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■■┃ 本では読めない労務管理の「ミソ」
□□┃ 山口社会保険労務士事務所
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━ (2009/1/8号 no.53)━
会社の判断で従業員を休ませると勤務していなくても給与の代わりに休業手当が必要
経済環境が変わると、会社によっては、仕事が減って、会社の操業時間を短くする、もしくは休日を増やす時もあるでしょう。
その際、一時帰休や一時的に自宅待機をしてもらっている場合には、休業手当(労働基準法26条)を支給する必要が出てきますよね。
第二十六条
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
一日丸々休む時はもちろん、勤務する時間を短縮する場合でも休業手当が必要になります。普段の所定労働時間が8時間だとして、半分の4時間にすると、残りの4時間分の休業手当を支給します。
ノーワーク・ノーペイの原則と労働基準法26条の休業手当、両者の違いは?
ノーワーク・ノーペイの原則
ノーワーク・ノーペイの原則を踏まえると、労働時間を8時間を6時間に短縮したら、給与は6時間分となります。ならば、勤務時間を短縮したならば、短縮した部分はカットできそうです。
「ノーワーク・ノーペイ(No Work, No Pay)」の原則とは、労働者が労働義務を履行しなければ賃金を受け取る権利を失うという考え方です。
- 労働者が無断欠勤した場合
- 労働者が私的な理由で休んだ場合(例:病欠や自己都合による休暇)
- 労働者がストライキを行った場合
これらの場合は、賃金は支払われません。
つまり、病気で休んだ場合、怪我で早退した場合など、社員さん側の理由で休みになった際には上記の原則通りに対応します。
労働基準法26条の休業手当
しかし、会社の都合で社員さんの勤務時間や勤務日数が減ったとしても、ノーワーク・ノーペイの原則が適用されず、例外扱いになります。
労働基準法26条は、ノーワーク・ノーペイの原則に対する例外規定と言えます。事業主の責に帰すべき事由によって労働者を休業させた場合、事業主は労働者に対し、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う義務があります。
事業主の責に帰すべき事由とは、事業主の管理・運営上の問題に起因する理由を指します。例えば、設備故障、原材料不足、経営上の理由による業務停止、店舗改装など。
不可抗力による休業は、事業主の責に帰すべき事由には該当しません。例としては、地震や台風などの自然災害、政府の命令による事業停止など。公共交通機関の計画運休もありますね。
休業の原因が「事業主の責に帰すべき事由」に該当するかどうかはケースごとに異なり、争いになることもあります。感染症による休業では、政府の要請による場合でも一部のケースで休業手当が必要とされる判断が裁判所で出されました。
労働基準法26条は、事業主側の都合で労働者が収入を失うリスクを一定程度保護する仕組みです。そのため、使用者の都合で労働者を早退させたり、臨時休業にすると、給与として休業手当が必要になります。
休業せずにワークシェアリングすればどうですか?
休業を回避するためにワークシェアリングを実施することは、労働者と事業主の双方にとって利益をもたらす可能性があります。
ワークシェアリングとは、労働時間を労働者間で分配・調整し、雇用を維持しながら休業や人員削減を回避する手法です。つまり、1人当たりの勤務時間を減らして、総量の決まった仕事を多くの人で分かち合い、現在の雇用数を維持する、という仕組みです。
ワークシェアリングの利点
- 一時的に賃金が減少するものの、解雇を避けられる。
- 労働時間が短縮されることで、プライベートな時間が増える可能性がある。
- ワークシェアリングにより、雇用調整助成金を利用できる場合がある。
- 従業員を大切にする企業イメージを示せる。
休業が続くと退職してしまう人も出てきますが、ワークシェアリングで時間短縮でも仕事を続けてもらうことができます。
業績悪化に伴い全員の勤務時間を削減しつつ、その期間中、従業員にはスキルアップ研修を受けてもらい、業務再開後には従業員の生産性が向上し、競争力の強化につながるような準備期間と位置づけるのも良いですね。普段はできないことができますから。
なお、ワークシェアリングを実施して、契約している所定労働時間未満になったら、不足分の休業手当は必要です。
メルマガ以外にも、たくさんのコンテンツをウェブサイトに掲載しております。
【仕事のQ and A】
決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。
- Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
- Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
- Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
- Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
- Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
- Q:残業しないほど、残業代が増える?
- Q:喫煙時間は休憩なの?
- Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】
毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。

残業管理のアメと罠
【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】
私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

合格率0.07%を通り抜けた大学生。
【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】
高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。
中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。
若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。
それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。
もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。
週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。
休憩時間無しで働いている。
採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。
「学生には有給休暇が無い」と言われた。
テスト休みを取って時給を減らされた。
など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。
何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
(知らないからといって許されるものではありませんけれども)
このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。
一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。
学生から好まれる職場と嫌われる職場。
その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。
「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
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