あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます

通勤手当の不正受給を防ぐ方法は?

通勤手当

 

 

求人情報を見ると、

「交通費全額支給」

と示されているものを見かけます。


電車なりバスに乗って、

職場まで行く費用、
仕事が終わって帰宅する費用、

それらが会社から支給されるわけです。


ただ、この通勤手当、
過去に何度と無く不正受給のトラブルがあり、
今でも起こっています。

 

最初に通勤手段や通勤経路を聞いただけであとはそのまま、、、

多くの会社では、電車やバスを使って通勤していると交通費が支給されるかと思います。全額支給や一部支給という違いはあるものの、支給自体はあるのが大半ですね。

入社時点で、利用する交通機関や経路、交通費を社員さんから聞き取り、その内容通りに交通費が支給されるはずです。

ところが、入社時点で交通費について聞いたきりで、その後は特に確認もせずにそのまま交通費を支払っている会社もあるのですね。

もしかしたら、入社して半年して、社員さんは引っ越ししているかもしれませんし、電車で通勤していたけれども今は自転車で通勤しているかもしれませんし、バスを使っているけれども徒歩も加えて通勤しているかもしれません。

つまり、時間の経過と共に必要な交通費も変わる可能性があるのですね。変わるのは当たり前のことなのですが、分かっていても現場の行動には反映していなかったりするものです。

 

 

通勤手当の調査しないと通勤手当の過払いになる

たまに、交通費の過払いが発生して、会社から過払い分の返還を求められたという方もいらっしゃいます。

実際にかかった費用よりも多く通勤手当を受け取れば、そのまま放置しておこうかと思うのが受け取る側の気持ち。

会社が交通費の利用実態を確認していなかったのか、それとも、交通費を余分に受け取っているということを社員さんが給与明細で知っていたが申告しなかったのか、理由は様々あるのでしょうが、交通費の過払いというのは起こりうるのですね。

毎月、必要なくなった通勤手当が支給されているのを知っていながら、あえて放置して、実質的に給与が増えたと考えて、それを使い込んでしまう人も世の中にはいます。


中には、1年分や2年分の過払いになっていることもあるようで、おそらくそれら会社では、通勤に関す調査はしていなかったのではないかと思うのです。

6ヶ月に1回とか1年に1回という期間で何らかの調査をしていれば、たとえ過払いが発生しても対処が容易な状態であることが多いはずです。使い込んで金額が大きくなると、返金も大変ですから。

ところが、調査をしていないと、長い期間が経過してから過払いが分かり、金額も大きくなって、返還するとしても返還しにくい状態になってしまうのです。

それゆえ、通勤の状況を調査する必要があるわけです。

使っている交通機関、どの駅からどの駅まで、どのバス停からどのバス停までなどの経路、自家用車を使っているならば通勤距離や排気量などを確認したり、通勤経路の地図を書かせたりする会社もあります(通勤時の労災でも使えそうですね)。

引っ越しして住所が変われば、通勤経路も変わりますから、住む場所が変われば、それを伝えてもらう必要があります。

調査書類は自己申告の書類ですが、もし虚偽の事実(徒歩なのに電車通勤として申告するとか)を書くと懲戒対象になる会社もあります。


「過払いの交通費は不当利得だから当然に返還される」と思うのが普通なのでしょうが、交通費の実態を把握する作業を会社が怠っているならば、そう簡単には返還されないのではないでしょうか。

後から返してくれとなれば、すぐには返せない、会社がチェックしなかった、などお互いに負担がかかりますから、通勤状況のチェックをやらないといけないのです。

 

 

電車通勤だとと申請しているのに電車に乗らず自転車で通勤 

電車で通勤していると申告して、
交通費が支給されているのに、

実際は自転車で通勤している。

こういうことをしている人、
過去にいましたね。


私が学生の頃にも、
電車に乗るための交通費が給与として
支給されているのに、

自転車で堂々と職場まで来ている人。


交通費が支給されているのに、
徒歩や自転車で通勤すれば、
架空請求しているようなものですからね。


本人は確かに悪いですけれども、
不正受給する余地を与えてしまっている会社も悪い。

手当を不正受給できないような仕組みを作ってあげる。

これは会社がやるべきことです。

 

 

通勤定期券でなく切符でも交通費が出る職場

大学生の頃ですが、
とある職場で働いていたときのこと。

電車でその職場まで行っていたのですけれども、
そこでは、定期券だけではなく、
切符でも交通費が出たんです。

行きの切符代金。
帰りの切符代金。

つまり「片道×2倍」の運賃ですが、
これが出勤するたびに支給されていました。

その日の仕事が終わった後、
交通費を申請する書類(1ヶ月分を1枚にまとめたもの)に、

乗車駅と降車駅を書き、
片道の交通費を書く。

その後、
給与と一緒に交通費も支給されるというもの。

 

ちなみに、

切符を購入したかどうかを証明する必要はなく、
領収証も要らない。

つまり、

自己申告で申請書に記入する方式だったんです。



だから、

自転車で職場まで行き、
切符を買ったことにして、
申請書を書けば、
おそらく交通費は支給されたんでしょうね。

もちろん、
私はそんなことしませんでしたけれども、

「やればできるよなぁ、、」
と思わせる状態だったのは確かです。

 

300円程度の切符で、
わざわざ領収証を毎回持っていくわけにもいかないし、

実際に切符を買ったのか、
電車に乗ったのか、

会社はこれを確認できないんですね。


ゆえに、
切符購入に対して交通費を支給すると、
不正受給される余地があります。

 

 

 

 

交通ICカードには利用履歴が記録されている

定期券は領収証が出るし、
定期券本体もあるから、

「不正受給されないだろう」と思えますが、

購入後に返却すれば、
購入代金の一部が返ってきます。

その後は、
電車を使わず、
徒歩や自転車で通勤する。

こんなこともやろうと思えばできます。


実際に交通機関を利用しているかどうかを
確認できないため、
定期券でも問題は残ります。


では、どうすればいいか。


SuicaなどのICカード乗車券には
利用履歴が記録されるようになっており、

交通費を請求する場合は、

この利用履歴を提出するように求めれば
いいでしょう。

何時にどこの駅から乗って、
何時にどこの駅で降りたか。

この記録が分かれば、電車に乗ったと確認できます。


切符や定期券を買った記録ではなく、
実際に交通機関を利用した記録を見る。

これがキモですね。

 

さらに、

交通費を申請するには、
「ICカード乗車券を利用しなければいけない」

と決めておくのもいいでしょう。

 
通勤手当に対応した利用履歴を発行するサービス
を鉄道会社が用意するのも一案です。

1通200円ぐらいで、
1ヶ月分、3ヶ月分など期間で区切り、
指定の駅を利用した記録だけを抜き出して
利用証明書を発行する。

個人で利用した履歴を除けますし、
フォーマットもしっかりしたものを
用意できるでしょうから、
需要があるのではないかと思います。

支給される交通費に比べれば、
200円など誤差程度ですから、
費用は本人負担でもいいでしょう。

 

 

個人利用の履歴も表示されるが、、、

利用履歴の記録には、
個人的な利用履歴も表示されます。

職場と自宅の最寄駅だけでなく、

買い物に行ったときに電車に乗った、
映画館に行くときに乗ったバスなど、

仕事とは関係ない記録も表示されます。


ただ、

時間と乗車、降車した駅名を見ても、
その後、何をしたかまでは分かりません。

交通機関を利用した履歴で、
その他の行動をプロファイリングするのは
至難の業でしょう。

六本木駅で降りたからといって、
怪しげなお店に行くとは限りません。

渋谷駅で電車を降りたからといって、
ハチ公前でカレシと待ち合わせしているとは限らない。

大阪駅で降車したとしても、
大丸梅田店に行くとは限らないでしょう。


いつ、どの駅から、どこの電車に乗ったか。
または降りたか。

通勤で交通機関を利用しているかどうかを
判断するには十分な情報です。

 

 

自転車通勤に通勤手当を出す

これも不正受給を防ぐ手段です。


自転車で通勤しても何の見返りもないから、
不正受給しようという気持ちになる。


確かに、そういう気持ちになるのも分かります。

体力を消費して、
自分の自転車に乗って
通勤しているのに、
何の手当も無い。

一方、

電車ならば、
乗れば目的地まで運んでくれますし、
冬は暖かく、夏は涼しい。

しかも、運賃は会社から支給される。


そりゃあ、自転車に乗っている人からすれば、
何だか不満。



自転車も乗れば消耗していきますから、
自転車通勤にも通勤手当を出す理由はあります。

直接的に運賃は発生しないものの、
本人の体力や自転車の摩耗という形で
間接的に費用はかかっています。

 

 

自転車通勤でも年間36,000円の通勤手当が出る

税制でも、
自転車通勤への手当に対して
非課税枠が設けられています。

マイカー・自転車通勤者の通勤手当(国税庁)

片道で
2キロメートル以上の
通勤距離があれば、
月額4,200円までは非課税です。

1ヶ月に21日出勤するとすれば、
1回あたり200円を支給すると考えると、
ちょうど非課税枠の4,200円に収まります。


自転車で通勤して、
毎月3,000円から4,000円程度の
手当が出るならば、

電車で通勤していると偽って、
交通費を不正受給する必要はなくなります。

月3,000円で、年間だと36,000円ですから、
毎年新しい自転車を買えますね。

シティサイクルなら、
36,000円も出せば、
グレードが高いものを購入できます。

実際は、
そんなに高価な自転車もなく、
お釣りが出るのではないでしょうか。


お金が絡む不正は、
金額が些少でも懲戒解雇される
会社もあります。

小銭を手にするために、
懲戒解雇されるリスクに晒されるのも
アホらしいもの。

ならば、自転車通勤で手当を受け取る方がいい。

そう思わせるのがポイント。


会社としても、
不正がないかチェックしないといけないですから、
ここでもコストが発生します。


自転車通勤に交通費を出せば、
非課税枠を使えますし、
不正受給対策(チェックする作業)への負担も減ります。

解雇で人が減ることもありません。

 

 

通勤手当の不正受給を防ぐ解決策は2つ

利用履歴を見て、
実際に電車やバスに乗っているのかどうかを確認する。

自転車通勤にも通勤手当を出す。


この2つを実施すれば、
不正受給は無くなるのではないかと思います。

 
 
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