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健康保険証を廃止してマイナンバーカードに移行 今の保険証は使えなくなるの?

会社に入社して、社会保険への加入手続きを済ませると、後日、健康保険証を会社経由で受け取ります。

社会保険には、「被保険者資格取得」という手続きがあって、この手続きをすると、健康保険と厚生年金に加入します。ちなみに、健康保険と厚生年金はセットで加入しますから、健康保険だけ入って厚生年金には入らないという選択(逆の場合も同様)はできないようになっています。

年金に加入せず、健康保険にだけ入りたい。

資格取得届を出して(社会保険に入る手続きのこと)、その後に健康保険証が発行され、保険証は会社に届くので、会社経由で本人に渡す。本人が保険証を手に入れるにはこのような流れになっています。

この手続きですが、まず1日では終わりません。資格喪失届を出して、当日に保険証を発行してもらい、本人に渡すまで。これを1日で完結するのはなかなか大変(というよりもおそらく不可能)。

すぐに保険証が手元に来ないとなると、数日ですが、その間に医療機関を利用した場合は10割負担で建て替えておくことになります。

数日の間ですから、その時期に医療機関に行くとは限りませんけれども、保険証が手元にないと何だか不安に感じる人もいるでしょう。

社会保険に加入する手続きをして、保険証を手に入れるまでにタイムラグが生じる。現状の保険証カードを使っていると、どうしてもこの点は避けられないのです。

しかし、マイナンバーカードならば、資格取得届を出して(これも電子申請で可能)、個人データを書き換える(協会けんぽや組合健康保険に加入したとのデータを記録する)と、手続きが終わります。会社側からデータを送信して、受付側でチェックした後、本人の個人データを更新すると手続きは終わりです。これならば、1日どころか、手続きから保険証が使えるようになるまで1時間で完結してもおかしくないほど早く終わるでしょう。

保険証になるマイナンバーカードは本人が常に持っていますから、新たにカードを発行しませんし、会社経由で本人に渡す必要もなくなります。会社に保険証が届いていても、事務を担当するオネーサンが休みで、「明日に渡すわ」と言われて、保険証が手元に来るのが遅れる。

健康保険に加入していれば、健康保険そのものは利用できますから、必ずしも保険証が手元にないと困るというものでもないです。けれども、保険証を持たないまま病院に行くことに抵抗感がある方もいるはずで、「全額負担しても後から保険の分は返ってきます」と言われても、なかなか抵抗感なり不安感は払拭しにくいところなのです。

保険証の発行、返却の手間がなくなる

2018年度に、マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにシステムを構築するとのこと。今年が2017年で、2018年度となると来年の4月以降となるようです。

今が2017年の1月ですから、随分と先の話しになりそうです。

医療機関に設置したカードリーダーにマイナンバーカードをかざすと、受付を済ませ、そのまま診察なり薬を受け取れるようです。また、保険証を提示しないで済むので、退職した場合も会社に保険証を返還する手間が不要になり、被保険者資格を保持しているか否かもマイナンバーカードでチェックできるようになります。

今現在は保険証カードが利用されており、退職時には会社経由で返還するのですが、すぐに返還せず、失効した健康保険証を医療機関で利用してしまうケースがあります。その場合は、3割負担になるものの、後から残りの7割分を返還しなければならず、支払いは全額負担となります。

被保険者資格を取得した後、保険証カードが届くまでの時間、そして実際に本人が保険証を受取るまでの時間、さらに、退職時に保険証カードを返却する手間、これらを省けるので、利便性は向上するでしょう。


健康保険の被保険者資格を取得すれば、当日からマイナンバーカードを保険証として使えるので、保険証を受け取るまでのタイムラグがありません。被保険者資格の取得届も電子化されていますから、電子申請で被保険者資格を取得して受付が完了すれば、手元のマイナンバーカードが保険証として使えるようになるわけです。

また、退職時も、被保険者資格を喪失する手続きが完了すれば、その時点で保険証としての機能がなくなりますから、資格喪失後に保険証を使ってしまうことがほぼなくなります。誤って利用してしまい、保険から支給される7割相当を後から返還するのも手間ですから、迅速に被保険者資格を切り替えられるのは良いところです。

国民健康保険(以下、国保)と協会けんぽとの切り替えも早くなるはずです。この2つの健康保険は運営が異なっており、手続きも別で、保険証もそれぞれ違うものになっています。そのため、国保から協会けんぽ、または、協会けんぽから国保への切り替えで手続きが発生しますし、保険証の返却と発行もあります。


マイナンバーカードならば、サーバーに登録されている被保険者データを切り替えれば、国保の保険証と協会けんぽの保険証をサッと切り替えできます。カードのやり取りもなく、手元のマイナンバーカードをそのまま使えますから、便利ですね。


将来時点のことですからまだ分からないのですが、国保を協会けんぽに一元化した場合、仮に、自営業者向けの健保1号被保険者、会社員向けの健保2号被保険者というように区別し被保険者を取り扱うときも、マイナンバーカードが保険証になっていれば種別の切り替えが簡単になるでしょう。1号、2号という区別は、国民年金の被保険者種別と通じるものがありますので、年金と健康保険の被保険者種別を揃えるのも一考です。

保険証の回収不要、資格喪失後の利用も防げる

退職するときには、保険証を回収する作業があります。

退職日までは健康保険証を使えますが、その翌日以降は使えなくなりますので、会社に保険証を返します。この保険証は会社から健康保険協会に送りますから、ここでも一手間かかるわけです。

「まだ保険証が手元にあるから使っちゃえ」なんて人もいて、「コッソリ使えばバレないよね?」と思って使っちゃう人もいるようですが、利用記録は医療機関に残りますのでバレバレです。

資格喪失後(退職して社会保険から脱退した後)に健康保険を使ってしまうと、この対応も面倒です。

資格喪失後に利用される金額は、大阪で年間約10億円。東京だと年間で約30億円になります。これを全て不当利得として返還請求していくとなると、件数も多いですし、時間と費用もかかります。

健康保険協会や健康保険組合は不当利得を返還するように請求しないといけないですし、本人も後からお金を支払わないといけなくなります。

3割負担の人ならば、残りの7割を後から健康保険側が回収します。回収するには法的手続きになりますから、時間と費用がかかります。

マイナンバーカードが保険証として使えるならば、保険証を回収しなくていいですから、回収に伴う時間や費用も必要なくなります。

資格喪失届を出して(社会保険から抜ける手続きのこと)、データ(被保険者資格の保持、不保持を識別するもの)を書き換えれば、それでマイナンバーカードは保険証として使えなくなります。

予め資格喪失届を受け付けておき、データの変更を予約しておけば、日付が変わって退職日の翌日になった瞬間に健康保険証としての機能がストップします。これならば資格喪失後に健康保険を使ってしまうこともないでしょう。

さらに、被保険者資格の取得、喪失で手続きをすると、マイナポータルで受付結果を掲載する。このようにすれば、お知らせ情報として、どこの会社経由で、何月何日に雇用保険(または社会保険)の被保険者資格を取得したかを本人が確認できます。

社会保険に入っているハズなのに入っていなかったなんてことも、マイナポータルでの通知があれば防げるのではないかと思います。このようなチェック機能は大事です。

今の保険証は使えなくなる?

ところが、そもそもマイナンバーカードを発行する手続きをしない人が多いのに、「じゃあ、今の保険証はどうなるの?」、「手元の保険証は使えなくなるの?」などと疑問を持つ人が出て来ます。

もちろん、2017年1月の段階ではまだマイナンバーカードを保険証として使うことはできません。そのため、しばらくは今の保険証をそのまま使い続けられます。

ただ、2017年7月を目処に、健康保険の被保険者資格をオンラインで確認するシステムを構築する予定ですから、このシステムが出来上がり運用が安定軌道に入れば、現行の健康保険証を順次廃止して、マイナンバーカードに一本化するでしょう。

保険証としての利用を開始するのが2018年4月以降ですから、今の保険証は、2017年1月時点では、短く見積もっても1年3ヶ月以上はまだ使い続けられます。

しかし、2018年4月以降は、保険証とマイナンバーカードを2つとも残しておく利点がありませんので、徐々に今の保険証カードを廃止し、マイナンバーカードへ集約していくはずです。

もし、「両方とも使えますよ」と選択の余地を残すと、マイナンバーカードは利用されず、現行の保険証を使い続ける人が大多数になります。そのため、半ば強制的に切り替えさせるような流れを作るはずです。

といっても、2018年4月に一斉スタートにはならないでしょうから、今の保険証の無効化、医療機関へのカードリーダー設置、設定作業、操作方法、セキュアな認証プロセスの構築、医療機関窓口でのマイナンバーカードの取り扱いなど、クリアすべき課題が多く、早くても2018年11月、12月ぐらいが本格稼働の時期ではないかと思います。

今の保険証が廃止されるとなると、健康保険を利用するには、必然的にマイナンバーカードを持たないといけないので、カードの申請、発行が増えます。2017年1月時点では、約1,000万枚ほどマイナンバーカードが発行されていますが、人口が1億2,800万人だとすると、まだ1億1,800万枚ものマイナンバーカードを発行する余地があります。

マイナンバーカードの発行が開始されて、1年ほど経過しましたが、まだ人口の10%未満にしか発行されていないのですね。個人番号通知カードが届いて、マイナンバーカード本体の発行申請はせずにそのまま放置している人が大多数なのでしょうね。


マイナンバーカードが保険証になれば、今現在、保険証を持っている人はマイナンバーカードを持たざるを得なくなりますので、発行枚数は一気に増加するでしょう。とはいえ、まだ2年ほど先の話しですから、まだマイナンバーカード(個人番号通知カードではない)を受け取っていない人は、今のうちに申請して受け取っておくと良いでしょう。

協会けんぽだけでなく、組合健保、国民健康保険でも同様に

協会けんぽだけでなく、企業単位や業界単位で運営している健康保険組合でも保険証をマイナンバーカード化できますし、国民健康保険でも保険証をマイナンバーカードに切り替えていけます。

保険証を発行しているところが問題の原因で、保険証を発行、回収するという作業をなくせば、資格喪失後の利用を防げますし、資格取得後に健康保険をすぐに利用するのも容易です。

加入者側(本人、事業所)に回収作業をさせると、返さないまま使い続ける人が出てくるので、回収に伴うリスク(医療サービスを提供することにより発生した債権を回収できずに不良債権化)を避けられません。

組合健保や国民健康保険でも、2017年時点では保険証を発行しており、協会けんぽと同様に、発行時、回収時に問題が起こります。

医療機関にICカードリーダーを設置

保険証を窓口に出されると、有効な保険証だと考えて受付をしてしまいますから、ここで弾くのは難しいでしょう。

しかし、マイナンバーカードならば、ICカードリーダーにカードをかざすと、ネットワークを経由してデータベースに照会し、健康保険の被保険者資格があるかどうかが医療機関の窓口で分かります。

病院の受付にICカードリーダーを置いて、そこにマイナンバーカードをピッとかざす、あとは暗証番号を入力する。これで保険証の確認と本人確認ができますし、来院の受付もできますので、医療機関ごとに個別に発行している診察券のようなものも必要なくなりますね。余談ですが、診察券を失くす人は多くて、同じ患者に対して何度も診察券を発行している病院やクリニックもあるでしょう。そういう負担もマイナンバーカードを使うとなくなります。

また、ハローワークにもICカードリーダーを置いて病院と同じように対応(雇用保険の被保険者資格を照会)できますし、年金事務所でも同様(年金の被保険者資格を照会)です。

公的な書類や手続きを省略するのがマイナンバーカードの目的ですから、行政機関でもっとガッチガチにマイナンバーカードを利用して欲しいところです。


マイナンバー関連で真っ先にやるべきなのが、健康保険証の廃止とマイナンバーカードへの移行でしょう。反対する理由を考えつかないほど便利です。

健康保険証を廃止するとなると、早くても1年ほどはかかるでしょうが、保険証を回収し、マイナンバーデータに保険証データを紐つけた後は、マイナンバーカードを保険証として使っていくのが望ましいでしょう。

発行や回収の負担だけでなく、加入する健康保険によって保険証が違うという点もクリアできます。協会けんぽ、組合健保、国民健康保険、後期高齢者医療制度、それぞれ別々に保険証を出しているのですが、これもマイナンバーカード1枚で済みますからありがたいことです。

マイナンバーカードが普及しない理由

2016年1月にカードを交付し始めた段階で、健康保険証だけでなく年金手帳もマイナンバーカードに集約しておけば良かったのではと思えるのですが、後から機能を付け加えると、時間も費用も手間もかかりますから、これらの機能はスタート時点で付けておくべきでした。

他には、雇用保険の被保険者証としての機能、公的証明書のコンビニ発行なども、スタート時点で使えても不思議ではないものだったはずです。

雇用保険の被保険者証は、細長い1枚の紙で作られており、そこに必要な情報が印字されているものです。細長くて小さい紙ですから、紛失しやすく、雇用保険には加入しているものの被保険者証がどこに行ったか分からないという人は少なくないはずです。「会社が保管しているのでは?」などと思う方もいるでしょうが、雇用保険の被保険者証は本人に手渡されるものですから、自分で保管しているはずです。

コンビニでの証明書発行も、未だに対応していない市町村が多く、東京23区でも対応しているのは10区です(平成28年1月時点)。新宿区や千代田区、世田谷区など、知名度の高いところが対応していないのはどうなのかと思えます。東京23区だと、全国でも真っ先に完全対応しているべきところなのですが、不思議なものです。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000398670.pdf
マイナンバー制度の施行状況について(総務省) 26ページ参照

以前の住基ネットの段階で、公的証明書のコンビニ発行への対応は始まっていたのですから、平成14年8月に住基ネットが開始されたとすると(マイナンバーシステムは住基ネットから引き継がれた後継システム)、そこから15年弱ほど経過した今現在でも公的証明書の完全対応が済んでいないのは、メンドクサイのかヤル気がないのか、どちらかではないかと思います。


ただ、コンビニ発行が進まないのは、市町村が独自に発行システムを設置しているというのも一因です。

市町村の窓口で住民票の写しなどの発行手続きをするのが一般的ですが、市町村によっては「公的証明書発行カード」というものを住民向けに発行しており、印鑑証明書や住民票の写しなどを自動発行機で入手できるようにしています。

必要な証明書を選び、発行カードを発行機に挿入して、暗証番号を入力する。そして、お金を投入すると、証明書が出てくる。例えるならば、公的証明書の自動販売機のようなものです。こういう独自のシステムを作ってしまうと、サンクコストを嫌って、コンビニ発行のような標準化したシステムに切り替えるのが遅れます。

コンビニ発行が可能になれば、自動発行機は不要になりますから、それに投じた費用が無駄になります(実際に稼働していたのであれば全て無駄というわけではないのですが)。となると、地方議会の議員がヤンヤヤンヤ、市民オンブズマンがヤンヤヤンヤ、その結果、住民の利便性は向上しないという結果になります。


保険証としての機能を持たせて、現行の保険証を廃止すれば、強制的にマイナンバーカードを持たせることはできます。ただ、カードに堂々と表示されている個人番号を見られてはいけないというのは困りものです。

見られてはいけないならばなぜ券面に表示するのかと思うのですが、目隠しフィルムがあるものの、フィルムを少しずらせば見えてしまうものですし、せっかく発行されても、この点で持ち出せないカードになってしまいます。

個人番号を見られても大丈夫という状態にしないと、気軽に外へ持ち出せません。運転免許証の番号はバンバンと人に見せているのですから、券面に表示されている16桁の番号が誰に見られても大丈夫なようにしてくれないと使いにくいでしょう。

とはいえ、実際は、個人番号だけでは情報を引き出せず、暗証番号なりカード本体がセットで必要ですので、個人番号だけ他人に知られても、それだけで直ちに実害が発生するわけではありません。

他の書類もマイナンバーカードに集約

健康保険証だけでなく、他の書類もマイナンバーカードに一本化する余地があります。

まず、雇用保険に加入したときに受け取る被保険者証。雇用保険は、俗称だと失業保険と言われますが、これも保険証が発行されます。昔は細長くて小さい紙で、これがまた失くしやすい。本当に小さくて、縦が3cmぐらいで、横が17cmぐらい。失くしちゃった経験がある方も少なくないはず。

雇用保険の被保険者証なんて滅多に使わないものですから、失くしやすいんです。使う場面というと、教育訓練給付制度を利用する時、あとは介護や育児で休業して給付を受ける時、さらに失業時ぐらいです。普段は押入れや棚の奥にしまっているので、いざ退職後に、「雇用保険の書類どこにいったかな?」と探し出す。これはよくあるパターンです。


年金手帳も利用頻度が低くて失くしやすい書類です。雇用保険の被保険者証と並ぶほど利用頻度は低いので、「おや? 年金手帳が見当たらないが、、、」なんてことになり、再交付の申請をする。

年金記録はねんきんネットで閲覧できますし、個人属性の情報はマイナンバーカードに紐つけて管理できます。



年金手帳や被保険者証をなくすと再交付手続きが必要ですが、これもマイナンバーカードを使っていれば紛失しません。もともと書類を発行しませんから、失くす余地がありません。さらに、再交付のための手続きそのものも不要になります。


他には、入院して手術するときに発行を申請する限度額適用認定証もマイナンバーカードに集約できます。現状では、認定証を発行してもらうには、申請書を書いて、健康保険協会に送り、3日後か4日後に限度額適用認定証が届きます。それを病院の窓口に持っていくのです。

マイナンバーカードを利用すれば、認定証を申請するのはマイナポータル経由でできますし、申請書類を出す必要は無く、マイナンバーのデータベースを書き換えれば認定の適用が完了します。もともと簡単な手続きですので、1時間どころか、早ければ30分もあれば申請から認定まで終わるのも不可能ではないでしょう。


本人通知制度の設定もマイナンバーカードとマイナポータルで対応可能です。本人通知制度とは、第三者が住民票の写しなどの書類を取得した場合、本人に取得の事実を伝えるという仕組みです。

現状だと、市町村の窓口まで行って手続きしないといけないのですが、マイナポータルで設定できるようになれば便利です。この本人通知制度ですが、初期設定で第三者が個人情報を取得できるようにしているところも問題で、初期段階では第三者が本人の個人情報を取得できない設定にしておく方が望ましいのですけれども、そうなっていません。必要であれば、後から設定を変更し、第三者による住民票の写しや戸籍に関する情報を取れるようにする。こういう細かい制御をするには、やはりマイナンバーカードとマイナポータルを使っていくのがベストです。

さらに、どこの誰が自分の個人情報を取得したのかをマイナポータルでお知らせする機能もあると安心です。


公営図書館の入館証も改善の余地があります。これも図書館ごとに個別に発行しているので、入館証を図書館ごとに作らないといけません。これもマイナンバーカードで代用して、入館ゲートにかざして中に入るようにすればいいでしょう。ゲートを設置するために費用がかかりますが、個別にカードを発行しないため入館証の管理が簡素になりますし、図書を無断で持ち出せないようにするゲートと入退館ゲートを兼用すれば費用も下がるのではないかと思います。

マイナンバーカードを紛失したらどうする?

あれもこれもマイナンバーカードに集約していくと、確かに利便性は向上します。しかし、マイナンバーカードを失くした時にどうするかが課題となります。

健康保険証、診察券、年金手帳、図書館の入館証、身分証明書など、これらを一度に全部紛失するようなものですから、紛失対策は考えておかないといけないところです。

「だったら、マイナンバーカードに集約せず、今のままでいいんじゃないの?」という考えもありますが、書類やカード、証明書の類が複数ある方が失くしやすいです。あっちに保険証、こっちに年金手帳、そっちに診察券と、バラバラに管理する人もいますので、だったらマイナンバーカードだけをガッチリと管理しておけばいいのです。

マイナンバーカードを紛失したときは、一時的にケータイ電話にマイナンバーカードのバックアップ(バックアップ用情報を固めたQRコードを画面に表示するなど。QRコードは市町村の窓口で発行)をセットし、カードが再発行されるまでそのバックアップを使っておくというのも一案です。カードが発行されれば、QRコードを無効化し、その後は新しいカードを使ってもらう。

もしくは、Apple Payのように、スマートフォン本体だけでマイナンバーカード機能を使えるようにするのも良いでしょう。カードそのものは自宅に保管しておくので紛失する可能性を低くできます。また、スマートフォンを紛失したときは、マイナポータル経由でマイナンバーカードの認証を解除して、スマートフォン経由でマイナンバーカード機能を使えないようにする。

公的手続きを簡単にするのがマイナンバーカードの役割

ポイントカードとして活用とか、社員証として使うとか。そういう話も出てきていますが、この手の使い方は、乱暴に言ってしまうと、どうでもいい部分です。

マイナンバーカードを民間利用するのは後回しでいいですし、本人確認書類として使う場合を除いて民間利用ができなくても困りません。

他のもので代替できない部分をマイナンバーカードでその役割を担ってもらいたいですので、すでに優れた選択肢が存在するものを代替する必要はないでしょう。

ポイントカードなど数え切れないぐらい存在するし、今更、新たに1枚、新しいポイントカードができたところで利用しようとは思いにくい。

マイナンバーカードでポイントを貯めて買い物?

社員証も、すでに使っているものがあるでしょうから、あえてマイナンバーカードで代替する必要もない。

「税や社会保障の分野で利用する」という話で導入したマイナンバーですから、民間レベルでの利用に抵抗感がある方も多いはず。ポイントカードや社員証で使うという話が出てくると、「公的な手続きに限って使うんじゃなかったの?」と感じる方もいらっしゃるでしょう。

先ほど書いたように、公的な手続きや書類をマイナンバーカードで代替するだけでもまだ実現していないものが大半ですので、ポイントカードだの社員証だのと話すまでに、まずは公的レベルでの処理をマイナンバーカードに集約するのが優先です。

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