や小学校休業等対応助成金は、会社経由で間接的にお金が流れていきます。一方、休業者向けの支援金だと、本人へ直接にお金が流れます。

そのため、休業手当を払わない、助成金を利用しない、と事業所が判断してしまうと、従業員側では困ってしまいます。

そこで、助成金で間接的に資金が流れる方法だけでなく、雇用保険の基本手当(通称では、失業保険の失業手当と言われるもの)のように、本人に申請してもらい、直接的に給付していく仕組みを用意したというわけです。

お金が流れる経路が違うだけで、どちらも実質はほぼ同じです。なるべく雇用調整助成金を利用するように厚生労働省は案内していますが、休業手当を支払わなかった事業所が、翻意してそれを支払うようになるとは考えにくいですし、助成金であれ給付金であれ、どうお金が流れるかの違いでしかありませんから、さほど厳しく分ける必要もないのではないかと思います。

 

休業前の賃金で休業支援金の支給額が決まる

上限額は月33万円で、賃金の約8割。直近6ヶ月間で、最も賃金が高い3ヶ月間の賃金、その8割が給付額になります。

直近6ヶ月で最も高かった時期の賃金の8割ですから、例えば、12月、1月、2月、3月、4月、5月、この6ヶ月間で最も給与が多かった3ヶ月を利用して、給付額を計算するとどうか。

3ヶ月分の賃金が無い場合は、2ヶ月分を60で割って計算し、2ヶ月分の賃金が無い場合は、1ヶ月分を30で割って計算します。

おそらく、12月と1月の年末年始が最も給与が多くなっているのでは。まだ新型コロナの影響も出ていない時期でしたし、支援金を計算するには丁度いい月ではないかと思います。

対象期間は任意で選択できますから、賃金額が高くなっている期間を対象期間として選び、給付金を計算すれば、その金額は多くなります。選択できる対象期間は最大で3ヶ月ですので、12月、1月、2月、という選び方も可能です。

期間は、例えば、4月から5月末まで休業していたとすると2ヶ月分。2019年12月の給与が最も高く、任意で選んだ3ヶ月の平均で月額30万円だったとすれば、その8割の24万円。これが2ヶ月分なので、48万円が支援金となります。ざっくりとした計算ですが。

給付額の計算式は、「休業前賃金日額 × 0.8 × 休業日数」で、休業1日あたりの上限額は11,000円、月額では33万円が上限になります。なお、出勤した日や年次有給休暇を取得した日、育児休業を取得した日は休業日数から控除して計算します。休業以外の事由で休んでいた日は除くというわけです。

1日の所定労働時間が4時間未満なら0.5日の休業と扱い、4時間以上ならば1日の休業として扱います。さらに、まる1日休業した場合だけでなく、短時間休業、例えば8時間勤務から3時間勤務に短縮した場合など、でも休業者支援金・給付金の対象になります。

月33万円を上限にして、休業していた期間が対象ですから、簡単に計算すれば上記のようになります。

対象期間は2020年4月1日から9月末まで(後述しますが、制度の変更により、2021年2月までの期間が給付の対象になっています)ですから、9月末までに無給で自宅待機させられた方は、休業者支援金を申請できます。3月頃から臨時休業し始めた事業所があるでしょうが、3月分を除いて、4月分以降の期間を申請すればいいでしょう。

直近6ヶ月で最も高い給与を利用できるとのことですが、申請時期が7月、8月と後にズレると、年末年始の給与を利用できなくなる可能性があります。制度がどのように確定するのかまだ定かではありませんが、余裕を設けて、直近12ヶ月のデータを使っても良いのではないかと思います。

7月7日に公開された申請書では、休業前の直近6ヶ月間から任意の3ヶ月分(もっとも賃金が高かった期間)を選び、その期間中の賃金を基礎にして休業支援金の額を算定するようになっています。

支払われる予定だった日給の8割(休業前賃金の8割。日額上限は11,000円)に暦日数を掛けたものが給付額になりますから、仮に1日の給与が10,000円だとすると、休業1日に対して8,000円が休業支援金になり、12月1日から31日まで全て休業したとすると、8,000円×31日 = 248,000円が休業支援金の額になります。

実際は1ヶ月に31日も出勤しませんし、週5日契約であっても、実際に出勤する日は月に21日か22日ですから、想像しているよりは給付額は多めになるのではないかと思います。

 

休業証明書は不要に

申請するには、事業主からの休業証明が必要だと事前の情報では伝えられていましたが、休業証明書を用意する必要はありません。

必要な書類は、支給申請書、支給要件確認書、本人を確認する証明書(マイナンバーカードや運転免許証など)、振込先が分かる通帳やキャッシュカードのコピー、休業前と休業中の賃金が分かる給与明細書、これら5点です。

休業者支援金・給付金に必要な申請書類

証明日、労働者名、休業期間、事業主の所在地や名称、などを書く簡易なものになると思いますが。2ヶ月分なり3ヶ月分を、まとめて申請できるようにしてくれるとありがたいところ。例えば、6月末に申請するとして、4月、5月、6月の3ヶ月分の休業者支援金を1回で申請できれば手間を減らせます。

休業支援金・給付金支給申請書を見ると、数カ月分を1回の申請でまとめられるようになっており、4月分から6月分までの休業を1枚の支給申請書に集約できるようになっています。7月以降の休業は1ヶ月分ごとに申請していきます。

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休業者支援金・給付金の支給申請期間一覧(厚生労働省ウェブサイトより)

7月10日より、郵送での受付が開始されており、オンライン申請はまだ準備中とのこと。申請先や問い合わせ先はハローワークではなく、専用の受付センター用意されています。

4月分から6月分の申請期限が9月30日までに締め切りとなっており、時間的に余裕を持って設定されていますので、春時期に休業手当無しで休業した方は、秋口まで申請できますから忘れずに手続きしましょう。

雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金と同様に、この休業者支援金も申請が多くなるのでしょうから、窓口手続きではなく、郵送とオンラインでの申請が主体になるでしょう。ハローワークの窓口での申請受付をするとの記載がありませんので、郵送とオンライン、この2つの方法に限定されるのではないかと思います。

提出する書類は、簡易書留(紛失すると困る大事な書類を普通郵便で送ってはいけない)で受付先に送付するのが最も良いのではないでしょうか。あと、申請書類を郵送する前に、そのコピーを取っておくのを忘れずに。

オンライン申請だと紙の書類はいらないのでしょうが、郵送となると、申請書類を印刷する必要があり、プリンターを持っていない方は、コンビニのマルチコピー機で申請書類を印刷するといいでしょう。

 

 

退職した後でも休業支援金を申請できる

退職してしまうと、それ以降の期間は休業になりませんから、休業支援金の対象から外れます。休業手当が出ず、無給で休ませられた方で、雇用契約が続いているなら、今回の休業支援金の対象になります。

すでに退職してしまった方でも、休業手当無しで休みになっていた期間は、後からでも休業支援金を申請できますから、退職した後でも忘れずに手続きしたいところ。

オンライン申請ができれば最も良いのでしょうが、雇用調整助成金のオンライン申請は不具合で停止中ですし、特別定額給付金のオンライン申請も市町村によってはオンライン申請を停止するところもあって、逆風が吹いています。

パートタイムで働く方で、休業手当無しで自宅待機されられている人がいらっしゃるでしょうし、特に学生の方はぜひ利用すべきです。

バイト先から無給で休むように指示されている学生は、この休業者支援金を確実に申請したいところです。

 

2つ以上の会社(他社で副業)で働く人も申請可能

パートタイムで2つ以上の職場で働いている方で、いずれの事業所でも、休業手当無しで休みになっていたら、 それらを1つにまとめて休業支援金を申請できます。個別に申請するのではなく合算して申請するのがポイントです。

会社員の身分を2つ、3つ、4つと持っている方(パートタイムの仕事を2つ。フルタイム+パートタイムの仕事を組み合わせているなど)で、事業所から休業手当無しで休業させられた場合は対象になります。

事業所ごとに支給申請書を作る必要はなく、複数の事業所をまとめて1つの申請で手続きできるようになっています。バラバラで申請すると支給対象外になりますので、複数の会社で就業されている方は、すべての事業所をまとめて申請書に記載する必要があります。

片方だけ申請してしまうと、他の事業所の方の休業支援金が支給されなくなってしまいますから、2つ以上の事業所で働く方は、「まとめて休業支援金を申請する」と知っておいてください。

 

 

オンラインで新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金を申請できるように

制度が出来上がった当初は郵送申請でしたが、2020年10月9日からオンラインでの申請も可能になっています。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(オンライン申請)

オンラインで休業支援金を申請する方法

申請に必要な書類をスマートフォンのカメラで撮影してアップロードできますから、印刷する書面を減らせますし、封筒や切手が要らないのが良いところです。

支給要件確認書は印刷する必要がありますが、コンビニのマルチコピー機で印刷できます。プリンターがなくても大丈夫ですね。

 

 

(2020年9月25日 追記)休業支援金の対象期間と申請期限が延長

4月分から6月分までの申請は9月30日までに行う必要がありましたが、2020年の12月末まで支援金の対象期間と申請期限が延長されました。

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https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13766.html より引用。

従来は4月から9月までの休業が支援金の対象でしたが、12月まで対象期間が延長されました。この延長によって、2020年10月から12月の間に休業した場合も、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金 を申請できるようになります。

会社やお店から、「仕事が無いから休んでいて」と言われ、休業手当無しで、無給の状態で休ませられている方は、この休業支援金の対象になります。

雇用調整助成金は会社経由で申請する必要があり、休業手当を会社が支払い、それを政府が助成金で補填するものです。そのため、会社に休業手当を支払う資金がなければ利用できない制度です。

一方、休業支援金は、会社に資金がなく、休業手当が出ない場合に、労働者に対して直接に給付するものですから、対象となっているならば、放置せずに申請しましょう。

 

 

(2020年12月15日 追記)新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の対象期間が再延長されています

休業支援金・給付金の対象となる期間は、2020年4月から12月まで延長されていましたが、さらに延長され2021年2月までの期間に、休業手当なしで休業した場合も対象となりました。

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2021年2月まで休業支援金・給付金の対象に。

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000705242.pdf

休業した期間と休業支援金・給付金の申請期限が対応しており、2020年の4月から9月の分は2020年12月31日が期限ですから、忘れないように申請しましょう。

 

休業手当が出ずに、仕事を休みにされていた方は、この休業支援金・給付金を忘れずに申請してください。落ちているお金を拾うだけですから。

 

 

(2021年1月28日 追記)休業支援金・給付金の申請期限がさらに延長されます

雇用調整助成金や休業関連の給付金の申請期限が延長されている状況ですが、休業給付金の申請期限もさらなる延長が決まりました。

2020年の4月から9月までの休業期間(10月以降のものは申請期限が2021年3月末以降になっています)に対する休業給付金の申請期限が2021年の3月末まで延長される予定です。

休業した場合、本来は、会社から休業手当が支給され、その費用を補填するために、会社が雇用調整助成金を申請する、というのが通常の手続きなのです。しかし、何らかの事情で、休業手当が支給されないまま休業した場合、従業員本人への直接の給付として休業給付金が支給されるようになっています。

雇用調整助成金は会社側で手続きするものですが、休業給付金は従業員本人が手続きする必要があるので、この制度そのものを知らない方もいるでしょうし、知っていたとしても、面倒くさがって手続きしない方もいるかもしれませんが、給付金や助成金というのは、自ら動かないと支給されないものですから、この休業給付金も自分から取りに行く人でないと支給されないものです。

 

 

(2021年5月26日 追記)休業支援金の対象期間が2021年6月末までに。その後、9月末まで延長されています

新型コロナウイルス感染症を理由に、お店や会社を休業にして従業員を休ませたときは、使用者は休業手当を支払う必要がありますが、休業手当を支払った後、雇用調整助成金を申請すると、その休業手当に必要となった費用を助成金で補填することができます。

しかし、手元に資金がなくて、休業手当を払えない。その場合は、雇用調整助成金ではなく、休業者支援金を利用することで、会社の資金を使わずに、休業手当に相当するお金を休業者支援金として従業員が受け取ることができます。

雇用調整助成金は、会社を経由して一括で申請するものですから、従業員が直接に申請できないという短所があります。そのため、従業員が直接に支給申請できる休業者支援金が後から作られました。

休業者支援金の対象期間は何度も延長されてきて、2021年5月の時点で、2021年6月末までの休業が支給対象となっています。

支給額の上限が、2021年4月までの休業の場合は、日額11000円でしたけれども、5月以降は原則として日額9900円に変わっています。ただし、緊急事態宣言やまん延防止措置が適用されている地域では、以前と同様の11000円が上限額として適用されます。

休業手当を支払われないまま自宅待機させられている方が、まさにこの休業支援金の対象者です。

会社やお店によっては、休業手当が払われることなく、単に休みのままズルズルと待機させられている方もいらっしゃるでしょうが、そういう方はこの休業支援金の支給申請の手続きをするといいでしょう。

助成金にしろ、支援金や給付金にしろ、自らが動いて手続きしなければ支給されないものです。 何もせず、じっと待っているだけで、向こうから支給されてくるものではなくて、こちら側から調べて、手続きをして、支給されるものですから、ボーっと待っているだけでは何も変わりません。

申請するのにお金がかかるものではなくタダですから、何もせず諦めるのではなく、申請してみては。

2021年4月から9月までの休業期間に対応する新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の申請は、2022年3月31日で申請受付を終了しています。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(厚生労働省)

 

(2022年4月12日 追記)新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の延長が続き、2022年6月までの休業が対象に

2021年10月 - 2022年3月までの休業期間に対応する申請は、2022年6月30日まで。

2022年4月 - 6月までの休業期間に対応する申請は、2022年9月30日まで手続きできます。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金を利用する対象者というと、例えば、出勤日数が週4日から2日に減った、勤務時間が10時から16時だったのが10時から14時までに減った、臨時で半日だけの出勤になった、など。雇入れ時に決めた勤務日数や時間数で働けなくなると、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金を申請できる可能性があるんですね。

事業主には金銭負担はありませんし、労働者にもその負担はありませんから、条件を満たしたならば確実に申請したいものです。

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やるべき仕事と関係ない仕事は、なるべく省力化して、少ない時間で済ませたいものです。給与計算はバックオフィス業務ですから、本来やるべき仕事とは違い、なるべく簡単に、楽に、早く終わらせるのが賢明でしょう。

 

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