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年金の受給資格期間 年金は10年加入したらもう大丈夫?

国民年金

 

 

年金に10年加入したら、さらに国民年金保険料を払っても損?

2017年の8月から年金受給資格期間短縮法が施行され、従来よりも短い期間で年金の受給資格を得られるようになりました。

7月以前は25年以上、年金に加入している必要がありましたが、8月からは10年以上で年金を受給できるようになります。

ちなみに、加入期間の考え方として、例えば、国民年金に4年加入し、その後、厚生年金に6年加入すれば、この時点で年金の加入期間は10年に達します。厚生年金に加入していると、国民年金にも同時に加入しているものとして扱われますから、厚生年金での加入期間も10年に含まれます。


また、大学生になると学生納付特例制度(学生の間は年金保険料の納付を猶予できる制度)を利用して国民年金に加入している方もいらっしゃるでしょうが、この特例制度の期間も10年に含まれます。

例えば、大学の4年間、学生納付特例制度を適用していたとすれば、卒業時点ですでに4年分の加入期間を得ている状態になります。在学中、未納のまま放置する同級生もいましたけれども、未納の期間は10年に含まれません。それゆえ、学生の方は、入学した後に学生納付特例制度を適用する手続きをしておく人が多いのですね。

もちろん、納付特例制度を利用せず、普通に年金保険料を支払ってもOKです。この場合は、加入期間だけでなく、年金額にも反映されていきますから、後から保険料を納付する必要がなくなります。

 

25年というと300ヶ月。10年ならば120ヶ月ですから、掛け捨てになる可能性が低くなり、加入者にとっては良い制度変更です。1ヶ月でも足りなければ受給できないのが年金ですので、極端な例だと、299ヶ月加入していたとしても、1ヶ月足りなければ年金は受け取れません。



法改正で、年金を受け取るために必要な加入期間は10年になり、120ヶ月、保険料を納付すればとりあえずは年金が支給されます。

ただし、きっかり120ヶ月だけしか加入していないと、年金は少ないですので、この点は注意が必要です。

国民年金の老齢基礎年金(国民年金と基礎年金は、それぞれ名称が違いますが同じものです)を受け取る場合、年金保険料を120ヶ月払って、受け取る年金は年間で約195,000円。月あたりだと16,250円ですので、これは少ないですよね。1ヶ月分で16,250円だと、せいぜい食費ぐらいにしかなりません。

※満額だと年間780,000円(国民年金に480ヶ月加入して保険料を払った場合)と考え、120ヶ月だけ加入したとして換算すると年間で195,000円になります。

これが年金の最低ラインです。

月額16,250円だと、生活費としては寂しすぎますので、さらに保険料の納付月数を増やして年金を増やす方が良いです。

国民年金の半分は税金ですから、仮に毎月65,000円の年金を受け取るとすれば、その半分の32,500円は税金がキャッシュバックされたものと考えられます。過去に支払った税金が毎月3万円ほど還付されると思えば、国民年金は悪くない仕組みだと思えてきますよね。

別の言い方をすれば、国民年金の保険料を支払わないということは、毎月もらえる給付金を放棄しているようなものです。

ただ、半分も税金を投入しているということは、保険料で単独採算を実現できていないのだから「年金制度としては大赤字なんじゃないの?」という指摘もできます。この点に対する認識も大事なところですね。



また、国民年金は在職老齢年金(働くと年金が減る仕組み)で調整されませんので、年金を受け取りながら働いても減ることはありません。ここも良いところです。

働いて減るのは厚生年金


とはいえ、国民年金だけだと満額でも月額65,000円です。もし、これで足りないと考えているならば、確定拠出年金(今はイデコ iDeCoと呼びます)で上乗せしていけばいいでしょう。さらにNISAの枠も使って資金を貯めていけば、老後の生活に必要な資金は集まると思います。


「年金って、25年入らないと貰えないんでしょ?」とまだ思っている人もいるはず。必要な加入期間が10年に短縮されたと知らない人もいて、「私は21年しか年金に入っていなかったから年金を貰えないのよ」、「オレは14年間ぐらいは保険料を払ってきたけど、年金は貰えていないね」という方もいらっしゃるでしょう。そういう方も、2017年8月以降は年金を受け取れるようになりますから、今からでも手続きして年金を受け取れます。

国民年金のみ加入している方ならば、10年(120ヶ月)で保険料の納付を止めることも可能ですが(ただし、保険料を納付するよう督促が来ます)、会社経由で社会保険に加入している方は、社会保険料を払うかどうかをコントロールできませんので、10年でストップというわけにはいきません。

国民年金の半分は国庫から給付されていますから、年金の保険料を払って損をするというものではなく、あえて10年で止めなくてもいいのではないかと。

また、加入期間が10年に足りなくても、算入できる期間が他にある可能性もあります。いわゆる「カラ期間」というものですが、年金制度はコロコロと変わってきたので、色々と特例的な扱いが残っていて、そういう措置を利用すると、加入期間が延びて10年に達する方もいるはずです。

カラ期間とは、年金の保険料は払っていない期間だけれども、年金に加入していた期間として扱われるものです。この期間も10年に含められますから、過去の履歴を調べると、そういう期間を発見できる可能性もあります。年金事務所で相談して調べていけば、カラ期間関連の対応はしてくれますので、気になる方は年金事務所に相談の予約を入れて行ってみてはいかがでしょうか。

 

また、60歳以降の方だと、国民年金に任意で加入できる制度があり、任意加入で加入期間を延ばし、10年以上という条件を満たすことができる方もいるでしょう。


さらに、過去5年分まで納付可能な後納制度も実施中です。平成30年の9月までなので、ご利用はお早めに。

加入期間が足りない方は、この後納制度を利用して10年の条件を満たすことも可能です。

ちなみに、以前は過去10年分まで納付できる後納制度がありましたが、あちらは平成27年9月で受付が終了しています。

 

 


長い間、年金に加入していると、

「もう25年以上、年金に加入してきたから、
もう保険料を払わなくてもいいだろう」

「年金を受け取れるんだから、
これ以上保険料を払っても損だ」

と思う方もいらっしゃるはず。

 

 

年金を受け取るために必要な加入期間(受給資格期間)は10年

「保険料を25年払えば年金はもらえる」
この考えは正しいです。

追加で保険料を払わなくても、
年金を受け取ることは可能です。

 

年金には大きく3種類あって、

老齢年金
障害年金
遺族年金

この3つが国民年金や厚生年金
では主なものです。


一般的な意味での年金というと、
それは「老齢年金」を意味します。

国民年金だと
老齢基礎年金

厚生年金ならば
老齢厚生年金

 

制度が変わるまでは、

「25年以上加入していないと
年金を受け取れない」

仕組みでしたが、

今では10年以上加入していれば、
受給資格期間を満たせます。

 

 

年金を受け取るには、25年以上加入するのが条件だった

2013年度末までは、年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)を受け取るには、年金に25年間加入していなければいけませんでした。23年11ヶ月とか24年3ヶ月の加入期間だと、せっかく保険料を支払ってきても年金を受け取れませんでした。

25年も年金に加入するとなると、随分と気分がヘコみますよね。25年ですからね。ましてや加入期間が数ヶ月足りないだけで年金を受け取れないとなったら、何のために保険料を払ってきたのか、と思ってしまいます。

2014年の4月から制度が変わることで、25年加入しなければいけない状態から10年加入すればOKという条件に変わります。10年だったら、「まぁ、大丈夫だろう」と思えますよね。

1ヶ月の保険料を15,000円と仮定すると、1年で180,000円、10年で1,800,000円ですから、随分と気分がラクです。

もし、25年加入しなければいけないとすると、25年×180,000円で、4,500,000円の費用負担になります。

両者を比較すると、随分と違いがありますよね。


加入条件が10年になり、今後、さらに保険料を追納できる期間も2年から10年に変更されれば、無年金になる可能性がグッと下がりますので、安心な制度になります。2014年4月の段階では、追納の期間は2年のままですが、いずれは変わりそうな気がします。

学生納付特例制度や若年者納付猶予制度、通常タイプの納付猶予制度を利用した場合は、猶予された期間は保険料を納付しませんが(あとから追納できる)、年金には加入していた期間として扱われます。

例えば、学生納付特例制度を2年間利用したとすると、年金を受け取るために必要な期間である10年のうち、2年は加入できているため、必要な加入期間は残り8年です。

国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度 

 

 

30歳で年金の受給資格を満たせる

20歳から国民年金に入り、
そこから10年ですから、

30歳の時点で、
すでに年金を受給する条件を満たせます。


ちなみに、
16歳や18歳から仕事を始めて、
社会保険に加入していれば、
26歳なり28歳で受給資格期間を満たせます。

ただし、
年金を受け取る条件を満たせるとしても、
受け取る年金額は多くないはずです。

 

仮に、
10年間、免除や猶予制度を使わず、
国民年金の保険料を払ってきたとしても、

実際には受給できませんけれども、
30歳の時点で老齢基礎年金を受け取ったとすれば、
年間で約19万円。

月額では、1.58万円です。

 

 

10年加入したら、もう年金の保険料を払わない

年金に10年だけ加入し、
保険料を払ったとしても、

受け取れる年金額は月額で僅か1.58万円です。

年金を受給できるけれども、
年金額は微々たるものになるんですね。


もし、
25年まで加入していて、
25年、300ヶ月間、
保険料を払ってきたとすれば、

国民年金の受給額は、
年間で約49万円。

月額に換算すると、約4万円。


月額4万円で良いならば、
25年を経過した時点で、
国民年金の保険料を払うのをやめるのもアリです。

 

 

国民年金の半分は税金 基礎年金の国庫負担割合は1/2

国民年金の給付には税金が投入されており、
給付の半分が税金です。

受給額が月額4万円ならば、
その半分である2万円が税金で、
残りの2万円は加入者が支払った保険料

と考えられます。

国民年金で税金がキャッシュバックされている
ようなイメージですね。


40年加入すれば、
受給額は年間で約78万円。

月額6.5万円ですから、
保険料を払って年金額を増やすほど
キャッシュバックされる税金も増えます。

 

 

年金の受給資格期間10年を達成するのは容易

年金に10年加入するとなると、
長い時間がかかるように思えますが、

22歳まで学生納付特例制度を利用し、
22歳から30歳まで若年者納付猶予制度を利用すると、
10年の条件を満たせます。

 

ただし、
学生納付特例制度や
若年者納付猶予制度で
計上される加入期間は

年金に加入していた期間としてカウントされるものの、
年金額はゼロです。

そのため、

加入期間は10年あるけれども、
その時点では年金額は0円となります。


受給資格期間を満たすだけならば、
納付特例や納付猶予、免除で足ります。

ただ、
保険料を払わない限り年金額は増えませんので、
この点は注意してください。

 

 

年金以外の金融資産もある

25年以上、年金に加入したため、
保険料の支払いをストップしても
年金は受け取れますが、

年金の受給額は微々たるものですから、
他に金融資産が必要です。

 

年金は、つまるところ金融資産です。

公的年金だけでなく、
他の金融資産で資産を作っておいても、
同じというわけです。

  • 確定拠出年金(通称「iDeCo(イデコ)」と呼ばれる)
  • NISA
  • つみたてNISA

これらのように、
税制で優遇を受けられる資産がありますし、

さらに別の金融資産を作ってもいいでしょう。

  • 不動産
  • 株式
  • 為替
  • ETF
  • 商品先物
  • 仮想通貨

金融資産を作るのが年金の目的ならば、
他の手段で金融資産を構築していっても構わないのです。

「年金じゃなきゃダメ」
というわけではなく、

「年金の保険料は25年払えば十分」
という判断をして、

不動産や株式を買っていく。


どの金融資産を買うか。

これは好きに選んで頂いて結構です。

 

ただ、
会社経由で社会保険に加入していると
強制的に厚生年金に加入しますから、
この場合は自分で選択できません。

10年入ったから、もう年金の保険料を払わない。
年金に25年入ったから、もう脱退する。

会社で社会保険に入っていると、
そういう選択ができないんですね。

 
しかし、

国民年金のみ加入している人ならば、
保険料を払うかどうかを自分で選べます。

この点には賛否両論ありますけれども、
自分で選択する余地があるなら、
他の選択肢を選んでも良いのではないかと思います。


なお、
保険料の未納期間が発生すると、
障害年金や遺族年金を受け取る条件を満たせない場合があります。

 
最後に付け加えると、

国民年金は保険料が定額ですし、
支払った保険料を回収しやすい制度ですから、

払えるだけ国民年金の保険料を払うほうが
お得です。

10年や25年の時点で保険料の支払いをやめずに、
払えるだけ払っておく方が良いでしょう。

 

 

老齢年金だけなら受給資格期間は10年で足りるが、障害年金と遺族年金は要件が異なる

障害年金や遺族年金を考慮しなければ、年金に10年入って、受給資格期間を満たせば、受給額は少ないものの受給自体は可能です。

しかし、障害年金と遺族年金は受給要件が異なりますので、年金に10年入っているだけでは受給できないこともあります。受給資格期間である10年の加入期間をクリアした後、年金保険料を未納にしていると障害年金や遺族年金を受給できず、払った年金保険料を回収できないというケースも想定できます。

遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給する要件の1つとして、受給資格期間で受給する場合は、25年以上の期間が必要になり、10年では足りません。老齢年金だと受給資格期間は10年でいいのですが、遺族年金を受給するとなると受給資格期間は25年以上必要になります。

年金は老齢年金だけではなく、障害や死亡もカバーする保険の機能も組み込まれており、単純に10年加入すれば大丈夫という判断はできないのですね。障害年金や遺族年金を受け取る可能性を考慮すれば、受給資格期間を満たすだけでは足りません。

 

 

 

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