毎日残業なしのはずだが、実は残業になっている
法律では、1日8時間まで、1週間だと40時間まで。この時間が法定労働時間として設定されています。1日8時間勤務して、1週間では5日出勤するという前提で設計されているため、週に6日出勤して休みは1日という職場には合わない部分が出てきます。
例えば、1日8時間で、週6日出勤すると、毎日8時間以内に仕事を終えていれば残業はないのですけれども、週6日で出勤すると、1週間あたりでは48時間になりますから、残業が発生しているわけです。
1日ごとに残業が発生してるかどうかを判断すると、毎日8時間以内に仕事を終えていれば、「うちの職場では残業がないな」と思ってしまうところです。法定労働時間を超えていませんからね。
しかし、1週間あたりで労働時間数を見てみると、1週40時間超えて48時間になっているのですから、8時間分は法定時間外労働になり、残業となってしまいます。
1日あたりの計算では残業にならないが、1週間あたりだと残業になっている。その結果、知らないうちに未払残業が発生している職場もあるのでは。
1日8時間以内で仕事が終わっていれば上記のようになりますが、日によって8時間を超える勤務がある場合はまた違った面が見えてきます。
1日あたりだと3時間残業。1週あたりだと11時間残業。どっちが正しいの?
仮に、月曜から金曜まで毎日30分の残業が発生したとしましょう。つまり、1日8時間30分労働が週6日で続いたと考えます。
毎日30分の残業が週6日で発生してるわけですから、合計で180分、つまり3時間の法定時間外労働が発生したと判断できます。
一方で、1週間あたりの残業時間を考えてみると、まず残業なしで考えた場合も、既に8時間の残業が発生していて、そこに上乗せで3時間の残業が発生してるわけですから、合計では11時間の法定時間外労働が発生していると考えます。
ここで、1週あたり11時間の残業が発生していて、1日あたりの合計では3時間の残業が発生しているわけだから、それぞれ重複して割増賃金を支払う必要があるのでは、と考えてしまう方もいらっしゃいます。
どういうことかというと、1日あたりだと3時間の残業で、1週間だと11時間残業ですから、その両方を合わせて14時間分の割増賃金を払う必要があるんじゃないか、と考えてしまうわけです。
法律は1日あたりと1週あたりの法定労働時間を設けてるわけですから、人によってはそれぞれ別計算で、割増賃金を出して合算していくんじゃないか、と考えてしまう人いても不思議ではありません。しかし、それだと割増賃金を二重に支払ってしまう部分が出てきます。
1週11時間、1日あたりで3時間ですから、両方重ね合わせると、3時間分が重複しています。二重に割増賃金を支払う必要はありませんから、1日あたりの割増賃金と1週あたりの割増賃金をを比較して、どちらか多い方を払えばそれで足ります。
このような歪な状況が発生するのは、週6日で出勤している職場です。1週間に2日休みがあって、出勤するのは週に5日という職場だったら、1日当たりの残業時間と1週あたりの残業時間にズレは生じにくいのですけれども、週6日出勤の職場では今回のような問題点が生じるのです。