労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

時短要請により休業する人としない人で不公平が生じたらどう対処するか。

休業する人 休業しない人

 

 

休業する人と休業せずに出勤する人を分けることはできるか

休業するとなると、会社全体で操業なり営業を止めて、全員が休むというイメージをまず抱きがちですけれども、全員が一斉に休業する必要はない場面もあるでしょう。

例えば、従業員数が全員で20人という会社があるとして、全員が休業する必要はなく、休業するのは半分だけで足りるとすると、残りの半分である10人は出勤することになります。場合によっては、テレワークで在宅勤務する方もいらっしゃるでしょう(これも出勤に含む)。

従業員の半分が休業して、残りの半分が通常通りに出勤する。こういう形にできるかというと、これは可能です。

雇用調整助成金を利用するには、「休業規模要件」という条件があり、この要件を満たす必要があります。「休業等延日数が所定労働延日数の40分の1以上」、これが休業規模要件なのですが少し分かりにくい書き方になっています。

従業員数が20人で、1ヶ月あたりの所定労働日数が20日だとしたら、1か月あたりの所定労働日数は全員分を合計すると400日です。このうちの1/40ですから、1か月あたり40日分の休業を実施する必要があるわけです。

40日分というと、全員が休業して1日と計算するのではなく、1人が1日休業すると1日分として計上されます。ですから、従業員数が20人いるところ、その半分が休業すれば10人が休業することになりますので、1日休業すれば10日分の休業をしたという扱いになるのです。ここでは、「10日分の休業」ではなく「10人日分の休業」と表現したほうが分かりやすいかもしれません。

ですから、10人が休業する日を4日設けると、休業規模要件である40日に達する計算になります。

10人が休業する日が4日あればいいので、1/40の休業規模要件を満たすのは難しいことではありません。

休業する人と休業しない人を分けると、休業する人は休業手当で給与が出ますけれども、休業せずに出勤する人は通常通りに働きますから、この両者の間の差をどのように補填するかを考えなければいけません。

休業で休んで給料が出るんだったら、出勤するよりも休んでいた方がいいじゃないか、と考えるのが合理的な判断です。年次有給休暇を使わず使用者の都合で休業という形にしてもらえますし、給料は休業手当で支払われますから、出勤するよりも休業で休む方が得だと考えるのが当然です。

となると、出勤する人からすると、出勤して働いて給料が出るのは当然ですけれども、休んでる人は何もしなくても給料出るのだから、私たちも出勤せずに休業にしてほしいと思ってしまいます。

出勤するよりも休業した方が得だと思わせてしまうと、営業したくてもできない状況になってしまい使用者は困ります。

ですから、休業せずに出勤している人たちに対しては、給料を割増にするなり、特別な手当を上乗せして、休養する人とは差をつけるような形にして、出勤してくれている人達に納得してもらいます。

休業するよりも出勤して働いた方が良い、と判断してもらえるような条件を提示しておく工夫が必要ですね。 

 

 

休んで給与を受け取るほうがいいじゃないか

新型コロナウイルス感染症に対する対策として、緊急事態宣言が発出され、夜間の営業が出来なくなったお店で起こりうる問題です。

営業時間を短縮するように要請され、夜の営業時間が休業になったとき、朝や昼に出勤している人たちとどのようにバランスをとっていくか。

仮に、朝から夜まで営業しているお店があるとして、行政からの休業要請に応じて、夜の営業だけ休業して、朝から昼にかけては通常通り営業するとしましょう。

そのような職場で、パートタイマーの方が働いているとして、朝の時間帯に出勤する人、昼の時間帯に出勤する人、夜の時間帯に出勤する人、という形で出勤する時間帯がそれぞれ分けられている。

営業時間が長いお店で、パートタイマーの方がたくさんいらっしゃるところだと、時間帯ごとに勤務シフトを分けていますよね。

朝と昼に出勤する人たちは、通常通りの勤務になるわけですけれども、問題は夜に出勤するパートタイマーの人たち。

例えば、朝から出勤する人が9時から14時まで働いて、昼から出勤する人は14時から20時まで。夜に出勤する人たちの勤務シフトは20時から始まるとします。さらに、緊急事態宣言により20時以降には営業できないものとします。

そうなると、夜の時間帯の人は出勤できないので、夜のシフトに入っている人たちは、全部休業になってしまい、休業手当が支給されて休むことになります。

朝と昼の人たちは通常通りに働いているのに、夜の人たちは休業しているにも関わらず給料は休業手当という形で支払われている。

となると、朝と昼に出勤する人たちからすると不満を感じます。普段通りに出勤して給与を受け取っている人と、休業しているにも関わらず休業手当でもって給与が支払われている人たちがいるわけですから。ならば、働かずに休んで給料が払われる方がいいだろう、と考えてしまうのが人間の感情です。

仮に同じ給与ならば、働いて受け取るよりも、休んで受け取る方が得だと思うでしょう。

朝と昼の人は通常通り出勤している。夜の人は休業になって、休業手当が出るわけですけれども、ならば休業手当の支給率を100%ではなく80%や60%に変えて支払う額を削減して、朝と昼に出勤する人たちの不満を緩和しよう、と思うところですけれども、それで問題を解決できるのかどうか。

休んでいる状態で給与が出るのだから、ちょっとぐらい減らしてもいいだろう、という使用者の感覚なのでしょうね。

仮に、その職場なりお店が、以前に実施した休業では、すべての時間帯で休業していて、朝でも昼でも夜でも、全ての時間帯が休みになり、休業手当の支給率も100%だったとしたらどうか。

今回の緊急事態宣言では、夜の営業だけを休業にしており、全員が休業になっていない、というのが問題の原因となってるところです。出勤する人と休業する人が分かれてしまっているのが悩みどころなのです。

全員が休業で休んでいるなら、休業手当を全員に支払って、それで対処が出来るんですけれども、出勤する人と休業する人が分かれてしまうと、その両者の間のバランスをどう取っていくかを考えなければいけなくなります。

朝と昼に出勤している人たちのことを考えて、夜の人たちに支払う休業手当を100%ではなく、それより低い支給率にしてしまうと、以前は100%で休業手当が支給されていたのに、なぜ今回は80%や60%のように減らされてしまうのか、と休業する人たちから不満が出てくるのではないでしょうか。

通常通りに出勤している朝シフトや昼シフトの人たちも、休んでいる人たちには休業手当が支払われているのに、私たちは普段通り働いて給与が支給されているのは納得できない、と思わせてしまいます。

休業手当の支給率を100%よりも低い数字にしたとしても、朝と昼に出勤してる人達の不満をおそらく解消できないでしょうし、さらに、夜に出勤する人たちも、休業手当が100%で支払われないことに対して不満を感じるはずです。

ではどうすればいいか。

 

 

休業手当を減らすのではなく、休業しない人の給与を増やす

まず、夜のシフトの人たちは、休業手当の支給率を100%のまま休んでもらう。これで問題のうち片方は解決できます。

次に、朝と昼に出勤する人たちの不満をどのように解消していくのか。夜シフトの人たちが休業になって、会社は休業手当を支払いますが、その費用は雇用調整助成金で補填されます。実質的に会社が負担する人件費は、休業手当と雇用調整助成金で相殺されます。

ならば、夜シフトに当てていた人件費の予算は浮くわけですから、その浮いた予算を使って、朝と昼のシフトの人たちの給料を上乗せします。

休んでいるよりも出勤する方が得だ、と思わせるような仕掛けが必要ですから、普段通りに働いて、給与も普段と同じでは納得しにくいところです。ですから、夜の時間帯を休業にしている間は、朝と昼の時間帯に出勤した人は給与が上乗せされるような仕組みが必要になります。

仮に、朝と昼と夜で人件費の予算がそれぞれ1/3ずつ充当されているとするならば、夜の時間帯が休業になるのですから、人件費の1/3は余るという計算になります。その余った1/3の人件費を、朝と昼の出勤する人たちの給与に上乗せします。

出勤する時間帯によって、普段通りに勤務する人と休業して休業手当を受け取る人が分かれてしまう職場では、休業する人に対しては休業手当を100%で支払っておいて、出勤する人たちに対しては給与を上乗せしていく。

このように両者に対して満足できるような着地点を提示しなければいけないでしょう。

 

 

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山口正博 社会保険労務士事務所
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