労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

無断欠勤への対策 行方不明の人に解雇予告を出す

無断欠勤┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■┃  メールマガジン 本では読めない労務管理の「ミソ」
□□┃  山口社会保険労務士事務所 
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2010/7/30号 no.209)━



 








■無断欠勤への対策 行方不明の人に解雇予告を出す◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■
そのまま放置するか内容証明を使うか。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


無断欠勤や行方不明になった人を解雇していいの?

組織で仕事をしている環境で断り無く欠勤すると、怒られます。組織では誰がいつ仕事をするかを事前に決めますから、誰かが無断で欠勤してしまうと、その事前に決めた計画が狂い、他の人がフォローしなければいけなくなり困りますので、怒られるのですね。

ときには、勤務日を誤認していたために、本来出勤すべき日に出勤せず無断欠勤になってしまったということもあるかもしれません。他にも、その会社での仕事がもうイヤになったので、無断で欠勤したのかもしれない。

たとえ断り無く欠勤しても許してもらえる会社もあれば、無断で欠勤すれば解雇という会社もあるでしょう。

1日や2日程度の無断欠勤ならば、怒られて済むのかもしれませんが、何日も何週間も何ヶ月も無断欠勤が続くとなると、怒って済ませるわけにはいかなくなります。



私の経験では、欠勤し始めてから半年ぐらいして突然帰ってくる人もいます。

大学時代、某飲食チェーン店で仕事をしていて、Oさんという人がおり、その人はある時点を境に勤務シフトを入れなくなった。店がシフトを入れなかったのではなく、本人が自分自身でシフトを入れなかったのです。

その後、シフトを入れない状態が6ヶ月くらい続き、「あぁ、もう、辞めたのかな、、、」と思っていたところ、突如として戻ってきて、平然とシフト希望を入れて働こうとしたんですね。

これには驚きでした。半年もシフトを入れずに、その後ヒョッコリと戻ってくるんですからね。この大胆さに驚きです。もちろん、店長は勤務させなかった(おそらく解雇の手続きは終わっていたと思う)ようですが、よくもまあ半年近くも期間を空けて戻ろうと思ったものだなぁと。もし私がOさんだったら、何を言われるか分からないので戻りませんけど。



話を戻すと、欠勤していても社会保険料等の費用はかかりますし、いつか出勤してくるかもしれないので、その人のポストを空けておかなければいけないでしょう。また、その人がいない間は、他の人がフォローして仕事をやり繰りするわけです。

しかし、いつまでも無断欠勤の状態を維持するわけにもいきませんから、どこかの時点で雇用契約を終了しようかと考えるわけです。


ただ、どの時点で雇用契約を終了させるかがハッキリしないし、雇用契約を終了するまでにどれくらいの期間を設けておけばいいかもハッキリしない。


さらに、無断で欠勤している人と連絡できない状況になっているならば、なおさら雇用契約を終了させにくいですよね。

他にも、病気や怪我で休業しているときに連絡できなくなることもあるようです。休業として扱っている状況で音信不通になるのですから、さらに状況は厄介です。






無断欠勤を理由にどうやって解雇する手続きを進めるのか

まず、解雇を実施するには、30日前に予告するか30日分の解雇予告手当を用意するというのが前提です。これは、普通解雇であっても懲戒解雇であっても、さらには無断欠勤による解雇であっても同じです。

会社によっては、就業規則に無断欠勤について書かれているところもありますよね。

簡単に「連絡が取れず無断で欠勤したときは解雇します」とか、他にも「無断で欠勤する日が3日以上続いたときは解雇します」、「無断で欠勤する日が14日以上続いたときは解雇します」などなど、企業ごとに違いがあります。

ただ、無断欠勤は社員さん本人の責任とはいえ、何であれ解雇は解雇ですから、労働基準法20条1項の解雇予告ルールを利用して手続きを進めるのが妥当です。3日とか14日で解雇するのは心情的には同意できますが、トラブルになる可能性はあります。14日という日数設定はおそらく民法627条1項を参考にしているのでしょうけれども、民法は一般法であり、労働基準法は特別法ですから、雇用契約の解約は労働基準法を優先するべき(特別法は一般法に優越する)でしょう。

ゆえに、解雇までの期間は30日確保したいところです。30日未満だと後から解雇を覆される可能性があります。懲戒解雇だから3日で解雇できるとか14日で解雇できる、というのは通用しませんからね。


あとは、どの時点から30日確保するかが問題になりますね。

無断で欠勤し始めた日なのか、連絡が取れなくなった日なのか、解雇日まで30日確保するとしても、その始まりの日を確定しないと30日をカウントできないですよね。つまり、どの時点で解雇予告をしたと扱えるのがが焦点です。


ちなみに、解雇予告の方式は特に定まっていません。口頭で伝えるだけでもOKですし、解雇予告通知書を渡すという方法でもOKでしょう。さらに、連絡が取れないときは、内容証明郵便を使うという方法もありますね。

「じゃあ、連絡が取れない人には内容証明だね」と思えるわけですが、現実にはそのように進まないようです。なぜかというと、会社は「無断欠勤する人に時間を割かない」のです。つまり、「無断欠勤しているのは本人の責任なのだから、なぜ会社が内容証明郵便を使ってまで解雇予告をしないといけないのか」と考えるわけです。それゆえ、無断欠勤する人がいても、解雇の手続きを進めることなく、ズルズルと何ヶ月もそのままという状況もあるにはあります。

もちろん、無断欠勤といっても、何らかの事故を起こしたとか、事故に巻き込まれたという可能性もあるので、本人の責任とは限りません。




無断欠勤の記録を残すか。内容証明郵便で解雇を連絡するか。

いつまでも雇用契約を維持させるのは企業にとって負担ですし、突然戻って来るかもしれないし(Oさんのように)、来ないかもしれない人をあてにして仕事をするのもシンドイでしょう。それゆえ、いつまでも雇用契約が継続すると考えるのは企業にとって酷です。

契約(雇用契約も含む)は、事務的に成立させることもできるのですが、それを成立させる当事者の信頼も必要です。信頼が失われている契約を継続するのは意味が無いですからね。

ただ、雇用契約を終了させるとしても、30日の予告期間がありますし、どの時点で解雇予告をしたと扱えるかというのも悩みです。


解決策は、解雇予告通知書を作り、郵便局で内容証明郵便として送付するのが1つの方法です。解雇予告の始まりの日を記載し、30日後の何日に雇用契約を解除するのか、という2点を書いた解雇予告通知書を郵便局経由で送付するのですね。

金銭的な負担は1,000円程度ですが、書面を作成し謄本を作り、郵便局へ持って行く手間がかかります。ただ、この方法が音信不通の人への解雇予告としてはベストです。


他にも、内容証明郵便を使わないならば、無断欠勤が始まった日、出勤するように連絡した日、解雇として処理した日(無断欠勤が始まった日から30日後)を記録しておくのも1つの方法です。この方法だと、正式に解雇予告をしたとは認められませんが、「無断欠勤者のためにわざわざ時間を使わない」という会社の傾向を勘案すれば、無効な方法とまでは言えません。

私は、無断欠勤する人に内容証明郵便を使ったと聞いたことがありません。おそらく、特にルールなどはなく、もう来ないだろうと判断した時点で解雇の処理をしているのではないかと思います。

無断欠勤する人への対処法は会社ごとに違いますから、社内の自主判断で処理しているのが実情ではないでしょうか。もちろん、就業規則に手続きを決めていればその通りにするのでしょうが、期間の設定に難がある(3日で解雇とか14日で解雇という決め方)のは先ほど指摘した通りです。期間を30日に設定して就業規則に記載していれば有効と考えることもできるのですが、「無断欠勤した=解雇予告された」とみなしてしまってよいかどうかは調査が必要です。



早い段階で解雇予告をしないと、いつまでも雇用契約は続いていると判断されてしまうので、無断欠勤する人がいたら早く連絡し、もし音信不通になっているならば、いつから音信不通になったのか、いつの時点で解雇したのかを記録することをオススメします。もちろん、内容証明を使うのもいい。

ただ、「面倒だから何もせずに解雇しちゃう」というのは避けて欲しいです。このようにすると、会社は、こちらが困らされているにもかかわらず、悪い立場に立たされてしまいます。

連絡が取れなくなってから30日間は面倒でも記録するようにしてください。


 
 

メルマガ以外にも、たくさんのコンテンツをウェブサイトに掲載しております。

労務管理の問題を解決するコラム

職場の労務管理に関する興味深いニュース

【仕事のQ and A】

決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。

  • Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
  • Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
  • Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
  • Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
  • Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
  • Q:残業しないほど、残業代が増える?
  • Q:喫煙時間は休憩なの?
  • Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?

このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

 

仕事のハテナ 17のギモン

【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】

毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。

残業管理のアメと罠

 

残業管理のアメと罠

【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。

どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡 Kindle版

 

合格率0.07%を通り抜けた大学生。

【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】


高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

 

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。

┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ┃本では読めない労務管理の"ミソ"山口社会保険労務士事務所 発行
┣━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メルマガの配信先アドレスの変更

メルマガのバックナンバーはこちら

メルマガの配信停止はこちらから

┣*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*

労務管理の問題を解決するコラム
┃仕事の現場で起こり得る労務の疑問を題材にしたコラムです。

職場の労務管理に関する興味深いニュース
┃時事ニュースから労務管理に関連するテーマをピックアップし、解説やコメントをしています。

メニューがないお店。就業規則が無い会社。

山口社会保険労務士事務所

┃『残業管理のアメと罠』
┃毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、
┃月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、
┃平均して8時間勤務というわけにはいかない。
┃しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、
┃ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。
┃それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。
『残業管理のアメと罠』

┣*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*
┃Copyright(c) 社会保険労務士 山口正博事務所 All rights reserved

┃新規配信のご登録はこちらから
┃(このメールを転送するだけでこのメルマガを紹介できます)
メールマガジン 本では読めない、労務管理の"ミソ" に無料で登録する
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com
業務のご依頼に関するお問い合わせ

© 社会保険労務士 山口正博事務所