労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

振替休日の問題点(振替休日を取れない)は解決できる。

振替休日

 

振替休日が引き起こす混乱。

何らかの理由で、休みの予定になっている日を出勤日に変えなければいけない。他の人が病気や怪我で休んだとか、仕事が忙しいからとか、予約がたくさん入ったからなど、休みの日を出勤日に変えて、代わりに他の日を休みに変えて対応する。状況によっては、このように休日を振り替えるときがあるかもしれません。

例えば、居酒屋で働く渡辺さんという人がいて、この人の勤務シフトは、水曜日と木曜日が休みで、他の日は勤務日だとしましょう。ある日、渡辺さんが働く居酒屋へ、木曜日に23名様が参加する宴会の予約が入った。

そこで、お店の店長さんが、渡辺さんに、「木曜日は休みなんだけれども、宴会の予約が入ったので、出勤してもらえないかい? 代わりに金曜日を休みにするからさ」と勤務日と休みの日を振り替えるように提案した。

渡辺さんは了承し、「あぁ、いいですよ」と対応した。

ところが、宴会の日である木曜日に、渡辺さんはインフルエンザA型にかかって仕事を休んでしまった。まぁ、なんともタイミングの良いインフルエンザですが、あくまでケーススタディとして考えてください。

休みの日である木曜日と出勤日である金曜日を入れ替えて、振替休日として扱いましたが、この場合、木曜日は欠勤日になるでしょうか。それとも、もともとは休みの日だったので、欠勤ではなく通常の休みの日になるのでしょうか。

  木曜日 金曜日
振替前 休み 出勤
振替後 出勤 休み
実際の勤務 休み? 欠勤? 休み

 

法律に書いていないことは、就業規則でチャンと決める。

休みの日と出勤日をごっそりそのまま入れ替えるという考え方だと、振替出勤した木曜日に休むと、出勤日に休んだことになるので、欠勤になります。

一方、予定では木曜日は休みだったので、振替出勤するつもりがインフルエンザで休みになったとしても、もともとは木曜日は休日だったので欠勤にはならないと考えることもできます。

どちらの対応も法律に違反しておらず、両方とも正解といえば正解です。しかし、どちらがより分かりやすく、かつ自然な処理でしょうか。

後者の場合だと、休日と出勤日を振り替えているのに、振り替えていないかのような状態になっていますよね。勤務シフト上は振り替えているように思えるけれども、休日と欠勤の処理に関しては振り替える前の状態を維持している。

事前に決めた勤務シフトを重視すれば、後者のような処理になるのでしょうが、分かりにくいし不自然です。

前者の場合は、休日と出勤日を振り替えて、勤務シフト上も、休日と欠勤の処理に関しても処理を統一しています。そのため、スンナリと分かる流れになっていますよね。

休みの日を固定していると、上記のような問題が起こります。水曜日と木曜日で休みを固定してしまうと、振替出勤した日が休みなのか、それとも欠勤日なのかで解釈が分かれてしまいます。

休みの日を固定せず、週2日の休日という程度で決めておけば、柔軟に休日を入れ替えることができるでしょう。そうすれば、欠勤か休みかでブレることもなく、常に通常の休みとして処理できます。

必ずしも契約で休みの日の曜日を固定する必要はありません。ちゃんと必要な休みが取れれば労働基準法35条には違反しません。

もちろん、休みの日であれ出勤日であれ、事前にガッチリと決めることができればいいのですけれども、業種によってはそうもいかないところもあるでしょうから、休みの曜日を固定するかどうかは考えて決めてください。

 

 

まだ振替休日で消耗しているの?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170219-00000008-mai-bus_all
<長時間労働>「振り替え休日」に二つの大問題


振替休日に関する問題は、労務管理でも何年も同じことが話されています。

  1. 代休との違いは何?
  2. 振り替えた休日を取得できない。

この2点が主な問題点です。


確かに問題点ではありますが、この問題はすでに解決可能です。

問題の原因は、「先に出勤して、後から休む」という点にあります。まず先に休日出勤して、後から振替休日を取る。こういう処理の仕方をしているために、振替休日に関する問題はずーっと解決できないままになります。


いつまでも振替休日を取得できないと、振り替えたはずの休日が消滅してしまう可能性もあるでしょうね。こんなことになったら、もう最悪です。


代休と振替休日の違いは、事前に振り替えたか否か。違いはこの点だけです。だからいつまでたっても理解出来ない人がいて、「どっちも一緒じゃないの?」と。

労務管理に常に触れている人ならば分かりますが、一般の社員まで理解させないといけない。そのため、いつまでも理解が広まらないのですね。


振替休日を取得できないならば、後出しジャンケンのごとく休日出勤手当を出すのも何だかヘンな対応法です。最初は振替休日だったのに、事後的に代休にすり替えられてしまうのですから、社員さんとしてはモヤモヤしますよね。

 

この問題を解決するには、細かいルールは不要です。解決策としては、先に休むようにすればOKなのです。

 


 

押してダメならば、引いてみな。

では、解決法について具体的に説明しましょう。

休日を振り替える時は、先に休みを取り、後から休日出勤する。これだけです。

「はぁ?」と思うでしょうが、あまりに簡単な解決法なので拍子抜けするはずです。



休みを後にするから、振替休日が取れないだの、代休との違いが分からないだの、事後的に休日にすり替えて手当を出すだの、色々と問題が発生してくるのです。

まずは休日が先。出勤は後から。対処法はコレです。



ではまずダメパターンから紹介しましょう。

先に出勤して、後から休む場合(ダメなパターン)。

(1週目)
月曜日
火曜日
水曜日
木曜日
金曜日
土曜日
日曜日:この日に休日出勤する。

(2週目)
月曜日:(どこで)
火曜日:(休みを)
水曜日:(取るの?)
木曜日:(いつまでに)
金曜日:(休みを)
土曜日:(取れるの?)
日曜日:(教えてくださいな)

1週目の日曜日に振り替えで休日出勤しましたが、どこで振替休日を取るのでしょうか。さらに、いつまでに振替休日は取れるのでしょうか。ホント曖昧ですよね。

翌週までにとか、給与の締め日までにとか、苦肉の策でそういう対処法を考え出す人もいますが、それでは問題は解決しません。

もちろん、会社ごとに自主ルールを作って対応するのもアリですが、それができているならば、もっと早い段階でこの問題は解決できているはずです。自主ルールなんてどこの会社でも作れるものではなくて、よほどキチンと労務管理できている会社でないとムリです。

会社や人に頼らず、仕組みに頼る。これがミソですね。



実は、複雑そうな問題は、思いのほか簡単に解決できるものです。

では、出勤日と振替休日の順番を逆にしてみましょう。


先に休んで、後から出勤する場合(良いパターン)。

(1週目)
月曜日:今日
火曜日:この日を日曜日の振替休日とする。
水曜日
木曜日
金曜日
土曜日
日曜日:この日に休日出勤する。この点は先ほどと同じ。

(2週目)
月曜日
火曜日
水曜日
木曜日
金曜日
土曜日
日曜日


考えてみてください。今日が1週目の月曜日だとして、来る日曜日に休日出勤しないといけない。そこで、日曜日よりも先に到来する1週目の火曜日を振替休日にするわけです(振り替えで出勤する日の前ならば何曜日でもOK)。

つまり、先に休んでから、その後に休日出勤するのですね。

この方法の良いところは、振替休日のスケジュール幅が限定されるところにあります。今日は月曜日で、休日出勤するのは日曜日。となると、必然的に振替休日を取得できるのは、火曜日から土曜日までの5日間のいずれかになりますよね。振り替え出勤する日よりも前に休むのですから。

こうなると、いつまでたっても振替休日を取得できないという問題は発生しません。先に休日を取得できるのが振替休日の条件ですから、ズルズルと予定を後ズレさせていくことはできません。

先に休む振替休日ならば、ルールを作らずとも、必然的に振替休日を取得しないと振り替え出勤できないようになります

つまり、「後から取れないならば、取るものを先に取る」というわけですね。

休日を振り替えたのに、また再度振り替えることになった、などというワケのわからないことも起こりません。振替休日がドンドンと貯まっていくなんてこともありません。



さらに、この方法の良いところがあって、それは代休との違いがハッキリする点です。事前に休日出勤する日と振替休日を指定するか否かで振替休日と代休を分けていたのですが、「先に休むのが振替休日で、後から休むのは代休」と分りやすく理解できるようになります。

「振替休日と代休の違いは何?」という、何年も何年も、同じ質問や疑問が延々と繰り返されてきましたが、もう決着をつけましょう。先に休みを取って、後から休日出勤するのは振替休日。一方、先に休日出勤して、後から代わりの休みを取るのは代休。これでバシッと2つを分けてしまいましょう。



どうです? 唖然とするほど簡単に解決できたでしょう?

考える角度を変えて解決策を考えてみると、スンナリと解けてしまう。そういう一例です。

 

 

 

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山口正博 社会保険労務士事務所
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