年次有給休暇を労働時間に含めると週40時間を超えてしまう？
ある週に、1日8時間、週5日の勤務だとして、その週に有給休暇を1日だけ使ったと仮定します。
この場合、勤務時間は、「週40時間＋有給休暇で計算される勤務時間（この場合は8時間）」となりますので、週40時間を超えてしまいますよね。有給休暇の労働時間数を含めると週48時間です。
週40時間を超えると、法定労働時間を超えた時間外の労働時間として扱います。法定労働時間とは、労働基準法で定められている基準で、1日8時間、週40時間が上限です。
ちなみに、所定労働時間とは、会社が設定している労働時間です。今回の場合、週40時間ですね。労働条件通知書や雇用契約書で書いている労働時間が所定労働時間です。
では、有給休暇を取得したために週40時間を超えてしまったとすると、これは時間外の勤務になるのでしょうか。法定時間外労働の割増賃金は必要なのでしょうか。
「週40時間は超えているのだから、時間外として扱うべき」なのか、
それとも、
「確かに、週40時間は超えているが、有給休暇で計算される勤務時間は実際に勤務した時間とは異なるものだから、勤務時間のカウントからは除外して扱うべき」なのでしょうか。
さて、どちらでしょうか。
「勤務≠有給休暇」 時間外労働は実際に働いた時間で判定
有給休暇で計算される勤務時間は、「実際に」勤務した時間ではないので、週40時間の内訳には含めません。年次有給休暇を取得した日は「労働した」とはみなされません。したがって、有給休暇を取った日が週48時間の計算に含まれることはなく、週40時間を超える労働時間は発生しません。
それゆえ、有給休暇によって週40時間を超えたとしても、時間外の勤務とはならないわけです。
ちなみに、代休や振替休日によって、週40時間を超えたときは、時間外として扱う場面です。振替出勤日が追加されて労働時間が週48時間になったら、法定時間外労働は8時間です。
代休の代わりに出勤したときや振替出勤では実際に働くわけですから、労働時間の中に含めて計算します。
「実際に勤務したか、それとも、形式的に時間を計上するだけか」という違いで判断を分けているんですね。年次有給休暇は給与計算では労働時間を計上していますけれども、法定時間外労働かどうかを判断するときは除外します。
