労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

振替休日の問題(振替休日を取れない)は解決できる。

振替休日

 

代休と振替休日の違いは? 似たものが2つあるから分かりにくい

なぜ代休と振替休日が仕組みとして理解してもらえないか。その原因は、代休と振替休日、この2つを同時に運用してるからではないだろうか。

この両者、よく似ていますからね。「どっちも同じじゃないの?」、「違いなんて無いのでは?」と思ってしまうとしたら、あなたはマトモです。

この場合は代休。この場合は振替休日。というように、場面ごとに2つを分けてしまっているために、訳が分からなくなる人が出てきます。

労務管理では、代休と振替休日は違うものなのですが、その違いが微妙であるため、理解できない方や混乱する方が常にいらっしゃいます。

両者には確かに違いはあるが、その違いは小さなもの。

先に出勤して、後から休めば代休。あらかじめ、出勤日と休日を入れ替えれば振替休日。簡単に書いてしまうとこうなのですが、これを読んでも、「それって、ほとんど一緒でしょ?」と思ってしまう人もいます。

確かに、その感覚は間違っていない。それぐらい違いは微妙ということ。

では、どうすればこの問題を解決できるか。

それは、代休を禁止して、振替休日に一本化すると問題は解決する。


誤解や混乱の原因は、似たものが2つあるから。それゆえ、1つを捨てて、残った1つだけで対処する。

ただ、振替休日にもいくつか課題があります。

よくあるのは、「いつまでに振替休日を取得すればいいのか」という疑問。

休日に出勤したものの、振替の休日をいつまでたっても取れない。これが悩みどころです。

この点については、すでに解決策があり、先に休みを取って、後から出勤するようにすれば、「いつまでに」という問題は回避できます。

先に出勤して、後から休みを取るとなると、いつまでに振替休日を取れるのかが問題になりますが、前後を逆にすれば問題は発生しません。

休日に出勤する場合は、休みを振り替える(振替休日だけで対処。代休の概念を使わない)。さらに、振替休日は先に取得し、後から休日出勤をする(前後を入れ替える)。

 

 

労務管理では、休日が2種類あり、代休も2種類ある

一般には、休日に出勤したあと、その休日のフォローとして代休というものを取る場面があります。振替休日に一本化していなければ、代休という言葉も職場で使われているでしょう。

休みの日に仕事をしてしまい、休日が無くなったので、他の日を代わりに休日とするわけです。


ただ、「休みの日に仕事をして、その後に休みを取る」という流れになっていたとしても、代休の性質が異なることがあります。

つまり、一口に休みの日と言っても、それがどんな休日なのかで対応が変わるのです。

法定休日に仕事をしたのか、それとも、法定外休日に仕事をしたのかによって、その後に取る代休の性質が変わるのですね。

複雑でしょう? だから、代休と振替休日を併存させずに、振替休日だけにして分かりやすい仕組みにしておく必要があります。

 


法定の代休か法定外の代休かによって対応が違う 休日は1つじゃない

例えば、法定休日に仕事をして、その後に代休を取得すると、その代休は「法定の代休」として扱います。つまり、労働基準法の代休のことです。

この場合は、休日勤務になりますし、休日の割増手当も必要です。

休日に出る休日手当(休日割増賃金)はいくらになる? 休日出勤に残業代は必要?


一方、法定外の休日に仕事をして、その後に代休を取得すると、その代休は「法定外の代休」(あえて名称を付けるとすれば)として扱います。つまり、労働基準法の代休ではなく、雇用契約や就業規則で定める代休になるのですね。会社独自の代休と表現してもいいでしょう。

この場合は、"労働基準法的には"休日勤務にならないですし、割増賃金も必要はありません。

ただ、会社によっては、「休みの日は全て休日(法定休日と同等のもの)として扱い、その日に出勤すれば休日出勤になる」と決めているところもあります。つまり、"労働基準法的には"休日勤務にしなくてもよいのに、あえて休日勤務の範囲を広げているのですね。

休日割増賃金が付く日と付かない日を分けるのではなく、前者の1つに統一しておくわけです。

会社がこの点を知っていてルールを作っているのか、それとも、知らずにルールを作っているのか分からないのですが、"労働基準法的に"休日勤務になるのは、法定休日に仕事をした日だけなのですね。

どの日が法定休日で、どの日が法定外休日なのか。ここを厳密に分けて勤務シフトを作っている事業所だけではないでしょうから、割増賃金が付いたり、付かなかったりと、混乱してしまうこともあるのでは。

 
もちろん、法定外休日の勤務を、"会社的に"休日勤務として扱うのは構いません。ただ、"労働基準法的に"休日勤務として扱うことまでは要しないということです。


「休日に仕事をした=休日勤務」と考えていると、間違うかもしれません。


ゆえに、法定休日出勤の代休なのか、法定外休日出勤の代休なのか、分けて把握することが必要なのです。

 

振替休日でも同じ問題点があり、法定休日を振り替えた場合と法定外休日を振り替えた場合、この2通りがあります。

「法定休日の振替」と「法定外休日の振替」という振替休日の2パターン

 

振替休日ならば、休日労働の割増賃金は必要ありませんから、休日に出勤してもらうときは、事前に振り替えるスケジュールを決めて、先に休日を取ってもらい、後から出勤してもらうという形にするのが良いです。

先に振替休日、後から振替出勤。この順番が重要です。後から振替休日を取るスケジュールにすると、また別の問題が生じますので。

 

 

振替休日が引き起こす混乱

何らかの理由で、休みの予定になっている日を出勤日に変えなければいけない。他の人が病気や怪我で休んだとか、仕事が忙しいからとか、予約がたくさん入ったからなど、休みの日を出勤日に変えて、代わりに他の日を休みに変えて対応する。状況によっては、このように休日を振り替えるときがあるかもしれません。

例えば、居酒屋で働く渡辺さんという人がいて、この人の勤務シフトは、水曜日と木曜日が休みで、他の日は勤務日だとしましょう。ある日、渡辺さんが働く居酒屋へ、木曜日に23名様が参加する宴会の予約が入った。

そこで、お店の店長さんが、渡辺さんに、「木曜日は休みなんだけれども、宴会の予約が入ったので、出勤してもらえないかい? 代わりに金曜日を休みにするからさ」と勤務日と休みの日を振り替えるように提案した。

渡辺さんは了承し、「あぁ、いいですよ」と対応した。

ところが、宴会の日である木曜日に、渡辺さんはインフルエンザA型にかかって仕事を休んでしまった。まぁ、なんともタイミングの良いインフルエンザですが、あくまでケーススタディとして考えてください。

休みの日である木曜日と出勤日である金曜日を入れ替えて、振替休日として扱いましたが、この場合、木曜日は欠勤日になるでしょうか。それとも、もともとは休みの日だったので、欠勤ではなく通常の休みの日になるのでしょうか。

  木曜日 金曜日
振替前 休み 出勤
振替後 出勤 休み
実際の勤務 休み? 欠勤? 休み

 

 

振替休日のルール 法律に書いていないことは就業規則でチャンと決める。

休みの日と出勤日をごっそりそのまま入れ替えるという考え方だと、振替出勤した木曜日に休むと、出勤日に休んだことになるので、欠勤になります。

一方、予定では木曜日は休みだったので、振替出勤するつもりがインフルエンザで休みになったとしても、もともとは木曜日は休日だったので欠勤にはならないと考えることもできます。

どちらの対応も法律に違反しておらず、両方とも正解といえば正解です。しかし、どちらがより分かりやすく、かつ自然な処理でしょうか。

後者の場合だと、休日と出勤日を振り替えているのに、振り替えていないかのような状態になっていますよね。勤務シフト上は振り替えているように思えるけれども、休日と欠勤の処理に関しては振り替える前の状態を維持している。

事前に決めた勤務シフトを重視すれば、後者のような処理になるのでしょうが、分かりにくいし不自然です。

前者の場合は、休日と出勤日を振り替えて、勤務シフト上も、休日と欠勤の処理に関しても処理を統一しています。そのため、スンナリと分かる流れになっていますよね。

休みの日を固定していると、上記のような問題が起こります。水曜日と木曜日で休みを固定してしまうと、振替出勤した日が休みなのか、それとも欠勤日なのかで解釈が分かれてしまいます。

休みの日を固定せず、週2日の休日という程度で決めておけば、柔軟に休日を入れ替えることができるでしょう。そうすれば、欠勤か休みかでブレることもなく、常に通常の休みとして処理できます。

必ずしも契約で休みの日の曜日を固定する必要はありません。ちゃんと必要な休みが取れれば労働基準法35条には違反しません。

もちろん、休みの日であれ出勤日であれ、事前にガッチリと決めることができればいいのですけれども、業種によってはそうもいかないところもあるでしょうから、休みの曜日を固定するかどうかは考えて決めてください。

 

 

振替休日を給与の締日までに取れなくて、時間外労働が発生し割増賃金が必要になった

給与計算の締め日までに振替休日を取れなかったために、翌月に振替休日を繰越してしまった。その結果、1週40時間をオーバーしてしまい割増賃金が必要になる。

給与計算の締日を過ぎない範囲、つまりは当月内で振替休日を取れていれば、時間外労働が発生しなかったものの、翌月に振替休日が回ってしまうと、当月内の労働時間が増えてしまって法定労働時間を超えてしまう。そのため、割増賃金が必要になる。休日を振り替える場面で起こる問題の1つです。

先に休日出勤をしてもらって、後日に振替休日を取ってもらう。つまり、先に出勤して、後から休日を取る、という形にしてしまうと、割増賃金の支払いで問題が起こってしまうのですね。

休日を振り替える可能性が出てきたら、先に出勤してから休日を取るのではなく、先に振替休日を取って、後から休日出勤するようにしたら、いつまでも振替休日を取れないということは起こりませんし、割増賃金の計算でも問題が起こりにくいのです。

振替休日を実施するときは、先に休みを取って、その後に休日出勤をする、という順番にすれば、厄介な問題は生じにくくなります。

 

 

まだ振替休日で消耗しているの? 休みの日を後回しにするから問題が起こる

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170219-00000008-mai-bus_all
<長時間労働>「振り替え休日」に二つの大問題


振替休日に関する問題は、労務管理でも何年も同じことが話されています。

  1. 代休との違いは何?
  2. 振り替えた休日を取得できない。

この2点が主な問題点です。


確かに問題点ではありますが、この問題はすでに解決可能です。

問題の原因は、「先に出勤して、後から休む」という点にあります。まず先に休日出勤して、後から振替休日を取る。こういう処理の仕方をしているために、振替休日に関する問題はずーっと解決できないままになります。

振替休日には有効期限がありませんから、来週取れるのか、来月なのか、さらにはずっと持ち越しになって振替休日がなかったことにされるなんてことも。永遠に繰り越されたら振替休日の意味がありませんからね。

たくさん貯まっても、使えないなら無意味です。


いつまでも振替休日を取得できないと、振り替えたはずの休日が消滅してしまう可能性もあるでしょうね。こんなことになったら、もう最悪です。

翌週までに取得する。給与の締日を跨がない。こういったルールを設けている事業所もあるでしょうが、根本的な解決には至らないでしょう。


代休と振替休日の違いは、事前に振り替えたか否か。違いはこの点だけです。だからいつまでたっても理解出来ない人がいて、「どっちも一緒じゃないの?」と。

労務管理に常に触れている人ならば分かりますが、一般の社員まで理解させないといけない。そのため、いつまでも理解が広まらないのですね。


振替休日を取得できないならば、後出しジャンケンのごとく休日出勤手当を出すのも何だかヘンな対応法です。最初は振替休日だったのに、事後的に代休にすり替えられてしまうのですから、社員さんとしてはモヤモヤしますよね。

 

この問題を解決するには、細かいルールは不要です。解決策としては、先に振替休日を取って休むようにすればOKなのです。

 

 

振替休日を先に取る 押してダメならば引いてみな

では、解決法について具体的に説明しましょう。

休日を振り替える時は、先に休みを取り、後から休日出勤する。これだけです。

「はぁ?」と思うでしょうが、あまりに簡単な解決法なので拍子抜けするはずです。



休みを後にするから、振替休日が取れないだの、代休との違いが分からないだの、事後的に休日にすり替えて手当を出すだの、色々と問題が発生してくるのです。

まずは休日が先。出勤は後から。対処法はコレです。



ではまずダメパターンから紹介しましょう。

先に出勤して、後から休む場合(ダメなパターン)。

(1週目)
月曜日
火曜日
水曜日
木曜日
金曜日
土曜日
日曜日:この日に休日出勤する。

(2週目)
月曜日:(どこで)
火曜日:(休みを)
水曜日:(取るの?)
木曜日:(いつまでに)
金曜日:(休みを)
土曜日:(取れるの?)
日曜日:(教えてくださいな)

1週目の日曜日に振り替えで休日出勤しましたが、どこで振替休日を取るのでしょうか。さらに、いつまでに振替休日は取れるのでしょうか。ホント曖昧ですよね。

翌週までにとか、給与の締め日までにとか、苦肉の策でそういう対処法を考え出す人もいますが、それでは問題は解決しません。

もちろん、会社ごとに自主ルールを作って対応するのもアリですが、それができているならば、もっと早い段階でこの問題は解決できているはずです。自主ルールなんてどこの会社でも作れるものではなくて、よほどキチンと労務管理できている会社でないとムリです。

会社や人に頼らず、仕組みに頼る。これがミソですね。



実は、複雑そうな問題は、思いのほか簡単に解決できるものです。

では、出勤日と振替休日の順番を逆にしてみましょう。


先に休んで、後から出勤する場合(良いパターン)。

(1週目)
月曜日:今日
火曜日:この日を日曜日の振替休日とする。
水曜日
木曜日
金曜日
土曜日
日曜日:この日に休日出勤する。この点は先ほどと同じ。

(2週目)
月曜日
火曜日
水曜日
木曜日
金曜日
土曜日
日曜日


考えてみてください。今日が1週目の月曜日だとして、来る日曜日に休日出勤しないといけない。そこで、日曜日よりも先に到来する1週目の火曜日を振替休日にするわけです(振り替えで出勤する日の前ならば何曜日でもOK)。

つまり、先に休んでから、その後に休日出勤するのですね。

この方法の良いところは、振替休日のスケジュール幅が限定されるところにあります。今日は月曜日で、休日出勤するのは日曜日。となると、必然的に振替休日を取得できるのは、火曜日から土曜日までの5日間のいずれかになりますよね。振り替え出勤する日よりも前に休むのですから。

こうなると、いつまでたっても振替休日を取得できないという問題は発生しません。先に休日を取得できるのが振替休日の条件ですから、ズルズルと予定を後ズレさせていくことはできません。

先に休む振替休日ならば、ルールを作らずとも、必然的に振替休日を取得しないと振り替え出勤できないようになります

つまり、「後から取れないならば、取るものを先に取る」というわけですね。

休日を振り替えたのに、また再度振り替えることになった、などというワケのわからないことも起こりません。振替休日がドンドンと貯まっていくなんてこともありません。


さらに、この方法の良いところがあって、それは代休との違いがハッキリする点です。事前に休日出勤する日と振替休日を指定するか否かで振替休日と代休を分けていたのですが、「先に休むのが振替休日で、後から休むのは代休」と分りやすく理解できるようになります。

「振替休日と代休の違いは何?」という、何年も何年も、同じ質問や疑問が延々と繰り返されてきましたが、もう決着をつけましょう。先に休みを取って、後から休日出勤するのは振替休日。一方、先に休日出勤して、後から代わりの休みを取るのは代休。これでバシッと2つを分けてしまいましょう。


どうです? 唖然とするほど簡単に解決できたでしょう?

考える角度を変えて解決策を考えてみると、スンナリと解けてしまう。そういう一例です。

 

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振替休日を会社が買い取ることはできるか

振替で出勤した後、後日に振替休日を取るとなると、様々な事情によって、本来なら取れるはずだった振替休日を取れずに、いつの間にか有耶無耶になってしまうこともあるのでは。「振替休日が消えてしまった」なんていう経験をした方もいらっしゃるのではないかと。

じゃあ、取れないならば、お金を出して、会社が振替休日を買い取ってしまったらどうなるのか。

未消化で使えなかった年次有給休暇を買い取る、という話が時折出てきますけれども、それと同じ発想で、振替休日を取れないんだったら、それを買い取るのはいいのかどうか。

年次有給休暇にしろ、振替休日にしろ、本来は働いてる人たちが休んで休養するためのものですから、お金で買い取ってしまうと、休養する時間がなくなってしまいます。

十分に休むことなく、仕事をしていて、事故を起こしたとなると、使用者の安全配慮義務違反という点が突っ込まれて、使用者が責任を負わなければいけなくなることもあります。

仮に、振替休日を買い取るとしても、その単価はいくらになるのかが不明です。

1日分の振替休日は、金銭換算すると、いくらになるのか。まさか事前に、就業規則に振替休日を買い取る、なんていうルールを決めることもできません。となると、口約束や話し合いでとなりますけれども、極端に安く買い叩かれる可能性もあるわけです。

振替休日であれ、年次有給休暇であれ、買い取るという発想は持たない方がいいでしょう。

振替休日は元々が法定休日だったとすると、それを買い取ってしまったら、法定休日を取得させてないことになり、法律に違反します。

振替休日がもとは法定外休日だったとしても、法律違反にならないとしても、契約違反や就業規則に違反します。

ゆえに、振替休日を買い取ることはできないわけです。

 

 

代休は有給にならないのかどうか

年次有給休暇は、休んだ日に給与が出る。そういう休暇制度ですけれども、じゃあ代休として休んだ日に給料はでるのかどうか。

代休は、元々は休日だったものです。法定休日であれ法定外休日であれ、休日という点で共通していますが、その休日がスケジュールを変えることで、代休に変わったということ。

休日は給料が出ずに休む日ですから、それが代休になったとしても、給与は有給にはならず、無給のままです。

 

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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