労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

半日有給休暇、時間単位有給休暇、導入するほどの利点があるのかどうか。

 

費用と効果

 

 

年次有給休暇を細切れにすれば、労務管理も手間が増える。

年次有給休暇は1日単位で使うもの。そう決めている事業所が大半であろうと思いますが、 中には半日単位で有給休暇が使いたい1時間や2時間といった時間単位で年次有給休暇を使える事業所もあります

細かな単位で年次有給休暇は使えるか自分に労務管理をしているというようなイメージが伝わりますけれども、実際の労務管理での運用は面倒なものとなります

本来畳一日単位で有給休暇を使うだけですからメニューは一つです

しかし半日は時間単位で年次有給休暇が使えるとなるとメニューがさらに二つ追加され合計で三つもできてしまいます

そのそれぞれのメニューに対してどういう条件で運用するのか対象者が誰なのか残日数の完了とするとか細かく決めていく必要があるわけです

そういう面倒な作業をしてでも半日単位有給休暇4時間単位有給休暇を導入したいのかどうかそこまでの需要があるのかどうか制度を作る前に検討が必要です

 

 

半日有給休暇と時間単位有給休暇の問題点。

なぜ、年次有給休暇を1日単位で使わないのか。なぜ、細切れで年次有給休暇を使いたがるのか。

半日や時間単位で細かく使うよりも、丸1日休んでしまったほうが気分が楽でしょう。

午前中だけ半日有給休暇を使うと、午後から仕事に行かなきゃいけないわけですし、午後から半日有給休暇を使うとなると、午前だけ仕事に行く必要があります。

そういう中途半端な使い方をするよりも、1日休んじゃえばいいんじゃないか。こう考えるのですが、少ないながらも、細切れで年次有給休暇を使いたいという需要はあるようです。

半日単位や時間単位で有給休暇を使えるような職場ならば、普段から年次有給休暇を使いやすい環境なのでしょうから、細かくチョロチョロと使うのではなく、1日単位だけでなく3日や4日と、まとめて使ってしまうほうが、休暇として本来の機能を発揮できるのでは。

1日単位、半日単位、時間単位、このように3つもメニューを作ってしまうと、それぞれのメニューごとに条件を設定して、運用をしていかねばなりません。

仮に、年次有給休暇を半日単位で使えるとして、付与された年次有給休暇の何日分を半日有給休暇として使えるようにするのか。

付与された日数の10日分までなのか、それとも5日分までか。さらには、付与された日数のすべてを半日単位で使っても構わないのか。

付与された日数を基準にするのではなく、残日数が6日以上ある人を対象に半日単位で有給休暇を使える、なんていう条件設定もありそうです。付与日数ではなく、残日数を基準にしている点が先程と違うところ。

さらに、半日の定義も問題となります。

どこからどこまでが半日に相当するのか。午前と午後に分けるとしたら、午前というのは何時から何時までか。午後は何時から何時までなのか。

これも事業所ごとや個人ごとに定義や考え方が変わってくるわけです。

一例として、午前は3時間相当で、午後は4時間半に相当する、つまり午前と午後の時間配分が違っている事業所もあります。単純に、午前4時間、午後は4時間と分けられるとは限りません。

そういう事業所で半日有給休暇を運用するとなれば問題が発生しますよね。同じ半日有給休暇であるならば、より時間が長い午後の方に取ったほうが、従業員としては得だと判断してしまいます。休みの時間が長くなるわけですから。

午前と午後のアンバランスな状況に対処するために、半日単位有給休暇と時間単位有給休暇を組み合わせて対処するなどという複雑な方法を用いる事業所まであります。

上記の例を用いると、半日を労働時間3時間相当と扱い、午後は1時間30分足りないので、そこに時間単位有給休暇を差し込んで切り抜けようというものです。

このように面倒な運用をしてまで年次有給休暇を切り刻みたいのかどうか。 制度を導入する前に考えないといけないでしょう。

1日の所定労働時間は8時間。世間的には、そう思われていますけれども、職場によっては1日7時間30分とか7時間45分後など、所定労働時間が8時間になっていない職場もあります。

そういう職場でどうやって半日単位の有給休暇を制度として運用していくのか。

さらには、パートタイマーの人だと、日によって勤務時間が違いますから、月曜日は4時間勤務だったけれども木曜日は6時間勤務と日によって変化します。こういう人が半日単位で有給休暇を使うとなれば、どう対処するのか。

勤務時間が長い日を狙って半日単位有給休暇を取ってもいいのでしょうか。従業員はそういう合理的な判断をするはずです。

かといって、フルタイムで勤務する人しか半日有給休暇を使えませんとなると、パートタイムで働く人たちからすると不満に感じるのでは。

時間単位の有給休暇でも、法律上は、付与された日数の5日分が時間単位で使えると決められていますけれども、労働者に有利になるよう、これを7日分にする事業所もあれば、すべての年次有給休暇を時間単位で使って構わないという事業所もありそうです。

時間単位といっても、1時間単位で使えるのか、2時間単位で使うのか。さらには、30分単位での使用も認めるのか。

考え出すと切りが無いほど問題点があります。

そういう問題点をクリアしてでも、年次有給休暇を細切れで使いたいのかどうか、運用していきたいのかどうか。これは制度を導入する前に考えないといけない点です。

1時間の年次有給休暇なんて、もはや休暇とは呼べず、ただの休憩と同じでしょう。

 

 

用事で使うものではなく、気分転換で使うもの。

事業所によっては、半日単位、時間単位の年次有給休暇を用意せず、従来通り1日単位で使うだけというところもあります。

制度を導入する義務はなく、事業所ごとの任意です。

休暇ですから、本来は用事のために使うような休暇ではなくて、気分をリフレッシュするために使うもの。

病気だとか家の用事だとか、そういう必要に迫られて取るような休暇ではなくて、特に理由はないけど、休暇を取って休もうか、というぐらいの感覚で使われるのが本来の年次有給休暇です。

半日休むぐらいならば1日休んでしまえばいいのです。2時間だけ休暇を取るぐらいならば1日休んでしまえばいい。

数時間で済む用事ならば、勤務時間を短縮して対応できますから、年次有給休暇はなるべくまとめて取るようにしたほうが残日数が早く減りますし(年次有給休暇の取得義務化にも対応しやすい)、休暇を取った本人も満足できるでしょう。

 

 

年次有給休暇の計画付与以外にも選択肢はある。

有給休暇は1日単位で使うのが一般的ですが、会社によっては、半日単位や時間単位で休暇を利用できるところもあります。上ではさんざん否定的に書いてきましたけれども、現実に導入している会社はあります。

より細かい単位で休暇を使えるようになると、隙間時間を作り出したり、ちょっとした私用や家事の時間を作ることもできる。そのため、細切れで休暇を利用できる選択肢を用意しているのかもしれません。

ただ、半日や時間単位で休暇を利用出来れば、便利そうですが、日数の管理がしにくくなります。半日だと0.5日、時間単位だと0.1とか0.25のような数字も出てきて、残日数を計算する手間が増えるはず。

年次有給休暇を取っている本人は便利で快適なのでしょうが、一方で、その残日数を管理している人もいるわけですから、その人達からすると悩みのタネになります。

もちろん、半日単位の休暇や時間単位の休暇への需要もあるでしょうから、そのような利用法もあっていいと思います。ただ、細切れで休暇を使ってしまっては、もはや休暇ではなく休憩のようなものに変わってしまいかねない。有給休暇ならぬ「有給休憩」と表現すべきでしょうか。

時間単位ならば、2時間だけ有給休暇を取得することもできるのでしょうが、これを有給休暇と表現するのはちょっと変な感じ。

もし、2時間の時間が必要ならば、出勤時間をずらすとか、休憩時間を当日だけ延ばしてもらうとか、帰宅時間を早めて早退するとか。代替的な手段はあります。

ただ、上記のような方法で対応すると、給与が控除されたり、人事評価が下がるかもしれない。確かに、そういう会社もあるのでしょう。

しかし、2時間だけ休暇というのは、やはり変だと感じるのではないでしょうか。休暇というのは、休みであって、バカンスであって、ホリデーやバケーションです。2時間だけのバカンスはバカンスじゃないし、2時間だけのバケーションでは短すぎる。

休むために使うのではなく、家事、育児、免許証の更新のために半日休暇や時間休暇を使うならば、1日まるごと休んでもいいんじゃないでしょうか。

半日や時間単位で有給休暇を使えるような職場ならば、労務管理もキチンとしていて、代替人員も豊富なのではないかと思います。ならば、あえて時間単位で休暇を取得して、仕事と休暇を混ぜてスケジュールに入れなくても良いように思えます。

 

なるべく休暇をまとまって使うようにして、細切れで使わないようにするにはどうしたらいいか。

半日単位や時間単位、さらに1日単位という小さな単位で休暇を使うのではなく、4日まとめて、7日まとめてというように、ドバっと休暇を消化するにはどうしたらいいか。

休暇の利用を促進するには、計画付与が一般的な手段です。これは、よく提案される方法ですよね。

しかし、計画付与もうまく機能しないときもあるのではないでしょうか。計画休暇だけれども、思ったように休暇を消化していない。計画休暇の部分だけは消化できていても、自由利用の休暇は残ったままとか。計画消化するための年次有給休暇が足りない人も出てきますからね。

計画付与以外にも、何か休暇の利用を促進する手段があれば良いですよね。


では、休暇の計画付与以外にどんな手段があるか。

 

 

連続した年次有給休暇を取りたいと思わせる仕組み。

まとめて休暇を使うには、それなりの仕組みと動機が必要です。

そこで提案するのが、割増休暇の仕組みです。

例えば、「3日以上連続した有給休暇を取得した場合、取得した休暇の1/2を割増有給休暇として追加する。なお、休暇数に端数が生じたときは切り捨てる」というもの。

具体例を示すと、3日連続の休暇を取得すると、1.5日が追加される。4.5日なので、端数は切り捨てて、休暇数は4日になります。追加された休暇は通常の有給休暇とは別に会社が用意するため、本人が消化する年次有給休暇の日数は3日分です。

この仕組の特徴は、「なるべくまとめて休暇を取ったほうがトクだ」と思わせる点にあります。バラバラで休暇を使っても休暇は増えませんが、まとめてドバっと取得すると、休暇が増える。そのため、連続した休暇を取得しようという動機が生まれるのですね。

さらに、3日連続ではなく、5日以上連続を条件にすれば、さらに消化は進みます。また、割増のハードルを上げることも同時にできるので、会社にとっても都合がいい。年次有給休暇の取得が義務化されていますから、この点でも有利です。

5日以上連続が条件ならば、もし6日連続で有給休暇を取得したとしたら、その1/2がプラスされるので、9日の休暇になる。内訳は、6日分は手持ちの有給休暇から利用して、残りの3日は会社が特別に年次有給休暇を付加します。

単純に取得するよりもお得感がある。細切れよりも、まとめて取得しようという動機が生まれる。

上記のような割増休暇の仕組みは、有給休暇の取得を促進する施策の例として良いのではないかと考えました。

他には、3日以上の連続した年次有給休暇を取得した場合、1日あたりの賃金を2,000円加算する、というのも一案です。このルールなら、3日連続の年次有給休暇を取ると、給与が計6,000円上乗せされます。

日数を増やすのではなく、年次有給休暇を取得した日の賃金を上乗せするというものです。

労務管理では、人の気持ちをどう取り扱うかがポイントになりますから、上記のように、「まとめて休暇を使おう。その方がお得だ」と相手に思わせるように仕掛けを作るのも一考する余地があると思います。

 

 

 
山口正博 社会保険労務士事務所
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