- 残業で処理せず、休日に出勤して処理する
- 平日に処理するはずの残業を、あえて休日にまわして、休日手当や休日割増賃金、代休を取る?
- 残業や休日出勤は使用者(会社)からの指示が前提
- 「本人の判断でやってもいい残業」と「本人の判断ではできない残業」の境目。
- 残業の届出や許可を求めず、本人の判断で残業できる範囲を作っておく
残業で処理せず、休日に出勤して処理する
何曜日に何時間働くか。これは契約で決めていることですけれども、「今日は仕事が多いので残業を休みの日に回しちゃお」と本人が決めてその通りに残業してしまったら。
上司から「今日やらずに、明日の休みを出勤に変えて処理して」と言われてやったのではなく、自分が必要だから残った仕事を休日にしようと決めてやった。そういう場面を想定してみて下さい。言うなれば、残業を繰り越しているようなものです。
つまり、平日に終わらなかった仕事を休日に回して、休日出勤で仕事を終わらせたら何が問題になるか。
会社の指示がなく、本人の判断で、当日に残った仕事を休日に回して、休日出勤で処理してやろう。こういったことを本人の判断だけで決めてもいいものかどうか。
一方で、本人の判断で休日出勤をしているところを止めることができないのか。平日に終わらせられる仕事は平日に決着をつけるように指示できないのか。
平日に処理するはずの残業を、あえて休日にまわして、休日手当や休日割増賃金、代休を取る?
平日のうちに終わらせることができない仕事があったとして、本来ならその日のうちに残業してでも決着をつけておくところなのですけれども、それを終わらせずに、休日に仕事を繰り越して、休日出勤で残った仕事を処理する。
そうすることで、休日出勤に伴う手当や割増賃金を受け取ったり、休日が潰れてしまった代わりに代休を取ったり。そのような効果を狙って、従業員自身の判断で休日に出勤するのは良いのかどうか。
会社の指示なり、上長の指示があって、「まだ仕事が残っているけれども、今日はここで終わって、明日の休日にこの仕事を回してほしい」と言って、「休日がなくなってしまうから、明日ではなく明後日を休みにしてくれたらいい」このような形で、使用者側から指示があるならば、残った仕事を休日に回して取り組むのも構いません。
しかし、本人の判断だけでそれをしてしまうと、好きなように休日出勤できてしまいます。休日の割増賃金を受け取り、休日が潰れたので代わりの休日を取得できたり、自分の判断でできてしまいます。
残業や休日出勤は使用者(会社)からの指示が前提
残業が必要かどうかは、会社側が判断してやるやらないを決めるものです。何時から何時までという形で、具体的に時間を指定して、残業を終わらせてもらう。これが正しい形です。
ですが、職場によっては、残業するかどうかについて、会社や上司が関わることなく、本人の判断でやるやらないを決めることができたり、どれぐらいの時間まで残業するのかについて本人が決めてしまっている職場もあります。
どういう場面で、どれだけの残業が必要かどうか。これを一つ一つ上司なり上長が判断していくのは手間でしょうし、実際に仕事をしている本人にしか進捗状況が分からないこともあるでしょうから、本人の自主性に任せて残業させてしまっている。そういう会社もあるでしょう。
サブロク協定(36協定)を締結して、何時間まで時間外労働ができるのかを決めている。さらに、労働時間をきちんと記録して、割増賃金も支払っている。それならば法律上は問題にならないのでしょうけれども、どの程度の残業まで本人の裁量に任せるのか。これは決めておかなければいけないでしょう。
「本人の判断でやってもいい残業」と「本人の判断ではできない残業」の境目。
例えば、18時で仕事を終えるところ、本人の判断で18時20分まで延長して仕事をした。この場合の残業時間は20分ですから、これぐらいだったら本人の判断で行ってもらってもいいだろう、という判断もあります。
わずか20分の残業が必要なのかどうかを、いちいち判断しなきゃいけないのも手間ですし、これぐらいなら誤差の範囲として認めておこう、という職場もあるでしょう。
残業をするときは、届け出をするなり、許可を取るなり、という形でルールを決めている職場であっても、現実にはほとんどチェックされることなく、本人の判断で残業ができてしまっているような職場もあるのでは。
届け出や許可制にしているものの、手続きが形骸化してしまって、本人の判断で残業することを許してしまっている。
部下の残業が必要なのかどうかを上司が全部チェックして、これは必要、これは必要ない、と判断していくのも、労力や時間を要するものですから、できることなら省略したい、と思うのが普通の人間です。
残業の届出や許可を求めず、本人の判断で残業できる範囲を作っておく
就業規則で、所定労働時間を超えて働くときは、15分超過までならば本人の判断で残業してもらっていい。けれども、それを超える時間の場合は上司の許可が必要。
このようにに本人の判断で残業を行っていい余地を作っておき、その範囲を超えたときは、許可が必要と線を引いておくのも一つの方法です。
わずかな時間の残業に対して、いちいち許可を与え、上司が判断をしていくと、手間が膨大になり、上司の時間を奪うと考えるなら、こういう形である程度のバッファを設けておいて、本人の判断でやっていい範囲の残業を認めておくといいでしょう。
残業は、それに対して許可がなければできない。このように完全にバッチリとルールを決めてしまう。そういう労務管理もありますが、残業が必要かどうかを判断できるのは、それを行う本人でしょうから、本人の裁量でできる残業を認めておくのですね。
届出や許可で全部チェックするのではなく、多少の範囲は誤差として織り込んでおく。これも労務管理の工夫です。
平日のうちに終わらせる仕事をあえて休日に回して、休日手当や休日割増賃金を受け取ったり、代休を取ろうとしたりするところまでは認めない。
所定労働時間の15分オーバーまでは本人判断での残業を認める。その範囲を逸脱している場合は会社の指示が必要。
一から十まで全部細かく指示を受け、許可を取る。こういう管理していくのも一つの方法でしょうけれども、ある程度の範囲までは本人の判断で行っても構わないよ、というように裁量を与えておくことで、労務管理の手間を減らしていくんですね。
残業をどう取り扱うか。こういったことも就業規則で決めておく必要があるんですね。大事なんですよ。就業規則って。