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マイナンバーカードにポイント還元 利益があると人は動く

損得勘定

 

マイナンバーカード発行開始から4年経って、カードの交付率は14.3%

政府が旗を振ってキャッシュレス決済を推進している中、QRコード決済サービスではポイント還元やキャッシュバックなどのキャンペーンが次々と実施されています。

現金だと小銭のやり取りがありますし、ATMでお金を引き出す必要もあります。その点、QRコード決済ならば、現金の授受がなく、しかも決済業者のキャンペーンも適用され、利用者がそれを使いたい理由が明確です。

現金以外の決済手段で、普段どおりの買い物をすればいいだけですから、そこに20%キャッシュバックだのポイント還元だのと付ければ、人が反応するのは当然でしょう。

政府が発行するマイナンバーカードでポイント制度を作り、キャッシュバックする施策が2020年に実施されるとのこと。

還元率は25%で、上限額は5,000円。2020年9月から2021年3月までの半年間に買い物をすると、還元を受けられるようです。

キャンペーンを実施して、QRコード決済サービスがどんどんと利用されているのを参考にしたのでしょう。マイナンバーカードでも還元キャンペーンをやれば、カードを持ってくれる人が増えるのではないかと。

2019年(令和元年)11月1日時点でのマイナンバーカードの交付枚数は、人口比で14.3%。つまり、100人中マイナンバーカードを持っているのは14.3人です。

半数以上どころか、全体の8割はまだマイナンバーカードを持っておらず、使ってもいない現状です。

個人番号通知カードが発送されたのが2015年の11頃で、そこからすでに4年が経過しているものの、交付率は14.3%ですから、所持する理由がいかに乏しいのかが分かります。

個人番号通知カードは緑色のカードで、あれはカードという名称が付いているものの、実質は紙であって、ハガキと同じようなものです。個人番号を通知するための紙と考えていいでしょう。

あの緑色のカードと一緒に、マイナンバーカードを申請する用紙も同封されていたのですが、それに記入して手続きを進めるとマイナンバーカードが交付されます。しかし、その手続きをせず、通知カードだけ受け取って、放置している方も多数いらっしゃるのではないかと想像できます。

 

マイナンバーカードを使う理由を用意する

使いたいと思ってもらえるかどうか。普及の決め手になるのはここですが、使わなくても支障がない状態のままだと、いつまでも使ってもらえません。

QRコード決済が普及したのは、善意でキャッシュレス決済を利用しようと人が考えたわけではなく、「20%還元キャンペーンがあるから使おう」、「キャッシュバックされるから使おう」と考えた結果であって、得をするから使いたいと思ったからです。

人は自分が得をすると思えば行動するもの。利益が無ければなかなか動きません。

歳末セール、20%ポイント還元、購入額の10%キャッシュバック、割引、半額、クーポン、初回限定、50人に1人が無料、ポイント5倍、このようなインセンティブに人は反応します。

得をするかどうかで判断するなんて卑しい。そんな感覚を持つ方もいらっしゃるでしょうが、自分が得をすると分かると、その感情に逆らうのはなかなか難しいのです。

「20%も得をするのだから、何か買わなくちゃ」と考え、どんどんと買い物をしてしまう。実のところ、「小銭程度の得をしてもどうにもならんだろう」と、この手のキャンペーンに反応しないのが最も得なのですが、そういう方は少ないのです。

割引やポイントだけでなく、プレゼントにも人は反応します。スーパーマーケットで販売されている商品の中には、何らかのプレゼントキャンペーンが実施されているものがあります。チーズやお菓子など、専用の応募はがきに切手を貼って送ると、オーブントースターが当たるだの、旅行のペアチケットが当たるだの、まぁ多種多様なプレゼントがあります。

有名なところだと、毎年、春になるとヤマザキパンが実施する春のパン祭りがあります。応募シールを25点分集めると、1枚の白いお皿が必ずもらえるというもの。私も何枚か持っていますが、色が白なので汎用性が高く、しかも割れにくいので重宝しています。ちなみに、ヨーロッパの方では、1枚1.5ユーロ程度で販売されているようですが。

他にも、テレビの視聴者プレゼントもよく知られているもの。番組中に合言葉やキーワードを提示して、それをハガキに書いて送ると、豪華プレゼントが当たる。テレビをよく視聴される方ならば、応募した経験もあるのでは。

色々と書きましたが、つまるところ人が動くにはインセンティブが必要ということ。オファーとも表現できますが、何か「旨味」があるから人は行動を起こすわけです。

もし、何らのキャンペーンも実施していなければ、QRコード決済の利用者は一向に増えなかったでしょう。マイナンバーカードのように。

マイナンバーカードを使って25%のポイント還元をするという施策ですが、これもマイナンバーカードを持ってもらう動機になります。利用者が得をすると感じるものですから、カードを交付してもらう人は確実に増えます。

洗濯用洗剤でも、タマゴでも、テレビでも、何でもいいので1つでも買ってもらって、まずはマイナンバーカードを持ってもらうのが狙いです。

買い物をして還元を受けるには、マイナンバーカードが必要ですから、1つでも何かを買うためにカードを市町村の窓口で発行してもらう必要があります。

悪く表現すると、「人参をぶら下げて釣る」ような印象ですが、こういう仕掛けが無ければ人は動かないのです。これといった動機もなく、マイナンバーカードを申請しようとする人もある程度はいるでしょうけれども、その人達は少数派です。

何かに取り組むとき、やってもやらなくてもいいと言われれば、人はやらないもの。あってもなくても支障がないならば、「じゃあ要らない」と反応するのは当たり前です。人間というのは、面倒くさがりなのです。手間のかかることや時間のかかること、意味がなさそうなことには消極的な態度を示します。

公的証明書としてよく使われているものの1つに運転免許証があります。

自動車を運転するには、取得して使わざるを得ないものですが、クルマやバイクに乗りたいならば免許証は必須ですし、トラックやタクシーで仕事をするときも必要です。また、身分証明書としても、顔写真がついていて利用しやすいのが特徴です。

自動車を運転するために必要だから。これが運転免許証を持つ強い理由になっています。身分証明書としても使えますが、それはあくまで付帯的な機能です。

理由があるから使ってもらえる、それが免許証です。では、マイナンバーカードはというと、あってもなくても支障はないというのが実情です。

身分証明書ならば運転免許証や健康保険証で足りますし、公的な手続きでは個人番号が必要ですが、マイナンバーカードは必要なく、個人番号を書類に記入するだけです。

無ければどうしようもない、という状況が生じないため、じゃあ持たなくてもいいか、と思われているわけです。

 

マイナンバーカードを使ってもらうための施策

すでに検討されているものですが、マイナンバーカードを健康保険証として使うようになれば、普及率はほぼ100%になるはずです。

公的医療保険に加入して保険証を持っている人は多数いますから、それをマイナンバーカードに切り替えると、嫌でも持たざるを得なくなります。

現状では、市町村の国民健康保険、協会けんぽ、組合健保、共済組合、後期高齢者医療制度、それぞれで保険証が別れていますし、保険者が変われば、保険証の返納、新しい保険証の発行が必要で、手間も費用もかかります。

入社時に保険証がすぐに届かないという問題もありますし、退社して被保険者資格を喪失した後に健康保険証を使う人もいます(保険負担分を不当利得として返さないといけなくなります)。

マイナンバーカードを健康保険証として使うとなれば、保険者ごとに分かれている保険証をカードに一本化できますし、保険証の返納と発行も不要になります。また、被保険者資格の取得や喪失手続きも迅速になり、保険証が無い間に必要となる療養費の申請も要らなくなるはずです。

健康保険を利用するにはマイナンバーカードが必ず必要。これぐらい強硬な対応を取れば、交付率は一気に上昇するのですが、そうはなっていないのが現実です。

手持ちのカード類を減らせるのも言いところで、複数のカードがあると紛失する可能性が高くなりますが、マイナンバーカードに集約されれば、1枚をガッチリ保管しておけば良くなります。

健康保険に限っても随分とマイナンバーカードに利点があると感じます。

e-Taxも、マイナンバーカードを所有している人限定でそれを使えるようにすれば良いのでしょうが、IDとパスワードを組み合わせた利用方法も提供しており、マイナンバーカードを使う動機が弱まっています。

マイナンバーカードを持たない方はe-Taxを利用できません。これぐらいスパッとした対応をしていれば、もっとカードの交付率も上がっていたのではないかと思います。

会社員の方は会社経由で源泉徴収、年末調整されe-Taxを使ったことが無い方も多いかもしれません。

PC経由で確定申告ができるのだろう、というぐらいのイメージでしょうが、確定申告ソフトとの連動も可能になっていて、すこぶる便利に手続きができます。ソフトといっても昔のようにPCにインストールする必要はなく、ブラウザー経由で操作できるクラウドサービスが今や主になっています。

電卓で計算して、ボールペンで書類に記入するなんてもう考えられないほどです。収入や経費、減価償却資産など、ある程度の入力作業は必要ですが、それを済ませると、自動的に税務署類を生成してくれます。専門的な税務知識は必要なく、淡々と入力作業を進めていくと、必要な書類が完成していくのです。

例えるならば、昔は手洗いで洗濯していたけれども、今では全自動洗濯機で服を洗っているようなものです。

更には、出来上がった書類をe-Taxに送信できる形式に変換してくれて、早ければ1日で確定申告を済ませることも可能になっています。中には1日どころか半日でやってしまう方もいるはずです。

全自動洗濯機の如く確定申告ができる会計ソフトとは?

他には、公的な証明書をコンビニで取得できるのもマイナンバーカードの利点です。

市町村の窓口に行って、住民票の写しや印鑑証明書を申請するとなると、申請用紙に記入し、料金を支払い、番号札を取って自分の順番が回ってくるまで待っていないといけません。1枚300円なり200円ぐらいの書面を入手するために、20分から30分ぐらいかかるのも稀ではありません。

市役所の中でも最も混雑しているのではないかと思えるのが証明書発行窓口です。そう頻繁に行くような場所でもないでしょうが、行ってもすぐに証明書が手に入るとは限らないのが悩ましいところ。

一方、コンビニに設置されているマルチコピー機にマイナンバーカードを置いて操作すると、住民票の写しや印鑑証明書を印刷できます。料金は市町村の窓口と同じで、待ち時間はありません。操作する時間はあるものの、2、3分もあれば必要な書面を入手できます。

このような形で時間を節約できるのもマイナンバーカードの利点です。

また、iPhoneでもマイナンバーカードを読み取れるようになり、マイナポータルへのアクセスが容易になりました。

カードを作って持ってもらえば御の字ですから、25%還元されるときだけ使うという人でも歓迎でしょう。

人を動かすには何らかのインセンティブが必要。これはマイナンバーカードに限ったことではないのです。


マイナポイント還元の第二弾で15000ポイントが追加される

第一弾は上限5000ポイントの還元でしたけれども、2022年は第二弾のマイナポイント還元政策が実施されます。

第二弾の施策は3つあり、第一弾で実施された5000ポイントを上限とする還元。これはまだマイナンバーカードを受け取っていない方や、マイナンバーカードを既に受け取っているものの5000ポイント還元をまだ利用していない方が対象。以前の還元施策の延長ですね。

2つ目の還元施策は、マイナンバーカードを健康保険証として使えるように設定するというもの。スマートフォンでマイナポータルにアクセスして、必要な操作を済ませれば手続きが終わります。数分で終わる手続きですから、残高をチャージしたり、買い物をする必要はなく、連携の手続きで終わるものですから、条件は容易です。マイナンバーカードを健康保険証として使えるように設定すると、7500円分のマイナポイントが還元されます。このマイナポイントを電子マネーに変換して買い物ができるんですね。

3つ目の施策は、公金を受け取る口座をマイナンバーと連携させるもの。公金受取口座登録法という法律に基づく手続きです。

公金受取口座登録法 : マイナンバー(社会保障・税番号制度) - 内閣府

公的な受け取りに広く使われると想定して法律が作られていて、給付金だけでなく、保険料からの還付金、税金の還付も登録した口座で受けられるようになります(公金受取口座登録法2条の2)。 口座連携もポイント還元は7500ポイント。

すでに第一弾でのポイント還元を受けている方だと、追加で15000ポイントが還元されるわけです。

受取用の口座を1つ登録すれば良いのですから、複数のある銀行の口座の中から給付金を受け取る口座を1つ選んで、マイナンバーと紐付ければいいわけです。メインで使っている銀行口座でもいいですし、普段は使わない銀行口座を連携させてもいい。

所得税の還付でも、その都度、銀行の口座を指定するよりもマイナンバーカードと紐付いている銀行口座に還付金を入れてもらった方が利用者側としても都合が良いでしょう。書類を書くたびに受取用の口座を記入しなければならないと手間がかかりますし、マイナンバーでその作業を省略できるとなればありがたいですね。 

 

 

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