労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

休日に出る休日手当(休日割増賃金)はいくらになる? 休日出勤に残業代は必要?

休日出勤手当

 

 

法定休日と所定休日は違うもの。

休日に出勤すると、休日出勤手当が出る。

そう考えている方も、いらっしゃるかもしれませんが、
必ずしもそうなるとは限りません。

休日出勤手当を25%割増の賃金だと考えた場合、
その割増賃金が出るかどうかは、どの休日か、によって変わります。

法定休日に出勤すれば、
25%割増の休日出勤手当(休日割増賃金と同じものと考えてください)が必要になります。

しかし、会社が決めた所定休日(「法定外休日」と表現する場合もあり)に出勤した場合は、
割増賃金である休日出勤手当が出るかどうかは、会社によって異なります。

所定休日に休日出勤手当が出る会社もあれば、出ない会社もあります。
これは、どちらも法的には正しい対応です。

休日と表現する時、その休日が、法定休日なのか、
それとも所定休日なのか。

ここをまず特定しないといけません。

休みの日という点では共通していますが、
労務管理では両者は違うものと扱っています。

法定休日というのは、法律で決まった休日のことで、「1週間に1日の休みが必要」と決められているものです。この休みが法定休日になります。

一方で、週に2日以上の休みがあった場合、
その2日以上の休みは、会社が決めた休日、つまり所定休日ということになります。

法律が決めたものが法定休日。会社が決めたものが所定休日なのです。

例えば、週休2日で、土曜日と日曜日が休みの職場だとすれば、土曜と日曜、どちらかが法定休日で、もう片方が所定休日と扱われます。

ちなみに、日曜日が法定休日である必要はなく、土曜日を法定休日にしても構いません。また、日曜日を普通の休日、つまり所定休日にしても良いのです。

どの曜日を、法定休日にするか、もしくは所定休日にするかは、就業規則で決めます。

仮に、土曜日と日曜日、両方出勤したとすると、
どちらか片方の日に、休日出勤手当である25%の割増賃金が付きます。

そして、土曜か日曜、どちらか片方は、
25%の割増賃金が付かない休日出勤、ということになります。

これが、法律上要求されている水準です。

 

 

所定休日にも休日出勤手当が付く会社。

就業規則で、会社独自に、法定休日に限らず、
所定休日にも25%の休日出勤手当が付く、と決めているところもあります。

本来は、法定休日に対して休日割増賃金を付ければ、
法律上はそれで足りるのですけれども、
会社で独自に、所定休日にも休日出勤手当なり休日割増賃金を付ける対象にするのは、
構いません。

法律で要求されている水準以上の待遇にするわけですから、
それは止める理由はありませんし、法律違反にもならないのです。

ただし、休日出勤の全てに対して35%割増賃金をつけること自体は構わないのですけれども、1ヶ月60時間超える法定時間外労働が発生した場合は、60時間を超えた時間に対して割増賃金の割増率が50%以上になりますから、法定休日以外の所定休日に勤務した時間は、休日労働ではなく時間外労働の時間として計上されるため、35%割増では足りなくなる場合があります。

法定休日に出勤した場合は35%以上の割増賃金で足りますが、所定休日に出勤した時間は休日労働ではなく時間外労働という扱いになるので、1ヶ月60時間の中に含まれて計上されます。

休日労働なのか、時間外労働なのか、混乱するところで分かりにくいですが、週1日の法定休日は35%割増で扱って良いものの、それ以外の休日に出勤した時間は25%以上ないし50%以上の割増率で扱う必要があります。

35%割増だけで済ませられるのは法定休暇だけ。それ以外の休日は時間外労働の時間として計上していく。ここらへんを言葉で説明するのは難しいですね。

休日労働と時間外労働を別枠で扱わないといけないため、理解しづらいですし、休日出勤した日はすべて35%割増を付けている職場だと、さらに区別しにくいのではないかと思います。

両者を分けずに、休日労働と時間外労働を合算して1ヶ月60時間を超えたら、その時間はすべて50%以上の割増率にしてしまうのも一案です。

休日労働や時間外労働が発生しないように働き方を工夫すれば、このような厄介なことを考える必要もないんですけどね。

 

 

どの時間に対して休日出勤手当が付くのか。

例えば、月曜日から土曜日まで、週6日間ありますけれども、
この6日間で週35時間、すでに働いていたとしましょう。

そこに追加して、日曜日に休日出勤をして、7時間働いたとします。

合計で、1週間で42時間働いたことになります。

では、この場合の休日出勤手当なり休日割増賃金はどれだけつくのか。

休日出勤をした日は、7時間働いたわけだから、
この7時間に対して25%割増賃金を付けるのか。

それとも、

週40時間までの時間、つまり35時間プラス休日出勤の5時間分と考えて、
休日割増賃金は5時間分だけを付ければよく、
残りの2時間に対しては、25%割増無しにするのか。

どちらでしょうか

 

 

休日出勤した日は、その日の勤務時間だけで割増賃金を計算する。

答えは前者です。

休日出勤した時間は、7時間ですから、
その7時間に対して、25%の割増賃金を付けるのが正しいです。

後者の解釈は、週40時間の法定労働時間を意識して、
考えたのかもしれませんが、
法定労働時間の制限と休日労働の割増賃金は、それぞれ別で考えます。

週40時間の範囲内で、休日割増賃金を付けるわけではなく、
週40時間を超えるかどうかではなく、
休日出勤した時間は何時間なのか、で判断します。

 

 

どの休日に休日割増賃金が付くか、を判定するのが大事なポイント。

休日に出勤したら、休日出勤手当もしくは休日割増賃金が付く、
というのは、必ずしも正しいとは限らないのです。

場合によっては、休日出勤扱いにならない休日出勤もあり得るのです。

土日や祝日に出勤したら、休日手当が出るだろう、
と考える方もいらっしゃるでしょうが、
それも場合によりけりです。

もちろん、どの休日であれ、働いているわけですから、
基本となる給与は出ます。

仮に、1時間あたりの給与が3,000円だとすれば、
休日に7時間働いたとすれば、21,000円は、
どんな形であれ給与として支給されます。

ただ、その給与に対して、25%以上の休日割増賃金が付くかどうかは、
その休日が法定休日に該当するのかどうか、
もしくは、就業規則で、会社独自に所定休日に対して、
割増賃金を付けるようにルールを決めているのか、によって変わります。

どの休日が法定休日なのか、どの休日が所定休日なのか。
これをまず、勤務シフト表で把握する、
というところから始めないといけないわけです。

とはいえ、勤務シフトでは、単に、休みとか、休日とか、
簡単な形でしか表記されておらず、
その休日が法定休日か所定休日か、というのは、
一見するだけでは分からないものもあります。

1週間に1日の休みが確保できていれば、
その日が自動的に法定休日である、と扱われます。

1週間に1日しか休みが取れない、
そういう働き方をしていらっしゃるのでしたら、
その休日は法定休日です。

しかし、1週間に2日以上の休みが取れる人、
週休2日とか、週3日や4日休みとか、
そういう方の場合は、全ての休日が無くなった場合、
つまり1週間に1日も休みがなく働いた場合は、
休日割増賃金が付きます。

ですが、1週間に1日でも休みが取れていれば、
それ以外の休日に出勤したとしても、
休日割増賃金は付かない可能性があります。

先ほどのように、就業規則で、会社が決めている所定休日に出勤した場合も、
休日割増賃金を支給する、と決めているのでしたら、
所定休日でも休日割増賃金が支給されます。

休日に出勤したら、全て休日手当が付く。
このような決まりならば、従業員の方も分かりやすく、
納得しやすいでしょうし、会社から説明する時間や手間も省けます。

小銭を捨てて、それよりも大きい利益を取りに行く。

この点で、商売と労務管理は共通しています。

 

 

「法定休日出勤」か、それとも「法定外休日出勤」かで割増賃金が変わる

週1日の休みも取得できないほど忙しい人は少ないとは思いますが、人によっては、たまには休日出勤になる方もいるのではないでしょうか。

そんなとき、法定休日の日に勤務して時間外になった場合と、法定外休日の日に勤務して時間外になった場合とでは、手当の取り扱いがちょっと変わります。

 

例えば、日曜日を法定休日として決めており、土曜日や祝日は法定外の休日として決めている会社があるとします。

そこで、「日曜日に勤務して8時間を超えたとき」と「土曜日や祝日に勤務して8時間を超えたとき」には、時間外手当、つまり割増賃金の取り扱いが同じなのか、それとも違うのかが悩むところです。


8時間を超えているという点では共通しているのだから、取り扱いは同じなのか、

それとも、

日曜日の勤務には休日手当があるから、時間外手当は要らないのか。

どちらでしょう。

 

法定休日に出勤して働くと、35%以上の休日割増賃金が必要なのですけれども、その休日出勤した日に、8時間を超えて残業したら、25%以上割増の時間外労働割増賃金も上乗せにしなければいけないのか。ここが考えどころです。

 

 

休日労働した日に残業したら、時間外労働の割増賃金は必要なのか。

答えは後者です。

なぜならば、休日手当(法律で決まっている休日割増賃金の35%)が支給されている日には、追加的に時間外手当を支給する必要がないからなのですね。

35%の中に法定時間外労働に対する割増賃金である25%相当が含まれている、と扱われているのです。

ゆえに、休日割増と時間外割増賃金は同時に支給されないのですね。休日割増賃金に時間外割増が含まれているから。

35%以上の休日割増賃金が出ている日は、8時間以上の8時間以上にわたって仕事をしたとしても、その時間外労働に対する割増賃金は必要ないのです。

なぜかというと、休日割増賃金である35%以上の割増賃金の中に、時間外労働に対する割増賃金が含まれていると考えるからです。

つまり、休日労働をしているということは、その休日労働自体がすでに時間外労働であって、35%以上の割増賃金を支払えば、時間外労働の割増賃金も払っているものと扱われるわけです。休日割増賃金の中に時間外労働の割増賃金が含まれていると考えればいいでしょう。

時間外労働の制度が変わり、1ヶ月に60時間を超える時間外労働が発生した場合は、60時間を超えた労働時間に対する割増賃金を50%以上に設定する必要があります。この点が、休日割増賃金の割増率35%との兼ね合いで、問題を生じることがあります。詳しくは下の方で書いていますのでそちらを読んでください。

日曜日の勤務時間も、8時間を超えているのは確かなのですが、休日手当には時間外手当としての評価も含むため、休日手当を支給するならば時間外手当は必要ないのです。

なお、ここで書いている休日手当や時間外手当は、法律で決まっている割増賃金のことですので、会社独自に休日や時間外の手当を用意している場合は話が別です。


一方、土曜日や祝日は法定外休日(要するに普通の休日)であり、それらの日に出勤しても、確かに「休日出勤」にはなります。"表現上"は。

しかし、表現上で「休日出勤」と扱われても、労働基準法で「休日出勤」として扱われるかどうかというと、これは別です。

 

ゆえに、土曜日や祝日に休日出勤して、時間外の勤務を行ったときは、時間外手当が必要です。休日割増賃金の35%分が支給されませんので、25%相当の法定時間外労働の割増賃金が必要になるわけです。

名称では同じ休日出勤ですが、法定休日の出勤以外は労働基準法だと休日出勤ではないわけです。

同じ休日でも、"法定"か"法定外"かで扱いは変わるのですね。

 

 

やってはいけない。50%割増を35%割増にすり替える。

月に60時間を超えて時間外労働を実施すると、

その超えた時間に対して50%の割増賃金が必要です。


「残業代は25%割増」

この点についてご存知の方は多いでしょう。

月に60時間までの法定時間外労働ならば、
この25%増しでOKです。

そこから、さらに時間外労働が長くなると、
割増賃金の割増率が25%から50%に上がります。

 

 

割増賃金が出る残業。割増賃金が出ない残業。

「月60時間まで」と書いていますが、

この60時間は、法定時間外労働を超えた時間を意味します。

仮に、
1日に9時間働いたとすれば、
法定時間外労働である8時間を超えた1時間分、

この1時間分が60時間の中に計上されます。


1日5時間勤務のところ、時間を延長して、
7時間勤務に変わったとしましょう。

これはこれで残業なのですけれども、
法定時間外労働は発生していないのです。

7時間勤務になっても、1日8時間の枠は超えていません。

そのため、5時間を超えた2時間分は、
先程の60時間の中に含まれません。


法律では、
「法定労働時間を超えた残業」が残業として扱われます。


割増賃金が付く残業なのか。
(法律の枠を超えた残業)

それとも、

割増賃金は付かない残業なのか。
(法律の枠の中での残業)

この違いは知っておきたいところです。

 

 

休日労働なら35%割増で止まる。時間外労働の50%割増を回避できる?

さて、ここからが本題。

「50%割増を35%割増にすり替える」
とはどういうことなのか。

 

月60時間を超えて、
例えば、月に66時間の時間外労働をしたとしましょう。

この場合、

60時間を超えた6時間分が
50%割増の対象になります。

仮に、時間給が2,000円の人だと、
3,000円になるんですね。

それが6時間ですから、
給与は、6時間分で18,000円です。


このようになるのが正常な状態です。

 
では次に、

「50%割増を35%割増にすり替える」
方法を用いてみましょう。


普段どおりに時間外労働をして、
月66時間に達すると、6時間分は50%割増なのですが、

この6時間を休日労働にします


どういうことかというと、

平日に6時間分の時間外労働を実施するのではなく、

「法定休日に6時間分の勤務シフトを入れる」というもの。


この方法を用いると、

50%割増ではなく、休日労働に適用される35%割増で
給与を計算できるんですね。

時間給2,000円が3,000円になるのではなく、
2,700円になる。

その結果、使用者は支払う割増賃金を減らせるというわけ。

 

 

50%割増を35%割増にすり替えるのは法律の趣旨に反する手法。

本来ならば、50%割増になるところを、
休日労働に対する35%に変えてしまう。

 

時間外労働が月60時間を超えていても、
割増賃金の割合は35%でOKとなっている。

こんなことをしている会社があるんですね。

 

本来ならば50%増しになるところを回避するために、
休日労働を利用して、35%で割増を止めているのです。


休日労働の割増率を適用させると、
時間外労働が月60時間を超えている場合でも、
割増賃金の割増率を35%にできてしまうんですね。


50%割増を回避するために、
休日労働を利用するのはダメです。

時間外労働が月60時間を超えないように、
仕事のやり方を工夫するのが正攻法です。

 

法定時間外労働が1か月60時間超えた場合は、通常の時間外労働だけでなく、休日労働の時間も50%以上の割増賃金を付けておく。事務を簡略にするために高い方の割増率に揃えます。

1か月60時間までに時間外労働が収まった月は、休日労働は35%以上、時間外労働は25%以上、という形で分けて計算する。月60時間を超えた月は、60時間を超えた部分の時間を50%以上の割増賃金に揃えておく。

割増賃金の扱いを考えることも必要ですが、時間外労働が月60時間を超えるような働き方を変えるにはどうするかを考える方が良い結果を得られるのではないでしょうか。

 

 

 
山口正博 社会保険労務士事務所
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