- 週5日出勤でなくても有給休暇は付く 週2日や週3日出勤でも年休の対象
- 年次有給休暇の有無を会社が決めてもいいの?
- フルタイム社員じゃないから有給休暇を繰り越しできない、、、というわけではない
- 繰り越した古い有給休暇から使うのか、それとも新しい有給休暇から使うのか
パートタイマーやアルバイトを含むすべての労働者には、有給休暇の権利があります。有給休暇は、雇用開始後6か月間の継続勤務かつ、その期間中の全労働日の8割以上出勤した労働者に与えられます。
有給休暇の繰り越しについては、正社員であれ、パートタイマーや学生アルバイトであれ、基本的に翌年度までの繰越が認められています。具体的には、有給休暇は取得年度の翌年まで(2年間)繰越が可能です。したがって、1年間で取得しきれなかった有給休暇は、翌年度に持ち越すことができます。ただし、その翌年までに取得しない場合は、その繰越分の有給休暇は消滅します。
例えば、ある年に10日間の有給休暇が付与され、そのうち5日しか使わなかった場合、残りの5日は翌年に繰り越されますが、翌年の終わりまでに使わないと失効してしまいます。
この権利は、雇用形態にかかわらず適用されるため、パートタイマーや学生アルバイトでも同様に繰越が可能です。
年次有給休暇がどれぐらい残っているかは毎月の給与明細に記載しておくと従業員に分かりやすいですね。
週5日出勤でなくても有給休暇は付く 週2日や週3日出勤でも年休の対象
フルタイム、つまり1日の所定労働時間が8時間で働く人でないと有給休暇は付かない。
そう思っている方もいらっしゃるでしょうが、パートタイムで働く方でも有給休暇は付きます。
週4日勤務でも、週2日勤務でも、同様です。
更に書くと、週1日出勤でも有給休暇は付きますからね。
パートタイムで働く人には学生も含まれますから、他の社員と同様に、学生にも有給休暇はあります。
年次有給休暇の有無を会社が決めてもいいの?
求人雑誌なり、お店の店頭に貼られている求人ポスターを見ると、時折見かけるのですが、「有給休暇制度あり」と募集条件に書かれていることがあります。
勤務地や勤務時間、賃金など、色々と求人に関する情報はあるのですけれども、有給休暇制度ありと書かれていると、じゃあ逆に「有給休暇制度なし」というケースもあるのかと思えてしまいます。
正社員じゃないと有給休暇はないと思っている人もいるかもしれませんが、有給休暇が付与されるかどうかは、正社員かどうかで決まるものではないのです。
フルタイム社員であれ、パートタイム社員であれ、学生であれ、有給休暇はあります。
労働基準法39条では、
『使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。』
と書かれており、この内容に当てはまれば、有給休暇を取得できます。
また、「週5日勤務じゃないと有給休暇は無いんじゃないか?」と考える人もいるでしょうが、必ずしも週5日勤務でなくても構いません。週4日でも週2日でも、さらには週1日勤務であっても有給休暇はあります。
週1日以上で勤務している人が大多数でしょうから、会社側で有給休暇の有無を決めるものではなく、ルールに基づいて有給休暇の付与日数は決まります。
正社員でなくとも、週5日勤務でなくとも、1日8時間勤務でなくとも、有給休暇はあるので、人材募集の情報として「有給休暇制度あり」と書くと、その受け取り方によっては、さも有給休暇が無い場合があるかのように思わせてしまいます。
とはいえ、「チャンと有給休暇を使えますよ」とアピールするために「有給休暇制度あり」と書いている可能性もあるので、一概に表記するのが良くないとも言えませんね。
何かが「ある」と書かれていると、「じゃあ、無い場合もあるの?」と反対解釈する人もいますから。
例えば、ラーメン屋、もしくは中華料理店で、「本日、担々麺はありません」と言われたら、「じゃあ、昨日はあったの?」、「お昼ならまだ食べられたの?」、「明日来れば食べられる?」など、身近な場面でも今回と似たような解釈というものはされていますよね。
フルタイム社員じゃないから有給休暇を繰り越しできない、、、というわけではない
有給休暇には2年の時効があり、付与された日数を繰り越しできます。
一例としては、今年は12日の有給休暇が付与され、7日分を使い、残りの5日分は翌年に持ち越す、という形になります。
繰り越しできるのは、有給休暇を付与された人全員が対象です。フルタイム社員は年次有給休暇を繰り越しできるけれども、パートタイマーの人は1年以内に使い切らないと有給休暇は消滅する、なんてことはありません。
パートタイムで働く人も、学生も、有給休暇の有効期限(時効のこと)は2年ですから、繰り越しできます。
「繰り越しできる日数に制限はあるの?」
と思うところですが、時効で制限がかかっているため、日数には制限がありません。
例えば、今年分の有給休暇が5日残っていて、翌年に繰り越したとしましょう。
翌年、新たに14日分の有給休暇が付与されたとすると、繰り越した日数と合わせて19日分になります。
この19日分の有給休暇を1年ほど使わずに持っておくと、繰り越した5日分が時効になり消滅します。その場合の有給休暇の残日数は14日になります。
繰り越した古い有給休暇から使うのか、それとも新しい有給休暇から使うのか
先程の例では、繰り越した有給休暇が5日ありました。
さらに、14日の有給休暇が新たに付与されています。
合計で19日分ですけれども、有給休暇を使用するとき、どの有給休暇から使うかが問題となります。
古い5日分から先に消化していくのか。
それとも、新しい14日分から消化していくのか。
自分の給与明細に有給休暇の残日数が表示されていたとしても、「19日」と書かれているだけでは内訳は分かりませんからね。
有給休暇を1日使ったら残りは18日になりますが、その1日は古い5日分から消化されたものなのか、新しい14日分から消化したのか。
これは給与明細では分かりません。
繰り越した有給休暇から使うのか、新しく付与された有給休暇から使うのか。
この点は会社ごとに異なっていて、就業規則で決めておく必要があります。
時効が先に到来する古い方から使うのが人の感情としては納得できますよね。
新しい方から使う形になっていると、「時効消滅を狙っているのでは?」と社員は不満を感じるでしょう。
やはり、繰り越した有給休暇から先に使うようにしている方が納得を得られやすいもの。
繰り越した後の有給休暇をどう使っていくか。ここは大事なところですから、就業規則でキチンと決めておきましょう。