メールマガジン 本では読めない労務管理の"ミソ"
山口社会保険労務士事務所
(2019/4/5号 no.319)
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保険証が手元になければ病院代は全額自己負担になる?
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保険証が手元に無いとき、病院代は10割負担になってしまうのか、それとも何らかの対処法があるのか。今回はこの点についてお伝えします。
3月から4月は、退職する人や入社する人が多くなり、人の移動が増える時期です。それに伴い、健康保険から脱退することもあれば、新たに加入することもあります。
健康保険に加入すると、保険証が会社経由で渡されるのですけれども、加入してすぐに保険証が手に入るものではなくて、少し時間がかかります。
入社時点で社会保険に加入する条件を満たしていて、健康保険と厚生年金に入るとします。この場合、入社した時点ですぐに健康保険を使えるようになるはずですが、手元に健康保険証が届くには1週間ぐらいかかるんですね。
では、健康保険証が届くまでの間に病院に行ったら、病院代は全部自己負担になるのか。
手元に保険証がありませんからね。
「そりゃあ、保険証が無いんだから、10割負担になっちゃうでしょ」と思うところです。
ですが、入社時点で社会保険に加入する条件を満たしていて、事業所経由で被保険者資格取得届を出しているならば、入社日から健康保険には加入できています。
ならば、入社日から健康保険は使えるようになっているんですね。保険証はまだ届いていないですけれども。
「保険証が無いのに、どうやって健康保険を使えるの?」と疑問に思うところですが、この場合は『療養費』という給付制度を利用します。
保険証があれば、それを病院の窓口に提示して、3割負担で医療サービスを利用できますが、保険証が無い場合は、先に10割負担で支払っておき、後から療養費を健康保険協会に申請します。
先に立て替え払いして、後から7割分を金融機関の口座に振り込んでもらう。これで実質的に3割負担で病院を利用できるというわけです。
健康保険の療養費支給申請書にはいくつか種類がありますが、保険証が手元に無い場合に利用するのは立替払の申請書です。
「保険証を持っていないから全額自己負担になっちゃう」と悩む方が毎年3月や4月にいらっしゃいますが、後から療養費を申請すれば健康保険を利用できると知っていれば安心ですよね。
退職する場合も入社時と同様で、後から任意継続で健康保険に加入する方や市町村の国民健康保険に加入する方でも、療養費を申請すれば保険証を持っていない期間でも健康保険を適用できます。
入社直後や退職直後で健康保険証が手元に無い期間をどうするか。