労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

「土曜日に出勤したら休日労働だ」という誤解。土日が休日になるとは限らない。

土曜は休日?



  

土曜日は休日だから、その日に出勤したら、それは休日労働だろう。

一般には、仕事が無い休みの日が「休日」だと思われています。つまり、「休み=休日」と考えられているのですね。まぁ、ごく当たり前の解釈です。

もし、週休2日の会社で、土曜日と日曜日が休みだと、土曜日と日曜日は休日だと思われているはずです。さらに、祝日も休みになるならば、祝日も休日だと考えられているでしょうね。

仕事が無い日が休日。こう考えても特に生活には支障はないのですが、労務管理では想定外の結果が起こるときがあります。つまり、一般的な意味での休日と労務管理での休日、この両者は意味が違う場合があるのです。

例えば、今まで土曜日と日曜日が休みだったけれども、最近、隔週で土曜日が出勤日になったような場合を考えてみてください。隔週ですから、例えば、毎月、第2週と第4週の土曜日が出勤日に変わったと考えるといいですね。

つまり、月に2回、土曜日出勤があるわけです。

今までは、毎週、土曜日と日曜日は休みだったけれども、これからは第2週と第4週の土曜日が出勤日に変わり、本来ならば休日だった日が出勤日に変わっています。

ここで、「土曜日は休日だったのだから、それを出勤日に変えるとなると、休日労働になるんじゃないの?」と疑問を抱く人がいるかもしれませんね。月に2回ある土曜日出勤は休日労働だ、というわけです。土曜日が休みだったイメージを引きずっていると、このように考えてしまうのではないでしょうか。

また、月曜日から金曜日までは通常通りに勤務して、さらに土曜日にも勤務するとなると、残業代はどうなるのか、という疑問も生じるかもしれません。

土曜日が加わると、週6日出勤になりますから、1日8時間で週6日となれば、週48時間労働で、法定労働時間である1週40時間を超えています。

第2週と第4週の土曜日は休日労働になるんじゃないか。さらに、第2週と第4週は出勤日が1日増えるのだから、残業代、つまり法定時間外労働(週40時間を超過)に対する割増賃金も発生するんじゃないか。

この2点が問題となります。

 

 

「あなたにとっての休日」と「法律上の休日」は同じとは限らない。

まず、「第2週と第4週の土曜日は休日労働になるんじゃないか」という部分について。

ここは、休日労働になる可能性もありますが、休日労働にならない可能性もあります。つまり、割増賃金を伴う休日労働になるかもしれないし、通常の出勤日と同じ(割増賃金無しの給与だけ)になるかもしれない。どちらの可能性もあります。

「え~! それじゃあ答えにならないじゃないかぁ」と思うかもしれませんが。「ちゃんと判断する方法はないの?」と言われれば、判断する方法はあります。

土曜日に出勤すれば休日労働なのか、それとも通常の出勤日と同じなのか。これは、会社が休日をどのように取り扱っているかによって決まります。

もし、土曜日と日曜日が休みで、土曜日だけを出勤日に変えて、日曜日は今までどおり休みにしているならば、土曜日は休日労働ではないのです。

労働基準法35条1項では、1週間に1日の休日を設けるように要求しています。この休日のことを「法定休日」と言います。この休日に仕事をすれば、それは休日労働になります。もちろん、休日割増賃金も必要です。

つまり、法定休日に仕事をすれば、割増賃金を伴う休日労働になるわけです。なお、今回は休日の振替や代休については、話が広がってしまうので触れません。

上記の場合だと、日曜日に休みを取れているので、この日を法定休日だと考えると、土曜日は"法定外の休日"です。つまり、土曜日は労働基準法35条1項の休日ではないのです。ゆえに、土曜日に出勤しても、それは休日労働にはならないということに。

一般的な意味での「休日」と法律で想定している「休日」は違うのですね。「休みの日だから休日だ」と普通の人が考えていたとしても、法律では「1週間に1日の休みが休日」と考えているわけです。

土曜日だから休日だ。日曜日だから、祝日だから休日だ。そう考える気持ちは分かりますが、割増賃金が必要な休日労働になるかどうかは、労働基準法35条1項で判断します。週に1日の休みが取れていたら、もう割増賃金を伴う休日労働が発生する余地は無くなる、と考えていただければいいです。

ただし、法定休日の曜日を固定している場合、もしくは、土曜日と日曜日はどちらも休日として扱っている場合は、土曜日であっても割増賃金を伴う休日労働になる可能性はあります。

もし、土曜日が法定休日であると就業規則や雇用契約書で決めているとすれば、土曜日に出勤したら、それは休日労働です。ただ、法定休日の曜日は固定する必要はありませんし、日曜日ではなく土曜日を法定休日としているのも不自然です。法定休日にするならば日曜日の方が自然な感じがしますから。

また、「土曜日もしくは日曜日に出勤した場合は休日割増賃金を支給する」という類の内容が就業規則や雇用契約書などで決めているならば、この場合も土曜日の出勤は休日労働になる可能性があります。とはいえ、「土曜日と日曜日に出勤した場合は休日割増賃金を支給する」というルールは決めなくてもいいものですから、あえて就業規則などに記載しているとは思いにくいです。

法定休日ではないけれども、休日に出勤した場合は給与を加算する独自のルールが事業所に用意されているならば、そちらのルールが優先されます。サービス業だと、例えば、土日祝日に出勤した場合は1時間あたり100円を加算する、というルールを設けているところもあるでしょう。

上記のような例外的な場合を除き、「日曜日が確実に休みになっている以上、土曜日は労働基準法35条1項の休日ではないので、土曜日に出勤しても、それは休日労働にはならない」と考えるのが妥当ですね。

 

次に、「第2週と第4週は出勤日が1日増えるのだから、残業代(割増賃金)も発生するんじゃないか」という部分について。

例えば、第2週の勤務時間が下記のようになっていた場合。

月曜日:8時間
火曜日:8時間
水曜日:8時間
木曜日:8時間
金曜日:8時間
土曜日:8時間
日曜日:休み

月曜日から金曜日までは通常通りで、さらに土曜日も平日と同じように出勤したとすると、勤務時間は1週間で48時間。

この場合、1週間で40時間を超えている8時間分は残業となり、割増賃金が必要です。

なお、第2週と第4週の土曜日が出勤日になると想定し、平日の勤務時間を減らしておき、土曜日の出勤時間を吸収することで残業にならないようにすることも可能です。

月曜日:7時間
火曜日:7時間
水曜日:7時間
木曜日:7時間
金曜日:6時間
土曜日:6時間
日曜日:休み

例えば、月曜日から木曜日まで7時間に設定し、金曜日と土曜日を6時間に設定することで、週40時間に収めることができます。週40時間に収まるように勤務シフトを調整しておくと、このようになります。1日あたりの勤務時間をちょっとずつ減らすわけです。

月曜日:8時間
火曜日:8時間
水曜日:8時間
木曜日:8時間
金曜日:4時間
土曜日:4時間
日曜日:休み

上記のように、金曜日と土曜日だけを4時間にするのもアリです。これだと週末は午前中で仕事が終わる勤務シフトにすることもできます。

土曜日の勤務時間を他の日で吸収するか、それとも、そのままにして割増賃金を用意するか。これは会社ごとに選択して決めることができます。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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