ラーメン「幸楽苑」 大みそかと元日休業 400店超(リンク切れ)
関東や東北を中心にラーメン店「幸楽苑」を展開する幸楽苑ホールディングス(HD、本社・福島県郡山市)は21日、今年の大みそかの午後3時以降と来年の元日を休業すると発表した。外食産業は長引く人手不足に悩まされており、従業員の働く環境に配慮する。
全店舗の約8割にあたる直営店とフランチャイズ(FC)加盟店の計約410店舗で休業を決めた。このほか、ショッピングセンター内の店舗や、「いきなり!ステーキ」に業態転換した店舗についても今後、休業を検討するという。
年末にお店で食べ物を買い込む必要がなくなった
クリスマスや年末年始は、
仕事をせずに休みたい。
そう考える方も多くいらっしゃるのでは。
1980年代の頃は、
年末までお店は空いているけれども、
1月1日から数日間は閉まっている。
それが普通でした。
お正月に必要なものは12月末までに買っておかないと、
約1週間ほどはまともな買い物ができません。
「そんな時代があったの?」
と思う方もいらっしゃるでしょうが、
1月の初め、1週間ほどはあまり店が開いていなかったのです。
中には、12月30日までは営業して、
31日からお店を閉めてしまうところもありました。
クリスマスぐらいから、お店はお客さんが多くやってきて、
ジャンジャンと買い物をしていたように記憶しています。
その後、
2000年頃から、年中無休のお店も増えて、
もう12月にバタバタと買い物をする必要はなくなりました。
数字だけでなく人の感情を考えた労務管理が必要に
費用よりも収益が多ければ、
年末年始であっても営業する方が経営としては正しい。
大晦日であれ、元旦であれ、
収益がプラスになるならば、お店を開けておいたほうが儲かります。
コンビニが24時間で営業しているのも、
24時間開いているというアピールができますし、
お店を閉めてもさほど費用は減らないから、営業している方が良いという理由があります。
コンビニの商品は、
ディスカウントストアに比べて割高でしたが、
今ではスーパーマーケットとさほど変わりない価格で販売されています。
コンビニエンスストアというよりも、
24時間営業している小型スーパーマーケットのような
位置づけに変わってきています。
売上や利益などの数字を考えれば、
年末年始に営業した方がいいのですが、
働く人の気持ちは良いものではありません。
大晦日は、
「炬燵に入ってテレビを見たい」
「年末感を感じたいから町中をウロウロしたい」
「家族と一緒に旅行に行きたい」
「年越しをカレシと一緒に過ごしたい」
「紅白歌合戦を見て、除夜の鐘を聞きたい」
などなど、
色々と気持ちがソワソワするもの。
そんな日に仕事をしたいかというと、
なかなか肯定しにくいもの。
「大晦日なのに出勤だ」
「元旦も仕事だよ」
こういう言葉はネガティブな気持ちから出てくるもの。
嫌な気分で仕事をしても良い結果になるとは思えませんから、
ならば大晦日と元旦は休業してはどうかと考えるわけです。
幸楽苑では、
大晦日は15時まで営業し、その後は休業に。
さらに、
元旦は1日休業にするとのこと。
幸楽苑公式サイト
飲食店の年末年始は、そう忙しくはないのでは。
飲食の種類によって違うでしょうが、
ラーメンを年末に食べなくても、他の日にお店へ行けます。
ご馳走だと思わせる料理を出すお店なら、
年末でも繁盛するでしょう。
- カウントダウンイベントを実施するレストラン
- 回転寿司
- じゃぶじゃぶ食べ放題
- 焼き肉食べ放題
- ショッピングモールに入っている飲食店
こういったお店は、
大晦日や元旦でもお客さんが多く来るでしょう。
休業にしたら、休業手当は必要?
大晦日と元旦に休業すると、
労働基準法26条の休業手当が必要かどうかが問題となります。
使用者の責任で労働者を休業させると、
出勤していない場合であっても給与を支払わないといけません。
雇用契約では、
- 週に何日出勤するか
- どの日が休みか
- 何時間働くか
といったことを決めています。
週5日出勤で契約しているところ
会社側の判断で週4日に減らしたとなれば、
減った1日分は使用者の責任による休業です。
その場合、1日分の給与のうち60%以上を
休業手当として支払う必要があります。
では、
大晦日は15時で終わり、その後を休業にしたら、
休業手当は必要かどうか。
さらに、
元旦を休業にしたら、休業手当は必要かどうか。
もし、
休業にして、何も補填をしなければ、
事業所は休業手当を支払う必要があります。
休業日を設定するかどうかは事業所が決めることで、
これは使用者の責任の範囲内です。
となると、
労働基準法26条の休業に該当します。
しかし、出勤日を他の日に振り替えて、雇用契約で約束した通りに働けるようにしたならば、休業にはならず、休業手当は不要です。
大晦日は15時までの営業ですから、普段から15時までで勤務を終えている人は通常通りの対応で、休業かどうかは問題になりません。
ですが、10時から19時まで出勤する人や12時から20時まで出勤する人だと、
15時以降は休業になりますから、足りない勤務時間は他の日で補填する必要があります。
前者の人だと、15時から19時までの4時間が不足しますから、この4時間分を他の日に回して、雇用契約で決めた時間数まで働けるようにします。
1日に勤務時間を4時間増やすのも構いませんが、1時間づつ、4日に分散して吸収するのもアリです。
10時から19時で契約しているなら、10時から20時まで、勤務時間を1時間延長する日を4日設定すれば、大晦日に不足した4時間分を補填できます。
契約で約束した内容を履行できるように、他の日に勤務時間を振り替えておく。
ここがポイントです。
元旦は1日すべてを休業にするため、この場合は振替出勤で対応します。
1月1日が休業なので、
その代りに、12月16日に出勤するとか、1月12日に出勤するというように、
休業日に出勤できない代わりに他の休日を出勤日に変更します。
振替で出勤する代わりに大晦日と元旦を休業にする
どの業種でもできることではないですが、大晦日と元旦を休業にする代わりに、他の日に振替で出勤する。
そういう事業所が増えてもいいでしょうね。
蕎麦屋、ショッピングセンター、アミューズメントパークなど
12月31日と1月1日にお客さんがたくさん来る商売もありますから、こういう商売は今までどおりに営業する方がいいでしょう。
他方、
12月31日と1月1日はさほど忙しくないお店なり商売ならば、その2日間は休みにして、他の日に振替で出勤する形にしてはどうでしょうか。
給与を払って労働力を買うだけが労務管理ではありませんからね。
人の感情を扱うのも労務管理のうちです。
事前に振替出勤を計画:
振替出勤の日程を十分に前もって決めておくことで、従業員がスケジュールに対応しやすくなります。先に振替休日を取ってから出勤すると、休日が取れないという問題が起こりにくいですから、年末年始に振替休日を先に取って、1月や2月に振替分の出勤日を持ってくると良いですね。計画通りにきちんと休みを取れる職場ならば、このように順番を考えなくても構いません。