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変形労働時間制を理解するには「ツボ」がある

変形労働

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■■  変形労働時間制を理解するには「ツボ」がある
■■  変形時間を運用するには「予定」がキモです。
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変形労働時間制を採用すると、労働時間の管理はより厳格になる

変形労働時間制を使えば、1ヶ月なり3ヶ月の範囲で、
自由に勤務時間を割り振れると誤解している方もいるようです。


しかし、変形労働時間制によって時間管理がルーズになる
ことはなく、むしろ時間管理はより厳格になってしまう
のが現実です。



「一定の制約を受け入れる代わりに、例外的な時間管理を
しても良い」とするのが変形労働時間制ですから、使いにくさ
が出てくるのはむしろ当然なのかもしれません。








何曜日に何時間働くかを事前に決めるのが変形労働時間制度のツボ

1ヶ月単位でも、3ヶ月単位でも、1年単位でも、1週間単位
でも、全てに共通するのですが、

変形労働時間制というのは、「特定の週に40時間を超えて、
また、特定の日に8時間を超えて勤務することができる」ように
なるという仕組みです。


ここでは、「特定」というのがポイントです(とても大事)。




1ヶ月単位の変形労働時間制を例として説明してみます。



まず、1ヶ月の勤務時間の総枠を決めます(第1ステップ)。


週40時間勤務、1ヶ月31日の場合だと、
(40時間×(31日÷7日(1週間))=177.1時間)という
計算になり、1ヶ月の勤務時間の総枠は「177.1時間」です。


さらに、この週には48時間勤務、この週には37時間勤務、
この週には40時間勤務、というように事前に予定を立てて
(第2ステップ)、


また、この日には9時間勤務、この日には6時間勤務、この日
には12時間勤務、というように日ごとの予定も立てるんです
(第3ステップ)。


こうやって1ヶ月分の勤務予定を「事前に立てて」、実際に勤務
するのが変形労働時間制(この場合は1ヶ月単位の変形です)
なのです。




さらに、実際の勤務では、

1日12時間と決めた日は、12時間まで時間外手当は無しです。
1日6時間と決めた日は、8時間までは時間外手当無しです。


つまり、8時間超えで決めた日は、その時間まで。
また、8時間未満で決めた日は、8時間まで、というように
考えます。



ちなみに、1日6時間と決めた日を当日になって9時間と
変えても、時間外手当(1時間分)は発生します。

なぜならば、8時間を超えると「事前に予定していない」わけ
ですから、変形効果を認めないということです。



一方、1週間単位でも同様です。

1週48時間と決めていれば、48時間までは手当不要です。
また、1週37時間と決めていれば、40時間までは手当不要
です。


先ほどと同様に、1週37時間と決めているにもかかわらず、
直前になって1週45時間に変更すると時間外手当(5時間分)
は発生します。


予定していない勤務に対しては変形効果を認めないということ
ですね。



さらに注意して欲しいのは、「177.1時間の総枠を忘れないこと」
です(もちろん、この総枠時間は月によって変わりますよ。閏年
の2月などは総枠時間が短くなります)。


1日8時間、1週40時間をキープしていても、うっかり
177.1時間の総枠を超えちゃったりすることもありますから、
気をつけて下さい。


177.1時間の総枠を超えたら、その時間に対しては時間外手当を
支給します。


つまり、変形労働時間制では、1日8時間、1週40時間
(例外44時間)、1ヶ月の法定時間枠、の3つのポイントを
意識しなければいけなくなるんです。


原則的な時間管理だと、1日8時間、1週40時間(例外44
時間)、の2つだけで良いのですが、変形労働時間という例外的
な時間管理を認める代わりに制約が増えてしまうんですね。








労働時間が毎日コロコロと変わる会社では変形労働時間制は馴染まない

良くあるのが、特に予定も立てずに、とりあえず1ヶ月間働いて
もらって、1ヶ月後に法定労働時間の総枠(40時間×(31日÷
7日)=177.1時間)を超えた分だけ時間外手当を支払うという
のは、変形労働時間制ではありません。


週毎、日毎の勤務時間を事前に特定していませんからね。

「細かく予定など決めずに、1ヶ月後に時間外清算すれば足りる」
という理解は間違いです。




ゆえに、日毎にコロコロと勤務時間が変わってしまう会社では、
変形労働時間制は馴染まないということになります。



ただ、私の感覚では、あえて制約を受け入れてまで採用するほど
変形労働時間制にはメリットは無いような気がします。


「事前に予定を立てなければいけない」という面倒くささは
どうしても受け入れられません。

どうしてこんなに使いにくくしているのか理解し難いです。



あえて言えば、いつ何時間働くか分からないと社員さんが不安に
なるから、というのが理由なのかもしれませんね。

事前に予定を立てた範囲までは、1日8時間や1週40時間を
超えた例外的な時間管理ができるということ。

しかし、事前に予定していないならば、1日8時間、1週40
時間の原則を踏まえなければいけないということです。

ここが全ての変形労働時間制に共通する「ツボ」なのです。

 

 

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【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】


高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
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もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
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という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
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8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

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実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

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など、
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という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

 

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。

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