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懲戒の基準は、可能な限り具体的にすべし

根拠



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今日のTOPIC
1: 懲戒の基準は、可能な限り具体的にすべし
>>>懲戒でも「5W1H」を決める

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■■  懲戒の基準は、可能な限り具体的にすべし
■■  懲戒でも「5W1H」を決める
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■懲戒は法律で決める部分ではない。

懲戒処分として、一定期間の昇給を停止するという場合。

もしくは、一定期間の減給を実施するという場合。


例えば、定期昇給を4月の初めに実施する会社を想定して、
その会社で2月に昇給停止の懲戒処分を受けたとします。


停止の期間は4か月とします(期間を明示しない会社
もありますね)。



この場合、昇給停止が解除されるのは、6月となります
ので、4月の定期昇給はなされないということになります。


しかし、4月に定期昇給しないとしても、停止処分開け
の6月には定期昇給しないといけないのでしょうか。


雇用契約の時にも、4月初めに定期昇給を行うという
ことは伝えられているはずですから、たとえ懲戒処分
を受けても、事後的にであれ定期昇給を実施しない
(上の例だと、処分開けの6月になります)のは契約違反
なのではないかと思えてしまいますよね。

(なお、臨時昇給という方法もありますが、今回は除外
して考えます。定期昇給のみの会社と仮定)



ただ、労働基準法には、昇級停止の制裁について細かく
は決めていません(あっても減給制裁の限度だけです)
ので、懲戒の内容や程度については、会社のルールに
よるしかありません。


昇給の停止期間も、1ヶ月でも良いですし、3ヶ月でも
6ヶ月でも、1年でも良いのかもしれません(客観的な
基準が無いので推量になります)。


もちろん、就業規則での根拠が必要ですが、懲戒の対象
行為や懲戒の内容・程度に関しては、会社の自由に決める
ことができるところです。


過去には、「従業員トイレの蓋を閉め忘れたら、1,

000円の罰金」
という懲戒を実施した診療所もありましたね。

珍妙な話ですが、事実です。


その診療所では、就業規則での根拠も無く、上記の懲戒
を実施したために無効となりましたが、就業規則で決めて
いれば、有効にすることも可能です。


「えぇ~!、トイレの蓋を閉め忘れただけでペナルティ
があるの?」

と思われるかもしれませんが、就業規則でルール化する
ことは可能です。

罰金も、取ろうと思えば取れます。



まあ、、、こんなルールを作る会社はまず無いだろう
(上の診療所を除き)とは思いますが(笑)。


いちいち、トイレの使用後に、蓋の開閉をチェックする
のでしょうか?

誰が?、、、院長が?


なんだか、気が遠くなります、、、。

随分と暇な診療所なんですね。







■抜け穴があると反論したくなる。

車やバイクに乗っている方だと、
「道路交通法」という法律をご存知かと思います。


一時停止違反、スピード違反、駐車禁止違反、飲酒運転
違反、など(他にもたくさんあるはず)のルールを決めて
いる法律ですね。


ここで、もし、道路交通法がルールについて曖昧な決め方
をしていると、どうなるでしょうか。


例えば、一時停止だと、
「一時停止している感じがあれば、一時停止とみなす」


と法律で決めていたらどうでしょう(仮想です)。
(凄い曖昧ですよね。「感じ」ってどんな感じでなのしょう?)



こんな決め方ならば、何とかして言い逃れようとする
人も出てくるはず。


警察に一時停止違反で止められても、


「えぇ?止まっている雰囲気を出していたでしょう?」とか
「えぇ?オレの気持ちではガッチリ止まっていたよ」とか
「えぇ?停止している「感じ」を、あなたが受け取らな
かっただけじゃないの?」


などなど、何とも訳の分からない言い訳をされてしまうはずです。


しかし、現実の法律では、どんな基準に違反すれば、
どんなペナルティがあるのか、そしてどれくらいの期間、
ペナルティが継続するのか、ということについて厳密に
決まっています。

公務員の皆さんが使う法律は特に厳密ですよね。



一方、会社のルールも同様です。

ファジーに決めている部分があると、そこから綻びが
生じるものです。

昇給停止でも、「一定期間停止する」としか書かれて
いないと、物議を醸します。


「いつまでなのか?」
「会社が任意で決めてしまうのか?」
「根拠も無く期間を決めていいのか?」

などなど、反論のポイントは盛り沢山です。






■枠線を引く。

会社のルールであっても、裁量(イチャモン?)の余地が
ないほどにギッチリ決めるのが理想です。


会社の判断で、処分の期間を長くしたり短くしたりでき
てしまうのは、社員さんにとって不安です。


もちろん、全て懲戒事例や内容を事前に決めるのは難しい
ものです。

しかし、昇給停止の期間や、減給される期間を事前に決める
ことはできるはずです。


もし、明確に決めることができないならば、せめて「1ヶ月
から6ヶ月の間、昇給を停止する」などのように決めること
もできるでしょう。

最小値と最大値だけを決めておくという方法ですね。

これだけでも、ルールの運用は楽になるはずです。



懲戒処分というのは、対象行為や内容、期間などを事前
かつ予防的に決めていないゆえに、いざ懲戒の場面に
なって困るんですね。


コツとしては、文章作成の「5W1H」をベースにして
決めていくと、懲戒規定の漏れが減るようです。


「完璧」というのは難しくても、しっかりと「線を引く」
という意識で会社のルールは決めて欲しいと思います。


たとえ、「トイレの蓋の閉め忘れ」であってもです(笑)。
 
 
 
 

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