- 労働契約の内容確認
- 有期契約の自動更新
- 雇用主の通知義務
- 退職願を自分で用意するの?
- 契約期間が満了して辞める場合も退職の書面は必要?
- 退職届のフォーマットを会社が用意しておくと退職の手続きがスムーズ
雇用契約を更新しない場合、一般的には退職届や退職願を提出する必要はありません。雇用契約があらかじめ決められた期間で終了する場合(たとえば、有期雇用契約)、その契約の満了により自動的に雇用が終了するため、退職届は不要です。
ただし、以下の点に注意が必要です:
労働契約の内容確認
雇用契約書や就業規則に、退職時に退職届の提出が必要とされている場合があります。例えば、契約満了前に自ら退職を申し出たい場合には、退職届が必要となることが多いです。自主退職したのか退職勧奨や解雇による退職なのかを明確にするために退職届を作っておくと良いでしょう。
有期契約の自動更新
契約が自動更新される仕組みがある場合、更新しない旨を労働者から事前に伝える必要があることがあります。この場合、退職届ではなく、契約を更新しない意思表示をしっかりと伝える書類が求められる場合があります。会社によっては退職届を出すことで雇用契約の自動更新がストップすることもあるでしょう。有期雇用契約に自動更新条項を入れるならば、期間を定めない雇用契約を締結すれば良いですので、自動更新について気にすることはあまりないのでは。
雇用主の通知義務
契約期間が満了する前に、使用者側も更新しない意思を労働者に通知する義務がある場合があります。日本の労働基準法では、特定の状況で、契約更新の有無を30日前までに通知する義務が課せられることがあります。労働基準法20条に基づく予告手当が必要になることもあります。
従って、契約更新に際して退職届が必要かどうかに関しては、具体的な契約内容や会社の規定を確認することが重要です。
退職願を自分で用意するの?
退職届を書くのか。それとも、退職願を書くのか。
仕事を辞める時はどのような書面を作って伝えたらいいのか悩んでしまうものです
退職届と退職願の違いについて、アレコレと説明する方もいますが、現場ではほぼ同じものと扱われており、両者を分けて扱っている会社は少ないのでは。
「うちは退職願だけだ」、「当社では退職届を書いてもらっています」と、会社ごとに書面が違っていて、どちらが正しい書面なのかという話ではないのです。
中には両方とも書く会社もあるんですかね。どちらか1通に集約しても足りるのですが、先に退職願を出して、あとから退職届も書かせるなんて迂遠なことをさせるのでしょうか。
いつ、どういう理由で退職するのかを記録に残すのが目的ですから、どちらの書面でも構わないのです。
退職願だけを書けば足りる会社もあれば、退職届を書けば退職時の手続きはそれで終わる会社もあります。
会社ごとに手続きの方法は違っていて、どの方法を用いなければいけないか、という決まりはなく、退職するとの意思表示をきちんと書面に残せていれば、最低限の条件は満たせます。
契約期間が満了して辞める場合も退職の書面は必要?
雇用契約を更新しないということは、退職するということ。だから退職届や退職願を書く必要があります。しかし、契約期間が終わると自動的に雇用契約は失効するのだから、改めて何らかの手続きは要らないのではとも思えますよね。
会社によっては、「来月の末で辞めさせていただきます」と口頭で伝えるだけで足りてしまうところもありますが、仕事を辞めるときは、労務管理ではトラブルが起きやすいものですから、いつ、どういう理由で退職したのかは記録に残しておきましょう。
退職した後に、「退職勧奨されて辞めさせられた」とゴネられる可能性もあり、油断できないのが離職なのです。
退職届のフォーマットを会社が用意しておくと退職の手続きがスムーズ
退職願や退職届を書くといっても、書面をどうするかで迷ってしまうもの。退職する本人に「退職願を書いて持ってきて」と言っても、当の本人は困ってしまいます。
頻繁に書くものではありませんから、どういう書面にすればいいのか分からないもの。
そのため、会社が、退職願や退職届という形で、書面を用意しておくと良いでしょう。届出用紙の1つとして準備しておけば、退職する人が出てきたときに書いてもらって手続きを進められます。本人任せでは用意しませんから、会社がひな形を用意しておくのが良いです。
退職願だと、退職する日と理由ぐらいしか書いていないものになります。A4サイズ用紙1枚で終わらせたりしますからね。
一方、退職届ならば、退職時に必要な連絡事項をまとめて伝えるよう書面を作れます。
退職願は必要最低限のことしか書いていない書面ですが、退職届という書面にすれば、退職時に必要なやり取りを全部ここにまとめて書いておけば、退職する人は安心できますし、会社としても伝えるべき内容をまとめて伝えることができて助かります。
退職する日と退職する理由を書面で記録に残しておけば必要最低限という意味では足りますけれども、退職する際には、いろいろなやり取り、引き継ぎのようなものがあるのが普通です。
退職日はいつなのか。
出勤日をいつまでにするか。
残った年次有給休暇をいつまでに取得するか。
会社に置いているものをいつまでに持ち帰ればいいのか。
離職票が必要かどうか。退職証明書を作るかどうかを判断するために必要。
退職理由は何か。離職票を作成する際に退職理由を特定する必要があります。
会社から支給されているもの、ユニフォームやネームプレート、ID カードをいつ返すのか。退職日を含めて7日以内など、期限を設けておきます。
社内システムにアクセスするIDがいつまで使えるのか。
健康保険証は退職日まで使えるが翌日以降は使えません。そのため、保険証を会社に提出してもらう日はいつなのか。健康保険協会に送って返す必要がありますので。
退職した後の健康保険をどうするのか。任意継続健康保険に加入するのか、市町村の国民健康保険に加入するのか。どちらを選択するかによって案内する内容も変わります。
すぐに次の会社に入社するとなれば、いつまで今の会社の社会保険に入って、いつから次の会社の社会保険に入るのか、というスケジュールの調整も必要でしょう。
退職時に確認しておきたいことがあれば、退職届にまとめて記載しておくと、退職の手続きが早くなるでしょうし、思い違いや行き違いもなくなるのではないでしょうか。
退職する人が自分で退職届を用意するのは難しいでしょうから、会社で予め書面を用意して、記入できるように準備しておくのが良いでしょう。
契約期間が満了して辞めるときでも、退職の記録を残せるように会社が退職届の書面を用意して、それに本人が記入するという流れを作っておくのが良いですね。