あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます

副業禁止という蜃気楼。就業規則にルールがあっても実際に制限していないことも。

 

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http://bizlady.jp/archives/180339(リンク切れ)
もうすぐ正社員の副業が容認に!? 81%が「副業したい」…その背景は

 
他の会社で働いてはいけないという類のルールが就業規則に書かれている会社もあるかと思いますが、現実はルール通りになっていない場合もあります。

就業規則に書かれているからといって、その内容に抵触して処分されるとは限らないのが現実の労務管理です。副業しちゃダメと書かれているけれども、休みの日に他の会社で働いているとか、自営業で商売をやっているなど、そういう働き方をする人を放置している会社もあります。

知っているけれども、放任している。そういう対応をする会社もあるのです。


懲戒処分をするかどうかは会社の裁量次第です。就業規則に違反したからといって、必ずしも処分されるとは限らないのが実務のモヤモヤした部分です。例えば、遅刻した場合でも、会社によって対応は色々です。口頭で注意するだけの会社もあれば、減給制裁される会社もありますし、始末書のような書類を出させる会社もあるでしょう。緩い会社があれば、厳しい会社もある。それが現実です。

副業の場合も、就業規則で禁止されているものの、黙認されている職場(ルール上はダメなんだけど、何だかグズグズになっている)もあれば、絶対にダメだぞという職場もある。さらに、懲戒処分を受ける場合もあれば、受けない場合もある。

法律で禁止されていることではなく、会社が自主的に作っている就業規則というルールで副業を制約しているだけですので、さじ加減が会社ごとにバラバラなのです。

 
さらに、副業にもそれぞれ違いがあり、単に収入を増やすために取り組んでいるものもあれば、実家の家業を手伝う形での副業もあります。また、今の仕事を始める前から続けている仕事を継続する形で副業になっているようなケースも想定できます。

例えば、実家が農家なので仕事が休みの日には収穫を手伝っているとか。実家が商店なので休みの日は、お店に出て仕事をしているとか。会社が休みの日に牛の乳搾り作業を手伝うなんてのもありそうですよね。父親が時計屋を営業しているので、その店番をするとか。両親がコンビニのフランチャイズ店を運営しているので、休みの日に手伝っているとか。

収入を増やすだけの副業も、もちろんあります。しかし、休みの日に実家の手伝いをしている人もいるでしょうし、自分の趣味が高じて仕事化してしまい結果的に副業になってしまったなんて人もいるでしょう。


副業といっても、形態は様々です。上記のようなケースを全て就業規則で禁止していいのかというと、なかなか難しいと感じるところです。かといって、こういう副業ならOKだけど、こういうのはNGというように線を引くのはさらに難しい問題になります。


就業規則を作る過程にも問題があり、テンプレートに入っていた文言をそのまま使っているために、あえて禁止するつもりもないのに、副業を禁じるルールが入り込んでいるなんてことも考えられます。

1つ1つ、内容を考えて就業規則を作らず、テンプレートを丸ごと持ってきて、少しカスタマイズして自社の就業規則にしてしまっていると、内容を理解できないままに労務管理をしてしまうわけです。

テンプレートを使うことそのものは悪くないのですが、内容を理解しないまま就業規則として通用させてしまうのがいけないところです。

だから、会社によっては、就業規則の内容が形骸化し、その内容に違反して副業しても何のペナルティもないのですね。


「もうすぐ正社員の副業が容認に」と書かれていますが、もともと禁止らしい禁止もしていなかったのですから、容認もなにも、前から規制など無かったのです。例えるならば、副業禁止のルールは蜃気楼のようなものです。


ずっと鎖で繋がれた象は、繋がれることに慣れてしまって、鎖を外しても逃げ出さないと言われています。

禁止されていると思い込んでいたものの、実際は禁止などされておらず、副業しても何のお咎めもない。副業に対するルールはそういうものだったのではないか。私はそう思います。


休みの日に何をしようと自由ですし、そこで副業をしたからといって懲戒解雇されるほどではありませんし、さほど怖がる程のものでも無いでしょう。

労務管理に対する社会の評価が、ここ数年でガラッと変わり、明らかに良い方向へ向かっています。適当な労務管理が跋扈していた10年ほど前とは比べ物にならないほどです。

今後も、この潮の流れが変わらず、良い方向へ向かっていくことを願っています。

 

 

 

 

「転職=同業他社に行く」人が多いんじゃないの?

1つの会社でずっと働き続ける人もいれば、途中で退職して他の仕事をする人もいる。

何らかの理由で仕事を変える場合、新たにどんな仕事をするか。

例えば、広告代理店で働いていた人が転職するとなると、おそらく次の仕事でも広告に関連する仕事を選択する可能性が高いはず。

他にも、板前として仕事をしていたならば、転職しても板前になる人が多いでしょう。また、レストランのコックだったならば、他のレストランでコックを続けるかもしれない。

つまり、働く場所は変わっても、仕事そのものはあまり変化がない。それが転職なのです。


もちろん、前職とは全く関連性がない異分野で新たに仕事を見つける人もいます。しかし、多くの人は、以前の経歴を活かすために、前職と同じ職種で仕事を見つけるのではないでしょうか。


会社によっては、就業規則に「同業他社で働いちゃいけません」という類の決まりがあって、同業である他の会社に転職しないように制約しているところもあります。

しかし、同業他社で働けないとなると、実質的に転職そのものを制約することにもなり、辞める社員さんにとっては困りモノです。


とはいえ、会社側には、自社のノウハウ的なものを他社に持っていかれると困るという気持ちがあって、同業他社への転職を制約したいという動機もありますよね。


会社の都合と退職する社員さんの都合、この両者をどうやって調整するか。ここが考えどころです。



同業他社に行くな = 転職するな?

人間の能力は思っているほど汎用性は高くないと私は思います。

広告会社で働いていた人は、転職しても広告関連の仕事をするはず。
板前として働いていた人ならば、転職してもまた板前として働くはず。
パイロットとして飛行機を操縦していたならば、他社でもパイロットとして働くはず。

「転職=同業他社へ行く」これは自然なことで、パイロットをやっていた人がトラックの運転手になるとか、広告会社で働いていた人が居酒屋で働くとか。

こういう流れには無理があります。

今までの経験がゼロからになるので、どうしても二の足を踏んでしまうはずです。


もちろん、気分を変えたいので、異業種で仕事をするのもアリですが、多くの人はあまり乗り気になれないと思います。


もし、同業他社で働いてはいけないと決められたら、実質的に転職を禁止されるようなものです。

ただ、会社側の都合でどうしても禁止したいならば、禁止期間に応じた所得補填をするのが妥当ではないかと思います。

もし、1年間、同業他社へ行くことを禁止するならば、1年分の収入を退職手当に上乗せする。これぐらいやらないと、退職する人は禁止規定に同意できないでしょう。

不利な条件を受け入れるには、相応の対価が必要です。何も用意せずに、「同業他社に転職するな」と言われても、納得できませんからね。


よほどのノウハウや秘密情報を知っている社員さんならば競業避止義務を課されるのも納得できるのですが、さほどの情報を持っていない社員まで競業避止義務を課すのは度が過ぎる感じがします。

なんとなく競業避止義務の規定を就業規則に入れるのではなく、どういうポジションの社員がその義務の対象になるのか、義務を課すならばどういうフォロー(退職金の上乗せなど)をするのか。

対象者、フォロー策、この2点を考えた上で、競業避止義務の規定は作る必要があります。

 

就業規則で禁止されている? 副業禁止規定は有名無実ではないか

就業規則で決めている副業禁止の効果はいかほどか。

「会社の承認を受ずに、また在籍のまま、他に事業を営み、あるいは他の会社に雇用されることを禁止します」

就業規則にこんなルールが書かれている会社も少なくないはず。


「本業に支障が出るといけないから、副業を禁止している」というのは確かに真っ当な理由だと思えます。


では、副業禁止は就業規則で決めなければいけないほど重要なルールなのでしょうか。

社員さんの就業の自由を拘束しているとも考えられるので、問題となります。

 

就業規則に副業を禁じる内容を惰性的に書き込んでいることもあるのではないでしょうか。

就業規則を作る時にはある程度のフォーマットがあり、副業禁止規定もそのフォーマットに含まれることが多いようです。


現に、ネットで就業規則のテンプレートを拝借して自社の就業規則を作っている会社は、デフォルトで書き込まれている副業禁止規定が必要かどうかもよく考えずに、テンプレートをそのまま使っているわけです。

また、他社の就業規則でも書いているから、当社も同じようにという感覚で書き込んでいることもあるはずです。


会社によっては、就業規則で副業や兼業を禁止と決めていても、意外と許してくれたりもします(思ったほど就業規則を厳密に適用してこない。就業規則に違反するが黙認している、など)。


中には、副業や兼業が就業規則で禁止されていることを知らない(もしくは、知らされていない?)方もいるはずです。

もちろん、会社によっては厳しいところもあるはずです。


私は、副業禁止規定というのは時代錯誤なルールだと考えていますので、就業規則を作る時には盛り込まないように提案しています。

絶対に不可欠というほどのルールではありませんから。


会社としては、副業をされると本業に支障が出るというのが理由なのかもしれませんが、その理由は意外とボンヤリしているのではないでしょうか。


風俗業や水商売、深夜に及ぶ就業を想定して副業禁止規定を設けているのでしょうが、だれもが上記のような仕事をするわけではなく、ほとんどの方は生活を楽にしようと考えて副業をするはずです。

また、本業の収入が少ないのでやむなく副業や兼職をしているという方もいるでしょう。


となると、承認や許可というように原則禁止にするべきではなく、せいぜい届出ぐらいにとどめるのが妥当なルールではないでしょうか。

 

「在籍のまま他に事業を営み、あるいは他の会社に雇用される場合には、会社所定の届出をすること」

という程度のルールが現実的ではないかと思います。

 

 

 

 

許される副業、許されない副業 分ける基準はあるの?

副業や兼業、二重就労を就業規則で制限している会社がありますが、どのような活動が副業等に該当するのかを具体的な基準を示している会社は少ないのではないでしょうか。

 

休みの日に何をするかは本人の自由ですから、遊びに行こうが、自営で副業しようが、家業を手伝おうが、他の会社でパートタイムで働こうが、こういったことは本来自由にできます。

 

けれども、会社の就業規則で副業なり兼業、二重就労といったものを制限してるとなると、どこまでの副業等が可能なのか、どこからの副業等はやってはいけないのか、を判断できる基準を会社が示しておかなければ、従業員は判断に迷ってしまいます。

 

単に副業禁止と言われても、一口に副業といっても色々あって、他の会社でフルタイムなりパートタイムで働くだけが副業ではありませんよね。

 

休みの日に友人の会社の仕事を手伝って報酬を得た。これは副業なのかどうか。それは会社で禁止されている副業に該当するのかどうか。

 

休みの日に他の会社でパートタイムで働いていた。これは副業に該当するのかどうか。自分の会社の就業規則で決められている禁止される副業等に該当するのかどうか。

 

これは副業になるのかどうか。自分の会社の就業規則で禁止されている副業等に該当するのかどうか。この点を個別に判断していかないといけないですし、そのための基準が必要です。

 

休みの日の活動がそもそも副業に該当するのかどうかをまず判定しなければいけないですし、副業だとすると、その副業が会社で禁止する副業に含まれるのかどうかも検討しなければならないわけです。つまり2つの基準が必要になり、それに基づいて判断しなきゃいけない。

 

就業規則を作る際に、副業等を禁止する規定というのは雛形に含まれている傾向があり、就業規則ってこんな感じで作るんですよ、と形で提案されて、深く考えずに雛形の内容をそのまま使って就業規則を作っちゃった会社もあるのでは。

 

副業、兼業や二重就労を禁止する就業規則の条文が自分の会社にとって必要なのかどうか。この書き方で足りるのかどうか。これらを検証せずに、そのまま就業規則として作り上げて正式なものにしてしまっていると、今回のように、副業なのかどうか、禁止されるのかどうか、という形で働いている人たちが判断できない状況になります。

 

1つの案としては、副業といったものを禁止せずに、休みの日に何をするのかは自由だけれども、届け出だけはしてもらうという形にする。この方法だと、今回のように就業規則で制限をかけていないので、何が副業なのか、どの副業が禁止されるのか、を基準として示す必要なくなりますし、働いてる人たちも悩むことがなくなります。

 

本来、雇用契約で使用者の指揮命令権を行使できるのは、契約した曜日、日数さらに勤務時間に限られますから、雇用契約の範囲内に含まれていない休みの日にまで就業規則の効果を及ぼすのは本来駄目なはずなんです。

 

けれども、長い間、就業規則の中に副業禁止とか兼業禁止、二重就労禁止、他の会社で働いちゃダメ、といったルールを定めてしまっていて、その内容について深く検証することなく、就業規則を作ってしまっていたのが原因です。

 

最も簡単な対処方法としては、上で書いたように、休みの日の副業をしてもらっても構わないけれども、仕事の内容の届け出だけはしておいてもらう。これならば休みの日に何をするか制限がかかりませんし、基準を作る必要はありません。さらに、労務管理の厄介事が1つ消えますし、こういう形で解決するのも一案です。

 

もし業務上の秘密の漏洩が気になるというのでしたら、秘密保持契約を締結する。中にはそういう会社もあるのではないでしょうか。業務上知り得たことを外に流した時は、損害賠償請求といった形で法的な責任を負いますよ、という内容の契約を結んでおく。秘密保持契約を結んだ人は、休みの日に副業やってもらっても構わない。これもまた1つの解決法です。

 

副業禁止するルールを就業規則になんとなく書いておいて、曖昧なまま放置しておくと、いつまでたっても問題は解決しません。

 

就業規則で副業に制限をかけるという方針にしてしまったら、何が副業に該当するのか、どのような副業だと禁止されるのか、どのような副業だと許されるのか、このような基準を会社が作らなければいけなくなります。具体的に基準を作ることができる自信があるならば、従来のような形で就業規則で副業等を制限してもいいんでしょうけども、許される副業と許されない副業の境目を客観的に定めるのは不可能でしょうから、基準を作ったとしてもそれは主観的な基準になってしまい、従業員の人たちにとってみれば、納得のいくような基準にはならないでしょう。

 

ですから、休みの日の副業等に関しては、原則として自由にして、届出をしてもらうか、秘密保持契約を結ぶか、というぐらいの解決策で着地させておくのが妥当なところです。 

 

 

 

副業の所得税と社会保険料を1分でシミュレーション

会社員として働きながら、休みの日には副業。

そういう働き方をする人も増えているかと思いますが、
副業で発生する税金について考えたことはあるでしょうか。

収入を得るとなれば、納税もするわけですが、

自分の副業では確定申告が必要なのかどうか
所得税の納税額はいくらになるのか

これらをイメージできるでしょうか。


確定申告には、
白色申告と青色申告がありますが、
青色申告をした場合に、どれだけ得するか。


こういったことを考える機会はそう多くないのでは。


そういう方のために、
1分で無料シミュレーションできるサービスがありますので、
確定申告のシーズンが近づいている時期なら、
一度、計算してみてはいかがでしょうか。

 

副業の税額を診断して、所得税と社会保険料をシミュレーションしてみる。

 

 

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