労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

年末年始(正月)に有給休暇を使うのはいいけど、休みを有給休暇にはできないよ。

年末年始

 

「正月休みは有給休暇を使うように」 と指示された?

2013年も12月になって、もうすぐクリスマス、もうすぐ大晦日、もうすぐお正月ですね。毎年、12月後半に入ると、無性にソワソワする方もいるのでは。

年末年始は休みになる人が多いかと思いますが、お正月休みに有給休暇を使うように指示されている方はいますか?

「正月休みは有給休暇を使うように」 こんな会社の指示は「労基法」に違反する?
http://blogos.com/article/76005/

正月休みは、12月27日頃から1月5日ぐらいで、約1週間強ぐらいの期間が多いですよね。
 
この休みの期間は、年次有給休暇と違い普通の休みですから無給です。そのため、正月休みに有給休暇を充当して、有給で正月休みを過ごせるように、「正月休みは有給休暇を使うように」という指示が出るのかもしれませんね。

無給の正月休みになるよりは、給与が出る正月休みの方が良いのですけれども。

ただ、正月休みに有給休暇を使うのはいいのかどうか。ここは疑問を抱くところです。

すでに休みになっているのに、有給休暇を使うのはヘンじゃないか。そう思えるのですね。休みの日に休みを被せてしまったら、どうなるのかと。



招福 干支正月飾り

 

 

労働基準法違反とまでは言えない。

会社が一方的に年次有給休暇を使わせるのは確かにいけない(労働基準法39条4項に違反)のですけれども、労働基準法には有給休暇の使い方については特に決まりがありません。

そのため、正月休みに有給休暇を使うことそのものは労働基準法に違反しません。法定休日(労働基準法35条1項)を消滅させてしまうような使い方はできませんが、それ以外の休日を年次有給休暇に変えることは可能です。

もちろん、労働義務を免除して休むのが年次有給休暇ですから、本来の使い方ではありませんし、制度の趣旨にも合いません。しかし、休みの日を有給休暇に変えちゃダメという条文は労働基準法にはありません。

有給休暇の「付与」については39条に決まりがありますが、有給休暇の「利用」については決まりがないのですね。

もし、年末年始の正月休みに有給休暇を使うならば、正月休みを就業規則や雇用契約で固定してはいけないですし、そもそも正月休みを作ってしまうと年次有給休暇を使う余地がなくなってしまいます。

例えば、就業規則に、「12月27日から翌年1月5日までを正月休みとする」と書いてしまうと、それは固定の休みになってしまい、正月休みに有給休暇を使うことはできなくなります。

もちろん、会社と社員が合意して、休みだけれども年次有給休暇を使うとなれば、有給休暇を使うことも不可能ではありませんけれども、こういう使い方は年次有給休暇制度の趣旨に合わないので、あまりオススメできません。

良い手段は、年末年始に計画有給休暇を設定する方法です。

正月休みを就業規則で決めるのではなく、年末年始の時期に計画有給休暇を設定するように就業規則と労使協定で決めれば、正月休みを有給休暇に変えることができるでしょう。

無給の「休み」にするのではなく、「計画有給休暇」にする。ここがポイントですね。

正月休みというのは、定義が曖昧で、年末年始は当たり前のように休みになると思っている方もいらっしゃるでしょうが、休みにする義務はありませんし、元旦といっても祝日ですから、働いてはダメというわけでもありません。

百貨店やショッピングセンター、飲食店、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどのアミューズメントパーク、こういう職場で働いている人は、年末年始は仕事になっている人が多いですよね。

正月休みは法律で決まった休みではなく、会社ごとに独自で決めた休みです。だから、正月休みではなく、計画有給休暇を設定して、年末年始の時期に有給休暇を一気に消化することもできるのです。

年末はどこに行っても人が多いですし、高速道路は渋滞し、旅行代金も跳ね上がりますから、11月に休みを取るか、1月後半や2月に休みを取るなど時期をずらせば快適な休暇になります。

筆者は思うのですけれども、「正月休みは有給休暇を使うように」と会社から指示されるのは、そんなに悪いオファーでしょうかね。

もちろん、労働者本人の請求ではなく、会社が強引に有給休暇を使わせる点はダメですけれども、年末ならばまとめて有給休暇を消化できるし、無給の正月休みが有給になるのですから、必ずしも悪い側面ばかりとは思えません。

とはいえ、やはり休みの日を有給休暇に変えるのは、避けたほうが良いでしょうね。

12月下旬から1月上旬までの期間には、週末や祝日だけでなく平日も途中で入りますから、その平日を年次有給休暇に変えるという形での年休消化ならば、休日が消滅することなく、年末年始の休みを連休にできます。これを年次有給休暇の計画的付与として、毎年の労使協定で決めるのも1つの手です。

 

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com
業務のご依頼に関するお問い合わせ

© 社会保険労務士 山口正博事務所