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国民年金保険料の免除、納付猶予、どういうメリットとデメリットがあるか。

 

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国民年金には保険料納付の免除や猶予があるが、厚生年金には無い。


国民年金に加入している人には、

保険料を毎月、もしくは半年なり1年、2年と先払いする方法がある一方で、

保険料を免除したり、猶予する制度があります。

 

国民年金前納割引制度(現金払い 前納)|日本年金機構

 

国民年金保険料の免除・猶予・追納

 


ちなみに、

厚生年金に加入している人には、
年金保険料を免除したり猶予する選択肢は用意されていません

厚生年金に加入しているということは、
どこかの会社経由で社会保険に加入し、
給与から社会保険料を控除して支払っています。

給与は毎月支払われるのが通常ですから、
確実に保険料を回収できるため、
厚生年金の保険料を免除する必要はなく、
納付を猶予する必要も無いのです。


国民年金だけ加入している人には免除や猶予があるものの、
厚生年金に加入している人にはそれらが無いのは、
上記のような理由があるためです。

 

 


免除や猶予は種類が多い。


国民年金の保険料を免除するといっても、
4パターンあります。

全額免除3/4免除半額免除1/4免除



変わったものとして、
配偶者、夫や妻からの暴力を理由に保険料を免除する制度も用意されています。

配偶者からの暴力を受けた方の国民年金保険料の特例免除について



例えば、

国民年金の保険料を16,340円とすると、

全額免除ならば、保険料は0円に。

3/4免除ならば、保険料は4,085円。

半額免除なら、8,170円。

1/4免除だと、12,255円になります。


免除を受けるには申請書を年金事務所に出します。

受けやすい順に並べると、

1/4免除
3/4免除
3/4免除
全額免除

となり、
支払う保険料が最も多い1/4免除が承認されやすいです。

 

免除とは別に、「猶予」というメニューもあります。

免除とは違って、猶予は、

「保険料を払わなくていい」
というものではなくて、

「保険料を後払いにできる」
というもの。


商売で言うところの、
「ツケ売買」のようなものです。

先に商品だけ受け取って、
支払いは2ヶ月後。

代金を受け取るまでは売掛金
として帳簿に記録しておく。

国民年金保険料の納付猶予はこれと同じものです。


猶予には2種類あり、

学生用の学生納付特例制度

50歳未満の人が対象になる納付猶予制度

この2つです。


ちなみに、学生の人は免除制度を利用できません

全額免除や1/4免除など、
免除するメニューは利用できず、


保険料を納付するか、
学生納付特例制度を利用するか。

このどちらかです。

 

今、保険料を払うか、
卒業してから払うかの違いです。

 

 


学生 島耕作(6)<完>

 

 

 

免除や猶予を受けると、後からどういう影響がある?


毎月、もしくは1年分を先払いしている。

そういう人たちに比べて、
何か違いがあるかというと、
少しばかり違いがあります。



まず、国民年金の保険料を全額免除された場合、

保険料を納付する必要はありませんが、
年金額に反映されるのは1/2だけです。

例えば、
普通に保険料を1ヶ月分支払うと、
年金額が1,600円増えるとします。

他方、
保険料の全額免除を1ヶ月分受けたとすると、
年金額は半分の800円増えます。

つまり、
全額免除を受けると、
年金額に反映されるのは、
実際に保険料を納付した場合に比べて1/2になるのです。

 

 

3/4免除、半額免除、1/4免除

これらの免除は「一部免除」と扱われ、
残りの保険料を納付しないと、
受給資格期間には算入されません。


例えば、

12ヶ月間、全額免除であった場合、
年金額に反映されるのは1/2。
また、受給資格期間は12ヶ月になります。

一方、

12ヶ月間、半額免除であった場合は、
年金額に反映されるのは3/4。

保険料を1ヶ月分支払うと、
年金額が1,600円増えるとすると、

半額免除を受けた期間は、
3/4なので、年金額は1,200円増えます。

さらに、

保険料の残り半分を納付しなければ、
受給資格期間には算入されません。

年金を受け取るためには、
10年以上の加入期間が必要ですが、
この中に算入されないのです。


全額免除だと、
免除されていた期間は加入期間としてカウントされますが、

半額免除だと、
残りの保険料を納付しないと、加入期間にカウントされません。

この点は、
3/4免除、1/4免除でも同じです。


ちなみに、

3/4免除だと、
年金額には5/8が反映されます。

1/4免除だと、
年金額には7/8が反映されます。

ただし、
残りの保険料を納付しないと、
年金に加入していた期間には算入されません。

 

全額免除は、
年金額に反映し、
加入期間にも算入されますが、

一部免除(3/4免除、半額免除、1/4免除)は、
年金額に反映するものの、
後から残りの保険料を納付しないと、
加入期間には算入されないのです。

 

 


「年金問題」は嘘ばかり ダマされて損をしないための必須知識

 

 

 

猶予は「後払い」の制度。


学生納付特例制度と50歳未満の納付猶予制度は、

保険料が免除されるわけではなく、
猶予されるものなので、
後から支払います。


年金は、制度に10年以上加入すれば受け取れます。

これが受給資格期間の条件です。


例えば、国民年金に10年加入し、
10年間(継続して10年でなくてもいい)、
保険料を支払ってきた。

この場合は、受給条件を満たすため、
年金を受け取れます。


学生の間は、4年間、国民年金に加入し、
その後は会社経由で厚生年金に6年間加入した人だと、

厚生年金に加入すると、
国民年金にも同時に加入している扱いになりますから、

加入期間は合計で10年。

この場合も、年金の受給条件を満たします。


また、

保険料の全額免除を受けた期間が
仮に10年あるとすると、
受給資格期間は10年です。

10年間、保険料は全額免除ですが、
年金を受給する条件を満たしているため、
年金を受け取れます。


ただし、

10年以上の加入期間で年金を受け取れますが、
10年ではほとんど年金額は増えませんので、
仮に受け取ったとしても微々たるものです。

 

学生納付特例制度を利用し、
大学に在籍していた4年間、
ずっと納付特例制度を適用されていたとすると、
受給資格期間は4年増えます。

つまり、大学を卒業した時点で
必要な受給資格期間である10年のうち、
4年は加入していたことになるため、
加入期間はあと6年あれば、
年金を受け取れます。

ただ、国民年金に4年間加入した扱いにはなっているものの、
卒業時点での年金額はゼロです。

学生納付特例制度は、
「国民年金に加入している」という扱いにはなるものの、
保険料を納付していないため、
年金額はゼロのまま。

保険料を払う必要がなくなる制度ではなく、
後払いにできる制度ですから誤解なきよう。


学生だからといって、
学生納付特例制度を利用しなければいけない義務はありません。

在学中から保険料を払っても構いません。

先に払うか、後から払うかの違いです。

 

50歳未満の人が対象になる納付猶予も
学生納付特例制度と同じです。

猶予を受けていた期間は、
受給資格期間には算入されますが
後から保険料を納付しないと年金額は増えません。

 

免除を受けた場合は、

年金の受取額が減る。

一部免除の場合は、
後から残りの保険料を納付しないと
加入期間(受給資格期間)に算入されない。

 

猶予を受けた場合は、

加入期間には算入されるものの、
後から保険料を払って年金の給付額を増やす必要がある。


通常通りに納付した場合との違いはこれです。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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