労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

一度支給した給与を返金してもらうのですか?

 

注文のキャンセルが出たから、歩合給を返金して下さい?

営業職で働いている人で、給与に歩合給が含まれている場合、顧客側からキャンセルが出たので歩合給の分を既払いの給与から返金しないといけないということがあるようです。

つまり、注文数と歩合給が連動しているので、失注したならば歩合給も無しということですね。

注文がキャンセルされたら売上がなくなりますし、得られるはずだった収益も得られませんから、歩合給をカットしたい事業者の気持ちも分かります。

ただ、一度支給した給与を後から取り返すことは可能なのでしょうか。

確かに、注文数と歩合給が連動しているのは分かりますが、だからと言って、支給後の給与から返金させるのは社員さんにとって負担ですよね。

この場合、失注のリスクまで社員さんが負わなければいけないのでしょうか。



一度確定した給与は返金してもらえない。

原則として、支給後の給与から返金してもらうことはできません。給与を締めて、それを支給したとなれば、もう金額は確定したものとなりますから、その後になって「あの注文は取り消しになったから、歩合分も返して」とは言えないのです。

ただし、給与計算のミスがあり、次月の給与で清算するのは差し支えありません。

例えば、時間外の手当の計算を間違えたために、過不足が生じたという場面がそうです。

また、金額も軽微であるならば、計算ミスの分を次月の給与で清算することもありです。

しかし、受注数で歩合給を決めている場合に、給与を支給した後になって注文がキャンセルされたとしても、給与の返金を求めることはできません。これを認めてしまうと、後出しジャンケンし放題になりますから。

なぜならば、たとえ歩合給といえども、後から自由に給与を取り返せるとなると、社員さんの立場を不安定にするからです。給与を締めて、支払った時点で、歩合給も確定したものとされますから。

会社としては、歩合給の支給は、例えば、当月分を翌月20日に締めて支給するという形にすれば、締日までにキャンセルされたものは不支給になり、締めたあとは支給が確定するよう、分かりやすく線引きをしておくと良いでしょう。この方法ならば、1ヶ月ほどの時間的猶予を設け、失注リスクを当事者間で分散できます。

ゆえに、「給与計算のミスを除き、一度確定した給与は取り返せない」と考えるのが妥当です。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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