あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます

法定以上の年次有給休暇を付与。有効期間や時効はどうする?

上乗せ有休

 

 

法律で決まった日数よりも多く年次有給休暇を付与する職場

年次有給休暇は、勤続期間によって付与される日数が法律で決まっており、多くの職場では、法律で決まった日数の年次有給休暇を付けているはずです。

なお、事業所の裁量で、年次有給休暇の日数を法律で決まった日数よりも、多いものとすることは可能です。

6ヶ月勤務した段階で10日分の年次有給休暇が付く。これは法律で決まった日数ですけれども、10日ではなく15日付与するとか、20日付与するというようにしても構いません。

さらに、6ヶ月勤務せずとも、入社時点で15日の有給休暇を付与する、なんていうことも可能です。

法律で決まった日数以上に年次有給休暇を付与するのはなぜなのかというと、職場で休暇制度を作ってしまうと、それぞれで日数や対象者、条件といったものを細かく作っていく必要があり、運用していく手間がかかります。

仮に、10の休暇制度があるとすると、それぞれの休暇に対して条件を設定していかなければならないので、メニューの数も10となります。

一方で、休暇制度を独自に作らず、年次有給休暇の日数を増やすことで、他の休暇制度の代わりにすると、休暇のメニューが1つになりますから、管理する手間も減ります。

法律上の年次有給休暇に相乗りして、会社独自の休暇を付けていくことができるわけですから、都合が良いのです。

会社独自に休暇制度を作らない代わりに、年次有給休暇の日数を多くしている。そういう職場もあるかと思います。

 

 

年休の時効はすべて2年にするのか、それとも時効期間を分けるのか

法定の年次有給休暇は時効が2年に設定されており、付与されてから2年以内に使っていく必要があります。なお、2020年4月に改正された民法が施行されましたが、年次有給休暇の時効は2年に据え置きされました。

では、法律で決まった以上に付与された年次有給休暇は、有効期間なり時効をどのように扱っていくのか。

法定の年次有給休暇と同じように時効を2年にするのか。会社で上乗せしている年次有給休暇については有効期間を3年にするのか。もしくは法定の年次有給休暇よりも短い1年にするのか。

法定の年次有給休暇と会社が上乗せした年次有給休暇、この2つがあるとなると、どちらの年次有給休暇を先に使うのか、という点も問題になります。

法律上の年次有給休暇を先に使うのか、上乗せされた方の年次有給休暇を先に使うのか、これも決めなきゃいけない。

さらに、半日単位の年次有給休暇、時間単位の年次有給休暇を認めている職場だったら、上乗せされた年次有給休暇も半日や時間単位で使えるのかどうか。

両者を分けてしまうと、メニューが2つあることになりますから、残日数をどのように管理していくか、時効期間をどう管理していくのか、休暇の使い方(1日単位、半日単位、時間単位)をどのようにしていくのか、細かく決めなければいけなくなります。

一方で、法定の年次有給休暇であれ、上乗せ分の年次有給休暇であれ、同一のものとして日数を管理して、使い方も同じにして、有効期間も同じにして、ということであれば労務管理は容易になるでしょう。

上乗せ分を分けたいのか、それとも法定分の年次有給休暇かと混ぜて、同じものとして扱っていくのか、こういうことも就業規則で事前に決めておかなければいけません、

制度をたくさん作って、細かくチューニングすればするほど、より柔軟で、きめ細やかな労務管理ができていると錯覚しがちですけれども、複雑にすると、それだけ労務管理の手間は増えますし、制度に穴も生じやすくなります。

休暇制度を独自に作らずに、年次有給休暇を上乗せする仕組みにするならば、法定の年次有給休暇と同じ扱いにして、労務管理を分かりやすくするのがおすすめです。

せっかく年次有給休暇制度に相乗りしてるのですから、メニューを分けてしまったら、独自に休暇制度を作ったのと同じになってしまい、相乗りする効果がなくなってしまいます。

慶弔休暇を作らない、誕生日休暇を作らない、病気休暇を作らない、資格取得休暇を作らない。その代わりに年次有給休暇の日数を上乗せする。さらに、全ての年次有給休暇は、法律上の年次有給休暇と同じ取り扱いになる。

このようにするのが最も分かりやすいですし、使用者側も労働者側も満足しやすい仕組みになるはずです。

制度を複雑にして、柔軟性、きめ細やかさをアピールするよりも、単純で分かりやすい仕組みの方が長続きしますし、受け入れられやすいものになります。

複雑なものに接すると、人はイライラするもので、時として理解することを放棄します。しかし、シンプルな内容や仕組み、条件であるならば、反発を招きにくく、受け入れてもらいやすくなります。

 

 

年次有給休暇の計画付与なのに、計画通りに年休を付与できない

ご存知のように、有給休暇には計画付与という制度がありますね。

本来は、休暇は自主的に利用できるものなのですが、自主的にはあまり消化できていないときには、会社が計画的に休暇を消化するのが計画付与です。


ただ、計画付与は便利な仕組みではあるのですが、休暇を計画的に付与するときに休暇が残っていないと付与することができません。

例えば、9月28日、29日、30日の3日間を連続の計画付与休暇にしようとするときには、最低でも8日の休暇が残っていないと計画付与が実施できません(5日を超える休暇が計画付与の対象になるため)。

ところが、残日数が8日未満の人の場合は計画付与ができないのですね。

しかしながら、休暇が取得できないからといって、9月28日、29日、30日に出勤してもおそらく仕事はできないはずです。ほとんどの人は休暇中ですからね。

単独で処理できる仕事ならば出勤も可能でしょうが、他の人と連携して業務を進めるものだと、一部の人だけが職場にいてもどうしようもありません。


となると、残日数が8日未満の社員さんに、何らかのフォローをしなければいけませんよね。

 

 

年次有給休暇の残日数が足りなくなるなら、有給休暇を先行で付与するのが良い

選択し得る手段は、

  1. 特別に有給休暇を増やす(つまり、残日数が7日なら1日増やす。残日数が6日ならば2日増やす。残5日なら3日増やす。8日になるように休暇日数を調整するわけですね)。
  2. 9月28日、29日、30日に無給の休暇を設定する。年次有給休暇が無いため無給休暇を用意するわけです。
  3. 次の時期に付与される有給休暇を先行して使う(有給休暇の先行付与)。

ざっと、この3つなのではないでしょうか。


私がオススメするのは、3です。

つまり、計画で消化する休暇だけを先に付与して、残りの休暇は予定の時期に付与するのが良いのではないでしょうか。


具体的に例えを作ると、現在の休暇日数が5日だとすると、計画付与には3日の休暇が追加で必要ですね。そこで、次の有給休暇から3日だけ前借りするわけです。

次期の有給休暇は11日付与されるとすれば、3日だけを今使って、残りの8日の休暇は予定通りの次期に付与するという段取りです。先に必要な日数を隔離しておくという発想ですね。

ただ、年次有給休暇の日数管理に若干ですが手間がかかりますから、欠点といえばこの点です。


有給休暇というのは指定の時期に取得するのが通例ですが、先んじて取得するのは差し支えありません。逆に、取得時点で必要な休暇日数を与えないのはダメです。

先んじるのは良いが、遅れるのはダメということですね。

 

ゆえに、有給休暇の計画付与を実施するならば、有給休暇の先行付与も仕組みとして併設しておくと、残日数が足りない時に対応できます。

 

選択肢の1だと、他の人は有給休暇の残日数が増えないのに、日数が足りない人は年次有給休暇が上乗せされ、従業員の間でバランスを取れないのが難点です。

選択肢2は、年次有給休暇の日数を調整する必要がなく、1のようにアンバランスな部分もありません。無給の休暇を増やすだけで対応できますから、この方法を選ぶのもありです。

年次有給休暇の管理にまつわる疑問と正しい対応例
働いてる人にとって年次有給休暇は関心を集めますから、労務管理でも疑問や問題が生じやすいところですよね。労務管理でもトラブルになりやすいのが年次有給休暇の取扱いです。ならば年次有給休暇についてキッチリしている職場にすれば、働いている人たちからの評価も上がっていくでしょうね。

雇用調整助成金と休業者給付金の仕組みと利点

雇用調整助成金と休業支援金

 

 

※休業者給付金という名称は仮のもので、以下では休業者支援金という名称を用いて記述している箇所もあります。「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の名称が正式なものです。略称は「休業支援金」となります。

 

雇用調整助成金を利用するには、先に休業手当を立て替える必要がある

新型コロナを理由に、従業員を休業させて休業手当を支払うと、その費用の一部が助成金として補助されるのが雇用調整助成金。

何度となく制度が変更され、対象者は雇用保険の被保険者に限定されなくなりましたし、特例で支給率も引き上げられました。

ただ、休業1日あたりの上限額が8,330円(2020年6月に15,000円に引き上げ)で、1日あたりの給与額が多い人、例えば15,000円や20,000円といった給与が支給される人だと、休業手当を支払って、助成金を受け取っても、助成金でカバーできない金額が発生します。

助成金の金額を超過した部分は、使用者が負担しなければいけないので、ならば雇用調整助成金は使わないでおこうか、という判断をする人も出てきます。その結果、無給で自宅待機させられる。

2020年5月には、雇用調整助成金の制度がまた変更され、今までだと上限額が1日あたり8,330円だったところが1日15,000円に引き上げられました。

1日15,000円まで引き上げられる時期は、6月12日に第二次補正予算が成立したあとになりますから、6月中旬以降に実施される休業は、上限額が8,330円から15,000円に切り替わるのではないかと思います。

その後、第二次補正予算は成立し、2020年6月12日から、その予算に基づいて、雇用調整助成金の上限額が1日あたり1人15,000円に引き上げられました。

さらに、従業員の雇用契約を解除せずに雇用を維持している中小企業に対する助成率が一律に10/10、つまり100%に引き上げられました。ちなみに。雇用契約を解除(従業員を解雇)している場合は、中小企業に対する助成率80%になります。

小規模事業所だと、平均賃金ではなく実際に支払った休業手当を基にして助成額を計算しますから、小規模事業所かつ解雇等をしていないならば、15,000円までの休業手当ならば全額が助成金で補填できることに。

仮に、休業手当の額が15,000円だとすれば、その9割が助成金として支給されるとすると、13,500円が助成金として支給されます。

以前のように、8,330円が上限額だと、15,000円の休業手当を支払って、雇用調整助成金を利用した場合、支給率を9割だとして、13,500円ではなく8,330円が上限になり、休業手当の半分近くを会社が負担することになっていました。

ただし、雇用調整助成金を利用するには、先に休業手当を立て替える必要があります。

先に手元資金で休業手当を払っておいて、助成金の申請をして、後からそのお金が銀行に入金されます。

一時的に手元の資金が減りますから、それに耐えられる事業所ならば雇用調整助成金を利用できます。

先に立て替え払いをして、支給されるのは2ヶ月ぐらいかかるとすると、それまで手元の現金が減っても耐えられるかどうか。申請から支給までの時間は短くなっているのでしょうが、休業手当を支払ったあと、助成金が支給されるまでの現金は依然として必要です。

実際にかかった費用を補助するのが助成金ですから、助成金を前払いせよと要求されても難しいところ。仮払いで助成金を支給し、後から確定した助成金額で精算するという仕組みも考えられますが、手間がかかってしまいます。

しかし、手元に現金がなければ、休業手当を支払うことができず、助成金も利用できません。

賃金締切日になれば、すぐに助成金の手続きに着手できるものの、そこから手続きしても、休業手当の支払いよりも助成金の方が先に入金される可能性は低いでしょう。

例えば、20日に締め切り、月末に給与を支払うとすると、現金が出ていくまで10日ほどしか時間的猶予はないですし、申請から10日で助成金が支給されるとは考えにくい。

どれだけ急いで助成金の申請手続きをしたとしても、助成金が銀行の口座に入金されるよりも先に休業手当の支払い時期が到来しますから、手元に現金が必要です。

すでに手元の現金がなくなっている会社やお店だと、助成金を利用したくても、休業手当を支払えないわけですから、どうしようもなくなります。

赤字でも会社は倒産しませんが、現金がなくなれば倒産します。身動きできなくなりますので。

その事態に対応するために、休業者給付金が設けられたというわけです。

2020年5月15日時点ではまだ休業者給付金の申請は受け付けられておらず、6月12日に成立する予定の第二次補正予算に基づいて制度が実施されます。

休業者給付金という名称ですが、予算案の中では「新型コロナウィルス感染症対応休業支援金」と書かれており、休業中に賃金の支払いを受けられなかった労働者を対象にしたものです。

手元に現金がなければ、休業手当を払いたくても払えず、休業手当を払っていないと助成金も申請できません。また、前月や前々月に遡って休業手当を支払い、助成金を申請しようとすれば、労働基準法24条2項に反しますから、そういったこともできません。

過去にさかのぼって休業手当を払えない。休業中に無給で自宅待機させられた。そういう方に直接、現金を給付するのが新型コロナウィルス感染症対応休業支援金。

制度が実施される段階になれば、シンプルに「休業支援金」という名称になるのではないかと予想します。

7月7日に休業支援金の詳細が公開されています。

休業支援金の対象になる期間は、4月から9月までで、4月の初めから休業していて、無給で休みになっていた方は、ぜひとも申請するべきです。遡っている期間も含みますから、まとめて入金されるはずです。

4月から6月の3ヶ月分は一括で申請しますから、4月から休業手当無しで休業していた方だと、それなりの給付額になるのではないかと。

対象は、中小企業で働く従業員で、休業中に休業手当を受けられなかった方。さらに、雇用保険に加入している人だけでなく、雇用保険に加入していない人も給付対象になります。

「解雇されちゃったら休業支援金を受給できないの?」と疑問に思うところですが、解雇されるまでの期間は休業になりますから、雇用契約が続いていた期間は休業支援金の対象になります。この点は雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金と同様。

例えば、5月末で解雇されたが、4月1日から5月末までは雇用契約が継続していたとすると、2ヶ月間が休業となり、休業支援金の対象になるわけです。事業所に休業証明書を作ってもらう必要がありますが(申請の際に休業証明書の添付は必要なくなりました)、休業支援金の申請書が公開された段階で、休業証明書の書面もダウンロードできるようになるかと思います。

パートタイムで働く方(学生も含む)は、休業手当なしで休まされる方も少なからずいらっしゃるようですから、この休業支援金の申請受付が開始されたら、忘れずに申請したいところ。

他にも、4月1日から新規採用された人(新卒採用された人のこと)で、1日も出勤せずに休業していた方も休業者支援金の対象になります。この場合、支給が予定されていた給与額で給付額を算定します。

「休業手当が出るのは正社員だけ」というものではないのですが、そういう独自の理屈で休業手当を支払わない事業所もあるのではないかと思いますので、そういう所に勤めている方には休業支援金をぜひとも申請して欲しいです。

自分で動かず、手続きをしなければ給付金の類は受け取れませんので、ボーッとしていても勝手にお金が振り込まれてくるなんてことはありません。不満を口にするぐらいならば、サッサと動いた方が得られるものが多いです。

 


会社に給付される雇用調整助成金。従業員に給付される休業者給付金

雇用調整助成金と休業者給付金(「休業者支援金」と表記する場合もあります)の違いは、雇用調整助成金は会社経由で申請するもので、会社が助成金を申請しないと、支給されません。まれに、従業員本人が雇用調整助成金を申請できるんじゃないか、と誤解される方がいますが、違います。

他方、休業者給付金は、本人から申請で支給される制度になります。イメージとしては、失業手当に近いものと考えていいのではないかと思います。

会社経由で手続きをして、支給されるのが雇用調整助成金。従業員本人が申請して、支給されるのが休業者給付金。

ちなみに、雇用保険の被保険者には休業者支援金が支給され、雇用保険に加入していない方だと休業者給付金という名称になります。

雇用調整助成金と休業者給付金は、どちらか片方を使うことになり、休業手当が支給されて自宅待機している人は休業者給付金の対象にはなりません。この場合は雇用調整助成金を利用します。

一方、休業手当が支給されずに無給で自宅待機させられている人は、休業者給付金の対象になります。

事業所が雇用調整助成金を利用する意思がないと、休業手当も支払われず、従業員側としてはどうにもできない状況になります。

そこで、直接に雇用調整助成金を利用できるような仕組みが必要ではないか、と言われてきて、それが休業者給付金という形になったわけです。

そうなると、「休業者給付金があるんだから、休業手当は払わなくてもいいだろう」と考える使用者も出てくる可能性があります。

つまり、休業手当を回避する手段に利用されるということ。

手元の現金を使って、休業手当を支払わなければいけないわけですから、雇用調整助成金は事業主には負担があります。一時的ではあれ、休業手当を支払うと、会社の現金が減りますので、それを避けるために休業者給付金を利用するように案内するわけです。

休業者給付金には休業手当を立て替える負担がありませんので、雇用調整助成金を使わず、休業者給付金を使うよう誘導していくような案内も起こり得ます。

では、そういう対応が問題なのかというと、判断が難しいのです。休業の原因は新型コロナウィルスなのだから、使用者の都合で休業させているわけじゃない、と言われてしまうと、「まぁ確かにそうだな」と納得せざるを得ない。

雇用調整助成金は事業所を経由して間接的に労働者へお金が回るもので、一方、休業者給付金は労働者へ直接にお金が回ります。つまり、間接的にお金を流すか、直接的に流すかの違いであって、どちらを使っても構わないのではとも思えます。支給される率や額は両者で異なりますけれども。

雇用調整助成金を利用すれば、休業者給付金は不要になり、休業者給付金を利用すれば、雇用調整助成金からはお金が出ないのですから、お互いにトレードオフの関係です。細かな違いはあれども、大きくは助成金か給付金かどうかの違いでしか無く、結局は労働者にお金が流れます。

主にお金が流れる経路が違うのであって、「雇用調整助成金を使わずに休業者給付金を利用させるのはダメだろう」と言う必要は無いのではと思います。どちらからお金を出しても、最終的にはそれは労働者に向かうのですから。会社経由で間接的に給付していくか、労働者本人へ直接に給付するかの違いです。

 

雇用保険の特例措置である「みなし失業」の仕組みを利用して、休業者給付金を支給する予定とのことです。

この「みなし失業」とは、激甚災害時における求職者給付の支給の特例が根拠になっており、自然災害を想定した仕組みで、感染症への適用を想定しておらず、地震や津波、大雨による影響を受けた場合は適用できるのですが、これを新型コロナにも適用できるよう制度を変えていくのでしょう。

政府にとってみれば、雇用調整助成金であろうと、休業者給付金であろうと、現金を給付する点は同じですから、どちらかでお金が流れれば良いと考えることも可能です。

後者を利用すると、事業所が休業手当を一時的に立て替える必要がなくなり、この点でも利点があります。休業手当の支払いを回避できてしまうという短所はありますが。

 

 

新型コロナウィルス感染症が休業の原因なのだから、休業手当は払わない?

新型コロナで休業したら、それは使用者の責任なのかどうか。ここは判断が分かれるところです。

政府による緊急事態宣言、都道府県知事による自粛要請によって休業しているわけですが、「強制ではないから営業できる」と解釈すれば、その休業は使用者の責任になります。

しかし、事実上、強制されていると解釈すれば、休業は使用者の責任ではないと言えます。

商売では、契約で買うと約束したものを一方的に要らないとは言いにくい。

「やっぱり買いません」とこちらの都合で売手に伝えれば、買手は責任を負わされます。

物を買う時、売る側は買主のために準備をして、品物を調達します。一方で、買主は売主が用意してくれた品物を条件通りに購入します。

買主が一方的に「やっぱり買わない」と言えば、売主は困りますし、約束を破ったことになる。

商取引では、一旦契約が成立した後は、当事者の一方が自己の都合で契約を破棄してしまうと、事前に決めた違約条項に基づいて、違約金を支払うことがあります。

身近な例だと、宿泊施設の予約です。

例えば、旅館を予約して、宿泊日の2週間前までにキャンセルしてもらえればキャンセル料はかからない。

けれども、宿泊日の2週間前を経過した後、1週間前までに予約をキャンセルすると、宿泊料の30%がキャンセル料になる。

1週間を経過した後、3日前までに予約をキャンセルすると、宿泊料の50%がキャンセル料に。

3日前を経過した後、宿泊日の前日までに予約をキャンセルすると、70%をキャンセル料として旅館に払う。

宿泊日当日にキャンセルした場合は、宿泊料の100%がキャンセル料としてかかる。

これは一例ですが、買主と売主には約束があって、その約束を一方的に破ると、ペナルティが課せられるのが商取引です。
旅館は、部屋を確保するために、他のお客さんを断ったかもしれませんし、料理の材料を調達しているかもしれませんから、準備のための費用はかかっています。

そのため、一方的にキャンセルされたときは、キャンセル料を払ってもらって補填するわけです。

雇用契約でも、使用者が一方的に勤務日数や勤務時間を減らした場合は、契約違反になり、休業手当という形で、違約金を払う必要があります。

従業員側が一方的に休んだ場合は、違約金のようなものはないのですけれども、使用者側が契約よりも少ない勤務日数や勤務時間を設定するとペナルティがあるのです。

労働者よりも使用者の方が責任が重くなっているというのが雇用関係なのです。こういう状況を知ってしまうと、「もう人を雇うのはやめよう」と思う経営者も出てくるでしょうね。

新型コロナによる休業は、使用者の責任なのかどうか。判断しにくいのが悩みどころ。

感染症なのだから、使用者がウイルスをばら撒いてるわけではなく、感染させてるわけでもないので、休業はウィルスによるものだから、使用者の責任ではない、という理屈もあります。

ただ、無休で自宅待機させてしまったら、もはや雇用契約を維持する理由はなくなりますから、会社から何か指示をしても従ってもらえません。

新型コロナの騒ぎが落ち着いてきて、営業を再開しようとしても、従業員が戻ってこない。

無休で休ませるような職場に戻ろうと人は思いにくいものです。

 

1分単位の労働時間でも給与を正確かつラクに計算してくれる給与計算ソフトは?
労働時間は5分や10分単位で切り捨てていいものではなくて、1分でも労働時間であり、給与計算に含めなければいけないものですから、手作業で給与を計算するよりも、自動で計算してくれる給与計算ソフトの方がいいですよね。

 

休業者給付金の中身は? 申請するには何が必要なのか

 休業者給付金という名称が使われていたものの、支援金という名称を使うところもあって、休業者給付金になるのか、休業者支援金になるのか、2020年6月の段階ではまだ定まりません。その後、7月に『新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金』という名称に決まりました。

 

休業支援金の詳細が明らかに

7月7日に専用のページが設けられ、休業支援金の手続きについて案内されています。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

給付対象となる休業の期間は、2020年の4月1日から9月30日まで。その期間内に、事業主の指示で休業したものの、休業手当が支払われなかった方は、休業支援金の受給対象になります。

支給額が1日あたり平均賃金の80%で、上限額は11,000円。

手続きは、労働者本人からの申請だけでなく、事業主でまとめての申請も可能になっています。学生のアルバイトの方は、無給で休みにされた方もいらっしゃるでしょうから、忘れずに休業支援金の手続きをしたいところ。

学生向けに文部科学省から『学生支援緊急給付金』が用意されていますが、休業者支援金と学生支援緊急給付金は支給目的が異なるため、両方を受け取ることも可能ですので、条件に当てはまれば2つとも申請すると良いのではないかと。

 

間接的にお金が流れるか、直接的に流れるかの違い

雇用調整助成金や小学校休業等対応助成金は、会社経由で間接的にお金が流れていきます。一方、休業者向けの支援金だと、本人へ直接にお金が流れます。

そのため、休業手当を払わない、助成金を利用しない、と事業所が判断してしまうと、従業員側では困ってしまいます。

そこで、助成金で間接的に資金が流れる方法だけでなく、雇用保険の基本手当(通称では、失業保険の失業手当と言われるもの)のように、本人に申請してもらい、直接的に給付していく仕組みを用意したというわけです。

お金が流れる経路が違うだけで、どちらも実質はほぼ同じです。なるべく雇用調整助成金を利用するように厚生労働省は案内していますが、休業手当を支払わなかった事業所が、翻意してそれを支払うようになるとは考えにくいですし、助成金であれ給付金であれ、どうお金が流れるかの違いでしかありませんから、さほど厳しく分ける必要もないのではないかと思います。

 

休業前の賃金で休業支援金の支給額が決まる

上限額は月33万円で、賃金の約8割。直近6ヶ月間で、最も賃金が高い3ヶ月間の賃金、その8割が給付額になります。

直近6ヶ月で最も高かった時期の賃金の8割ですから、例えば、12月、1月、2月、3月、4月、5月、この6ヶ月間で最も給与が多かった3ヶ月を利用して、給付額を計算するとどうか。

3ヶ月分の賃金が無い場合は、2ヶ月分を60で割って計算し、2ヶ月分の賃金が無い場合は、1ヶ月分を30で割って計算します。

おそらく、12月と1月の年末年始が最も給与が多くなっているのでは。まだ新型コロナの影響も出ていない時期でしたし、支援金を計算するには丁度いい月ではないかと思います。

対象期間は任意で選択できますから、賃金額が高くなっている期間を対象期間として選び、給付金を計算すれば、その金額は多くなります。選択できる対象期間は最大で3ヶ月ですので、12月、1月、2月、という選び方も可能です。

期間は、例えば、4月から5月末まで休業していたとすると2ヶ月分。2019年12月の給与が最も高く、任意で選んだ3ヶ月の平均で月額30万円だったとすれば、その8割の24万円。これが2ヶ月分なので、48万円が支援金となります。ざっくりとした計算ですが。

給付額の計算式は、「休業前賃金日額 × 0.8 × 休業日数」で、休業1日あたりの上限額は11,000円、月額では33万円が上限になります。なお、出勤した日や年次有給休暇を取得した日、育児休業を取得した日は休業日数から控除して計算します。休業以外の事由で休んでいた日は除くというわけです。

1日の所定労働時間が4時間未満なら0.5日の休業と扱い、4時間以上ならば1日の休業として扱います。さらに、まる1日休業した場合だけでなく、短時間休業、例えば8時間勤務から3時間勤務に短縮した場合など、でも休業者支援金・給付金の対象になります。

月33万円を上限にして、休業していた期間が対象ですから、簡単に計算すれば上記のようになります。

対象期間は2020年4月1日から9月末まで(後述しますが、制度の変更により、2021年2月までの期間が給付の対象になっています)ですから、9月末までに無給で自宅待機させられた方は、休業者支援金を申請できます。3月頃から臨時休業し始めた事業所があるでしょうが、3月分を除いて、4月分以降の期間を申請すればいいでしょう。

直近6ヶ月で最も高い給与を利用できるとのことですが、申請時期が7月、8月と後にズレると、年末年始の給与を利用できなくなる可能性があります。制度がどのように確定するのかまだ定かではありませんが、余裕を設けて、直近12ヶ月のデータを使っても良いのではないかと思います。

7月7日に公開された申請書では、休業前の直近6ヶ月間から任意の3ヶ月分(もっとも賃金が高かった期間)を選び、その期間中の賃金を基礎にして休業支援金の額を算定するようになっています。

支払われる予定だった日給の8割(休業前賃金の8割。日額上限は11,000円)に暦日数を掛けたものが給付額になりますから、仮に1日の給与が10,000円だとすると、休業1日に対して8,000円が休業支援金になり、12月1日から31日まで全て休業したとすると、8,000円×31日 = 248,000円が休業支援金の額になります。

実際は1ヶ月に31日も出勤しませんし、週5日契約であっても、実際に出勤する日は月に21日か22日ですから、想像しているよりは給付額は多めになるのではないかと思います。

 

休業証明書は不要に

申請するには、事業主からの休業証明が必要だと事前の情報では伝えられていましたが、休業証明書を用意する必要はありません。

必要な書類は、支給申請書、支給要件確認書、本人を確認する証明書(マイナンバーカードや運転免許証など)、振込先が分かる通帳やキャッシュカードのコピー、休業前と休業中の賃金が分かる給与明細書、これら5点です。

休業者支援金・給付金に必要な申請書類

証明日、労働者名、休業期間、事業主の所在地や名称、などを書く簡易なものになると思いますが。2ヶ月分なり3ヶ月分を、まとめて申請できるようにしてくれるとありがたいところ。例えば、6月末に申請するとして、4月、5月、6月の3ヶ月分の休業者支援金を1回で申請できれば手間を減らせます。

休業支援金・給付金支給申請書を見ると、数カ月分を1回の申請でまとめられるようになっており、4月分から6月分までの休業を1枚の支給申請書に集約できるようになっています。7月以降の休業は1ヶ月分ごとに申請していきます。

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休業者支援金・給付金の支給申請期間一覧(厚生労働省ウェブサイトより)

7月10日より、郵送での受付が開始されており、オンライン申請はまだ準備中とのこと。申請先や問い合わせ先はハローワークではなく、専用の受付センター用意されています。

4月分から6月分の申請期限が9月30日までに締め切りとなっており、時間的に余裕を持って設定されていますので、春時期に休業手当無しで休業した方は、秋口まで申請できますから忘れずに手続きしましょう。

雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金と同様に、この休業者支援金も申請が多くなるのでしょうから、窓口手続きではなく、郵送とオンラインでの申請が主体になるでしょう。ハローワークの窓口での申請受付をするとの記載がありませんので、郵送とオンライン、この2つの方法に限定されるのではないかと思います。

提出する書類は、簡易書留(紛失すると困る大事な書類を普通郵便で送ってはいけない)で受付先に送付するのが最も良いのではないでしょうか。あと、申請書類を郵送する前に、そのコピーを取っておくのを忘れずに。

オンライン申請だと紙の書類はいらないのでしょうが、郵送となると、申請書類を印刷する必要があり、プリンターを持っていない方は、コンビニのマルチコピー機で申請書類を印刷するといいでしょう。

 

 

退職した後でも休業支援金を申請できる

退職してしまうと、それ以降の期間は休業になりませんから、休業支援金の対象から外れます。休業手当が出ず、無給で休ませられた方で、雇用契約が続いているなら、今回の休業支援金の対象になります。

すでに退職してしまった方でも、休業手当無しで休みになっていた期間は、後からでも休業支援金を申請できますから、退職した後でも忘れずに手続きしたいところ。

オンライン申請ができれば最も良いのでしょうが、雇用調整助成金のオンライン申請は不具合で停止中ですし、特別定額給付金のオンライン申請も市町村によってはオンライン申請を停止するところもあって、逆風が吹いています。

パートタイムで働く方で、休業手当無しで自宅待機されられている人がいらっしゃるでしょうし、特に学生の方はぜひ利用すべきです。

バイト先から無給で休むように指示されている学生は、この休業者支援金を確実に申請したいところです。

 

2つ以上の会社(他社で副業)で働く人も申請可能

パートタイムで2つ以上の職場で働いている方で、いずれの事業所でも、休業手当無しで休みになっていたら、 それらを1つにまとめて休業支援金を申請できます。個別に申請するのではなく合算して申請するのがポイントです。

会社員の身分を2つ、3つ、4つと持っている方(パートタイムの仕事を2つ。フルタイム+パートタイムの仕事を組み合わせているなど)で、事業所から休業手当無しで休業させられた場合は対象になります。

事業所ごとに支給申請書を作る必要はなく、複数の事業所をまとめて1つの申請で手続きできるようになっています。バラバラで申請すると支給対象外になりますので、複数の会社で就業されている方は、すべての事業所をまとめて申請書に記載する必要があります。

片方だけ申請してしまうと、他の事業所の方の休業支援金が支給されなくなってしまいますから、2つ以上の事業所で働く方は、「まとめて休業支援金を申請する」と知っておいてください。

 

 

オンラインで新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金を申請できるように

制度が出来上がった当初は郵送申請でしたが、2020年10月9日からオンラインでの申請も可能になっています。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(オンライン申請)

オンラインで休業支援金を申請する方法

申請に必要な書類をスマートフォンのカメラで撮影してアップロードできますから、印刷する書面を減らせますし、封筒や切手が要らないのが良いところです。

支給要件確認書は印刷する必要がありますが、コンビニのマルチコピー機で印刷できます。プリンターがなくても大丈夫ですね。

 

 

(2020年9月25日 追記)休業支援金の対象期間と申請期限が延長

4月分から6月分までの申請は9月30日までに行う必要がありましたが、2020年の12月末まで支援金の対象期間と申請期限が延長されました。

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https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13766.html より引用。

従来は4月から9月までの休業が支援金の対象でしたが、12月まで対象期間が延長されました。この延長によって、2020年10月から12月の間に休業した場合も、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金 を申請できるようになります。

会社やお店から、「仕事が無いから休んでいて」と言われ、休業手当無しで、無給の状態で休ませられている方は、この休業支援金の対象になります。

雇用調整助成金は会社経由で申請する必要があり、休業手当を会社が支払い、それを政府が助成金で補填するものです。そのため、会社に休業手当を支払う資金がなければ利用できない制度です。

一方、休業支援金は、会社に資金がなく、休業手当が出ない場合に、労働者に対して直接に給付するものですから、対象となっているならば、放置せずに申請しましょう。

 

 

(2020年12月15日 追記)新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の対象期間が再延長されています

休業支援金・給付金の対象となる期間は、2020年4月から12月まで延長されていましたが、さらに延長され2021年2月までの期間に、休業手当なしで休業した場合も対象となりました。

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2021年2月まで休業支援金・給付金の対象に。

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000705242.pdf

休業した期間と休業支援金・給付金の申請期限が対応しており、2020年の4月から9月の分は2020年12月31日が期限ですから、忘れないように申請しましょう。

 

休業手当が出ずに、仕事を休みにされていた方は、この休業支援金・給付金を忘れずに申請してください。落ちているお金を拾うだけですから。

 

 

(2021年1月28日 追記)休業支援金・給付金の申請期限がさらに延長されます

雇用調整助成金や休業関連の給付金の申請期限が延長されている状況ですが、休業給付金の申請期限もさらなる延長が決まりました。

2020年の4月から9月までの休業期間(10月以降のものは申請期限が2021年3月末以降になっています)に対する休業給付金の申請期限が2021年の3月末まで延長される予定です。

休業した場合、本来は、会社から休業手当が支給され、その費用を補填するために、会社が雇用調整助成金を申請する、というのが通常の手続きなのです。しかし、何らかの事情で、休業手当が支給されないまま休業した場合、従業員本人への直接の給付として休業給付金が支給されるようになっています。

雇用調整助成金は会社側で手続きするものですが、休業給付金は従業員本人が手続きする必要があるので、この制度そのものを知らない方もいるでしょうし、知っていたとしても、面倒くさがって手続きしない方もいるかもしれませんが、給付金や助成金というのは、自ら動かないと支給されないものですから、この休業給付金も自分から取りに行く人でないと支給されないものです。

 

 

(2021年5月26日 追記)休業支援金の対象期間が2021年6月末までに。その後、9月末まで延長されています

新型コロナウイルス感染症を理由に、お店や会社を休業にして従業員を休ませたときは、使用者は休業手当を支払う必要がありますが、休業手当を支払った後、雇用調整助成金を申請すると、その休業手当に必要となった費用を助成金で補填することができます。

しかし、手元に資金がなくて、休業手当を払えない。その場合は、雇用調整助成金ではなく、休業者支援金を利用することで、会社の資金を使わずに、休業手当に相当するお金を休業者支援金として従業員が受け取ることができます。

雇用調整助成金は、会社を経由して一括で申請するものですから、従業員が直接に申請できないという短所があります。そのため、従業員が直接に支給申請できる休業者支援金が後から作られました。

休業者支援金の対象期間は何度も延長されてきて、2021年5月の時点で、2021年6月末までの休業が支給対象となっています。

支給額の上限が、2021年4月までの休業の場合は、日額11000円でしたけれども、5月以降は原則として日額9900円に変わっています。ただし、緊急事態宣言やまん延防止措置が適用されている地域では、以前と同様の11000円が上限額として適用されます。

休業手当を支払われないまま自宅待機させられている方が、まさにこの休業支援金の対象者です。

会社やお店によっては、休業手当が払われることなく、単に休みのままズルズルと待機させられている方もいらっしゃるでしょうが、そういう方はこの休業支援金の支給申請の手続きをするといいでしょう。

助成金にしろ、支援金や給付金にしろ、自らが動いて手続きしなければ支給されないものです。 何もせず、じっと待っているだけで、向こうから支給されてくるものではなくて、こちら側から調べて、手続きをして、支給されるものですから、ボーっと待っているだけでは何も変わりません。

申請するのにお金がかかるものではなくタダですから、何もせず諦めるのではなく、申請してみては。

2021年4月から9月までの休業期間に対応する新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の申請は、2022年3月31日で申請受付を終了しています。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(厚生労働省)

 

(2022年4月12日 追記)新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の延長が続き、2022年6月までの休業が対象に

2021年10月 - 2022年3月までの休業期間に対応する申請は、2022年6月30日まで。

2022年4月 - 6月までの休業期間に対応する申請は、2022年9月30日まで手続きできます。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金を利用する対象者というと、例えば、出勤日数が週4日から2日に減った、勤務時間が10時から16時だったのが10時から14時までに減った、臨時で半日だけの出勤になった、など。雇入れ時に決めた勤務日数や時間数で働けなくなると、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金を申請できる可能性があるんですね。

事業主には金銭負担はありませんし、労働者にもその負担はありませんから、条件を満たしたならば確実に申請したいものです。

給与を正確かつラクに計算してくれる給与計算ソフトとは?
やるべき仕事と関係ない仕事は、なるべく省力化して、少ない時間で済ませたいものです。給与計算はバックオフィス業務ですから、本来やるべき仕事とは違い、なるべく簡単に、楽に、早く終わらせるのが賢明でしょう。

 

休日が固定していない職場 どうやって休日割増賃金を払う?

判別方法

どの日が法定休日なのか分からないから、休日割増賃金を払うかどうか迷う

法律で定まった休日に出勤して働くと、35%以上の割増賃金が必要になる。

この点についてご存知の方は多いかと思いますけれども、では法定外の休日には割増賃金が必要なのかというと、それは必要ありません(法律では)。

1週間に少なくとも1回の休日が必要(労働基準法35条)。これが法定休日であって、その日に出勤すると、1週間に1日も休日が無い状態で働くことになります、つまり週7日出勤。

休みなく1週間ずっと働いてしまうわけですから、本人にとって負担なので、35%以上の割増賃金が必要だと決めているのです。

会社によっては、法定休日に関わらず、休日に出勤した場合は割増賃金が付く、というルールを就業規則に定めている、もしくは賃金規定で定めているところもあります。

休日に働いたら、すべて割増賃金を付けるよ、というルールなのです。

法律では割増賃金が付くのは法定休日だけですけれども、それ以外の休日にも割増賃金を付けるかどうかは、会社ごとに任意で決めることができます。

毎週土日が休み。そういう職場もあるかと思いますけれども、勤務シフトによって出勤日や休みの日が決められていて、どの日が休みになるのか、どの日が出勤日になるのか固定されていない職場もあります。

サービス業では固定しない勤務シフトが多いのではないでしょうか。

今週は月曜日と木曜日が休みになったけれども、先週は木曜日と金曜日が休みだった。

このように休みが固定されていない職場で、どの日が法定休日なのかが分からなくなり、割増賃金を支払うべきなのかどうかの判断がしにくい場合があります。

法律では1週間に1回は少なくとも休日が必要ですけれども、何曜日に法定休日を持ってきても構いませんし、週ごとに休日が変わるという形でも構わないわけです。

そのため、どの休日が割増賃金の対象になるのかどうかが判断しにくくなるような職場もあります。


どの休日が法定休日かを判別する手順

例えば月曜日と木曜日が休みになっているとして、残りの五日は出勤日だとしましょう。

月曜日:休日
火曜日:出勤日
水曜日:出勤日
木曜日:休日
金曜日:出勤日
土曜日:出勤日
日曜日:出勤日

では、木曜日が休みから出勤日に変わった場合、割増賃金が必要かどうか。

月曜日:休日
火曜日:出勤日
水曜日:出勤日
木曜日:出勤日
金曜日:出勤日
土曜日:出勤日
日曜日:出勤日

週6日勤務です。6連続勤務は疲れそう。

原則での解釈は、木曜日は出勤日に変わったけれども、月曜日は休みのままだから、この場合は、月曜日が法定休日となり、法律上の休日を取得できていると判断します。

ゆえに、木曜日に出勤したとしても割増賃金は付かないというのが原則的な判断です。

ただし、会社によっては、法定休日かどうかにかかわらず、休日を出勤日に変えた時点で割増賃金を付けるところもありますから、それはそれでそちらのルールが優先されます。

では、木曜日だけでなく月曜日も出勤日に変えた場合はどうなるか。

この場合は、月曜日もしくは木曜日のどちらかが法定休日と扱われ、割増賃金を支給する対象となります。

では月曜日と木曜日どちらを法定休日と取り扱うのか。これはもうどちらでもいいというのが答えになります。

どちらの日も勤務時間数が同じならば、どちら法定休日として扱っても割増賃金に違いは出ません。

しかし、勤務時間数が違う場合、月曜日の勤務時間が7時間で、木曜日の勤務時間が5時間だとすると、どちら法廷休日にするかというと、おそらく木曜日を法定休日とするはずです。

なぜならば、勤務時間が短い方を法定休日として扱う方が割増賃金の額が少なくなるため、会社としてはこちらを選択するというのが合理的な判断になります。

休日割増賃金を自動で計算してくれる給与計算ソフトとは?
給与を計算するときは、基本給だけを計算するだけじゃなくて、割増賃金も計算して含めていかなければいけないものです。手作業では面倒ですし、計算間違いの原因になります。割増賃金を自動で計算してくれる給与計算ソフトならば、そのような煩わしさもありませんよね。


休日が特定できない職場での対処法

1週間に1日の休日を確実に取れるようにすれば、割増賃金を支払う必要がある休日出勤は発生しませんから、週に1日は休めるように勤務シフトを作るが望ましいです。

休みの日が潰れないようにすれば問題は発生しませんから。

他には、振替休日を利用するというのも1つの方法です。

1週間に1日も休みが取れなくなる状況が発生するならば、他の出勤日と休日を振り替えて、休日出勤ではない状態にします。

ただ、休日を振り替えるとなると、振り替えた後の休日がいつまでも取れないという問題が発生する職場があります。

そのため、休日を振り替える場合は、先に休日を取って、その後に振替で出勤するというのが良いです。

先に振替休日を取ってしまえば、いつまでも休日が取れないという問題は発生しません。

先に休日を取って、あとから出勤。振替休日の重要ポイントです。

あとは、休日を区別せずに、すべて35%割増にしてしまうのも1つの方法です。

どの休日でも、出勤したら35%増しにする。

割増賃金の支給率を35%に揃えてしまえば、どの日が法定休日で、どの日が法定外の休日なのかを判別する必要がなくなります。

割増賃金の支給率が35%に固定されると、会社にとって費用が増えますから、なるべく休日出勤はさせないようにしようとインセンティブも働きます。

「休日を雇用契約で土日に固定した場合」、「休日を週2日と決めた場合」の違い

法定休日に出勤して働けば、休日割増賃金、つまり35%以上の割増で給料を計算する必要があります。

雇用契約書で、休日を「土曜日と日曜日」と固定して決めていた場合。一方で、曜日を固定せず、休日を週2日と決めていた場合。この2通りがありますよね。

さらに、休日に出勤した場合は、35%以上の割増賃金を支給する、としていたらどうなるか。

前者の場合、休日の曜日が土曜日と日曜日に固定されています。ということは、土曜日か日曜日、もしくはその両方に出勤したら、割増賃金を付けなければいけなくなります。

法律では、法定休日は1週間に1日と決めていますから、週に1日の休日があれば、それ以外の日は法定休日にはなりません。つまり、1週間に1日でも休みを取れていれば、休日出勤が発生する可能性はないわけです。法律通りの就業規則や雇用契約書を作成していればですが。

 

次に後者のケース。曜日を固定せず、休日は週に2日(もしくは2回)、という形で雇用契約で決めていれば、勤務シフトを組む際に、どの日を休日にするかを決めることができます。先週は土曜日と日曜日が休日になったけれども、今週は木曜日と金曜日を休日にする、というように休日を変えられます。

休日を固定してしまうと、その固定された休日に出勤した場合は、法定休日であろうとなかろうと、割増賃金を払うというルールになってしまいます。

サービス業では、事前にどの曜日を休日にするか特定するのが難しい職場もあるでしょうから、雇用契約書では休日の曜日を決めずに、週に2日、という形で日数だけ決めておいて、曜日については勤務シフトで具体的に決めるという形にするのがいいでしょう。

どの休日に出勤した場合に割増賃金をつけるのか。一方で、どの休日に出勤した場合は割増賃金はつかないのか。このように、割増賃金がつく休日出勤と、割増賃金がつかない休日出勤というのをわかりやすく就業規則や雇用契約、勤務シフトで伝えていかないと、混乱が生じるわけです。

1週間に1日でも休みが取れているなら、すでに法定休日を取れているという扱いになりますから、他の休日に出勤したとしても、それは割増賃金が必要な休日出勤ではないのです。

最低でも1週間に1日は休日を取れるようにしておけば、割増賃金をつける休日出勤になるかどうかで問題が生じることはなくなるのです。1週間、休みなく働いてしまうと、そのうち1日は休日労働になりますから、休日手当(休日労働の割増賃金)が必要になります。週に1日は確実に休みを取れる職場なら、休日割増賃金についてあまり心配する必要はありません。

職場によっては、休日に出勤、つまり会社が決めた所定休日に出勤すると、全て休日割増賃金をつける、というルールにしているところもあります。会社なり事業所ごとによってルールが異なりますので、雇用契約や就業規則を確認する必要があります。

休日の曜日を雇用契約で固定しても大丈夫なのかどうか。休日の日数だけ雇用契約で決めておき、具体的な日程は勤務シフトで決めていくのか。職場ごとに判断する必要があります。 

割増賃金の未払いを防いでくれる給与計算ソフトは?
給与は、基本給だけを計算すれば足りるものではなく、割増賃金、つまりは時間外労働に対する割増賃金や深夜労働の割増賃金、休日の割増賃金といったものを計算しなければいけませんので、計算を間違って未払いにならないよう自動で給与を計算してくれるソフトを使うほうがいいでしょう。

年次有給休暇を取ったら法定休日を取ったとみなせる?

代替不可

 

 

休日も年次有給休暇も同じ休みだがお互いに役割が違う

労働基準法35条(以下、35条)には、『使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない』と書かれており、毎週1日は休日が必要とルールが決められています。

この毎週1日の休日というのが、法定休日と言われるもの。

一方で、法律には年次有給休暇というものもあって、こちらも休日のように仕事が休みになる点では同じです。

では、仮に、水曜日に年次有給休暇を取得して休んだとすると、その週は法定休日は必要なくなるのかどうか。

毎週少なくとも1回の休日が必要なわけだから、年次有給休暇を取ったということは、その1回の休日に相当するものを取ったのだと解釈できるのか。

それとも、35条の法定休日は、年次有給休暇と違って、別枠で取らなければいけないものなのか。

この点が問題となります。

 

 

年次有給休暇は法定休日の代わりにならない 

法定休日であれ、年次有給休暇であれ、休みという点では同じですが、その点が同じであっても、法定休日の位置付けと年次有給休暇の位置付けは違うのです。

法定休日は、法律で定めて、強制的に取らなければいけない休みの日で、毎週1回の休日が必要だということ。

一方で、年次有給休暇は、それをいつ取得するかは、労働者なり従業員が決めることで、今週、年次有給休暇を取ったから、もう法定休日はいらないだろう、というものではないのです。

年次有給休暇を法定休日の代わりにしてしまうと、35条の休日が与えられていないということになり、法律に違反します。

例えると、ナスとダイコンはどちらも野菜ですけれども、ぶり大根を作るのにダイコンの代わりにナスを使うわけにはいきませんから。

ゆえに、今週の水曜日に年次有給休暇を取ったとしても、別の日に少なくとも1日の休日を勤務スケジュールの中に入れなければいけないのです。

仮に、水曜日が年次有給休暇ならば、金曜日を法定休日にするというように、年次有給休暇を取ったかどうかに関わらず、法定休日は必要なのです。

同じ休みだからといって、年次有給休暇は法定休日の代わりにはなりませんので間違いなきよう。

付け加えると、労働基準法では、休日は35条に根拠があり、年次有給休暇は39条に根拠があります。お互いに代替できるならば、あえて条文を分けることもありませんから、休日と年次有給休暇はお互いに代替できないと考えるのが正しいのですね。

年次有給休暇の管理にまつわる疑問と正しい対応例
働いてる人にとって年次有給休暇は関心を集めますから、労務管理でも疑問や問題が生じやすいところですよね。労務管理でもトラブルになりやすいのが年次有給休暇の取扱いです。ならば年次有給休暇についてキッチリしている職場にすれば、働いている人たちからの評価も上がっていくでしょうね。

半日有給休暇、時間単位有給休暇、導入するほどの利点があるのかどうか

費用と効果

 

 

半日の有給休暇や時間単位の有給休暇にどういうメリットがある?

1日単位で使うだけでなく、半日単位や時間単位で有給休暇を使えるようになると便利であるとの感覚から、細かい単位で有給休暇を使える会社があります。

確かに、午前中を休暇にして午後から仕事にするとか、午前中だけ出勤し午後からは休暇にするとか、家庭の都合で1日の勤務時間のうち2時間分だけ休暇にしたりなど、個々の事情に合わせて柔軟に休暇を利用できるように思えます。

ただ、半日単位や時間単位の有給休暇に対してどれほどの需要があるのか、この点は簡単には知り難い部分で、柔軟に休暇を利用できるようになっているのだから、さぞ需要もあるだろうと思うところですが、実際はどうなのでしょうか。


もし、自分の会社で、半日単位や時間単位で有給休暇を利用できますとなったら、みなさんはそのような方法で有給休暇を利用しますか。



有給休暇のメニューを多くするよりも、分かりやすさを選ぶ

柔軟に休暇を利用できる。個々の事情に合わせて休暇を利用できる。半日や時間を単位として有給休暇を利用する際には、そういう利点があるのは確かです。

しかし、休暇を細かく分けて使うとなると、有給休暇の申請回数も増えます。例えば、休暇が20日残っている状況で、1日単位で休暇を利用すれば、最大でも20回の手続きで済みます。さらに、連休にして休暇を利用すれば、さらに手続きの回数を減らすこともできるでしょう。一方。20日分の休暇を半日で取得していけば、40回の申請が必要になり、時間単位でさらに細分化していくと、さらに申請の回数が増えます。

休暇の申請手続きならばさほど負担ではないので、手続きの回数が増えたとしても構わないと考える方もいらっしゃるでしょうが、チョコチョコと小刻みに休暇を使われると、やはり嫌がる人もいるものです。


午前中だけ休暇、午後は休暇となると、他の人に気をつかう場面もあるでしょう。自分だけ午前中だけ仕事を終わらせ「お疲れ様でした」とか、午後からヒョコっと仕事に参加するとか、気を使いすぎではないかとも思えますけれども、職場の雰囲気とかを気にする人もいるでしょうから、妙に気を使いながら休暇を利用しなければいけないときもあるでしょう。

半日単位、時間単位で休暇を利用できるのは、おそらく規模が大きい企業に勤めている人ではないかと思います。規模が小さい企業だと、労務管理で細かいメニューは設けていないところが多いのではないでしょうか。

会社の規模が大きければ、働いている人も多いので、代わりの人はたくさんいるのだから、細かく休暇を取得するのではなく丸1日休んでも大丈夫ではないかと想像します。

丸ごと1日休んでしまった方がスッキリして分かりやすいし、中途半端に出勤して周りの人に気を使うこともない。さらに、1日単位の方が休暇の消化が早くなり、休暇を申請する手続きの回数も減らせます。

細かい気配りができる労務管理も大事ですが、分かりやすい労務管理はもっと大事です。



働いている時間なのか、そうではないのか。時間単位の年次有給休暇で混乱。

有給休暇は1日単位で使うのが主流ですが、会社によっては時間単位で細切れに使えるようにしているところもあります。

2時間単位、4時間単位など、1日8時間が勤務時間の区切りなので、偶数の2か4で切り分けるパターンが多いはずです。

時間単位で細かく有給休暇を使えると、家事や育児、役所の窓口に手続きに行く場合に休暇を利用できるので、人によっては便利なのかもしれません。

例えば、4時間単位で有給休暇を使った場合、午前が休暇になる場合や午後が休暇になる場合があり、1日8時間のフルタイムでの勤務にはならない。そのため、休憩時間はどうなるのかが疑問になる場合があります。

もし、勤務時間が9:00から18:00である場合、昼休みが1時間あります。ここで、午前中に4時間の時間単位での有給休暇を取得した場合、昼休みはどうなるか。

9:00 - 13:00
4時間の有給休暇。

13:00 - 18:00
勤務時間。

となるのか。


もしくは、

9:00 - 14:00
4時間の有給休暇に昼休みを含む。

14:00 - 18:00
勤務時間。

となるのか。

どちらでしょうか。

 

 

実は便利じゃない時間単位の有給休暇

休憩時間については基準があります。

労働基準法34条(以下、34条)
「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。」

1日に8時間の勤務であるならば、8時間を超過する可能性があるので、休憩時間は1時間になります。また、6時間を超える場合は、休憩時間は45分です。


もし、午前中が有給休暇である場合、勤務時間は13:00 - 18:00ですから、5時間です。ということは、34条の基準には該当しないので、昼休みは必要ないということになります。

労働時間は「実際に勤務した時間」を意味しており、有給休暇に該当する時間(今回の場合は4時間)は給与を伴うものの、実際には仕事をしていない時間なので、34条の労働時間には含まれません。

よって、時間単位の有給休暇によって実際の勤務時間が減ると、休憩時間がなくなる場合があるのです。

時間単位での有給休暇は便利そうですが、実際にそれを利用していると、思ったよりも使いにくいと感じるはず。

小回りがきき、柔軟に有給休暇を利用できる。実際に利用するまではこのように想像するものですが、いざ時間単位でブツ切りにして有給休暇を使ってみると、何だかメンドクサイ。もし、4時間単位で有給休暇を使うと、1日単位で有給休暇を使う場合に比べて休暇の取得手続きが2倍になります。

午前中は有給休暇で、午後は出勤。午前中だけ出勤して、午後は有給休暇。言葉だけ聞くと、さも良い有給休暇の活用法のように思えますが、午前中が休みなのに、午後から出勤だと気分がのらないものです。「あぁ、、昼から仕事かぁ、、」と思うのではないかと思います。

1日単位で使って行ったほうが休暇の残日数が早く減っていくし、中途半端に仕事をすることもありませんから、気分はスッキリします。

もちろん、時間ごとに細かく休暇を使えたほうが良いと考える人が多い職場ならば、時間単位の有給休暇も良いものになります。しかし、職場でニーズがなさそうだと判断したら、あえて時間単位で休暇を使えるようにする必要はありません。

 

 

半日有給休暇の半日とはどこからどこまで? 半日を何時間に換算するのか

通常、有給休暇は1日単位で取得するのが原則ですが、変則的に半日の有給休暇を利用できる会社もあります。

1日の休暇を2分割して休暇を利用するのが半日有給休暇です。


ただ、「半日の定義」が曖昧なこともあるようです。


所定労働時間が1日8時間ならば、半日有給休暇は4時間で計算できますよね。

しかし、時間外も含めて1日あたりの勤務時間を平均すると、1日あたりで9時間勤務になったりもしますので、これだと半日有給休暇は4.5時間で計算するべきなのではとも思えます。


所定労働時間で半日を定義するのか、それとも、実際の勤務時間を平均した数字を基準にして半日を定義するのかによって、結論が変わってしまうのですね。

さらに、パートタイマーの方だと、個々に所定労働時間が違いますから、半日で意味するところの時間の長さが個々で違ってきます。

 

それゆえ、半日の定義を決めずに半日有給休暇を運用すると支障が出るときがあるわけです。

 


半日有給休暇の半日は1日の1/2ですか?

半日有給休暇を運用するときは、所定労働時間を使うのか、それとも実働時間の平均を使うのかは、事前に決めておきたいですね。


ただ、実働時間の平均といっても、どのくらいの期間の平均なのかによって計算結果も変わります。

例えば、ある数字の平均を計算するとすると、3ヵ月平均と6ヶ月平均では結果が変わりますよね。

労務管理では、3ヵ月平均を使うことが多いようですので、3ヵ月平均を使うと良いのかもしれません。


しかし、あえて実働時間を使わずとも、雇用契約で決めている所定労働時間を使えば管理が簡単ですので、こちらの方が実用的だと思います。

 

具体的には、就業規則の半日有給休暇を決めている箇所で、

「なお、半日は、所定労働時間の1/2として計算します」と書くのが妥当でしょうか。


半日有給休暇を運用するときには、「半日の定義」という点が考えから外れてしまうこともありますので、少し注意が必要ですね。

 

 半日で年次有給休暇を使える選択肢が無く、1日単位のみで有給休暇を取得する職場でしたら、こういう厄介なことを考えなくて済みます。

手間のかかる労務管理をしてまで、年次有給休暇を切り刻むほどの利益があるのかどうか。ここは考えておかないといけないでしょう。デメリットを上回るメリットがあれば、導入しても良いのでしょうが、そこまでのものがあるかどうか。

 

 

年次有給休暇を細切れにすれば労務管理も手間が増える 手間に見合うほどの効果があるのか

年次有給休暇は1日単位で使うもの。そう決めている事業所が大半であろうと思いますが、 中には半日単位で有給休暇が使いたい1時間や2時間といった時間単位で年次有給休暇を使える事業所もあります

細かな単位で年次有給休暇は使えるか自分に労務管理をしているというようなイメージが伝わりますけれども、実際の労務管理での運用は面倒なものとなります

本来畳一日単位で有給休暇を使うだけですからメニューは一つです

しかし半日は時間単位で年次有給休暇が使えるとなるとメニューがさらに二つ追加され合計で三つもできてしまいます

そのそれぞれのメニューに対してどういう条件で運用するのか対象者が誰なのか残日数の完了とするとか細かく決めていく必要があるわけです

そういう面倒な作業をしてでも半日単位有給休暇4時間単位有給休暇を導入したいのかどうかそこまでの需要があるのかどうか制度を作る前に検討が必要です

 

年次有給休暇の管理にまつわる疑問と正しい対応例
働いてる人にとって年次有給休暇は関心を集めますから、労務管理でも疑問や問題が生じやすいところですよね。労務管理でもトラブルになりやすいのが年次有給休暇の取扱いです。ならば年次有給休暇についてキッチリしている職場にすれば、働いている人たちからの評価も上がっていくでしょうね。

 

半日有給休暇と時間単位有給休暇の問題点

なぜ、年次有給休暇を1日単位で使わないのか。なぜ、細切れで年次有給休暇を使いたがるのか。

半日や時間単位で細かく使うよりも、丸1日休んでしまったほうが気分が楽でしょう。

午前中だけ半日有給休暇を使うと、午後から仕事に行かなきゃいけないわけですし、午後から半日有給休暇を使うとなると、午前だけ仕事に行く必要があります。

そういう中途半端な使い方をするよりも、1日休んじゃえばいいんじゃないか。こう考えるのですが、少ないながらも、細切れで年次有給休暇を使いたいという需要はあるようです。

半日単位や時間単位で有給休暇を使えるような職場ならば、普段から年次有給休暇を使いやすい環境なのでしょうから、細かくチョロチョロと使うのではなく、1日単位だけでなく3日や4日と、まとめて使ってしまうほうが、休暇として本来の機能を発揮できるのでは。

1日単位、半日単位、時間単位、このように3つもメニューを作ってしまうと、それぞれのメニューごとに条件を設定して、運用をしていかねばなりません。

仮に、年次有給休暇を半日単位で使えるとして、付与された年次有給休暇の何日分を半日有給休暇として使えるようにするのか。

付与された日数の10日分までなのか、それとも5日分までか。さらには、付与された日数のすべてを半日単位で使っても構わないのか。

付与された日数を基準にするのではなく、残日数が6日以上ある人を対象に半日単位で有給休暇を使える、なんていう条件設定もありそうです。付与日数ではなく、残日数を基準にしている点が先程と違うところ。

さらに、半日の定義も問題となります。

どこからどこまでが半日に相当するのか。午前と午後に分けるとしたら、午前というのは何時から何時までか。午後は何時から何時までなのか。

これも事業所ごとや個人ごとに定義や考え方が変わってくるわけです。

一例として、午前は3時間相当で、午後は4時間半に相当する、つまり午前と午後の時間配分が違っている事業所もあります。単純に、午前4時間、午後は4時間と分けられるとは限りません。

そういう事業所で半日有給休暇を運用するとなれば問題が発生しますよね。同じ半日有給休暇であるならば、より時間が長い午後の方に取ったほうが、従業員としては得だと判断してしまいます。休みの時間が長くなるわけですから。

午前と午後のアンバランスな状況に対処するために、半日単位有給休暇と時間単位有給休暇を組み合わせて対処するなどという複雑な方法を用いる事業所まであります。

上記の例を用いると、半日を労働時間3時間相当と扱い、午後は1時間30分足りないので、そこに時間単位有給休暇を差し込んで切り抜けようというものです。

このように面倒な運用をしてまで年次有給休暇を切り刻みたいのかどうか。 制度を導入する前に考えないといけないでしょう。

1日の所定労働時間は8時間。世間的には、そう思われていますけれども、職場によっては1日7時間30分とか7時間45分後など、所定労働時間が8時間になっていない職場もあります。

そういう職場でどうやって半日単位の有給休暇を制度として運用していくのか。

さらには、パートタイマーの人だと、日によって勤務時間が違いますから、月曜日は4時間勤務だったけれども木曜日は6時間勤務と日によって変化します。こういう人が半日単位で有給休暇を使うとなれば、どう対処するのか。

勤務時間が長い日を狙って半日単位有給休暇を取ってもいいのでしょうか。従業員はそういう合理的な判断をするはずです。

かといって、フルタイムで勤務する人しか半日有給休暇を使えませんとなると、パートタイムで働く人たちからすると不満に感じるのでは。

時間単位の有給休暇でも、法律上は、付与された日数の5日分が時間単位で使えると決められていますけれども、労働者に有利になるよう、これを7日分にする事業所もあれば、すべての年次有給休暇を時間単位で使って構わないという事業所もありそうです。

時間単位といっても、1時間単位で使えるのか、2時間単位で使うのか。さらには、30分単位での使用も認めるのか。

考え出すと切りが無いほど問題点があります。

そういう問題点をクリアしてでも、年次有給休暇を細切れで使いたいのかどうか、運用していきたいのかどうか。これは制度を導入する前に考えないといけない点です。

1時間の年次有給休暇なんて、もはや休暇とは呼べず、ただの休憩と同じでしょう。

 

 

年次有給休暇は用事で使うものではなく、気分転換で使うもの

事業所によっては、半日単位、時間単位の年次有給休暇を用意せず、従来通り1日単位で使うだけというところもあります。

制度を導入する義務はなく、事業所ごとの任意です。

休暇ですから、本来は用事のために使うような休暇ではなくて、気分をリフレッシュするために使うもの。

病気だとか家の用事だとか、そういう必要に迫られて取るような休暇ではなくて、特に理由はないけど、休暇を取って休もうか、というぐらいの感覚で使われるのが本来の年次有給休暇です。

半日休むぐらいならば1日休んでしまえばいいのです。2時間だけ休暇を取るぐらいならば1日休んでしまえばいい。

数時間で済む用事ならば、勤務時間を短縮して対応できますから、年次有給休暇はなるべくまとめて取るようにしたほうが残日数が早く減りますし(年次有給休暇の取得義務化にも対応しやすい)、休暇を取った本人も満足できるでしょう。

 

 

年次有給休暇の計画付与以外にも選択肢はある

有給休暇は1日単位で使うのが一般的ですが、会社によっては、半日単位や時間単位で休暇を利用できるところもあります。上ではさんざん否定的に書いてきましたけれども、現実に導入している会社はあります。

より細かい単位で休暇を使えるようになると、隙間時間を作り出したり、ちょっとした私用や家事の時間を作ることもできる。そのため、細切れで休暇を利用できる選択肢を用意しているのかもしれません。

ただ、半日や時間単位で休暇を利用出来れば、便利そうですが、日数の管理がしにくくなります。半日だと0.5日、時間単位だと0.1とか0.25のような数字も出てきて、残日数を計算する手間が増えるはず。

年次有給休暇を取っている本人は便利で快適なのでしょうが、一方で、その残日数を管理している人もいるわけですから、その人達からすると悩みのタネになります。

もちろん、半日単位の休暇や時間単位の休暇への需要もあるでしょうから、そのような利用法もあっていいと思います。ただ、細切れで休暇を使ってしまっては、もはや休暇ではなく休憩のようなものに変わってしまいかねない。有給休暇ならぬ「有給休憩」と表現すべきでしょうか。

時間単位ならば、2時間だけ有給休暇を取得することもできるのでしょうが、これを有給休暇と表現するのはちょっと変な感じ。

もし、2時間の時間が必要ならば、出勤時間をずらすとか、休憩時間を当日だけ延ばしてもらうとか、帰宅時間を早めて早退するとか。代替的な手段はあります。

ただ、上記のような方法で対応すると、給与が控除されたり、人事評価が下がるかもしれない。確かに、そういう会社もあるのでしょう。

しかし、2時間だけ休暇というのは、やはり変だと感じるのではないでしょうか。休暇というのは、休みであって、バカンスであって、ホリデーやバケーションです。2時間だけのバカンスはバカンスじゃないし、2時間だけのバケーションでは短すぎる。

休むために使うのではなく、家事、育児、免許証の更新のために半日休暇や時間休暇を使うならば、1日まるごと休んでもいいんじゃないでしょうか。

半日や時間単位で有給休暇を使えるような職場ならば、労務管理もキチンとしていて、代替人員も豊富なのではないかと思います。ならば、あえて時間単位で休暇を取得して、仕事と休暇を混ぜてスケジュールに入れなくても良いように思えます。

 

なるべく休暇をまとまって使うようにして、細切れで使わないようにするにはどうしたらいいか。

半日単位や時間単位、さらに1日単位という小さな単位で休暇を使うのではなく、4日まとめて、7日まとめてというように、ドバっと休暇を消化するにはどうしたらいいか。

休暇の利用を促進するには、計画付与が一般的な手段です。これは、よく提案される方法ですよね。

しかし、計画付与もうまく機能しないときもあるのではないでしょうか。計画休暇だけれども、思ったように休暇を消化していない。計画休暇の部分だけは消化できていても、自由利用の休暇は残ったままとか。計画消化するための年次有給休暇が足りない人も出てきますからね。

計画付与以外にも、何か休暇の利用を促進する手段があれば良いですよね。


では、休暇の計画付与以外にどんな手段があるか。

 

 

連続した年次有給休暇を取りたいと思わせる仕組み

まとめて休暇を使うには、それなりの仕組みと動機が必要です。

そこで提案するのが、割増休暇の仕組みです。

例えば、「3日以上連続した有給休暇を取得した場合、取得した休暇の1/2を割増有給休暇として追加する。なお、休暇数に端数が生じたときは切り捨てる」というもの。

具体例を示すと、3日連続の休暇を取得すると、1.5日が追加される。4.5日なので、端数は切り捨てて、休暇数は4日になります。追加された休暇は通常の有給休暇とは別に会社が用意するため、本人が消化する年次有給休暇の日数は3日分です。

この仕組の特徴は、「なるべくまとめて休暇を取ったほうがトクだ」と思わせる点にあります。バラバラで休暇を使っても休暇は増えませんが、まとめてドバっと取得すると、休暇が増える。そのため、連続した休暇を取得しようという動機が生まれるのですね。

さらに、3日連続ではなく、5日以上連続を条件にすれば、さらに消化は進みます。また、割増のハードルを上げることも同時にできるので、会社にとっても都合がいい。年次有給休暇の取得が義務化されていますから、この点でも有利です。

5日以上連続が条件ならば、もし6日連続で有給休暇を取得したとしたら、その1/2がプラスされるので、9日の休暇になる。内訳は、6日分は手持ちの有給休暇から利用して、残りの3日は会社が特別に年次有給休暇を付加します。

単純に取得するよりもお得感がある。細切れよりも、まとめて取得しようという動機が生まれる。

上記のような割増休暇の仕組みは、有給休暇の取得を促進する施策の例として良いのではないかと考えました。

他には、3日以上の連続した年次有給休暇を取得した場合、1日あたりの賃金を2,000円加算する、というのも一案です。このルールなら、3日連続の年次有給休暇を取ると、給与が計6,000円上乗せされます。

日数を増やすのではなく、年次有給休暇を取得した日の賃金を上乗せするというものです。

労務管理では、人の気持ちをどう取り扱うかがポイントになりますから、上記のように、「まとめて休暇を使おう。その方がお得だ」と相手に思わせるように仕掛けを作るのも一考する余地があると思います。

年次有給休暇の管理にまつわる疑問と正しい対応例
働いてる人にとって年次有給休暇は関心を集めますから、労務管理でも疑問や問題が生じやすいところですよね。労務管理でもトラブルになりやすいのが年次有給休暇の取扱いです。ならば年次有給休暇についてキッチリしている職場にすれば、働いている人たちからの評価も上がっていくでしょうね。
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