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解雇を撤回したら解雇予告手当を返すの?

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■解雇を撤回したら解雇予告手当を返すの?◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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解雇予告手当は「解雇の時期を短縮するために」支払う。
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解雇をキャンセルする。

一度出した解雇の通知を後になって撤回するという場面は滅多に無いのかもしれませんが、もし解雇のキャンセルに遭遇したときについて考えてみるのも頭の体操になりそうです。

企業にはなかなか解雇を実施しない傾向があって、人員削減ではなく経費削減で切り抜けようとすることが多いです。そのため、社員を解雇する段階に至ったときには、会社も清算する段階になっていたりします。


そこで、例えば、有田食品工業(仮想の会社です)で、解雇予告と解雇予告手当を併せて利用し、茂田さん(仮想の人物です)に解雇を通知したとします。会社は茂田さんに対して、6月13日に解雇予告し、6月30日を解雇日として設定。さらに、解雇予告手当を12日分支払いました(支払った日は、6月15日とする)。しかし、6月22日になって、会社は解雇を撤回したいと茂田さんに伝えてきました。つまり、解雇を撤回し、解雇日以後もそのまま雇用を継続するという考えです。一方、茂田さんはすでに再就職先(近藤食品工業という会社。もちろん、これも仮想の会社です)を見つけており、7月1日から勤務する予定です。



さて、上記の内容を読んでいると、いくつかの疑問を抱くはずです。

有田食品工業は解雇を撤回すると茂田さんに伝えているのですが、そもそも解雇の撤回などできるのかという点がまず1点。

また、6月15日に、有田食品工業は茂田さんに解雇予告手当を支払っています。しかし、6月22日に解雇を撤回していますので、この解雇予告手当がどうなるのかが気になりますよね。この点が2点目。

さらに、茂田さんは7月1日から勤務する新たな職場を既に見つけています。にもかかわらず、有田食品工業は茂田さんに自社へ戻ってもらうことができるのかどうか。この点が3点目です。


上記3点が今回の焦点となります。






キャンセルに応じるかどうかは働く側が決める。

まず1点目の疑問点から。

解雇の撤回ができるのかどうかという点ですが、これは可能です。

解雇の撤回とは、雇用契約の状態をもとの状態に戻すことを意味する程度のものですから、あえて強制的に雇用契約の解消を実現する必要はありませんよね。当事者(企業と社員)が撤回に納得すれば、雇用契約を解消せずにそのまま維持しても構わないのですね。

しかし、解雇の撤回を実現させるかどうかは社員さんが決めます。つまり、主導権は社員さんにあるということです。

なぜ解雇を撤回する主導権が社員さんにあるかというと、企業が解雇を通知し、さらに、企業がその解雇の撤回もできるとなると、雇用されている側が振り回されるからです。解雇するのかどうかという判断は、雇われる側に大きな影響を与えるので、解雇の通知だけでなく撤回まで企業の判断でできるとなると、企業と社員間でのバランスを失するのですね。そのため、企業が解雇を撤回すると伝えてきたときに、そのオファーに応じるかどうかは社員さんが決めることができるのです。つまり、会社が一方的に雇用状態を元に戻すことはできないのですね。

例えば、商品の売買と同じで、売り主が「この時計を売ってあげるよ」と買い主に伝えておきながら、しばらくして売り主が「やっぱり売らない」と言ってきたら、買い主は怒るでしょう。売ると言ったのだから、キチンと売らないとダメなのですね。ただ、買い主が「あぁ、そうかい。残念だねぇ、、」と売り主の撤回を受け入れてくれたら、売買関係を解消できます。解雇の撤回はこれと同じなのですね。

ゆえに、「解雇の撤回ができるのかどうか」という点の答えは、「社員さん応じてくれれば可能」となります。



次に、2点目を保留して、3点目の疑問点を先に対処します。

茂田さんは7月1日から再就職先の近藤食品工業に勤務することが決まっていて(何か、、、随分と早い再就職ですよね)、6月30日で有田食品工業を解雇されることを受け入れています。この状況で、有田食品工業は茂田さんを自社に戻すことができるかどうかが焦点ですね。

「解雇はナシです。 茂田さん戻ってください」と有田食品工業は茂田さんに伝えるのでしょうが、茂田さんの気持ちはどうでしょうか。

6月13日に解雇を伝えられて、6月22日に解雇を撤回されるまでの間に再就職先を見つけたんでしょうね。随分と早く次の職場を見つけたので、いわゆるツテというか縁故を利用したのかもしれません。「6月いっぱいで今の仕事はヤメて、7月からは次の職場だ」とキチンと準備をして解雇に備えていたはずです。ところが、6月22日に今の会社が解雇を撤回してきたので、ちょっと困っている。そんな状況を想像できますよね。

「会社が解雇を撤回すると言っているのだから、応じなきゃイケナイんじゃないか?」と思ったり、「でも、解雇するって言っていたんだから、何で今になって都合よく撤回するんだ?」と思ったり、「もう新しい職場も見つけているし、木下さん(茂田さんに近藤食品工業を紹介した人と仮定)から紹介してもらった会社だし、今になっては断れない」と思ったり。色々と思いを巡らすはず。

この場合、茂田さんは、有田食品工業に戻ってもいいし、近藤食品工業に移っても良いのです。つまり、有田食品工業に戻らなければいけないというわけではないので、選択できる立場にいるのですね。

私ならば、近藤食品工業へ行かれることをオススメします。もし、有田食品工業に戻れば、茂田さんの周りの人からの信頼が損なわれるので、解雇を受け入れて職場を変えるのが賢明です。

もし、都合よく解雇の撤回をされてしまうと、解雇される社員さんのいわゆる「期待権を損なう」ため、企業側から解雇の撤回はできないのですね。もちろん、解雇を撤回するオファー(強制力はない)だけならば出せます。


社員さんはすでに転職の準備をしているかもしれないし、自分で商売を始める準備をしているかもしれない。もう会社を辞めるという心づもりで準備している人を混乱させるから、企業は一方的に解雇予告を撤回できず、撤回を受け入れるかどうかの主導権は社員さんに移ると考えるのですね。




予告手当を返還するかしないか。

最後に、2点目の解雇予告手当の取り扱いです。

6月13日に解雇を通知、6月15日に解雇予告手当を支払う。その後、6月22日に解雇を撤回している。

この場合、茂田さんは解雇予告手当を返還するべきでしょうか、それとも、返還する必要はないのでしょうか。ちなみに、今回は、茂田さんは有田食品工業に戻る(6月22日に戻ったとしましょう)と考えます。先ほどまでの例とは違います。


まず1つの考え方としては、6月22日に解雇を撤回しているので、解雇は実行されていない。ならば、解雇予告手当は返還するべきであるというもの。確かに、解雇は実現していないのだから、そもそも解雇予告手当を支払う根拠が無くなるという理屈なのでしょうね。民法上の不当利得を主張する人もいるかもしれない。


一方で、確かに解雇は実現していないけれども、すでに解雇時期を短縮しているので、解雇予告手当は支払われるべきという判断もできます。つまり、6月13日の段階で、6月30日に解雇すると通知し、6月15日に12日分の解雇予告手当を支払っている。この場合、解雇時期を12日短縮しており、その短縮に対する対価である12日分の解雇予告手当も支払っているのだから、「短縮効果と解雇予告手当はお互いに相殺」し、返還するような状況にはならないと考えるのですね。要するに、債権と債務のようなものです。例えば、1万円を貸して、後日、1万円を返してもらったので、金銭消費貸借関係は解消されるという状況と同じです。ゆえに、不当利得は発生していないと考えるわけです。



もし、即時解雇ですぐに予告手当が支払われる状況ならば、今回のような問題は起こりません。

しかし、解雇予告手当を支払ってから解雇日まで時間があるときに、今回のような問題が起こり得ます。

ちなみに、解雇予告手当は解雇の日までに支払えば足りると考えられているので、解雇日の直前に予告手当を支払えば、今回の問題を回避できるはずです。しかし、早い段階で予告手当を支払ってしまうと、手当を支払った後に解雇を撤回したときに厄介です。まあ、解雇予告手当を早く支払う可能性も高いとは言えないのかもしれないし、解雇を撤回するという状況もあまりないはずですから、考えなくてもよいような場面です。ただ、実際に起こったらこれは厄介です。

前者の判断に立てば、解雇が実現しなかったのだから、解雇予告手当は返還すべきと判断すするのでしょうが、これはまあ真っ当な判断ですよね。

「解雇しないのになぜ解雇予告手当を支払うのか?」という判断はもっともです。


しかし、6月13日に解雇予告した時点で、解雇時期を12日短縮する効果を享受するべく予告手当を12日分用意することを決めているのでしょうし、15日に手当を支払っている。

つまり、6月13日の時点で、すでに「解雇時期を12日短縮している」し、その「対価を6月15日に予告手当で支払って」います。ならば、6月15日の段階で、「解雇時期を短縮した効果」と「短縮の対価である解雇予告手当」はお互いに相殺していると考えるのが妥当ではないかと結論できるわけです。もちろん、取引はお互いに対応しているので、不当利得も発生していない。

さらに、解雇予告手当は、"解雇を実行することに対して"支払うものではなく、"解雇時期を短縮するために"支払うと考える方が妥当でしょうから、やはり後者の判断(手当を返還しない立場)の方が説得力があります。



ただ、予告手当は解雇日までに支払えば足りるので、「解雇日に到達していないのでまだ支払っていない場合」と「今回のように解雇日以前の段階で既に支払っている場合」で違いがありますね。

また、後者の判断には、「解雇されなかったのに、予告手当だけを受け取れるのか?」という致命的な欠陥もあります。しかし、前者の立場ように、解雇時期を短縮する効果を享受していながら解雇予告手当を支払わないというのも、それなりに説得力があるものの、十分に納得できるものではありません。

もし、今回の問題の解決策を考えるなら、「解雇予告手当は解雇日の直前まで支払わない。解雇の撤回はしない」という方法になるでしょうか。

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労務管理の問題を解決するコラム

職場の労務管理に関する興味深いニュース

【仕事のQ and A】

決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。

  • Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
  • Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
  • Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
  • Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
  • Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
  • Q:残業しないほど、残業代が増える?
  • Q:喫煙時間は休憩なの?
  • Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?

このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

 

仕事のハテナ 17のギモン

【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】

毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。

残業管理のアメと罠

 

残業管理のアメと罠

【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。

どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡 Kindle版

 

合格率0.07%を通り抜けた大学生。

【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】


高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

 

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。

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