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自転車フードデリバリー 労災保険へ特別加入するメリットは?

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自転車でフードデリバリーに携わっている人を対象に、労災保険へ特別加入ができるよう厚生労働省で検討され、自転車を使用して貨物運送事業を行う者が2021年9月1日から「自転車を使用して行う貸物の運送の事業」として対象業種に加わり、労災保険に特別加入できるようになりました。さらに、「原動機付自転車を使用して行う貨物運送事業」についても今回の改正で労災保険の特別加入の対象になると明確化されました。原動機付自転車には50cc以下の第一種原動機付自転車だけでなく、50ccを超え125cc以下の第二種原動機付自転車も含まれます。

労働者災害補償保険法施行規則 第46条の17 第1号
「自動車を使用して行う旅客若しくは貨物の運送の事業又は原動機付自転車若しくは自転車を使用して行う貨物の運送の事業」
と明文化されています。

労災保険に加入すると、保険料を払わなければいけないから反対、と考える方もいらっしゃるでしょうが、特別加入する労災保険とはどういったものなのか。

令和3年9月1日から労災保険の「特別加入」の対象が広がりました|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

強制的に労災保険に加入させられて、保険料も強引に徴収されるんじゃないか、と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、会社で労災保険に入っているのと特別加入で労災保険に入るとでは違いがあります。

配達員の労災保険特別加入【フードデリバリー・宅配・運送業】 (rousai-hoken.jp)

労災保険に特別加入するかどうかは本人が任意で決める

会社員だと、その職場が適用事業所であれば、雇用保険、社会保険に半ば強制的に加入させられ、毎月の保険料は給与から天引きされます。従業員本人が加入するかどうかを決める余地はなく、適用条件に当てはまれば、被保険者資格を取得し、制度に加入ます。そして、給与から保険料を天引きされます。

ちなみに、労災保険料は会社が負担していますので、給与明細には労災保険料の項目がありません。事業所が労災保険の適用事業所になっていれば、そこで働く従業員は全員が労災保険に加入している扱いになります。学生を含むパートタイマーも労災保険に加入しているんですね。学生でも労災保険には入っていますから、仕事中の怪我では健康保険ではなく労災保険を使います。

学生でも労災保険は使える - あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます (growthwk.com)

公的保険には、給与天引きで保険料を取られるイメージがあるからか、自転車で料理を運ぶフードデリバリーの人も労災保険の特別加入の対象になるとなると、何か強制的に加入させられて保険料を取られちゃうんじゃないか、と思ってしまうのかもしれません。

加入したくない人は加入しなくてもいいですし、保険料を払って労災保険に入りたい人は入ることができます。これが労災保険の特別加入制度なのです。選択の余地がある任意加入なのが嬉しいですね。

特別加入する労災保険料(給付基礎日額)も本人が決める

労災保険料、自分で決めていいんです。特別加入の方は。少なく払ってもいいですし、多く払ってもいいですし、個人事業主にはこのような自由があるんですね。収入から自動的に決まるのではありません。

労災保険に特別加入すると、支払う保険料は、本人が設定した給付基礎日額に12/1000をかけて算出されます。

給付基礎日額は3500円から25000円まで16段階あり、本人が選んで決めることができます。ただし、18000円以上に給付基礎日額を設定するときは所得を証明する書類が必要。給付基礎日額を低くすると、労災保険に特別加入する保険料は安くなります。逆に給付基礎日額を高くすると、労災保険からの給付内容は充実しますけれども、それに伴って保険料も高くなります。

業務で自転車を使う方が労災保険に特別加入する際の保険料率が12/1000なので、もし最大の給付基礎日額である25000円を設定すると、年間の労災保険料は109500円になります(1日あたりの労災保険料は300円)。最も低い給付基礎日額である3500円に設定すると、年間の労災保険料は15324円になります(1日あたり42円)。

さらに、労災保険に特別加入するときは業種別の団体を通して加入するので、その団体への入会金と組合費も別途必要です。

ちなみに、会社員として働いている方だと、労災保険料を会社が負担します。ですから、本人の給与からは控除されません。一方、特別加入で労災保険に入った方は、保険料は加入する個人事業主が支払います。

保険料は社会保険料控除の対象になりますから、支払った保険料は所得から控除されます。

社会保険料控除(国税庁)

ちなみに、保険会社から生命保険や損害保険を買っていると、その全額が経費として扱われるとは限らず(生命保険料控除や地震保険料控除には上限があります)、公的な保険との違いがあります。

特別加入した際の労災保険料は、個人貨物輸送事業者が労災保険へ特別加入すると、1000分の12に保険料率が設定されているので、自転車で料理をデリバリーする方が労災保険に加入する際も、1000分の12になります。

労災保険へ特別加入するとき、自分自身で給付基礎日額を選択できるようになっています。この給付基礎日額に連動して年間の労災保険料が決まるようになって、給付基礎日額を低くすると保険料を低くできますし、給付基礎日額を高くすると年間保険料も高くなります。

給付基礎日額(厚生労働省)

休業補償の計算方法を教えてください。|厚生労働省

最低が3,500円で、最高が25,000円。最も低い給付基礎日額を選択すると、保険料率を12/1,000として、年間保険料は15,324円1ヶ月あたり1,277円です。

どうですか。これぐらいなら労災保険に入ってもいいと思えるのでは。

特別加入の労災保険料をたくさん払えば労災の給付も多くなる

給付基礎日額は、労災保険料を決めるだけでなく、労災保険の給付額を決める際にも使います。

例えば、怪我で仕事を休んでいる時に支給される休業補償給付という制度がありますが、その給付額は給付基礎日額の80%だったとすると、給付基礎日額10,000円に設定していた場合は8,000円。保険料を安くするために給付基礎日額5,000円に設定していたとすると、休業補償給付は3,500円になります。

怪我をして労災保険で病院に行って治療するときは、給付基礎日額に関係なく自己負担はありません。払っている労災保険の特別加入保険料に関わらず同じなんですね。療養の給付は、労災病院や労災保険指定医療機関、薬局等で受けられる現物給付で、これは支払っている保険料によって違いがありません。

健康保険だと3割負担になりますが、労災保険で病院に行くと自己負担ありませんから、仕事で怪我をした時に病院に行ければそれでいいと考えるならば、給付基礎日額を最も低い 3500円に設定しておくのもありです。

所得補償保険として機能するのが労災保険の特徴です。業務中の怪我で病院に行った時に使える保険ではありますが、業務を原因とする病気や怪我を理由に仕事を休むときの所得を補償してくれるものも労災保険の給付として用意されています。

支払った労災保険料は、社会保険料控除として所得から控除されるのですから、所得税への対策として保険料を多く払うのも1つの方法です。年間で所得税がどれぐらいで発生するかを見越して、給付基礎日額を決めていくといいでしょう。

一方、特別加入の労災保険料が所得控除されるといっても、支払った保険料は現金としてその分だけ減っていくわけですから、いくらでも払っていけばいいというわけでもないでしょう。支払う税金がどれぐらいあって、どれぐらいの保険料が現金として出ていっても大丈夫なのか、キャッシュフローを赤字にしてまで払うものではありませんから。

加入者が掛金を選べる。これは労災保険に特別加入する利点の1つです。会社員として労災保険が適用されるときは、会社側で賃金総額をまとめて、その賃金総額をベースにして労災保険料を払っています。さらに、従業員本人は労災保険料を負担することはなく、会社がそれを全額負担しています。

ですから、会社経由で労災保険に入っている状態の人は、自分自身で掛け金や保険料を調整することができませんし、毎月の賃金に連動して半ば自動的に給付基礎日額が決まり、労災保険料も決まります。

自動車は業務利用の自動車保険があるが、自転車保険はレジャーを想定している

フードデリバリーで料理を運ぶというと、まず自転車で運んでいる人がいて、二輪車つまりは自動車であるバイクで運ぶ人がいます。さらには貨物軽自動車運送事業で登録している四輪車で料理を運ぶ人もいます。つまり、料理を運ぶ手段は3つあります。さらに、徒歩で配達するという実験も始まっていますから、それを含めると4つになりますね。

二輪車と四輪車、これら自動車には、自賠責保険だけでなく自動車保険、つまりは任意保険も用意されていて、車両の用途を業務に切り替えれば、業務使用の際の事故でも自動車保険で対応することができます。日常利用で契約していても、月間で10日程度なら業務利用が可能な自動車保険もありますね。ここは加入している自動車保険の約款やしおりで確認が必要です。

一方、自転車は、自転車保険は販売されていますけれども、日常やレジャーで自転車を使うと想定して設計されている保険商品がほとんどです。そのため業務で自転車を使っていて、事故を起こすと、そういう保険だと保険金が出ません。例えば、自動車保険に特約で自転車の補償を入れることができますが、これも日常で自転車を乗っている場合を想定しています。業務で自転車を使う方には労災保険の特別加入はありがたいですね。

業務で自転車を使っている場合も保険の対象にできる商品もあるようですが、あまり認知されておらず、加入している人もほとんどいないのではないかと。そもそも自転車保険そのものにまだ加入していない方(無保険で乗っている人)もいらっしゃるはず。都道府県ごとに自転車保険が条例で義務化されていますから、自転車の保険には加入する必要があります。

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フードデリバリー会社が独自に傷害補償制度を用意して、配達している本人だけでなく、対人・対物賠償も保険でカバーできるよう準備しているところもあります。
日本の Uber Eats 配達パートナーに対し、配達中の対人・対物賠償責任保険および、配達パートナーへの傷害補償制度を提供いたします。

業務用途の自転車保険が乏しいところ、こういう保険はあった方が良いですね。配達する本人の補償は労災保険で対応できますが、対人・対物補償の部分をカバーしているかどうかがキモです。

労災保険の特別加入は自転車を業務で利用している方には検討に値しますね。

二輪車は自転車と違って業務で車両を利用するときの保険や共済があります。

自動車保険の特約で付けることができるファミリーバイク特約、自動車共済のマイバイク特約は、業務で原付に乗る場合も補償の対象になります。そのため、二輪車で配達される方は、 労災保険の特別加入を利用せず、ファミリーバイク特約などで対応する選択もありますね。人身傷害型のファミリーバイク特約なら乗っている本人のケガも補償の対象ですから。

さらに、損害保険会社は怪我の損害保険を販売しています。補償内容によりますが、月の保険料は1000円程度です。共済でも障害共済が用意されていて、こちらも月1000円程度の掛け金で入れます。自動車運転中の怪我は傷害保険や傷害共済の対象外ですが、運転時以外の場面は業務中も保障対象です。このような商品を利用すれば、怪我をした時の入院日額給付も出ますから、必ずしも労災保険の特別加入だけが唯一の選択肢ではなくて、保険会社で用意されている保険や共済を利用してリスクに備えることも可能です。

労災保険は自分自身の怪我や病気のためのもの

労災保険の特別加入は、相手に対する補償がありません(ここ重要です)。加入者本人に対して保険を使えますが、事故の相手方は対象外です。ですから、相手がいる事故を起こしたら、労災保険に特別加入するだけでなく、フードデリバリー会社が加入する保険も合わせて使います。

自分自身が業務中に怪我をして病院に行って治療を受けると、自己負担なしで労災保険を利用できます。さらに、怪我によって仕事がしばらくできなくなったら、休業補償給付を受給できます(3日の待機日が必要)。これが労災保険に特別加入する主な効果です。療養の給付と休業補償が労災保険の2大給付と言っていいぐらい。

自転車に乗っていて、転倒して怪我をしたとか、骨折したとなれば、労災保険で治療ができます。労災保険を利用した場合は、健康保険と違って、自己負担なしで治療を受けられるのが特徴です。労災保険料(貨物輸送事業は1.2%)は健康保険料(約10%)よりもずっと安いのですが、現物給付は労災保険の方が充実しています。

自転車を運転していて歩行者とぶつかって、歩行者を怪我させた。じゃあこの場合に、労災保険から給付が出るのかというと、自転車に乗っていた自分自身が怪我をしたならば、その部分に関しては労災保険は使えるのですけれども、相手、つまり歩行者が怪我をした部分に関しては、労災保険の対象外になります。

自分自身の守りを固める(身体的かつ経済的な面で、さらに税務的な面でも)ために使うのが労災保険の特別加入制度なのですね。

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給与は基本給だけでなく割増賃金や雇用保険料、さらに社会保険料も含まれますから、電卓で計算していると、給与計算を間違ってしまうことがあります。自動で給与を計算してくれるソフトを使えば、そういうミスも防げますね。

貨物運送事業では通勤災害に労災保険は適用されない

通勤時の災害も労災保険の対象になるのが当たり前のように思ってしまいますが、貨物運送業者は、乗り物に乗った時点で、もうすでに業務を開始してるような状態になり、どこからどこまでが通勤か分からないので、通勤災害の際は労災保険が適用されないようになっています。

通勤がないのに通勤災害と表現するのは変ですが。

フードデリバリーでも、自転車に乗ってスマホを操作したらすぐに業務開始ですから、配達しているか通勤中なのか分からないので、通勤という概念を挟み込む余地もないのかもしれませんが、通勤時に怪我をした場合は労災保険を使えません。

例えば、電車に乗って配達を開始する場所まで移動している間は業務外となります。

どこの医療機関でも労災保険を使えるのか

業務中に怪我をしたら、労災保険が使える病院で治療を受けなければいけないんじゃないか、と思うところですけれども、労災指定病院は身近にたくさんありますし、仮に労災指定病院以外のところで治療を受けたとしても、後日、支払った医療費は労災保険から給付されますから、その点は心配する必要がありません。

外出先で、自分の身近な地元ではないところで怪我をしてしまって、病院に行ったとしても、心配する必要は無いのです。

労災保険に特別加入する利点は4つ

1つ目の利点、自己負担なしで病院に行ける

配達中に怪我をした時は自己負担なしで病院で治療できますし、3日の待機期間はありますけども、4日目以降も休業すると休業補償給付を受けることができますから、配達できない期間に所得補償を受けられますので、悪くない制度です。健康保険だと自己負担3割がありますからね。

2つ目の利点、労災保険料が所得控除される

自分自身が負った業務上のケガや病気だけが労災保険の対象になるのですけれども、その保険料は社会保険料控除と同じ扱いで所得から控除できますし、支払う税金を減らす効果もあります。うまく使えば、業務中の怪我や病気に対して保護をつけるだけでなく、節税の手段にもなります。

3つ目の利点、自分で特別加入の労災保険料を決められる

給付基礎日額を自分自身で決めることができるため、保険料を自分でコントロールすることができます。この点も利点として大きいところです。たくさん給付が欲しいならば給付基礎日額を高くしておくといいですし、低い給付基礎日額でも病院では自己負担が無いので保険料を低くしておくのもアリです。

4つ目の利点、特別加入するかどうかは任意で決めていい

加入は任意で、保険料は自分でコントロールでき、怪我をしたら自己負担がなく治療を受けられる。休業したら休業補償給付による所得補償もあります。

会社で入る社会保険のように強制加入ではありませんので、労災保険の内容に魅力を感じれば特別加入するといいですし、傷害保険や傷害共済、ファミリーバイク特約やマイバイク特約が魅力ならばそちらを選ぶのもいいですね。

厚生労働省のウェブサイトに、特別加入する人向けにパンフレットが用意されています。それらを見ると、違いがあるように見えますけれども、色やイラストがちょっと変わってるだけで、パンフレットの中の本文はどれもほぼ同じ内容になっています。

労災保険への特別加入(厚生労働省)

自転車の事故は出会い頭が全体の約半分を占める

自転車関連交通事故の状況(警察庁)

2020年中に自転車関連の事故は、67,673件あり、そのうち出会い頭の事故が32,695件、つまり自転車の事故の約半分が出会い頭で起こっていることになります。出会い頭の事故に次いで多いのが左折時や右折時の事故です。転倒による事故は意外と少なく、2020年の転倒事故は2,270件。

転けて怪我をする人よりも出会い頭でぶつかる自転車のほうが多いのですね。

自転車事故のうち、事故の相手方が自動車(四輪車)になっている件数は54,319件ですから、自転車事故全体の約80%が自転車と自動車が当事者となる事故となっています。

出会い頭で、自転車と自動車が接触する。そういう事故が多いというわけです。信号が無い交差点で安全確認が不十分だと、出会い頭でぶつかりそうになりますよね。

自転車と自動車がぶつかれば、怪我をするのは自転車です。自転車にぶつかられて自動車の運転者が怪我をする可能性は低いでしょうから。

業務で自転車を運転している本人が事故で怪我をすれば、労災保険を使って治療を受けるなり休業補償を受けることになります。自動車を運転している人が加入している自動車保険からの補償もあるでしょうけれども、自身が特別加入している労災保険もあれば、自転車を運転する際の安心感が変わってきます。無保険の自動車に衝突される可能性もありますから油断できませんね。

また、単独事故でも、業務中なら労災保険を使えますから、この点も安心ですね。

労働保険の年度更新をカンタンにするには?
労働保険の年度更新は、毎年6月下旬から7月上旬にかけて行う手続きですが、年に1回しかやらないために、億劫に感じるもの。ですから、極力、早く楽に済ませたいところです。

労災保険に特別加入している貨物取扱事業者は約1.4%

一人親方等の区分で労災保険に特別加入している人の数は、令和元年度、2019年は626,963人。そのうち個人タクシー・個人貨物運送業者は9,081人でした。フードデリバリーは個人貨物運送業者に含まれますから、一人親方での労災保険へ特別加入している人全体からすると、約1.4%になっています。

最も多いのが建設業の一人親方で、613,996人です(全体の97.9%)。一人親方で労災保険に特別加入しているのは建設業で個人事業主をやっている方が大半です。

自転車でフードデリバリーを行っている人たちが加入するとなると、個人貨物運送業者の中に入ってくるでしょうが、構成割合は約1.4%ですから、自転車で貨物を運送する方が入ってきても、少数派であることは変わりなさそうです。

労災保険に加入するメリットが大きいのは、業務中に自分自身が病気や怪我をする可能性の高い業種です。建設業は、ご存知のように、現場作業中に怪我をしやすい業種ですし、積極的に労災保険に加入するインセンティブがあります。また、取引相手に対して労災保険に入っているかどうかも業務を発注する条件になっていることがあり、建設業では1人親方身分で労災保険に特別加入する人が多いのでしょう。

フードデリバリーサービスでも、一人親方の身分で労災保険に特別加入していることを条件にして、配達業務ができるようになるような規制が今後実施される可能性もあります。自転車での事故がニュースで報道されると、労災保険への加入を条件としたらいいのではないかという話が出てくるのではないでしょうか。

加入する人にとっては利益のある制度ですし、毎月の保険料をいくらにするかは自分自身でコントロールできます。支払った保険料は社会保険料控除として扱われますから、仮に加入することが条件になったとしても、フードデリバリー業務をされる方にとっては、反対するほどの負担にはならないのでは。

交通事故だけでなく、労災保険では自損事故や階段を踏み外して転倒し怪我をした。そういうものでも、業務中であるならば、労災保険を使えます。自転車に乗っていて、車道と歩道との間にあるゼブラゾーンに車輪がとられて転倒した。自転車のタイヤは細いですから、ちょっとした段差で転けることもあります。

しばらく自転車に乗れなくなったら、3日の待機期間はありますが、休業補償給付を受給できます。

相手のいない自分自身の単独事故による怪我もあるわけですから、その場合は相手の自動車保険を使うなんてことはできませんから、自分で治療することになります。そういう場合に、労災保険に特別加入していて良かったと感じるでしょうね。

配達者本人に対する補償は労災保険で対応して、対人・対物の賠償はフードデリバリー会社が用意する保険で対応する。こういう役割分担も考えられます。

対人・対物に特化すれば、少ない保険料で保障を厚くできますから、良いのではないかと。

労災保険無しで健康保険を使えばいいのでは?

怪我をしても、業務外のアクシデントということにして、3割負担で健康保険を使ってしまおう。こういうのもまぁ確かにフードデリバリーなら可能なのでしょうけれども、健康保険と違い、労災保険なら3割負担はありません。

支払う保険料を減らしたいならば、給付基礎日額を最も低い3,500円に設定しておけば、年間保険料は保険料率1000分の12として、年間の保険料は15,324円です。1ヶ月あたりの保険料は1,000円ちょっとで済むわけです。何度も書いていますが、この保険料は社会保険料控除として所得から控除できます。

労災保険に特別加入して、節税も兼ねたいならば、給付基礎日額を高い水準16,000円とか24,000円といった水準に設定して、支払う保険料を多くすることもできます。逆に、保険料を少なめにして、労災保険を使いたい方は、給付基礎日額を低くして、保険料を抑えるような利用方法もあるわけです。加入者が給付基礎日額を選択できるのが特別加入の良いところですね。これもシツコク書いてますけど。

業務中に怪我をしたときに病院を利用するだけだったら、給付基礎日額はいくらでも構いません。3,500円に設定しようと、25,000円に設定しようと、療養給付の内容は変わりませんから。

なお、休業した場合に給付される休業補償給付は、給付基礎日額に連動しているため、たくさん保険料を払っていると休業した際の給付額も多くなります。

月に1,000円ちょっとで、自己負担なしで病院を利用でき、休業時の補償もあり、保険料は所得から控除されるのですから、給付基礎日額3,500円で労災保険に特別加入しておくのもいいのでは。

税金対策として労災保険に特別加入するのもいいですね

2021年9月1日からフードデリバリーで料理を配達している人が労災保険に特別加入できるようになりました

自転車・原付配達員の労災保険【フードデリバリー労災保険】

9月1日から加入できるようになっていますので、自転車や125cc 未満の二輪車で料理を配達している方も労災保険を利用できるようになります。

自動車保険と違って、労災保険は相手に対する補償ではなく自分自身の怪我に対して補償する保険ですから、この点は理解しておく必要があります。事故によって怪我をして治療する費用(療養補償)や、働けない期間の収入を補填する所得補償(休業補償)がありますから、今まで民間の保険会社を利用して対応していた人は、労災保険に切り替える選択肢もできあがったわけです。

自動車保険に人身傷害補償を付けていないなら、その点を労災保険で補填するのもいいですね。

給付基礎日額に連動して保険料が決まりますから、この給付基礎日額が18,000円以上を選択すると、所得を証明する必要があります。16,000円以下を選択すれば、所得を証明する必要なく加入できますので、税金対策として労災保険に特別加入するのも一つの活用方法です。

社会保険料控除|国税庁

労災保険特別加入の保険料は社会保険料控除が可能ですので、その全額が控除の対象になります。

個人事業主が労働者に変身する

労災保険に特別加入するには、労災加入を受け付ける団体を経由して申し込んで、労災保険に加入するという流れになります。ですが、本来、自営業者は労働者ではありませんから、労災保険には加入できないはずです。

労災保険の特別加入制度には、加入団体を事業主とみなして、その団体を経由して、年会費を払ってそこに所属すると、自営業者(個人事業主)を労働者とみなすことができるというカラクリがあります。

労災保険の加入団体は、本来は事業主ではありませんけれども、加入員から年会費を受け取って加入させることで、事業主とみなされ(「みなす」とは、事業主と同じものとして扱うという意味)、団体に加入した人たちは労働者とみなされます(みなすことで労働者そのものと扱われます)。労働者だから、団体への加入員は労災保険に特別加入できる、と扱われます。

自営業者と労働者は、お互いに鳥と魚ぐらい違うもので、労災保険へ特別加入すると、鳥が魚に変身するぐらい変なことなのですけれども、そういう変な仕組みを特別に認めているのが労災保険の特別加入制度です。

本来はありえないことを可能にしてしまうのがこの特別加入のトリックというかカラクリなのですね。

一人親方など自営業者必見!労災保険の特別加入について
労災保険は労働者が加入する保険制度ですが、自営業者が特別加入制度で労災保険に加入した場合どのような利点があるのか。怪我や病気で仕事を休んだ時に、休業補償という形で収入が補填されるのが労災保険の特長のひとつです。健康保険と違って、病院で治療を受ける際も3割負担が無いのが労災保険です。
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