2019年5月、日本と中国の間で社会保障協定が発効するための外交文書が交換され、9月1日から日・中社会保障協定の効力が生じるようになります。
2019年6月時点で19カ国との社会保障協定が発効しており、対象国との間では、年金制度に二重加入しないようになっています。
社会保障協定とは、自国と相手国、両方の年金制度への加入基準を満たすと、両方の国で年金に加入しないといけないところ、双方で調整し片方の国の年金のみ加入するようにするものです。
二重に加入しても、二重に年金を受給できるものではなく、保険料の掛け捨てになってしまいます。そこで、国家間で社会保障協定を締結し、年金の保険料が掛け捨てにならないようにしているわけです。
加入しただけ年金が支給されるというものではなく、日本では10年以上にわたって年金に加入していないと受給条件を満たせません。
仮に、日本で年金に4年加入し、その後はずっと海外で年金制度に加入していたとすれば、10年以上の受給資格期間を満たせないため、日本で加入していた4年間の保険料が無駄になってしまいます。
社会保障協定を締結していれば、日本で加入していた4年間も海外の年金制度で通算され、掛け捨てを回避できます。
それゆえ、保険料と加入期間が無駄にならないように、国家間で社会保障協定を締結しているというわけです。
今回の社会保障協定は、日本と中国の間で締結されたものですが、お互いに人の往来が多いですから、利益が多い協定になると思います。
中国経済からの恩恵を最も受けているのが日本と言っても過言ではないぐらいの関係ですし、過去に「アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪をひく」と言われたことがありましたが、今や「中国がくしゃみをすれば日本が風邪をひく」と言ってもいいぐらいです。
民間企業関係で中国に在留している邦人が約7万人いるとのことですから、他の協定国と比べても協定の恩恵を受ける対象者は多いでしょう。
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