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佐川急便、週休3日制を導入 環境工夫でドライバー確保へ
宅配便大手の佐川急便は6日、正社員のドライバーの採用に関し、一部地域の希望者に週休3日制を導入したことを明らかにした。最大手のヤマト運輸もドライバーを含む正社員を対象に週休3日制の導入を検討していることが判明。個人の事情に合わせた多様な働き方を認めることで、働きやすい環境づくりを進める。物流業界は深刻な人手不足に陥っていることから、両社はドライバーの安定的な確保につなげたい考えだ。
佐川は4月、東京都と山梨県で週休3日制の正社員の募集を始めた。1日8時間の労働時間を延長することができる「変形労働時間制」を活用し、1日10時間勤務にする。
佐川急便で導入された週休3日制は、ユニクロで導入されているものと同じ仕組みです。
1日10時間労働で週休3日に
変形労働時間制度を利用して1週間の休みを3日にするもので、週休3日を実現する方法としては容易な方に入ります。
(通常の勤務パターン)
月曜日:8時間
火曜日:8時間
水曜日:8時間
木曜日:8時間
金曜日:8時間
土曜日:休み
日曜日:休み
上記の勤務パターンだと、月曜日から金曜日まで8時間勤務で、土日が休みです。これで週40時間勤務になります。
一方、変形労働時間制を利用して、週休3日に変えた場合はどうなるか。
(変形労働時間制で週休3日に)
月曜日:10時間
火曜日:10時間
水曜日:10時間
木曜日:10時間
金曜日:休み
土曜日:休み
日曜日:休み
上記の例では、金曜日を追加で休みにしましたが、金曜日の8時間分を月曜日から木曜日に対して均等に2時間づつ配分すると、休みが週3日になり、勤務時間は週40時間のままになります。
変形労働時間制度は、労働時間のポートフォリオを組み替えるのがその中身です。他の曜日や他の週に配分された時間を他の日や週に組み替える。そうすることで、1日8時間、1週40時間に固定されている時間枠を変更できるのです。
例えば、月曜日は1日5時間勤務で、火曜日は7時間、その後の金曜日には1日11時間にする。このように時間配分を変更できるわけです。さらに、労働時間の総枠を超えないならば、金曜日に11時間勤務になったとしても、残業代(法定時間外労働に対する割増賃金)は発生しないという効果もあります。
月曜日から木曜日までは1日10時間勤務になりますが、変形労働時間制度を利用すると、1日8時間を超えても、事前に勤務シフトなどで決めたの時間枠の範囲内ならば残業とならず、割増賃金も発生しないのです。
「事前に勤務シフトなどで決めたの時間枠」という部分が重要で、後からコロコロと「この日は7時間でいいわ」とか、「木曜日は12時間勤務にして」などと変えるのはダメです。事前に決めた枠を守ることが変形労働時間制度では必須ですので、この部分はいい加減にできません。例えば、1ヶ月毎に勤務シフトを決めるならば、そのシフトを作る段階で勤務時間を決めて、その決めた枠内で働く(勤務シフトが開始された後に変更しない)。そうすることで変形労働時間制の効果を享受できるわけです。
時間配分を変えるのが変形労働時間制なので、言うなれば朝三暮四のような仕組みとも言えます。
週休3日といっても、休み以外の出勤日が1日10時間勤務になりますから、働く時間の総量は変わりません。
変形労働時間制は時間配分を変えるのがその効果ですから、これでもって週休3日制を導入するのは難しくありません。
一方、Yahoo! JAPANのように、コンピューターやロボットを活用して勤務時間を減らし週休3日制を導入するというのは難易度が高いです。変形労働時間制のように労働時間の総量を変えないならば難しくないとしても、ヤフーの場合は労働時間を減らす方法で週休3日を実現するようですから、働く時間が減れば給与も減るんじゃないかという問題、コンピューターやロボットといっても具体的にどう活用するのかという問題があります。
週休3日制を導入するならば、変形労働時間制度を利用するのが最も簡単ですので、他の企業でも真似するのは難しくありません。