通勤交通費(通勤手当)を全額支給するな。

 

 

 

交通費を出すから電車に乗る。


通勤ラッシュをどうしたら解消できるのか。この点についてずっと議論が続いていますが、交通費が支給されていたら、電車に乗るのは当たり前です。

交通費全額支給』、『交通費全額会社負担』、求人情報を見ると、会社が交通費を負担すると書いているものが多い。

通勤手当が支給されれば、実質無料で電車に乗れるのですから、「じゃあ、電車で通勤するか」となるのは当然です。

たくさんの人が電車に乗る。その結果、電車に人が殺到し、通勤ラッシュが発生する。

原因と結果は単純なものです。

交通費が出なければ電車に乗る人は減ります。そうなればギチギチに電車に乗ることもなくなり、混雑は緩和されます。


通勤ラッシュの原因が分かっているのに、あえて対処しようとはしない。不思議ですよね。

 

 

 

月額15万円まで通勤手当を税金で優遇してしまっている。


政府は、通勤手当に対する優遇税制をさらに拡張しています。平成27年までは月額10万円までの通勤手当が非課税として扱われていましたが、平成28年からは15万円まで非課税枠が引き上げられました。


通勤手当の非課税限度額の引上げについて(国税庁)

新幹線でも通勤できるようにとのことですが、もはや異常です。

通勤手当を減らして、電車から人を遠ざけないといけないのに、もっと電車を使わせようとする。そして、もっと通勤ラッシュが酷くなる。

新幹線に乗らないと行けないほど遠くから毎日通勤するなんて、どういう価値観に基づく判断なのか理解しがたいものです。

そんなに電車にお金を使うならば、そのお金で職場の近くに住む方がよほど快適ですし、気分も落ちつくでしょう。乗り遅れそうになって駅構内をダッシュすることはないですし、横の座席に乗っている人に気を使うこともない。さらに、電車に乗らなければ、移動時間を節約できるのが大きいでしょう。

「新幹線の中で仕事ができる。車内が静かだから」こんな理屈をこねる人もいるでしょうが、なぜ、あえて新幹線の中で仕事をしようとするのか。仕事をするならば、自宅か勤務先でやればいいでしょう。

デキるビジネスマンを演出したい気持ちは分からないでもないですが、そんな見栄を張ってもしょうがない。

もう電車で通勤することに慣れきってしまっていて、おかしいと気づけないのでしょうね。職場の近くに住んで、徒歩や自転車で職場まで行ければ、これほど快適なものはない。


通勤手当の非課税枠を広げてしまうと、さらに電車で通勤する人を増やし、通勤ラッシュは解消するどころかさらに悪化します。

 

 

 

 

通勤手当を減らし、住宅手当を増やす。


通勤手当を出すと、「遠くからでも通勤できるな」と人に思わせます。一方、住宅手当を出すと、「なるべく職場の近くに住もう」と人に思わせます。

では、どちらが良いのか。


職場から近いほど住宅手当が増える設計にして、近くに住んでいないともらえないようにする。一方で、通勤手当は段階的に縮小していく。

今までは「通勤手当9:住宅手当1」だったものを「通勤手当6:住宅手当4」と変えてき、「通勤手当3:住宅手当7」、「通勤手当1:住宅手当9」と予算配分のウェートを変える。そして、最終的には通勤手当を0にして、住宅手当への予算配分を10にする。

こうすれば、もう電車に乗って通勤しようとは思えなくなります。

ちなみに、鉄道会社にとって通勤客はドル箱ですから、通勤手当を減らされることには反対するでしょう。しかし、人間を電車に押し込めて運ぶような現状が望ましいものなのかどうかというと、私は望ましいとは思いません。


遠い場所から通勤していると、勤務シフトを交代するのも難しくなります。

近くに住んでいれば、「今日出勤して、明日は休みにしてくれないか」と言われても対応しやすい。しかし、片道1時間もかかるとなると、そう簡単には応じれない。1時間もかけて職場まで行くのは面倒ですからね。

交通費が出ない職場ならば、人材募集のとき、自動的に応募者がフィルタリングされ、遠くに住む人は応募してきません。近くに住む人を採用したいならば、交通費を出さないのも一考です。

さらに、自転車で通勤した人には自転車手当を出すのも良いですね。住宅手当と連携させて、職住近接を促進できます。自転車で通勤しても税金は優遇されます

自転車通勤に交通費が出ないのはなぜ?

電車に乗ってきても交通費は出ないけれども、自転車で通勤した人には手当が出る。このようなインセンティブを設定するのも1つの選択肢です。近くに住んでいる人を優遇するんですね。


住宅手当が支給される対象を賃貸住宅に限定するのもアリです。賃貸住宅ならば負債がなくて身軽ですし、引越しもしやすい。人事異動で住所が変わっても、スッと移動して、住んでいる間は住宅手当が出る。

ここで、一軒家に住んでいる人はどうするかが考えどころですが、住宅手当を定額支給にするのはどうでしょうか。どんな家に住んでいても住宅手当は毎月2万円とか。

賃貸を優遇して、一軒家よりも有利にしておけば、賃貸住宅に住む人を増やせます。与信枠を目一杯使って、大きな負債を抱えて仕事をしてもらうよりも、経済的に身軽な状態の方が仕事が捗るでしょう。



交通費が出なければ電車に乗って通勤しない(通勤ラッシュが解消に向かう)。住宅手当が出れば職場の近くに住む。自転車通勤に手当が出れば、会社やお店に近い場所に住んでいる人が働いてくれる。

人の気持ちがどのように動くかを考えて手当を配分する。これも労務管理なんです。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com
お問い合わせ

© 社会保険労務士 山口正博事務所