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年次有給休暇の日数はフルタイムでもパートタイムでも同じ?

有給休暇日数




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■勤務形態で有給休暇が変わるとは限らない◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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「勤続年数」、「出勤率」、「週勤務日数」の3点がキモ。
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パートタイムだから年次有給休暇が少ない? フルタイムだから年次有給休暇が多い?

有給休暇についての疑問というのは多いみたいで、質問を受ける頻度も高いし、ネット上の書き込みでも多く見かけます。

おそらく、働く人の3大関心事は、「賃金(給与、賞与、退職金)」、「休日」、「有給休暇」だろうと私は思います。要するに、「金」と「休み」なんですね。とても素直です(笑)。

なかでも有給休暇についての疑問が特に多く、付与日数が少ないとか、有給休暇そのものがないとか、パートタイムだけど有給休暇がないとか、学生アルバイトだけど有給休暇がないというネタがほとんどです。他にも、勤務形態が変わるときに有給休暇の扱いが変わるのかという疑問もよくありますね。

例えば、パートタイム社員として採用され勤務してきたが、勤続1年8ヶ月でフルタイムに切り替わったという場面で、有給休暇がどうなるのかが問題になるようです。

「パートタイムの頃の有給休暇は勤務形態が変わっても持ち越せるのか」、「フルタイム社員になったら、パートタイム社員の頃の休暇は消滅するのか」、「勤務形態が変わると休暇の付与日数が変わるのか」などがよくある疑問点ですね。

確かに、パートタイムからフルタイムに切り替われば、勤務時間は長くなるのでしょうし、勤務日数も増えるのかもしれません。

しかし、必ずしも「勤務形態が変わったから有給休暇も変わる」とは限りません。

たとえパートタイム社員であったとしても、フルタイム社員と同じ日数で有給休暇が付与されている人もいます。パートタイム社員の有給休暇がフルタイム社員の有給休暇よりも少ないとは限らないんですね。

パートタイム専用の有給休暇があるわけではないし、フルタイム専用の有給休暇があるわけでもない。実は、勤務形態の違いは有給休暇に関係ないのです。






年次有給休暇の日数は「3つの基準」で判断すると簡単

「勤務形態が変わると有給休暇も変わるんだ」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、有給休暇を取り扱うときの基準には「勤務形態」という要素は含まれていません。つまり、パートタイム社員だから、フルタイム社員だから、学生アルバイトだからと分けてメニューを設定しているわけではないのですね。

有給休暇を取り扱うときの基準は、「勤続年数」、「出勤率」、「週勤務日数」の3点です。この3点を軸にして考えるとキチンと取り扱いができるようになります。ちなみに、「週勤務日数」については労働基準法39条に書いていませんが、比例付与の仕組み(39条3項)を織り込むために組み込んだ基準です。

上記3点以外の要素を持ち込むと混乱する原因になります。それゆえ、パートタイムからフルタイムに切り替わる(他に、フルタイムからパートタイムという切り替えもある)と有給休暇の付与日数が変わると思っていると、判断を迷うんですね。

有給休暇は、あくまで上記3つの基準で判断すべきです。



例を挙げれば、平成21年4月1日(以下、「H21 4/1」のように略記)に採用されたパートタイム社員である河野さんという人物がいるとします。河野さんがどんな人物かはこだわりませんが、泉ピン子(「いずみぴんこ」を変換すると1発で表示される。ちょっと驚き、、、)のような人を想定してもいいし、エド・はるみのような人を想定してもいい。まあ、この点にこだわりはありません。

この河野さんがH21 10/1まで勤務すると、有給休暇は10日ですね。さらに、H22 10/1まで勤務すれば有給休暇は11日です。ここまではご存知の通りです。

なお、H21 12月に6日の有給休暇を使ったと考え、さらに、H22 10月の段階では3日の休暇を使ったと考えます。

ところがここで、河野さんがH22 11/1にフルタイム社員へと切り替わったらどうなるか。



フローを書くと、

H21 4/1 入社。


H21 10/1 有給休暇10日付与(勤続6ヶ月)。

H21 12 有給休暇を6日分使う(残日数は4日)。



H22 10/1 有給休暇11日付与(残日数4日+11日で15日に。勤続1年6ヶ月)。
H22 10 有給休暇を3日分使う(残日数は12日)。

H22 11/1 パートタイムからフルタイムに切り替わる(勤続1年7ヶ月)。

となりますね。

ここで問題になるのが、「パートタイムの頃の休暇」と「フルタイムでの休暇」との違いです。

まず、「パートタイムの頃の有給休暇は繰り越されるのか?」という疑問。

答えは、「繰り越される」です。

パートタイムの頃の休暇は12日残っていますが、これはそのままフルタイム社員になっても繰り越されますし、そのまま使えます。

なお、パートタイムの頃に付与された有給休暇ですが、フルタイム社員になってから使うと、「フルタイム社員として有給休暇を使っている」ものとして扱ってください。「今はフルタイム社員だけど、有給休暇はパートタイムの頃のものだから、"パートタイム社員として有給休暇を使っている"」として扱わないでください。こんなメンドクサイことはしないだろうと思いますが、「パートタイムの頃の有給休暇だからパートタイム的な有給休暇になる」というわけではないのですね。


また別の疑問として、「勤務形態が変わると、従前の休暇は消滅する」と考えることもあるのかもしれませんが、勤務形態が変わっても休暇は消滅しません。

有給休暇が消滅するのは、「退職」もしくは「時効」のときだけです。この2つ以外の理由で有給休暇が消えてしまうことはありません。






肩書きで有給休暇の扱いは変わらない

さらに、「勤務形態が変わると休暇の付与日数が変わるのか」という疑問。

これは先ほど書いたように、勤務形態は有給休暇を取り扱う基準に含まれていません。なにはともあれ、勤続年数、出勤率、週勤務日数という3つの基準で判断します。

例えば、パートタイム社員である河野さんが、週5日、かつ1日3時間で勤務しているとします。なお、河野さんの会社のフルタイム社員さんは週5日勤務だと仮定します。

この場合、河野さんの有給休暇はどうなるかというと、フルタイム社員と同じ扱いになります。

ここで、「1日3時間しか勤務していないのに、なぜフルタイム社員と同じ有給休暇なの?」と思う方もいるかもしれませんね。

なぜならば、河野さんはフルタイム社員と同じように週5日で勤務しているからです。さらに、1日何時間勤務したかというポイントは有給休暇では考慮されないんですね。1日8時間の勤務であっても、1日5時間の勤務であっても、1日3時間の勤務であっても、「1日の勤務」として扱うのです。

それゆえ、フルタイム社員さんと同じ週勤務日数で働くパートタイム社員さんは、フルタイム社員さんと同じ有給休暇を付与されるわけです。そのため、有給休暇に限って言えば、フルタイムよりもパートタイムで勤務する方が有利ではあります。

ここは、「パートタイムの有給休暇はフルタイム社員よりも少ない」と思っていると間違えてしまうポイントですね。



先ほどの河野さんの例に戻ると、H22 11/1の時点で勤続1年7ヶ月ですから、H23 10/1で勤続2年6ヶ月で休暇は12日、、その後続く、、。

なお、H21 10/1の時点で休暇が10日付与されているので、河野さんはフルタイム社員さんと同じ日数で勤務しているはずです。そのため、パートタイムからフルタイムに切り替わっても、とくに対処するポイントはないのですね。


ただ、河野さんが例えば週3日勤務だったとしたら事情は変わります。

週3日勤務だと、勤続6ヶ月時点で休暇は5日、1年6ヶ月時点で6日です。さらに、フルタイム社員に切り替わったあとの勤続2年6ヶ月時点での休暇は12日ですね。


また、「休暇を付与する直前に切り替わったらどうするのか?」という点も疑問を感じるところ。

1年5ヶ月の時点、つまりH22 9/1にフルタイム社員に切り替わったら、付与日数はどうなるのかという点ですね。

この場合、11ヶ月は週3日のパートタイムで勤務し、1ヶ月は週5日のフルタイムで勤務しているので、(6日×11/12月)+(11日×1/12月)のような計算で日数を出せないこともないのでしょうが、何ともメンドクサイ作業です。6日×11/12月=5.49日。11日×1/12月=0.91日。
四捨五入して、6日+1日で7日の休暇日数とすることもできるといえばできます。しかし、ここまでして計算するのもねぇ、、、、と思うのでは?

他にも、年間労働日数で休暇の日数を決めることもできますが、これも手間がかかります。

そのため、休暇を付与する直前に週勤務日数が変わったならば、「変更後の週勤務日数で休暇の日数を決める」ことをオススメします。上記の場合ならば、週5日勤務と考え、比例付与ではなく通常通りの休暇を付与するわけです。


ただし、変更後に週勤務日数が減る(フルタイムからパートタイムに切り替わる場合)ならば、"変更前"の週勤務日数で休暇の日数を決めると良いでしょう。

上記の方法だと、余分に休暇を付与してしまうかもしれませんが、作業を簡略するならば、休暇を付与する時点での週勤務日数で判断するのが良いかもしれませんね。また、社員さんにも納得してもらいやすいはずです。


作業を簡略するならば、休暇を付与する時点での週勤務日数で判断するのが良いかもしれませんね。



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労務管理の問題を解決するコラム

職場の労務管理に関する興味深いニュース

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決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

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労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

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毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。

残業管理のアメと罠

 

残業管理のアメと罠

【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。

どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡 Kindle版

 

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【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】


高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
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もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

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「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
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そういう手荒い扱いを受けるんです。

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少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

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実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
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という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

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その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

 

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。

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