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┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2010/5/6号 no.186)━
有期雇用契約を更新しない 雇い止めは不合理?
新聞や雑誌、ニュースなどで採り上げられることは少なくなりましたが、「雇い止め」という話題が過去に注目を集めていましたね。
雇い止めとは、期限を定めている雇用契約を締結して雇用されている人がいて、その人は雇用契約を過去に何度となく更新してきたが、ある時点で何らかの理由で、雇用契約を更新することができなかったため、雇用契約が終了してしまうことを意味します。
今まで何度も雇用契約を更新してきたのに、なぜか今回は更新されることなく、契約が終了してしまったような場面ですね。
ここでトラブルになるのが雇い止め問題です。
雇用される側(社員)としては、今までほとんど形式的に雇用契約を更新してきたし、雇用契約に期限は設定されているものの、実質的には雇用期間などないかのような流れで契約が更新されてきたので、「契約終了=解雇」として扱うことはできない、と言いたいところなのでしょう。
一方、雇用する側(会社)としては、雇用契約にはキチンと期限が設定されているのだから、その期間が満了したら契約も終了すると考えるのが妥当だ、と言うでしょうし、雇用契約を締結する段階で、雇用契約の期間もキチンと相手に伝えているのだから、期間が満了したら雇用契約が終了することを相手も理解していたはず、と考えるでしょう。
雇用される側、雇用する側のどちらにも、相応の理由がありますね。
「何度も更新しているのだから、期限のない雇用契約になる」という理屈
雇われる側の人は、「何度も契約を更新してきたのだから、"実質的には期限のない雇用契約を締結していた"のだ」というポイントがキモでしょうか。
確かに、6ヶ月程度の雇用期間を設定した雇用契約を何度も更新していると、更新手続きも事務的で、書類に名前を書いて押印するだけで契約を更新が完了してしまうのでしょうね。
そのため、契約更新といってもあくまで形式的なもので、実質的には最初の雇用契約がずっと継続しているものと考えても差し支えないような状況なのでしょう。
ゆえに、「何度も更新しているのだから、期限のない雇用契約になる」という理屈を展開するのかもしれません。
ただ、何度も雇用契約を更新したからといって、雇用契約の内容まで変わるという論理には無理があります。
雇用契約の期間というのは雇用契約を構成する重要な要素の1つですから、キチンと決まっていなければいけないはず。もし、契約に期限を定めないならば、期限を定めないと決めるのですね。
例えば、毎月10万円であるサービスを利用する契約を締結して、その契約期間は1年に設定されており、継続的に更新するのが通例だったとします。4月は10万円、5月は10万円、6月は10万円というように契約内容が実行されるはずですが、1年経ったので契約を更新すると、あるとき突如として、月額13万円に変わっていたら驚きますよね。
月額10万円で契約している(契約書にも左記のように書かれている)のに、なぜか月額13万円に変わっているわけです。
これは困りますよね。
ところが、「期限を定めている雇用契約を何度も更新していると、期限の定めのない雇用契約になる」という主張は、上記と似たようなものではないかと思うのです。
期限が設定されている雇用契約だと思っていたら、いつの間にか期限を定めていない雇用契約に変わってしまっている、、、。
契約を更新していると、いつの時点かで契約の中身が変わってしまうとなると、契約書の内容と実態がズレてしまいます。
「契約の更新」と「契約の内容」は別々のモノのはず
確かに、「何度も更新しているということは、実質的には期限の定めのない雇用契約になっているではないか」という雇用される側の気持ちは分かります。
しかし、雇用契約が変質するという主張は認められにくいようです。
判例でも、雇い止めの事例はいくつもありますが、何度も契約を更新したからといって、期限を定めない雇用契約に変質したという主張を認めているものは極めて少ないのです。
「契約を更新していると、契約が変質する」という論理を受け入れてしまうと、何のために契約書を作っているのかと思えてきますよね。
また、雇用契約を締結した時点で、契約に期限が設定されている以上、期限が到来すれば更新されないかもしれないという可能性を予見できるはずです。
気持ちでは、「雇い止めには納得できない」という点を理解できるのですが、「何度も更新すると契約内容が変わる」という主張のおかしさを考えると、期限が到来して契約を更新しないという判断が不当とは言えないのですね。
道徳的に非難できるという程度のものなのかもしれません。
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【仕事のQ and A】
決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。
- Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
- Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
- Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
- Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
- Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
- Q:残業しないほど、残業代が増える?
- Q:喫煙時間は休憩なの?
- Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。
【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】
毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。
残業管理のアメと罠
【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】
私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。
合格率0.07%を通り抜けた大学生。
【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】
高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。
中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。
若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。
それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。
もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。
週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。
休憩時間無しで働いている。
採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。
「学生には有給休暇が無い」と言われた。
テスト休みを取って時給を減らされた。
など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。
何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
(知らないからといって許されるものではありませんけれども)
このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。
一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。
学生から好まれる職場と嫌われる職場。
その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。
「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
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