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時効の年次有給休暇を活用、ストック休暇という発想

貯める

 

休暇が失効しても使える。

ご存知のように、有給休暇には時効という有効期限があります。

有給休暇の時効は労働基準法で決まっていて、その期限は2年です。それゆえ、休暇が付与されてから2年が経過すると、休暇は消えてしまうのですね。


ただ、通常だと2年で消えてしまう休暇であっても、企業によっては、時効に達した休暇を完全に消滅させるのではなく、特定の用途で利用できるようにするところもあります。いわゆる、「失効年次有給休暇の積立制度」と呼ぶものでしょうか。

通常だと、有給休暇はどのような用途でも利用できます。しかし、時効で休暇の権利が法的に失効すると、その後は企業の自治の範囲で取り扱いを決めることが可能です。

そのため、法的に失効した有給休暇を傷病のときに限って利用できるようにするとか、慶弔時に利用できるようにするとか、他にも、何らかの緊急の用事で使えるようにすることもあり得るわけです。

もちろん、失効した休暇をどの用途で利用するのかという基準は企業ごとに決めることができますので、上記のような例に限られるわけではありません。

失効期限を2年ではなく4年にしたり、失効した休暇は20日まで積み立てることができる、などのように色々な条件を設定することもできるでしょう。

 

 

良い仕組みだけど、ヘンな感じ。

しかし、法的に失効した休暇を、2年を経過した後であっても使えるという仕組みは便利なのでしょうが、考えようによってはヘンな感覚も持ちます。

例えば、消化できなかった休暇が時効に達すると、失効積立の休暇になるのでしょうが、本来ならば時効に到達する前に休暇を消化するのが望ましいですよね。

有給休暇が時効に達する前に消化できないのは企業の責任ですから、30%増しの単価で買い取るというような方策の方が良いのではないかと私は考えます。

失効休暇を積み立てる制度は、「時効に達しても、失効休暇として積み立てることが可能なのだから、社員さんには都合が良いだろう」と考えられているのでしょうけれども、休暇を消化させなかった企業の責任を回避するための仕組みではないかとも考えることができるのですね。

もし、失効休暇を活用する仕組みがない環境で、2年の時効で休暇が失効してしまうと、会社への不満が生じるかもしれませんが、失効休暇を積み立てる制度があればそのような不満が生じるのを回避する効果もあるでしょうね。ただ、キチンと有給休暇を消化させない環境を残存させる仕組みとして使われてしまう可能性もあります。

ゆえに、失効年次有給休暇の積立制度には確かに良い側面があるものの、ちょっとした欠点のようなものもあるのですね。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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