クリスマスに繁盛する商売
ハロウィンが終わると、街はクリスマスモードに切り替わり、気分が徐々に盛り上がってくるのを感じます。
年末のソワソワした雰囲気、お店にいけば人がいっぱい、あぁ今年も終わりかという寂しさ、そういう色々なものが絡み合って12月の後半が来ると嬉しいんです。
ただ、12月31日が終わって、1月1日になった途端に白ける感じがあまり好きじゃない。気分がプツンと切れる感じがするんです。年明けした瞬間に。
話は変わって、年末が近づくと忙しくなる商売も世の中にはあり、クリスマスには特にお客さんが多いというところもあるのでは。
例えば、宅配ピザ。クリスマスには注文がグッと増えるでしょうね。2019年の12月24日は日曜日ですから、なおさら注文は多そうです。外は寒いですし、自宅でクリスマスパーティーを開く方もいるのでは。そういった方には宅配ピザは好都合なはず。
他にも、フライドチキンを販売するお店も忙しくなりそうですし、ケーキを販売するお店にも普段では考えられないほどのお客さんがやってくるでしょう。
そんな忙しいクリスマスですから、出勤できる人には可能な限り出勤してほしい。そう考えるのが勤務シフトを管理する人の本音ではないかと思います。
クリスマスイブだけは休ませてください、という難しい要求
しかし、クリスマスは、誰かとどこかに行ったり、遊びに行ったりと、何かと都合を付けて仕事をせずに過ごしたいと考える人が多くなるのも事実。平日ならばまだ仕事する人もいるでしょうが、12月24日が日曜日となると、休みが固定されていないサービス業の方なら、休みたいと思ってしまうところです。
日曜日がクリスマスイブなんて、サービス業ではまさに稼ぎ時なわけで、「ここでやらずしていつやるのか」と言って誰かに迫りたいぐらいの大チャンス。
ならば、従業員の方にはぜひとも出勤してもらいたいと思うわけです。
しかし、クリスマスイブが日曜日ならば、仕事などせずに、カレシとデートしたいでしょうし、家族と旅行に行きたいものでしょうし、各地にあるイルミネーション巡りをしたい、スキー場に行ってスノーボードで滑りたい、このように色々とやりたいはずです。
「何だクリスマスイブに休みたいだと? ダメだそんなもん」実際に会社なりお店が忙しいという理由もあるでしょうが、自分たちはクリスマスに出勤しているのに、他の奴が休むなんて、認めてやらんぞ。そういうヤッカミというかネタミというかシットのようなものもあるかもしれません。
会社としては出勤して欲しい。従業員としては休みたい。この両者をどうやって調整していくか、これが問題となります。
クリスマスに出勤したくなる動機が必要
忙しい日に出勤しても忙しくない日に出勤しても給与や手当は同じ。これではあえてクリスマスに出勤しようかとは思いにくい。
クリスマスを楽しむことを放棄してでも出勤したい。そう思わせるような仕掛けなり動機があれば話は変わってくるはずです。
採用時に、雇用契約書で「12月24日と25日の出勤は必須」との内容を含めていれば、出勤させることができるのではないか。契約を理由に、強引に出勤させるという手を考える方もいるかもしれません。
「12月24日、25日は出勤します」との内容を契約書の特記事項として書いておき、書面に署名と押印をさせる。
「よし。これでクリスマスの出勤は確定だな」と採用した方は思うでしょうが、11月になると、「来月の24日なんですけどぉ、、、休みにして欲しいのですが」などと言ってくるのがオチです。
会社としては、「契約書で24日は出勤できると決めていたじゃないか」と言いたいところ。契約した内容に違反しているのですから、契約解除、つまり解雇できるんじゃないかと思案してしまうところです。
では、「12月24日、25日は出勤します」との内容に違反したら契約解除(解雇)できるのかどうかというと、まず無理です。
契約に違反しているのは事実ですが、クリスマスの24日、わずか1日、出勤できないだけで解雇はできません。
ならば、懲罰としてクリスマス以後の出勤日を減らすことはできるのかどうか。他には、時間給を減らすのはどうか。
週に何日出勤するか、勤務する時間は何時間か、給与はいくらか。これは雇用契約で決めたものですから、一方的に出勤日を減らしたり時間給を減らすと、契約違反になり、会社側が負けます。
「労働者側も契約違反しているじゃないか」と応戦しても、1日休んだだけで、出勤できる日数や時間給を減らされるのはやりすぎと判断されてしまうでしょう。
契約を楯にとって出勤するように求めたり、クリスマスに休んだら、その後の出勤日や時間給を減らすと脅したりしても、相手は動かないのではないでしょうか。
まして相手が学生だったりすれば、「じゃあ、辞めます」と言われておしまいです。
そこで、「相手の方から、クリスマスだけれども出勤したい」と思わせるような工夫が必要になるわけです。
人を脅すのではなく、その気にさせる仕掛けを用意する
人間というのは、脅しても思うように動いてくれないもの。
「12月24日に休んだら、週2日までしか出勤させないぞ」
「12月24日に休んだら、時間給を50円下げるぞ」
このように相手が嫌がるような条件を提示して、強引に出勤させる。これも1つの方法ではあるのでしょうが、おそらく良い結果は得られないのではないかと思います。
出勤したとしても、嫌々な気分で働くことになるでしょうし、その気持ちをお客さんにぶつける可能性も。さらには、クリスマスの直前に退職してしまう方もいるのでは。
相手が嫌がるような脅しでもって、思うように動かそうとしても、何らかの形でしっぺ返しをくらってしまう。結果として、会社も従業員も不満を抱いたまま終わってしまう。さらには、お客さんまでとばっちりを受けてしまえば、営業数字にまで影響が出るはずです。
たった1日、12月24日に休む、休まないというだけの話なのに、思わぬ波及効果をもたらしてしまうわけです。
脅して相手を動かすのではなく、相手が自ら動きたいと思わせる仕掛けを用意すれば、良い結果をもたらすことができるでしょう。
例えば、12月24日と25日、2日間だけ、時間給を大幅アップするというもの。普段は時給1,000円のところ、2日間に出勤すると1,300円になる。
どれぐらいの金額にするかは予算次第ですが、普段では考えられないほどの条件を提示すれば出勤しようかと思う方も出てくるのでは。
忙しくても、そうでなくても、時間給は同じ。ならば忙しくない日に出勤したいと思うのは当然です。てんてこ舞いになるクリスマスにあえて出勤しようとはしないでしょう。しかも、クリスマスイブが日曜日ならばなおさら休みたいはず。
日曜日のクリスマスイブに出勤してもらうには、相応のオファーが必要です。「普段どおりの対応でいいだろう」、「給与はそのまま、手当も無し」、このような無為無策では勤務シフトが穴だらけになるのは必定です。
さらに、勤務シフトに穴が開くだけでなく、離職者まで出てきたら、クリスマスの後まで影響が残ります。
他の方法としては、クリスマス手当みたいなものを出すのも一案です。時間給をアップすれば、勤務時間に連動して費用が増えますが、手当ならば少し条件を付けることも可能です。
例えば、12月24日に、6時間以上出勤した人には3,000円の手当が出る。対象者は6時間以上勤務した人になりますし、普段よりも長く勤務してもらうインセンティブを与えることができます。
雇用契約で1日4時間までしか働けない方は、他の日の勤務時間を2時間にして、12月24日は6時間にする、という形にして条件を満たせるようにするのも良いでしょう。2時間だけ振り替えるわけです。
時間給をアップする方法だとすべての人が対象になりますが、手当だと勤務時間に条件を付けて、普段よりも働く時間を長くしてもらうことも可能になります。
金銭的インセンティブ以外の方法を用いるならば、フライドチキンを職場で食べられるようにするのはどうでしょう。
12月24日に、バーレルでフライドチキンを買ってきて、職場に置いておき、それを休憩時間に好きなだけ食べていい。食べても1人3個ぐらいでしょうし、費用も高いものではありません。
フライドチキンではなく、ケーキでも良いでしょうし、七面鳥も美味しそうです。普段食べない、食べられないようなものを職場で用意すれば、より効果を期待できそうです。
相手に動いてもらうには、その人が好んで動きたくなる仕掛けを用意するのが正攻法。
負の感情を与えて、背中を突っつくのも人心掌握術としてはアリなのでしょうが、結局は、会社、従業員、お客さん、誰もが得しない結論になる。それは何としても避けたいところ。
給与や手当、物を用意すれば、相応の費用がかかりますけれども、人がいなくて営業に支障が出るよりは良いでしょう。
忙しいならば、商売は儲かっているのですから、それを還元する手段になるのではないかと。
人を動かすには、相手に対していかに良い感情を持たせるかがキモです。
やるべき仕事と関係ない仕事は、なるべく省力化して、少ない時間で済ませたいものです。給与計算はバックオフィス業務ですから、本来やるべき仕事とは違い、なるべく簡単に、楽に、早く終わらせるのが賢明でしょう。