労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

土曜日の午前0時以降に働くと、給与は5割増になる?

 

f:id:ma95:20180712132747p:plain

 

 

 

休日や深夜時間に働くと、
給与には割増賃金が付きます。


夜の22時から翌日の5時までは25%増し(深夜割増賃金)。

休日は、丸1日、35%増し(休日割増賃金)。



例えば、

土曜日と日曜日が休みで、
月曜日から金曜日までが出勤日となっている
職場があるとします。


その職場で、
金曜日の日中は仕事を休みにして、
夜の22時から土曜日にかけて勤務した場合、
割増賃金の計算はどうなるか。

 


金曜日の22時。
(ここが始業時間)



土曜日の0時。
(日付が変わる)



|途中に休憩が1時間入る。



土曜日の午前7時。
(ここで仕事が終わる)


流れとしては、このような形です。


ちなみに、この会社では、
「法定外休日の勤務には25%増の割増賃金を支払う」
と就業規則で決めているとします。

 


土曜日と日曜日が休みになっていますが、

今回は、
土曜日が法定外休日で、
日曜日が法定休日だと仮定します。

 

 

 

まず、22時から0時までは深夜割増。


金曜日の22時から土曜日の0時までの
2時間は、

深夜勤務になり、
25%の深夜割増賃金が必要です。


時間外労働に対する割増賃金の場合は、
1日8時間を超えた時間に対して
割増賃金を計算します。

しかし、

深夜労働に対する割増賃金は、
深夜時間帯に働いていれば発生するものです。

そのため、
1時間や2時間といった
短時間であっても、
深夜割増賃金が必要になります。

 

 

 


土曜日は法定外休日かつ深夜労働。


次に、土曜日は、

0時から7時までで、
途中に休憩が1時間あります。


労働時間は実質6時間となります。


では、割増賃金はどうなるのか。

 


まず、深夜割増賃金については、
0時から5時までが対象です。

 

ただし、
休憩時間がどのタイミングで
入るかによって処理が少し変わります。


例えば、
午前3時から4時まで休憩を取ったとしましょう。

この場合、深夜時間は、
0時から5時までの5時間ではなく、
休憩で1時間減りますから、
4時間になります。

そのため、25%分の割増賃金は4時間分、
必要です。


他方、

休憩を5時から6時の間で取った場合は、
0時から5時までは勤務中ですから、
深夜労働は5時間となります。

 

 

 

法定休日と法定外休日の違い。


休日には2種類あって、

今回出てきた「法定外休日

もう1つ「法定休日」があります。


土曜日と日曜日が休みの職場だと、

土日のどちらかが法定休日で
もう一方が法定外休日になります。


「法定休日は日曜日」
と固定している事業所もあるでしょうが、

固定していない場合は、
土日、どちらでも法定休日になり得ます。


土曜日が法定外休日。
日曜日が法定休日。

この組み合わせだけでなく、

土曜日が法定休日。
日曜日が法定外休日。

という組み合わせでも構いません。



法定休日に働けば、35%の割増賃金が必要です。

 

法定外休日に出勤した場合は、
割増賃金が付くかどうかは事業所ごとに違います。

今回の事例では、
法定外休日に出勤した場合は25%割増が付く
という設定ですが、

他の事業所では、何も割増賃金が付かないところもあります。


法定外休日に割増賃金を付けるかどうかは、
事業所ごとに決めても良いのです。

 

 

 

 

休日割増賃金もセットで。


今回の事例では、
土曜日を法定外休日と扱っています。

 

さらに、
「法定外休日の勤務には25%増の割増賃金を支払う」
という決まりがありますから、

深夜割増賃金に加えて、休日割増賃金(25%)も必要です。


ちなみに、
労働基準法では、
休日労働に対して35%の割増賃金を付けますが、
それは「法定休日に勤務した場合」です。

今回は、法定外休日ですので、
35%割増が必要な場面ではありません。

法定外休日に25%の割増賃金を支払う
法律はありませんけれども、
今回は会社独自にそういうルールを設定していると
考えています。

 


金曜日の22時。
(ここが始業時間)

|この時間帯は、25%割増のみ。

土曜日の0時。
(日付が変わる)


|0時から5時までは、
25%割増(深夜)+25%割増(法定外休日の割増)
合計50%割増


|5時から6時に休憩を1時間取る。

|6時から7時までは、25%割増(法定外休日の割増)。

土曜日の午前7時。
(ここで仕事が終わる)


休憩は5時から6時の間に取ったとして、
割増賃金は上記の様になります。


22時から0時までは深夜割増賃金の25%。

土曜日の0時から5時までは、
深夜割増と休日割増が合算されます。


その後、5時以降は、
休日割増賃金の25%が必要です。

 

 

 

 

日付を跨いでも勤務時間はリセットされない。


金曜日の22時から、
翌日土曜日の7時まで勤務すると、
労働時間は8時間です。
(休憩の1時間を控除している)

 

ここでの注意点は、

日付が変わっても、
労働時間はリセットされない
という点。


金曜日の22時から0時までの2時間で
まず1回目の勤務が終わり(2時間勤務)。

土曜日の0時から2回目の勤務が始まって、
7時で終わる(休憩が1時間として、6時間勤務)。

このように2時間勤務と6時間勤務を分けるように
考える人もいるかもしれませんが、
この場合は、労働時間を通算します。


もし、日付が変わると労働時間が
リセットされるとなれば、
時間外労働に対する割増賃金の支払いを
免れる余地ができてしまいます。


例えば、

金曜日の19時から0時まで勤務して、

その後、
土曜日の5時まで勤務すると、

合計で10時間労働になりますから、
時間外労働が2時間発生しています。



しかし、
日付が変わって労働時間が
リセットされると、

金曜日は5時間勤務
土曜日は5時間勤務

となり、

時間外労働が発生していないような
形になります。


これではダメなので、
日付を跨いでも、労働時間は通算されます。

 

 

休憩時間でも深夜手当は必要?

深夜勤務が必要な仕事を行っていると、深夜時間帯に休憩を取ったときに、割増賃金は必要なのか、それとも、休憩だから割増は不要なのかで判断に迷うことがあるようです。

深夜時間帯に休憩をとると、深夜手当の取り扱いを考えなければいけませんので、少し悩むようですね。


例えば、深夜の0時から1時まで、1時間の休憩時間があったとき、この1時間の深夜手当は支給されるのか、それとも支給しないのかが分かれるポイントです。

 

休憩していても、深夜時間帯なのだから割増手当は支給するのか、

それとも、

休憩は給与の計算外だから、割増手当の対象からも外すのか、

どちらでしょうか。

 


休憩時間は給与計算から除外する。

「休憩は計算から外す」のが給与計算のルールですから、たとえ休憩時間帯が深夜であっても、「休憩は計算から外す」というルールで通します。

それゆえ、深夜時間帯の休憩には、深夜手当は付かないのが正しい扱いです。


また、時間外勤務と深夜勤務が重なっているときは、割増率は50%以上ですが、この場合に休憩した場合も、割増手当は必要ありません。


時間外手当は不要だが、深夜手当は必要とか、
時間外手当は必要だが、深夜手当は不要とか、
いやどちらも必要だとか、

そのような扱いにはならないのです。

そんなに細かくアクセルとブレーキを踏み分ける仕組みにはなっていません。


常に、「休憩は給与(手当も含む)の計算から除外する」というルールを把握していれば、間違いはないでしょう。

 

 

24時になったら勤務時間はゼロにリセットされる?

夜から翌朝にわたって仕事をしていると、「日付が変わると、勤務時間もリセットされるのでは?」と考える人もいるようです。

例えば、21時~5時の勤務時間として、その間に休憩が1時間挟まるとすると、勤務時間の総計は7時間になります。ただ、日付が変わっているので、前日は21時~24時までと考えて3時間、次の日は0時~5時ですから、4時間になると考えるようです(休憩を1時間控除する)。


日付が変わっているので、3時間と4時間という区分で勤務時間を取り扱うべきか、

それとも、

日付は変わっているが、連続した勤務時間なので、7時間として扱うべきか、

分かれますね。

 


暦で区切るのではなく、連続した勤務時間で労働時間を計算する。

結論を先に言えば、24時で勤務時間が一旦ゼロになるというわけではないです。

つまり、3時間+4時間と考えるのではなく、7時間と考えるのが正しいです。

今回は総計で7時間の勤務時間ですから、どちらの取り扱いでも結論は同じです。


しかし、21時~7時まで勤務したとすると、結論が変わります。

21時~7時だと、休憩時間を1時間入れるとして、総計で9時間の勤務になります。

そこで、3時間+6時間という扱いをしてしまうと、時間外の勤務になりません。一方、連続した時間として扱うと、9時間になりますから時間外の勤務になります。


ゆえに、勤務時間は、日付を基準にするのではなく、日付を考慮せず勤務時間そのものを基準にするのが正しいわけです。

 

 

残業ゼロがすべてを解決する――ダラダラ社員がキビキビ動く9のコツ

残業ゼロがすべてを解決する――ダラダラ社員がキビキビ動く9のコツ

  • 作者:小山 昇
  • 発売日: 2016/12/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

1日8時間以内だから、深夜勤務にはならない?

法定時間外労働と深夜労働が発生する職場だと、時間外勤務だけを行うだけでなく、時間外勤務と深夜勤務が重なることもあったりします。もちろん、時間外勤務はなく、深夜勤務だけということもありますね。

そこで、22時以降は深夜時間なのですが、22時を超えていても1日の勤務時間が8時間に達していないのだから、深夜手当は必要ないのではないかと考える方がいます。


例えば、20時から翌日の2時まで勤務するとし、休憩時間は1時間とします。この場合の勤務時間は、休憩時間を除いて、5時間になりますね。

ここで、1日8時間を超えていないのだから深夜手当は必要ないのではないかと考えるようです。

本当でしょうか。

 


法定労働時間(残業)と深夜時間労働は、それぞれ別で扱う。

上記の例では、確かに1日8時間を超えていませんから、時間外手当、つまり法定時間外労働に対する割増賃金は必要ないです。

しかし、深夜労働割増賃金というのは、時間外手当とは別で扱うものですから、時間外手当を支給する場面かどうかについては考慮しません。

そのため、1日8時間を超えていないとしても、深夜勤務に対する手当は別で必要なのですね。


「1日8時間(1週40時間もしくは44時間)」というのは、法定時間外労働についての基準です。

一方、深夜勤務というのは、22時以降から翌日の5時までの勤務のことですので、勤務時間の長さは関係しないのです。この時間帯に勤務していれば、全て深夜勤務になりますので、手当も同時に必要なのですね。


ゆえに、「法定時間外労働の取り扱い」と「深夜時間割増労働の取り扱い」は連動しないのです。

 

 

 
山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com
業務のご依頼に関するお問い合わせ

© 社会保険労務士 山口正博事務所