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■■┃ 本では読めない労務管理の「ミソ」
□□┃ 山口社会保険労務士事務所
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2009/5/31号 no.94)━
■■ 懲戒解雇で即時解雇はできない。
■■ すぐに解雇させないのが労働基準法の仕組み。
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■懲戒解雇なら即時解雇?
懲戒解雇と普通の解雇は別物として扱い、「普通解雇と懲戒解雇
は別物だから、懲戒として解雇するときは、解雇の予告や手当は
必要ない」と考えている人もいるようです
懲戒とは、「不正または不当な行為に対して制裁を加えるなど
して、こらしめること」ですから、懲戒解雇は普通の解雇よりも
非難の度合いは強いわけです。
感情的には非難の度合いに違いがあるものの、労務管理の処理
として、予告や手当なしに解雇するのは妥当でしょうか。
■即時解雇ができる場面は限られる。
普通解雇であれ懲戒解雇であれ、「解雇」という通り道は同じ
です。
そのため、どちらの方法であれ、解雇のルールに拘束されます。
懲戒だと、窃盗、金品の横領などで解雇される場面が多いの
でしょうが、これは許せないと思っても、すぐに解雇はできない
んですね。
つまり、怒って「今すぐ解雇だ。もう会社に来るな!」とは言え
ないわけです。
悪いことをしても、しなくても、解雇は解雇だということです。
法律は当事者の感情を考慮してくれないんですね。
ただ、労働基準監督署の解雇予告除外認定を受ければ状況は
変わります。
社員さんの責任であると認定されれば、解雇の予告や手当が不要
になります。
しかしながら、除外認定はすぐに行われるわけではなく、審査が
あるのです。
解雇の状況、理由、不正の程度などを勘案して、認定するかどうか
を決めるんですね。
となると、しばらく時間がかかります。
一方で、現場では、認定されるまでの間は実際に解雇できません
ので、時期が遅れます。
懲戒解雇を言い渡してから認定まで待つことになるのでしょうが、
気長な話です(安易に除外認定をしないために、わざと面倒な手続
きを設定しているのかもしれません)。
時には、認定を待つぐらいならば、むしろ予告したり手当を支給
する方が容易と判断することもあるでしょうね。
■間違った就業規則がある。
ときには、「懲戒解雇の場合は、即時に解雇する」と書かれている
就業規則を見ることがあります。
おそらく、懲戒だから即時に解雇ができると思い込んでいる
のでしょうね。
悪いことをして解雇されるのが懲戒解雇だから、即座に解雇される
のが妥当だというわけです。
確かに、「やむを得ず解雇する場合」と「何かの不正をして解雇
される場合」とを比較すれば、感情的には違いを感じます。
非難されることをしたのだから、何らかのペナルティを課したい
と会社も考えるのでしょう。
しかし、労務管理の視点としては、どちらも「解雇」として
扱われるんですね。
懲戒だからといって、即時に解雇すると断言(断定的に就業規則に
書く)してしまうのは正しくありません。
ゆえに、就業規則に「懲戒解雇の場合は、即時に解雇する」と書く
のは誤りということになります。
ただ、上記の内容が含まれていても就業規則としては成立します
が、労働基準法に合いませんので、上記の部分だけが無効化され
ます。
先ほど書いたように、認定を受ければ可能ですが、認定までの
タイムラグや認定される可能性を考えれば、原則として即時解雇
は無理と考えておくべきです。
メルマガ以外にも、たくさんのコンテンツをウェブサイトに掲載しております。
【仕事のQ and A】
決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。
- Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
- Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
- Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
- Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
- Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
- Q:残業しないほど、残業代が増える?
- Q:喫煙時間は休憩なの?
- Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。
【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】
毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。
残業管理のアメと罠
【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】
私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。
合格率0.07%を通り抜けた大学生。
【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】
高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。
中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。
若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。
それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。
もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。
週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。
休憩時間無しで働いている。
採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。
「学生には有給休暇が無い」と言われた。
テスト休みを取って時給を減らされた。
など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。
何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
(知らないからといって許されるものではありませんけれども)
このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。
一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。
学生から好まれる職場と嫌われる職場。
その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。
「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
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