あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます

ワクチン休暇を作る必要はある?

メールマガジン 本では読めない労務管理の"ミソ"

山口社会保険労務士事務所
(2021/6/24号 no.330)

ワクチン休暇



ワクチン休暇を作る必要はある?


新型コロナウイルス感染症のワクチンを接種するために、ワクチン休暇を作る。そういう会社も出てきている中で、「ウチの会社でもワクチン休暇を作らなきゃいけないのか」と考えている方もいらっしゃるはず。

従業員がワクチンを接種できるよう配慮する。そのように事業主に求められていますけれども、ワクチン休暇制度だけがその方法なのかどうか。それにも対処法はないのかどうか。

ワクチン接種といっても、それに要する時間はわずかですし、必要な接種回数も2回です。仮に1回あたり30分必要だと仮定しても、2回で1時間。そのためにわざわざ休暇制度を作らなければいけないのか、というのが悩みどころです。

従業員数が100人、200人、さらには数千人単位、それぐらいの規模で従業員がいるならば、休暇制度を作る選択肢もあるのでしょうけれども(職域接種ならワクチン休暇がなくても対応できますね)、従業員数が10人前後とか30人程度というような小規模な会社で、わざわざ休暇制度を作ってワクチンを接種しに行ってもらうのは、現実的な対応方法なのかというと、ちょっとやりすぎな感じですよね。

ワクチン休暇以外にも、ワクチン接種日と出勤日が重なったら、当日は休みにして、後日、振替で出勤日を設ける。

時間単位の年次有給休暇や半日有給休暇を取ってもらう。

出勤時間をずらすのもいいですね。午前中にワクチン接種へ行く予定ならば、午後から出勤して、退勤時間を通常よりも後ろにずらす。

このようにワクチン休暇以外にも対応方法はあります。

新型コロナウイルスワクチン接種の特別休暇をどう設計するか

 

週3日出勤や週4日出勤で働いているパートタイマーの方だったら、仮に出勤日とワクチン接種日が重なってしまったなら、その日は休日にして、他の休みの日を出勤日に変えて対応できるでしょう。

振替休日でワクチン接種の機会を作り出す方法ですね。

振替休日だったら休暇制度は要りませんし、出勤日数や出勤時間が減りませんから、休業にもならず、雇用契約で約束した通りの出勤日数や出勤時間を確保できます。

休日と出勤日を振り替えるなら、勤務シフト表でスケジュールを調整するだけですし、労務管理上の対応としては簡単です。

ワクチン休暇制度だと、ワクチンを接種しに行く人は休暇を取れて、接種しに行かない人は休暇を取れない。このように待遇が変わってしまうので、接種日は休みにして、他の日に振替で出勤する形にすれば、休みの日は増えませんし、減りもしませんから、ワクチンを受けに行く人、行かない人で待遇は変わりません。

学生を含むパートタイマーの方に対しては、振替休日でワクチン接種に行ってもらうのがよいでしょう。

一方で、週5日で出勤して、休日は週に2日。このようにフルタイムで働いている方だと、振替休日では対応できない場合もあります。

例えば、月曜日から金曜日までの平日が出勤日で、土曜日と日曜日は休みの日になっている。

こういう形で完全に出勤日と休日を固定されていると、仮に水曜日がワクチン接種日となったら、振替休日にするとしても、代わりに出勤できる日はありません。

土曜日と日曜日は固定で休みになってしまっているわけですから、土日に振替で出勤日にすることはできないでしょう。

そのような職場でしたら、ワクチン休暇を作る必要があるでしょう、もしくは、自分が持っている年次有給休暇を使って接種に行くか、選択できるようにしてみるのはどうでしょうか。

年次有給休暇を残しておきたい方は、ワクチン休暇を使うでしょうし、年次有給休暇がそれなりの日数で残っている方だったら、ワクチン休暇ではなく年休を使って接種に行くのではないでしょうか。ワクチン休暇を取った日が無給になるなら、年休を使う方もいるでしょう。

サービス業だと、休みの日は固定されていないところもあるでしょうから、仮にフルタイムで週5日出勤だったとしても、休みの日を他の曜日に変えることができるのでは。ならば、休暇ではなく、先ほどのように振替休日でワクチン接種に行くことができますね。

半日有給休暇や時間単位の有給休暇を使うのも1つの方法でしょうけれども、普段は1日単位でしか年次有給休暇を使えない職場なのに、ワクチン接種のために半日有給休暇や時間単位の年次有給休暇を新たに作り出すのは手間ですし、そこまでするほどのことでもないでしょう。

出勤時間をずらせる職場だったら、働く時間をずらすことで、接種に行くこともできます。午前中に接種へ行って、午後から出勤する。普段だと夕方で仕事が終わるけれども、午後から出勤したので、その日は夜まで仕事をする。勤務時間をずらすことで摂取の機会を作り出すこともできます。

ワクチン休暇を作らなければいけないというものではなく、接種する機会を作り出せばいいのですから、振替休日を利用したり、無給のワクチン休暇と年次有給休暇を選択できるようにしてみたり、勤務時間をずらしてみたり、それぞれの職場で馴染みそうな方法を用いればいいでしょう。

規模が大きい会社なら休暇制度を作って対応をするけども、小規模の会社やお店でも、それと同じ対応をするものではなくて、10社あれば10社とも違う労務管理がされているのが普通です。

ですから、他の会社でワクチン休暇を設けましたと聞いたとしても、自分のところの会社では休暇という形で対応するのがいいのか、振替休日を使うのが良いのか、出勤時間をずらして対応するのがいいのか、職場の実情に合った工夫をしていくのが労務管理の楽しいところです。

新型コロナウイルスワクチン接種の特別休暇をどう設計するか

 

 

 

こちらもオススメです >>

労務管理のツボをギュッと押したければコチラ

半日有給休暇、時間単位有給休暇、導入するほどの利点があるのかどうか。

時効の年次有給休暇を活用、ストック休暇という発想

 

 

本では読めない労務管理のミソ を登録する

 

あやめ社労士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
i@growthwk.com
お問い合わせはこちらから

自動音声メッセージによるお問い合わせもできます。
電話(050-7114-7306)をかけると音声メッセージを録音するように切り替わります。
お問い合わせの内容を電話でお伝えください。
内容を確認させていただき折り返しご連絡させていただきます。

© あやめ社労士事務所
登録番号:T3810687585061
本ウェブサイトは、アフィリエイトによるプロモーション、広告を掲載しております。