残業代(割増賃金)が出るのか。それとも出ないのか
平日である水曜日に有給休暇を取って休み、土曜日を出勤日にした場合、休日割増賃金が出るのかどうか。
勤務スケジュールとしては以下の通り。
(1)
月曜日:8時間勤務
火曜日:8時間勤務
水曜日:有給休暇
木曜日:8時間勤務
金曜日:8時間勤務
土曜日:8時間勤務
日曜日:休み
という1週間になりますね。
有給休暇を取らない場合は、
(2)
月曜日:8時間勤務
火曜日:8時間勤務
水曜日:8時間勤務
木曜日:8時間勤務
金曜日:8時間勤務
土曜日:休み
日曜日:休み
というスケジュールだとしましょう。
2から1のスケジュールに変更した場合、週40時間を超えた時に出る残業代(割増賃金)はあるのかどうか。
1では、実際に勤務しているのは合計で40時間です。ということは、法定労働時間の週40時間を超えていないので、割増賃金である残業代はありません。
ここで、「有給休暇を8時間勤務とカウントすれば、週48時間になるんじゃないか?」という判断もあります。
確かに、有給休暇を取った日は8時間分の給与が出るのでしょうから、勤務時間は週40時間じゃなくて週48時間と考えるべきではないのか。そう思えますよね。仮に、週48時間だとすると、40時間を超えた8時間は割増賃金が付く残業になります。
実際に働いた時間で考えるのが正しいのか。
それとも、
有給休暇を取った日も時間換算して考えるのが正しいのか。
どちらでしょうか。
有給休暇をどのように使うかは当事者の自由
先に結論を書くと、どちらも正しいのです。
実際に働いた時間で労働時間を計算する考え方は筋が通っています。有給休暇のような名目上の労働時間を含めずに、実際に働いた時間だけで判断するわけですからね。
さて一方、
有給休暇を取った日も時間換算して労働時間に含めるという考え方。こちらも確かに説得力があります。有給休暇を取った日は給与が出ますし、その給与は時間ベースで計算されるものですから、有給休暇を8時間分の労働時間と考えるのは納得です。
「じゃあ、どっちがいいの?」と思いますよね。
これは会社で決めないといけないところなのです。法律では有給休暇を付与するルールは決められていますが、付与された後の休暇をどのように使うかは当事者次第です。
法定労働時間外の割増賃金を計算する際に、「実労働時間で計算する」のか。それとも、「有給休暇を取得した日も時間換算して割増賃金の計算に含める」のか。これを就業規則なり賃金規定で決めておかないといけないのです。
ちなみに、私は「実労働時間で計算する」方を支持します。分かりやすいという理由だけでなく、法定労働時間外の労働に対する残業代は、実際に働いたことに対する補償のような位置付けがありますから、やはり実際の労働時間で残業代を計算する方が理にかなっています。
こういう話を聞くと、大事なものだと思うでしょう? 就業規則って。
労務管理の決まりごとは、法律で全て決められているものではなくて、会社側で決めなければいけないことも多々あります。そのために就業規則があるんですよ。
チャンと整備しておかないと、今回のようなゴタゴタが起こった時にどうするか困ってしまいますからね。
働いてる人にとって年次有給休暇は関心を集めますから、労務管理でも疑問や問題が生じやすいところですよね。労務管理でもトラブルになりやすいのが年次有給休暇の取扱いです。ならば年次有給休暇についてキッチリしている職場にすれば、働いている人たちからの評価も上がっていくでしょうね。