残業代を払えば高校生も残業OK、、、じゃない
2014年の2月になって、高校生は学年末テストの時期でしょうか。
テストが終って3月になれば、春休みが始まりますので、旅行に行ったり、クラブ活動に時間を使ったり、バイトに行ったりと、色々と予定を立てるかと思います。
高校生になればバイトができるようになりますが、普段、学校の授業がある時期だと、1日に3時間から4時間ぐらいしか仕事はできませんが、春休みのような長期の休みになると、勤務時間を増やす人もいるかもしれません。
私が高校生の頃も、夕方から夜がバイトの時間で、仕事の時間も4時間ぐらいだったと記憶しています。
色々なバイトを経験しましたが、夏休みには運送会社で仕事をしていました。運送会社といっても、トラックを運転して配達するというわけにはいきませんから、倉庫内でのピッキングや梱包が主な仕事でした。
時期が夏休みですから、平時よりも長く働いてやろうという人が出てきます。私はせいぜい1日6時間ぐらいでしたが、中には1日8時間、10時間(?)という人もいたようです。
ここで問題になるのが、高校生でも残業はできるのかどうかという点です。
1日4時間、6時間ぐらいならば問題ないのでしょうが、8時間を超えて、さらには1日10時間の勤務となると、残業代が必要になりますよね。
では、残業代を受け取れば、高校生であっても10時間の勤務が可能なのかどうか。ここが今回のポイントです。
「チャンと残業代を支払えば問題ないだろう」と考えるのでしょうか。
それとも、
「いや、残業代を払っても高校生は残業しちゃダメだ」と考えるのでしょうか。
さて、どちらでしょう。
他の従業員と高校生はちょっと違う。高校生でもできる残業とは
左記に結論を書くと、正しいのは後者です。
残業代をきちんと支払っても、36協定を届け出ていても、18歳未満の高校生は残業はできない。
なぜかというと、労働基準法に書かれているからです。労働基準法の60条では、「第32条の2から第32条の5まで、第36条及び第40条の規定は、満18歳に満たない者については、これを適用しない」と書かれています。
つまり、18歳未満の高校生には36協定が適用されないため、法定時間外労働、つまり残業はできないのです。ただし、所定労働時間を超えての残業ならば可能です。1日8時間を超えない範囲かつ1週40時間を超えない範囲ならば、所定労働時間を超過する残業はできます。
例えば、4時間勤務のところを何らかの事情で30分延長したとしても、8時間以内ですから、その残業はOKなのです。
条文の参照が書かれているだけで、60条だけを読むと内容が分かりませんが、32条は変形労働時間について書かれている条文で、36条は時間外労働と休日労働について書かれている条文。さらに、40条では、労働時間と休憩時間の特例について書かれています。
今回のポイントは、18歳未満の人には36条が適用されない点です。36条というのは、必要な届け出をすれば、残業や休日労働が可能になるルールなのですが、これが高校生には適用されません。
つまり、残業をするために必要な手続きを済ませて、残業代を正しく払っても、18歳未満の高校生は残業できないということ。お金を払えば大丈夫だろう、というわけではないのですね。
だから、高校生は残業ができません。
ただし、1日8時間を超えない範囲での残業はOKです。例えば、3時間勤務のところを4時間勤務に変更したとか、5時間勤務だったけれども仕事が長引いて5時間40分になったという状況ならば60条には違反しません。
上記のような場面も残業といえば残業なのですが、法的な残業(法定労働時間を超えた業務)ではなく、会社的な残業(所定労働時間を超えているけれども法定労働時間を超えていない業務)なので、労働基準法36条が想定する時間外労働ではないのですね。
1日8時間の枠を超えない範囲で、高校生は勤務シフトを組みましょう。