年金を受給するようになると、2月、4月、6月、8月、10月、12月、合計で年6回、該当月の15日に年金が振り込まれます。
そのため、毎月15日にはスーパーマーケットでポイントアップや割引など、何らかの施策が実施され、年金受給者のお客さんが店に来るように誘導しています。
偶数月になると半ば自動的に振り込まれる年金ですが、年に1回、年金受給者が書いて出さないといけないのが『公的年金等の受給者の扶養親族等申告書』という書面。
扶養親族等申告書というと、会社員の方でご存じの方もいらっしゃるはず。秋になると1枚の紙を渡され、それを見ると『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』という名称が付いています。
どちらの書類も扶養親族に関する申告書という点は同じです。違いは所得の部分で、会社員だと給与所得になり、年金受給者は雑所得という違いがあります。
「働いていた時代に書いていたあの書類(給与所得者の扶養控除等(異動)申告書)と同じようなものだろう」と考えていただければ良いでしょう。
年金受給者も年に1回はこの扶養親族に関する申告書を出す必要があり、提出を忘れると本来の所得税よりも多くの税金がかかります。
令和2年(2020年)分の申告書の提出期限が2019年10月31日となっており、まだ未提出の方は忘れないようにしてください。
提出を忘れると所得税率が変わってしまうのが以前までの制度だったのですが、令和2年度の申告書より、取り扱いが変わっています。
この申告書について制度改正があり、各種の控除が無い年金受給者の場合、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書を提出しなくても、所得税率に差が生じないようになりました。
以前は、特に扶養控除関連で申告するような項目が無くても形式的に提出せざるを得ないものでした。しかし、今後は、何らかの申告事項が無いならば提出しなくても所得税が高くなることはなくなります。
これまでは、提出を忘れる方もいたでしょうし、何の書類かよく分からずに放置してしまう方もいたでしょう。その結果、本来の所得税よりも高い税金を払ってしまう状況になっていたはずです。
今後は、何もしなくても所得税率に影響がでなくなりますから、ずっと形式的に申告書を出していた方は年1回の作業がなくなります。さらに、忘れても放置しても、何らかの申告事項が無い限り不利益はありません。
なお、控除可能な申告事項がある場合は、従来のように申告書を作成し、控除が適用されるよう手配する必要があります。申告書を未提出にしたり放置すると控除は適用されません。
形式的な手続きを省略できるようになり、不利益も回避できるため、年金受給者には有り難い制度変更です。