労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

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新型コロナウイルスワクチン接種の特別休暇をどう設計するか

ワクチン休暇

 

ワクチンを接種する機会を設けるには 

ワクチンを接種するために、一時的に業務から離脱したり、休暇を取るという形で対応していくことになるわけですけれども、どのような対応や取り扱いをすればいいか悩むところです。

ワクチン休暇という形で丸1日休むのがいいのか、就業時間中に接種するという扱い(就業時間に含まれる)がいいのか。

さらに、雇用形態ごとに対応が変わる可能性もあります。フルタイムで働いている方は、就業時間中に接種せざるを得ないけれども、パートタイムの方は、仕事をしていない時間帯なり、休みの日に接種できるのではないか、という違いがあります。

週5日、1日8時間で所定労働時間を決められていると、仕事を抜けてワクチンを接種しに行くのが難しくなると考えられます。一方で、週3日程度勤務で、1日あたりの所定労働時間が4時間なり5時間程度の方だと、ワクチンを接種しに行く時間的余裕が他の人よりもあります。

 

<ワクチン接種に関する休暇や労働時間の取扱い>
問20 自社に勤める労働者が新型コロナワクチンの接種を安心して受けられるよう、新型コロナワクチンの接種や接種後に発熱などの症状が出た場合のために、特別の休暇制度を設けたり、既存の病気休暇や失効年休積立制度を活用したりできるようにするほか、勤務時間中の中抜けを認め、その時間分終業時刻を後ろ倒しにすることや、ワクチン接種に要した時間も出勤したものとして取り扱うといった対応を考えています。どういった点に留意が必要でしょうか。

 

 

「ワクチン接種時を出勤扱い」にするとしたら、どう対応するか。

摂取している時間を出勤扱いにするのか、まる1日を出勤扱いにするのか。ワクチンを接種している時間を出勤扱いにするとしても、それは丸1日を出勤扱いにするのか、接種に必要な時間だけ、例えば1人あたり30分の時間が必要だとすると、その時間は出勤している扱いにするのか。

ワクチンを接種している時間は出勤扱いにするとしても、解釈なり定義がいくつか出てきて迷います。

また、「出勤扱いにする」という部分は、年次有給休暇と同じにするのか、それとも無給だが欠勤にしないという意味なのか。

就業時間内にワクチンを接種するとした場合でも、職場で一斉に接種するならば、就業時間内でも可能でしょう。

職場の中で、全員が一気にワクチンを接種していくような機会があるならば、就業時間内に接種をできるのでしょうけども、そういう環境がないとなると、どのようにして就業時間内に接種するのか。

外回りの仕事が主で、そのついでに接種。これなら就業時間内で可能なのでしょう。職場の外を回って仕事をしていれば、外回りのついでにワクチンを接種していく、なんてこともできます。

しかし、屋内での仕事がメインだと、どうやって就業時間内に接種するか。特定の場所で、動かずに仕事をしている方だと、どのようにして就業時間内にワクチンを接種するのかが問題となります。

全員が外回りの仕事なら問題もないでしょうけれども、屋内で仕事をする人もいるような職場だと、対応を変えなければいけなくなります。

ワクチンを接種できるように事業主が便宜を図るように求められているので、それをどのような方法で実現するかは事業所ごとに工夫する余地があります。

 

 

無給のワクチン特別休暇を2日分用意したら

一番簡単な方法を考えれば、特別休暇だけで対応するのはどうでしょうか。合計2回接種するなら、2日分の特別休暇を設けておく。

1人当たりの所要時間は30分程度だとするなら、丸1日を休みにしなくてもいいんじゃないか、という考え方もあります。

職場の外に行って仕事をするような人たちからすれば、就業時間中にワクチンを接種する会場に寄って、接種を済ませることもできるのでしょう。しかし、予診の時間がありますし、混雑具合で所要時間が変わりますから、個別の時間を把握できません。

ならば、特別休暇を2日分設けておく、という対応で済ませるのも一案です。

この特別休暇を有給としてしまうと、その給与の計算方法を考えなければいけなくなりますから、無給の特別休暇にしておけば、その点について考慮する必要がなくなります。有給だと所定労働時間がバラバラなパートタイマーへの対応が困難ですので。

 


ワクチン特別休暇以外にも対応方法を考える

特別休暇を設けるとしても、その特別休暇は何日なのか。合計でワクチンを2回接種するとすると、2日分の特別休暇で足りるのか、それとも副作用が出た場合も想定して、さらに1日なり2日分を上乗せする必要があるのか。

また特別休暇を取った日の給与をどうするのか。有給にするのか無給にするのか。

特別休暇を設けずに、仕事が休みの日にワクチンを接種するよう、各自でスケジュールを入れて、ワクチンを接種しに行ってもらう。そういう職場もあるでしょう。

休暇を申請する際の手続きも、口頭だけで足りる職場もあれば、休暇を取得する申請書を出させる職場もあるでしょう。ワクチンを受けに行ったかどうかを証明する書類を一緒に提示しなければいけない、なんていう職場も考えられます。

年次有給休暇を使ってワクチンを接種しに行く、という形にしてしまうと、年次有給休暇が残っている人と残っていない人がいるでしょうし、入社して間もない方で、まだ年次有給休暇が付与されていない方もいるでしょう。さらに、ワクチンを接種するという、半ば強制的な理由で、年次有給休暇を使わなければいけない、という点もあります。

ほんと、考え出すとキリがありませんよね。あれも、これも、それも、という形で。

 

職場の就業規則で、病気の時に使える休暇制度や、失効した年次有給休暇を積み立てる制度が整備されているならば、ワクチン接種の際にその休暇を使えるように、制度を少し変更することで対応するのも1つの方法です。取得理由を変更すればいいでしょう。

特別休暇制度を設けずに、就業規則等の変更もせずに、本人から「この日にワクチンを接種しに行きます」という形で連絡を受けて、「じゃあ、その日は休みにしてくれてもいいよ」というような簡易な対応をする職場もあるでしょう。ワクチンを接種できる機会を作ることができるならば、こういう簡単な対応でもいいわけです。

特別な休暇制度を作ることなく、個別にスケジュールを調整してワクチンを受けてもらう。これはこれで摂取する機会を作っているわけですから構わないわけです。

どうしても休みの日に接種しに行くことができない場合は個別に対応する。どれぐらい接種スケジュールに余裕があるかは見通せませんが、ある程度の選択の余地はあるのではないでしょうか。

既に付与されている年次有給休暇を使って、仕事休んで、ワクチンを接種しに行くのも1つの方法です。特別休暇を作らないならば、休日に行くなり、年次有給休暇を使って行くなり、他の方法が考えられます。従業員本人が自主的に年次有給休暇を使うなら、この方法もありです。

ワクチンを接種する日を休みにしたならば、他の日を振替で出勤にする、という形にすれば、雇用契約通りの就業ができるでしょうし、勤務時間が減ることも避けられるでしょう。振替休日を使ってワクチンを接種する機会を作り出す。これも1つの方法です。特別休暇を設けずに、振替休日で対応するのも簡易な方法ですね。

振替休日なら雇用契約の範囲内で出勤日と休日をやりくりできます。ワクチンを接種するかどうかが任意であったとしても、従業員ごとに差が出ることはありません。

ワクチンを接種するために特別休暇を作ってしまうと、ワクチンを接種した人は休暇が取れて、接種しなかった人は休暇が取れないため、差が生じます。

振替休日でワクチンを接種しに行ってもらうとなると、接種に行った人は出勤日と休日を振り替えることになりますし、ワクチンを接種しに行かなかった人は通常通りの勤務になりますから、従業員ごとに待遇に差が出ることはありません。

合計でワクチンを2回接種するとなれば、振替休日を2日設ければ足ります。

ワクチンの接種を本人の任意によるものとするならば、特別休暇ではなく振替休日で対応するの一案ではないかと。


就業時間中に中抜けしてワクチンを接種する。特別休暇を取って接種に行く。このような形にこだわらなくても、仕事が休みの日にワクチン接種に行ってもらう、年次有給休暇を使えるようにする、ワクチンを接種する当日を振替休日にするなど対応方法は職場によって色々あろうかと思います。

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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